4月16日月曜日に、横浜みなとみらいホールにおいて開催されました「テュービアム・コンサート
vol.6」に行ってきました。今回は邦人の初演作品ばかりを集めた演奏会で、吹奏楽界で活躍されている作曲家のユーフォニアム・テューバ・アンサンブル作品の8作品が、同アンサンブルの音楽監督である戸田顕氏と作曲者本人のトーク付きで聴ける演奏会です。
第1部最初の曲は、高橋宏樹作曲《「北欧の歌」〜3つのフィンランド民謡による〜》です。この作品は、親しみやすいフィンランド民謡のメロディーが使われています。高橋氏らしい雰囲気で、あまり難しくなく中高生が楽しみながら演奏できる作品です。北欧のサウンド感や、やわらかなサウンドが、テュービアムのサウンドとぴったり合っていて、とてもゆったり聴くことが出来ました。
2曲目は、福島弘和作曲《サーカス小屋のある風景》です。前回初演された《芝居小屋のある風景》の続編のようなイメージで、ピエロのおどけた仕草の裏にある刹那的な悲しさが伝わればと思い作曲されたそうです。厚めのオーケストレーションなので、安定感のあるサウンドを作っています。細かい速い動きの部分はやや難しいかもしれませんが、演奏し応えのある作品だと思います。
3曲目は、金井勇作曲《銀色の鳥》です。前回の《銀色の森》に続き今回は《銀色の鳥》ということで、ギリシャ神話のあるストーリーからつけられており、「銀色の鳥=カラス」を現しているそうです。ユーフォニアムの音域がやや高いのが特徴で、更にユニゾンで動くことが多く、音程や音色を統一させるのがやや難しいかと思います。一部、打楽器的な感覚で合いの手の様に入る和音はキメ所なので、しっかり練習で合わせる練習が必要かと思います。迫力はあるのですが一定になりやすい作品なので、抑揚を付けることが必要だと思います。流石はテュービアムで、しっかり高音域のメロディーユーフォニアムの部分や、合わせるタイミングなど、魅せ所で会場を魅了してました!
第1部最後の作品は、石毛里佳作曲《☆ Mutton & Star☆》です。「Mutton→食べる肉→食あたり→救急車」という発送の連鎖から生まれたそうで、楽しくおどけたメロディーが親しみやすい作品です。ただ躍動感を出すのがやや難しいかと思います。途中に、《メリーさんのひつじ》に《キラキラ星》、「救急車のサイレンの音」など、随所随所で面白い趣向が凝らされていて、演奏者も聴衆も楽しめる作品ではないでしょうか。テュービアムのみなさんも、とても楽しそうな雰囲気が伝わってくる演奏で、作品の楽しさを素直に感じられたのではないかと思います。
休憩を挟んで第2部の第1曲目は、八木澤教司作曲《オアシスの娘と3匹の狼たち》です。この作品のタイトルにもなっている「オアシスの娘」は、テュービアムメンバーの紅一点、庄司恵子さんを指し、「3匹の狼たち」は…皆さんのご想像にお任せしますとの事です。三楽章形式の作品になっており、それぞれ副題がついていて、第一楽章「いたずら好きの2匹の狼」は、第二楽章「オアシスの娘」はコラール風、第三楽章「ズル賢い、あと1匹の狼」はユニゾンの曲となっています。それぞれが短くかわいらしく楽しい作品だと思います。庄司さん始め3匹の狼さんの演奏は素晴らしく、テュービアムのコントラストのある演奏がとても良かったです。
2曲目は、清水大輔作曲《Booming Chorale》です。
この作品のタイトル「Booming」は、テューバの発音「ブン」からきているそうで、単語の意味は「轟く」という意味だそうです。この曲は6年前に書いた《Dance
Reformer》というテューバ6、ユーフォニアム4、打楽器3というラージアンサンブルのために書いた作品の第二楽章かの旋律部分から派生させて、新たな作品として書き直したそうです。「基音=C」から派生していく感があります。
非常にゆっくりとした作品で気持ちの良くなる作品です。技術的に難しい作品でなく、とても雰囲気のつかみやすい作品ですがメロディーユーフォニアムの音域がやや高いので、そこだけは頑張りましょう。テュービアムのみなさんの伸びのある音色とハーモニーがとても素敵な演奏でした。
3曲目は、鈴木英史作曲《“Merry Widow”Selections》です。
鈴木氏の吹奏楽版のアレンジはとても有名ですが、今回はユーフォニアム・テューバ・アンサンブルの編成での試みです。楽器の音域の問題で、吹奏楽版とはアレンジ(選曲)が若干違うそうです。音域的な問題と休みが少ないことが、この作品の難易度を若干上げていると思います。ただ、氏のオーケストレーションは秀逸で、吹奏楽版アレンジに引けを取らない素晴らしい作品になっています。演奏もその難易度を感じさせない“流石はプロ!”という演奏でした。
最後の作品は、戸田顕作曲《The Destruction(破壊)》です。昨年7月に、朝鮮民主主義人民共和国が相次いで7発のミサイル発射実験を行い、戸田氏がそのニュースを耳にして憤りを感じると同時に、核戦争が始まってしまうのかという不安を感じたそうです。万が一悪化した場合は地球崩壊に繋がることは間違いないですし、広義に地球破壊に繋がる行為は避けなければならないと強く感じたところから生まれました。「こらこら・ダメダメダメ」とい
うリズムが冒頭ででてきますが、シリアスなものをやわらげています。テューバの「ラー
シーラード」のオスティナートが危険を表現し、中間部では、地下をイメージさせるような、ひたひたと恐怖がやってくる感じを表現しています。人間の焦りや恐怖心、緊迫感などをフューフォニアム・テューバ・アンサンブルでこれだけの雰囲気や音色を表現できる作品は素晴らしいと思いますし、それを十二分に引き出しているテュービアムの演奏も素晴らしかったです。
今回、清水作品を始め若手の作品が多かったですが、この編成の可能性を追求していった結果がこのような良い作品が並ぶことに繋がっていると思いました。
前回も申し上げた通り、テュービアムというユーフォニアム・テューバ・アンサンブルとこの演奏会があったからこそ、邦人作品が数多く生まれ、それと共に作品・演奏のレベルが技術的にも音楽的にも高くなっているのだと思います。これからもユーフォニアム・テューバ・アンサンブルのパイオニアとして牽引していって頂きたいと思います!
■テュービアムHP
http://www002.upp.so-net.ne.jp/TUBIUM/
■プログラム(全曲初演・編成:全曲
Eup.2 Tub.2)
第1部
○「北欧の歌」〜3つのフィンランド民謡による〜/高橋宏樹
http://www.hiroki-san.com/
○サーカス小屋のある風景/福島 弘和
http://www1.odn.ne.jp/maurice-ravel/fh-profile.html
○銀色の鳥/金井 勇
・☆ Mutton & Star ☆/石毛 里佳
第2部
○オアシスの娘と3匹の狼たち/八木澤 教司
http://www.horae.dti.ne.jp/~yagisawa/home/
○Booming Chorale/清水 大輔
http://www.scn-net.ne.jp/~maestro/sd.html
○“Merry Widow” Selections/鈴木 英史
○The Destruction(破壊)/戸田 顕
http://homepage1.nifty.com/ATODA/
アンコール
○「四季」より第三楽章/A.ヴィヴァルディ(Arr.神長 一康)
http://sky.zero.ad.jp/~zai86762/
○どこまでもいこう/(Arr.侘美 秀俊)
http://www.linkclub.or.jp/~takumi
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