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2002年4月16日、夜10時半をまわった頃、1本の電話がBPコタロー氏宅を直撃した。電話の主は、もちろん筆者。こちらも昼間の仕事でクタクタに疲れていたが、この日の収穫と興奮だけは、どうしてもその日の内に伝える必要を感じての電話だった。失礼は承知の上だ。
すると、この時間になると、もう絶対寝ているはずのコタロー氏も、この日に限って珍しくまだ起きていた。
『どうしたの?』と聞くコタロー氏に、『ちょっと、コレ聴いてみてよ。』と、電話ごしにいきなりCDを聴かせる筆者。
1分くらいたって、演奏の続く中、『コレ、何だと思う?』と尋ねると、『どこかで聴いたことがあるような曲だけど、ものすごい曲だね。』と答えるコタロー氏。そして、『ねえ、何なのよ、コレ。』と乗り出してくる。
『コレはね、今年、間違いなく最大の話題曲、ABAオストウォルド賞を受賞したばかりのピーター・グレイアムの“ハリスンズ・ドリーム”、日本語にすると“ハリスンの夢”って曲の、そのウィンド版。』と答えると、『“ハリスン”って、2001年の“ヨーロピアン”のCDに入っているブラス・バンド版もすごかったね。ウィンド版も、とうとうできたんだ。しかし、電話ごしに聞こえてくる演奏も、ものすごい迫力だね。一体どこのバンドなの?』と訊き返してくる。
『これはね、ユナイテッド・ステーツ・エア・フォース・バンド・ワシントンD.C.(アメリカ空軍ワシントンD.C.バンド)。この“ハリスンの夢”は、エア・フォースの委嘱だったんだ。当然、グレード・セブン!!
最初から聴いてみたい?』と尋ねると、『もちろん。』という返答。
早速、CDを最初に戻して再生オン。ふたりとも、今度は何もしゃべらないで、ひたすら音楽に集中する。事情を知らない人が、ひとりは受話器をCDプレイヤーに向け、もうひとりは黙ったまま受話器を耳にするという、そんなふたりの様子をみたら、なんと思っただろうか。とにかく、最後の拍手終わりまで13分38秒間の奇妙な新曲鑑賞会は続いた。
演奏終了後、感想を尋ねると、『演奏もスゴイけど、曲もいいね。これ、絶対はやるよ。ネぇー、その演奏って、手に入るものなの?』と尋ねるコタロー氏に、『この音源はね、おそらく初演の記録録音か何かで、作曲者のピーターも、今はこれしか音源はもっていないんだ。彼に頼んでおいたのが今日届いてね。もちろん、コピーは厳禁。というわけで、昼間は、忙しそうで聴いてもらうこともできないんで、悪いと思ったけど、夜に電話したんだよ。』と説明すると、ちょっぴりガッカリするコタロー氏。
しかし、グラマーシーが作った「吹奏楽カタログ 2002-2003」に付いているCDにこの同じ演奏の抜粋が入っていることと、1月にセッション録音が行なわれて、6月頃にCDになるらしいことを伝えると、とたんに元気を取り戻し、『秋に開始を予定しているBPラジオでも紹介できたらいいね。』と、たちまちのうちに相談はまとまった。
気が付くと、日付はすでに4月17日。コタロー氏用にカタログを1部送ることを約束し、ふたりの奇妙な新曲鑑賞会は終わった。
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「ハリスンの夢」ライブ・フルバージョンが収められたCD-Rの手作りカバー |
(つづく)
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