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A21: 音楽は数学のように1つの決まった解答があるものではありませんね。
ここにメンバーが共同で利用しなければならない1つの場(楽団)があります。その場(楽団)をお互いがそれぞれの違い(個性)をもったまま、いかに仲間と分かち合っていくか。そして、仲間と共同で1つのものを作り上げていくためには、仲間に迷惑をかけないよう、団(部)員1人ひとりが合奏への必要な準備をして臨むのが、責任でもあり、礼儀でもあります。そこから生まれてくる「音楽の楽しみ、喜びや魅力」は無限大です。
1(人)+1(人)+・・・(メンバー数)=∞ そこで今回は、合奏は「音楽を創造する時間と空間」であるという観点から、吹奏楽で演奏するにあたり、「サウンド(響き)」「アンサンブル(調和)」「曲の解釈と表現」という3つポイントをお話しします。
1.サウンド(響き)
吹奏楽は、響きの美しいことが魅力の1つです。どのようにしたら美しいサウンド(響き)になるのかを考えてみましょう。そこで次の「音程」「音色」「バランス」の3つの要素が重要と考えます。
a)音程
チューナーを使って正しい基準音を出して、耳によるチューニングを丁寧に行なわなければなりません。楽器の管の長さを調節して行なうことは言うまでもありませんが、姿勢や奏法によっても音程は変わります。したがって、正しい姿勢、正しい奏法を身につけることは必要不可欠です。
しかし、せっかくチューニングをしても曲の中で正しい音程で演奏できなくては何もなりません。音程は、音の強弱によっても変化し、旋律とハーモニーとでは微妙に違ったりもします。正しい音程は、あくまで自分の耳で、それぞれの場面により判断しなければなりません。
それには、音楽的な感覚を身につけること。楽器で演奏する前に、自分のパート譜を音名で声に出して唱うなど、音をよく聴く唱うという<ソルフェージュ>が不可欠です。
b)音色
音はまず、生きていることが大切です。楽器をよく鳴らすことを考え、音を伸び伸びと出せるようにしてから美しい音を求めるようにします。このための練習方法は<ロングトーン>以外にはありません。音の発奏、強弱、長さ、伸び、終わり方、消し方、切り方、余韻の付け方、等合奏で役立つようにいろいろと考えながらロングトーンを行なわなければなりません。ロングトーンが退屈な練習と思っている人は考えが足りません。ロングトーンは「音の源」です。
c)バランス
楽器には各々の特徴(音色、ベルの向き、材質、音高等)があり、違った持ち味、役割があります。それら全体がうまくまとまるようにバランスを考えなければなりません。
奏者は、曲中の強弱、役割などを考えて演奏し、必ず指揮者の指示を確認することが大切です。指揮棒の動きに敏感に応じられるように訓練を積まなくてはなりません。
2.アンサンブル
アンサンブルといっても、特別に編成を組んで曲を演奏するのではなく、合奏で合わせるためにはどうしたらよいかということです。それでは、次のことを考えて欲しいと思います。
A) 1人で演奏することと集団で演奏することの違い。
B) 合奏に臨む前に自分でやるべきことをやっておき、技術面で他の人に迷惑をかけない。
C) 他のパートの動き、さらに全体の流れを把握する。
技術的には,チューナーを使いピッチを合わせる、メトロノームを使いテンポ・リズムを合わせるなど、ある一定の条件で機械的に合わせられます。しかし、そこに自分勝手でなく、他の人(パート)と合わせようとする「気持ち」がなくてはなりません。そして自分に余裕があって初めて他人を思いやれ、受け入れられる。アンサンブルもそれからです。アンサンブルという言葉は、本来「調和」という意味であることをかみしめて欲しいと思います。
3.曲の解釈と表現
曲の解釈は、演奏する人(特に指揮者)に任されていることが多く、様々な解釈が生まれてきます。しかし、その
解釈と表現にはルールがあることを知って欲しいと思います。
a)譜面をよく読む
作品には作曲者がおり、その音符1つ1つを思いを込め書いているので、ていねいに譜面を読むことが大切です。
b)演奏には責任がある
作品は音になって初めて伝えることが出来るので、演奏は最後の仕上げです。作品を生かすために責任を持って演奏することが大切です。
c)よりよい解釈
音楽は考えてばかりいてもダメなので、実際に音に出して演奏したり、他の人の演奏を聴いたりして経験を積むことが必要です。指揮者の考えなどを加味して、その時点でベストの答えを生み出して欲しく、音楽は常に新鮮でなくてはなりません。
d)説得力のある演奏
人の心を動かす演奏の要素として、解釈に妥当性があり、自然であるとがあげられます。さらに、表現に自信と熱意が感じられる演奏は、聴衆を説得する力があります。
音楽というのは、音符をただ物理的に音にしたのではなく、心で感じて心で表現することが、聴く人の心を動かす演奏につながります。
Q3など、これまでこのコーナーで回答したことが色々あてはまりますので参考にして下さい。
■バンドカウンセラー:五十嵐 清(いがらしきよし)
(社)日本吹奏楽指導者協会(JBA)の理事を長年務め、同協会主催の「吹奏楽指導者・学生リーダーのための吹奏楽ゼミナール」を始め、全国各地の吹奏楽(合奏)指導法や指揮法の講習会の講師や社会人、企業、大学、高校、中学校の吹奏楽団において客演指揮や指導を行っている。また全国各地の吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテストなどの審査員、ビデオマガジン「ウインズ」(新チューニング法)、Web吹奏楽雑誌「バンドパワー」での講師を務める。
これまでアメリカ吹奏楽指導者協会(ABA) 創立60周年記念演奏会や和田薫氏作曲の初演曲を「日本フィルハーモニー交響楽団他」を指揮し成功させているほか、東京都立杉並高等学校吹奏楽部を指揮指導して、全日本吹奏楽コンクールや全日本アンサンブルコンテスト等に出場している。
現在、日本ブラスバンド指導者協会理事、日本管打・吹奏楽学会会員、世界吹奏楽指導者協会(WASBE)メンバー、東京都吹奏楽連盟理事、東京都高等学校吹奏楽連盟常任理事、社団法人音響学会会員、東京都立杉並高等学校吹奏楽部音楽監督等を務めている。
(C)Igarashi
Kiyoshi / Band Power |