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今回は2006年度のコンクール全国大会【高校の部】のコメントです。
さて、高校編のCDは、高校編Iから聴き始めたのですが、トラック1の頭の音を聴いた瞬間に、『え!?
なんじゃこりゃ??』と思ってしまいました。
前回と重複しますが、私は前半の部は「33列 左 8」の席、後半の部は「33列
右 23」の席で聴いていました。 聴く場所が余り良い場所でないのは分かっていましたが、まさかこれ程、生で聴いた感じと、CDの音(全く同じとは言えませんが、CDの音の方が審査員席に届いた感じに似ています)が異なったのに、ショックを受けたのです。
生で聴いたレポートとは、違うコメントになりますが、それを踏まえておいて下さい。ではコメントに参ります。
■高校編I
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1019/
上記通り、東関東代表の習志野市立習志野高等学校の課題曲頭の音を聴いて、『え?こんな風に聴こえなかったぞ?』とビックリ。ショックを感じつつも、Flの音色に惚れ惚れしました。Flの歌い方は見事。
九州代表の福岡工業大学付属城東高等学校は、生で聴いた時にビックリしたバンドの一つです。聴いた席の関係で、『え、何でこんなサウンドになってしまった??』と、生では破裂音が耳に届いてしまったのですが、CDを聴いて『あぁ、こういう響きになっていたのか』と改めて豪快な金管のサウンドが楽しめました。自由曲の「エルフゲンの叫び」で、この学校の良さが出ています。もう独自のカラーを持っているバンドですので、それにぴったり合った選曲だと思います。『ちょっと鳴らし過ぎかな?』の感がありますが、豪快なサウンドをホール一杯に響きわたらせているのが、これを聴けばよく分かるでしょう。
東海代表の長野県長野高等学校は、生で聴いた時と、さほど違いはなく、私の好きなサウンドを奏でてくれています。
生で聴いて一番驚いたのが、西関東代表の春日部共栄高等学校の演奏でした。昨年、少しアドバイスした先が課題曲Iを選んでいたので、この課題曲のポイントはある程度分かっていました。
会場で聴いた時は『え、何で?ずれて聴こえる??』と感じていたので、CDを聴いて本当にびっくりしました。
課題曲も秀逸だし、自由曲も個性に溢れつつも、暴走にならない勢いを感じとれる熱演で、うるさいと感じる強奏部がありません。この「うるさく感じる強奏部」というのは、実は多数のバンドで聴くことが出来ます。が、うるささを感じない強奏部は、なかなか聴く機会はありません。かなり重要なことですので、実際に指導されている顧問の先生方は、ぜひ、この演奏を聴いて欲しいと思います。
■高等学校編II
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1020/
関西代表の明浄学院高等学校の、課題曲冒頭の柔らかいサウンドが心を和ませてくれます。課題曲Iは、18小節目からのTrp、練習番号CのHrnの1拍目の十六分音符に注意して聴くようにしていました。
共に『う〜ん、いいねぇ!』とうなずいてしまう演奏でした。よく鳴るHrnは中間部でもしっかりと存在感を出しています。Hrn、Good!!
