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2000年1月14日、フィリップから再びFAXが入った。
「ディア−・ユキヒロ。今日、ボクら(Polyphonic)のすべての新作CDを詰め込んだパ−セルをポストに放り込んだよ。
"ビッグ" な新作 "EARTH,WATER,SUN,WIND"
のテ−プも一緒に入れておいた。OMSB(大阪市音楽団)もミスタ−・キムラ(木村吉宏さん)もそのスコアを持っている。キミにもスコアを送るが、それは、とても
"ビッグ!!!"なんで、別のパッケ−ジで送った方がいいと思った。新たなコピ−を作るのに1日か2日かかると思う。なにしろ、サイズが
"ビッグ" なんだ。」
"スコアを両者(市音と木村さん)に渡した" という、とても大切なことを今ごろ言ってくるなんて..。ヤレヤレ、一体どうなることやら。しかし、取り急ぎ返礼しなければ。
「ディア−・フィリップ。CDや "EARTH,WATER,SUN,WIND"
のテ−プとスコアの送付についての手配、本当にありがとう。作品については、とても興味深い。......(中略)......。
P.S.( "フィリップ・〜" の頭文字じゃないよ・・・・):ボクは、コンピュ−タ・ネットワ−ク上の
"バンドパワ−" というホ−ム・ペ−ジで新しいア−ティクルを書きはじめたところだ。ア−ティクルでは、ウィンド・バンドのためのすばらしい新作を紹介するつもりだ。そして、もしキミがホ−ム・ペ−ジをもつなら、そこで紹介できるけど。覚えておいて。」(1/14付)
3日後に返信がきた。
「ディア−・ユキヒロ。 "バンドパワ−" というウェブ・サイトのことを知ってとても興味深い。ボクはまだ自身のウェブ・サイトを持っていないけど、今作っている最中だ。それは、ボク自身のバンド作品をプロモ−トするドラゴン・ミュ−ジック(Dragon
Music)のサイトになるだろう。このネ−ミング、キミは好きかい?(英語中心の)インタ−ネットが日本でどれくらい重要なのかについてまだ知らないんだけれど。しかし、ホ−ム・ペ−ジを開設したときは知らせよう。」(1/17付)
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「ドラゴンの年」スコア
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ん? "ドラゴン・ミュ−ジック" だって?言葉遊びの好きなフィリップらしく、世界的ヒットとなった代表作の「ドラゴンの年(The
Year of the Dragon)」(ブラス・バンド・オリジナル/1984→ウィンド・バンド・バ−ジョン/1985)に引っ掛けてのネ−ミングだが、何のことだ、これは?そういえば、いつのことだったか、こんなことがあった。
日本滞在中のフィリップが妙に真剣な顔をしながらやってきて、「ユキヒロ。とてもいいイベントのアイディアが浮かんだんだ。」というので、話を聞いてみると、
「全英選手権(National Brass Band Championships
of Great Britain)の前夜祭の企画なんだけど....。」というので、
"オッ!!何かな?" と思って身を乗り出していくと、「チャンピオンシップの前日、ロイヤル・アルバ−ト・ホ−ル(The
Royal Albert Hall, London) のあのステ−ジにね、出場バンドのすべての指揮者の
"ワイフ" に上がって並んでもらうんだ。そして、選手権の審査員などの関係者が出揃ったところで司会者がエリを正して発表する。
"レディ−ス・アンド・ジェントルメン。盛大なる拍手でお迎えください。厳正なる審査の結果、高名なる○○バンドの指揮者、ミスタ−××の奥様、ミセス××を、栄誉ある本年の<ドラゴン・オブ・ザ・イヤ−>に決定致しました。"
そこで高らかにファンファ−レが鳴り響く........。どうだ、グッド・アイディアだろう。ワ−ッ、ハッ、ハッ!!」と高笑い。