北海道代表の東海大学付属第四高等学校は、常連だけあって、普門館を知り尽くした、『これ以上音量を下げるとダメになる、これ以上音量を上げてもダメになる』というギリギリの線上での演奏でした。
スケールの広い、北海道の自然が目に浮かぶ、爽やかかつ大胆な演奏になっています。自由曲も『お、一味違うぞ』というサウンドになっており、このバンドならではの「第六の幸運をもたらす宿」に仕上がっています。
■高等学校編III
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1021/
西関東代表の埼玉栄高等学校は、課題曲ではやや音量を小さめにしている感を受けますが、それが細部まで見せてくれる結果に繋がっています。非常に繊細な演奏で、「あぁ、こういうやり方もあるんだ」と、聴く人にヒントを与えてくれる出来に仕上がっています。自由曲は、うって変わって、充実した金管群と木管のサウンドがしっかりと融和(昔の表現ではブレンドされた)した音色が聴く人の印象に深く刻み込ます。歌い方、場面ごとの表情の変化など、実に見事な演奏です。
東北代表の秋田県立秋田南高等学校は、生で聴いた時に『今日、初めて聴いた、自分の理想の課題曲IIIの演奏だ』と感じさせてくれました。木管低音で始まるパルスが、登場した瞬間に勢いを感じさせてくれています。その後に続くTrbはそれとは対照的に、柔らかめのサウンド。『登場した瞬間に勢いを感じさせてくれる』というのは、楽器に吹き込む息のスピード・コントロールが優れているという事です。タンギング云々より、根底にある「息のスピード」という、非常に重要な事を、この演奏は教えてくれています。木管低音のパルスだけで「うねり」を感じさせてくれる、非常にいい演奏です。
北陸代表の富山県立高岡商業高等学校は、金管の響きに定評のあるバンドです。1983年の「ローマの祭」、1988年の「セント・アンソニー・ヴァリエーション」等、過去に素晴らしい演奏を披露してくれました。今回も「ローマの祭」を取り上げていましたので、非常に期待していました。課題曲は後半の部分で、豪快なサウンドを奏でてくれています。 自由曲ですが、こちらも、『あ〜、昔の高商サウンドに戻ってる!』とうれしく感じさせてくれる演奏になっています。
東海代表の愛知工業大学名電高等学校の自由曲「ダンス・ムーヴメント」は、ぜひ吹奏楽に関わる人全員に聴いてもらいたい演奏。この曲は難しいんですけど、「難曲に挑戦」という意味でない、バンドに合った良い選曲になっています。III楽章の不思議な音色も素晴らしいし、IV楽章は『勢い(テンションと言ってもいいでしょう)を保ちつつ、間はしっかり取る』という、言葉で書くと非常に簡単なのですが、実際に吹くと、なかなかこうはなりません。奏者が興奮して暴走するか、途中で勢いをなくしてしまうかのどちらかになります。『全員がまとまって一つになった時にしか生まれない演奏』というのは、軍国主義的なやり方をしている限り、絶対に生まれません。この演奏は『全員で一つのものを創る』という想いが、伝わってくる演奏です。
■高等学校編IV
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1022/
東関東代表の柏市立柏高等学校は、課題曲の終わり方がユニークです。最後の3小節間は、特に注意して聴いてもらいたいですね。自由曲の喜歌劇「こうもり」セレクションですが、柏高校として意外な選曲だと、私も思いましたが、非常に楽しませてくれる演奏です。余裕すら感じさせてしまう実力には脱帽です。
四国代表の愛媛県立伊予高等学校は、課題曲に驚きました。独自の世界を持っており、私は非常に面白い演奏だと思います。決して上手ではないのですが、人を引き付けるものを持った出来、ある意味怖ですね。特に練習番号Aまでは『俺は会場でこの演奏を聴き流してしまったのか!』と、ショックを受けました。
東海代表の安城学園高等学校は、独特の柔らかいサウンドで、課題曲IIを歌い上げています。一部『ん〜・・・』となるところもありますが、やっぱり味のある演奏だと思います。自由曲の喜歌劇「天国と地獄」序曲も、場面によって色々な景色が思い浮かぶ演奏で、カンカンの部分の木管群には心から拍手!