筆者も、涙が出そうになるほどの笑いを堪えながら応酬した。「フィリップ、凄いアイディアじゃないか!!すぐに
"ブリティッシュ・バンズマン"(The British
Bandsman/ブラス・バンド・ファンのための有名な週刊新聞) のピ−タ−・ウィルスン(Peter
Wilson/同紙編集者)にリポ−トを送ろう!! "日本滞在中のフィリップ・スパ−クが、来たるべき全英選手権のためのとても興味深い<新作>の構想をもらした。タイトルも決定済みであり、<ドラゴン・オブ・ザ・イヤ−>という"
ってね。」
すると、フィリップは慌てて「ノ−、ノ−、それだけはやめてくれ。この件の "真相"
がイングランドに伝わると、ボクは身の危険を感じて国へ帰れなくなってしまう!?」と大げさに応えてみせた。もちろん、言い終えた後の顔は、まるで無邪気な子供のように満面に笑みを浮かべていたが......。
洋の東西を問わず、彼の国でも "奥方"
は、口から真っ赤な火を吹くように恐ろしい姿をした "ドラゴン"
のような存在なんだろうか。それにしても、<ドラゴン・オブ・ザ・イヤ−(本年の "ドラゴン"
)>だなんて、自作タイトルの文字を並べ替えて新作ジョ−クを作ってしまうとは......。しかも、
"全英選手権" というバンドをやっている者なら身を乗り出さざるを得ない
"ピン・ボイント" のツボを押さえながら....。
フィリップとつき合っていると、一事が万事こんな調子。いつの間にか筆者もイングリッシュ・ジョ−クをかなり理解できるようになってしまった。
"ドラゴン・ミュ−ジック" については、2000年5月にフィリップ自身の出版社
"アングロ・ミュ−ジック・プレス(Anglo Music Press)"が立ち上げられたことで、疑問はすべて氷解した。当時、彼は
"ドラゴン・ミュ−ジック" という社名もしくはホ−ム・ペ−ジ名を考えていたのだ。もちろん、いつもながらのフィリップ一流の
"その場限りのユ−モア" とも思えたが...。
さて、そんなことを考えているところへフィリップが14日に投函したというCDとカセットが入った郵便パ−セルも届いた。早速、開封して中身を確認したが、残念ながら、その日は聴く時間がまったくとれない。翌18日に、なんとか時間をやり繰りしてカセットを聴いてみると、これが想像していた以上に大作だった。第一印象は
"凄い!!" の一語。早速、フィリップに連絡を入れた。
「ディア−・フィリップ。キミの "ビッグ" な新作のカセットとポリフォニックの最新CDを送ってくれてありがとう。
"EARTH,WATER,SUN,WIND" は、とてもファンタスティックな作品だ!!いや、グレ−トだ!!ボクは
"月とメキシコのはざまに(Between the Moon and
Mexico)" (ブラス・バンド・オリジナル/1998)の後にキミが書き上げた傑作のひとつだと確信するよ。日本のウィンド・バンドにも向いているし。スコアをリ−ディングする日を楽しみにしている。そして、ボクは
"バンドパワ−" のためにラクガキをする準備を始めるだろう。それは夏ごろになると思うけどね。蛇足ながら、出版までに質の高いレコ−ディングを作るべきだと思うよ。....(中略)....。もう一度キミの
"ビッグ" な作品に "おめでとう"
を言いたい!!」(1/18付)
その後しばらくの間、ふたりの間に交信は無かった。筆者はスコアが届くのをひたすら待っていたが、2月に入って、突然フィリップから次のような短いFAXが入った。
「ディア−・ユキヒロ。ちょっとキミに知らせたいことがある。ボクは、キミ用の
"EARTH,WATER,SUN,WIND" のスコアの件をまったく忘れていた。けど、ボクは2週間インフルエンザで仕事を離れていたんだ!今はもうオフィスに戻ったんで、今週中に(スコアを作って)発送するようにする。」(2/7付)
いつもながらのふたりの呑気なやりとり。スコアはそれからほどなく届いた。
......つづく
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