■高等学校編V
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1023/
中国代表の明誠学院高等学校は、課題曲の音の処理が見事。非常に気を遣った音の受け渡し(←これ、重要です)ががされており、好感の持てる演奏です。
東京代表の東京都立片倉高等学校は「気合入ってますー!」な「7つのヴェールの踊り」が曲冒頭から楽しめます。さらに、
この演奏に関しては、合わせてブレーンさんから発売されているDVD「Japan's
Best for 2006」もご覧になると面白いかと思います。本番では、久し振りに指揮者の馬場先生のジャンプが見れました。
西関東代表の狭山ヶ丘高等学校は、課題曲も特に悪い部分はなく(あえて言うならば、冒頭が不安定だった点でしょうか)このバンドの課題でもあったサウンドの中間層の薄さも今回は感じませんでした。自由曲の「ダフニスとクロエ」ですが、森田氏編曲の夜明けを聴いたのが初めてだったので、楽しめました。
あ、夜明けはコーラス付きになってます。曲の終わり方も私は好きな終わり方ですね。生で聴いた時は『お〜、引っ張る、引っ張る!』と、自然と笑みが浮かびました。終わり方に関しては、指揮者の佐々木先生の振り方が非常に印象に残っています。
東北代表の福島県立磐城高等学校は、自分として、この大会最高の演奏だと思っています。課題曲開始から自由曲終わりまで、完璧な「根本ワールド」でした。聴衆全員が引きずり込まれていました。 課題曲(注:課題曲に関しては音楽創り)も自由曲も、本当に溜息モノです。特に自由曲の、木管楽器の音に注意して聴いて下さい。「息のスピード」というものが、どれだけ大事な事か、教えてくれる演奏です。
今回は、以前指導したことのある生徒が、東京の学校に進学したので、『全国大会、聴くか?』と声を掛けたところ、「ぜひ行きたい!」と返ってきたので、一緒に聴きに行きました。全国大会を生で聴くのは、これが初めてとのこと。その元生徒が「こんな凄い演奏が聴けて幸せです」と言っていました。『うん、あれは本当に凄かった! あの演奏を生で聴けたことは、本当に幸せだと思う』と、言える演奏でした。
根本先生、磐城高校の吹奏楽部員さんたち、いい演奏をありがとうございました!
【石本セレクションvol.1】・・・マジでこの演奏には驚いた!
さて、前回『マジでこの演奏には驚いた!』の一枚を紹介しますと書きました。今回はそれの紹介です。近年、コンクールで『ガツーーーンッ!!!』と後頭部を直撃される演奏に3回出逢えました。これは、全て驚きの種類が違います。
まず、演奏で驚いたのが、1998年全国大会高校の部での、吉永陽一先生指揮、兵庫県立西宮高等学校の「稲穂の波」です。これは本当に衝撃的でした。『課題曲もああいう演奏になるんだ』と、目から鱗でした。
■ジャパンズ・ベスト・クラシックス 1998(DVD)に収録
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9143/
次に、選曲でぶん殴られたのが、これまた1988年全国大会。大学の部の山形大学の自由曲、「イースト・コーストの風景」です。私はコンクールのCDをこの曲を知りませんでした。『どこからこういう曲を持ってきたんだろう?』と、ちょっと悔しい思いもありましたが、これも強烈な印象を与えてくれました。
で、今回ご紹介するのは、これも「演奏に驚いた」と言えるのですが、西宮高等学校のような意味とは、また異なります。これは、2004年全国大会大学の部の、柴田裕二氏指揮福岡工業大学の演奏です。自由曲は、兼田 敏氏作曲の「シンフォニック・バンドのためのパッサカリア」でした。これが、実に心地よい演奏で、特に全身に鳥肌が立ったのは、曲の終わり方でした。『流れるような演奏というのは、まさにこういう演奏だ!』と、言い切れます。
毎年、コンクールを聴く度に思うのですが、非常に攻撃的な姿勢というのが、演奏に非常に顕著に現れていると感じます。その中で、この福岡工業大学の演奏は、衝撃的でした。
大音量で盛り上げて「ジャーアンッ!」という終わり方に、『どこもそうだな』と思っているので、一度この演奏を聴いてみて下さい。
単体での入手はもう無理ですが、ビクターさんから出ている2004年度吹奏楽コンクール金賞団体の競演(品番VICS-61249)で入手できます。是非、聴いてみて下さい!!!
■全日本吹奏楽2004 金賞団体の競演【CD6枚組】に収録
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1007/
(2007.02.21)
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