新年度が始まり一週間が経った4月8日に、埼玉会館で開催された「アルスノヴァウインドシンフォニー第10回定期演奏会」に行って参りました。
今回は定期演奏会開催10回を記念して、植竹こども合唱団を迎えての演奏会でした。今回のプログラムも、他の演奏会ではなかなか聴くことのできないもので、過去9回の定期演奏会を知ることができるなど、とても楽しめる内容でした。演奏会は2部構成で行われました。それでは早速、内容に触れてみたいと思います。
まず、第1部最初の曲は、W.H.ヒル作曲《セイント・アンソニー・ヴァリエーション》です。
華やかなファンファーレの後に、美しい木管のアンサンブルが心地よい演奏でした。昨年の演奏とは大きく違うコントラストのある演奏でしたので、第10回記念の演奏会に思いを込める団員さんの心構えが感じられ、素敵な演奏会になりそうな演奏でした。
2曲目はA.リード作曲《吹奏楽のための第二組曲》です。
この曲は、記念すべき第1回目の定期演奏会で取り上げた思い出の作品だそうです。第二楽章のクラリネットのソロ、第四楽章のトランペットのソロは、とても素敵な演奏をしていました。南国の雰囲気を持つこの作品は、ノリのよい情熱的な演奏を求められておりますが、細かいところにも気を配る演奏は、「南国でのんびり昼寝」とは違う、だらだらしないキレのある演奏でした。
3曲目はP.A.グレインジャー作曲《コロニアルソング》です。
この曲は、第4回の定期演奏会で取り上げられ、常任指揮者で音楽監督の井山英之氏の思い入れのある作品だそうです。美しい中低音域のハーモニーが良かったです。フリューゲルホルン・サックス・トランペットのソロがあるなど、なかなか難しい作品だと思いますが、心を一にして演奏されていました。
第1部最後の作品は、K.デハルト/H.ジマー作曲《映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」より》です。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」ディズニーランドの人気アトラクション“カリブの海賊”をモチーフにジョニー・ディップ主演で映画化した作品です。ご存知の方が多いかと思いますが、とてもスケールの大きいこの作品を、このバンドの演奏会は、普通ならば第1部だけでも吹き応えのあるプログラムですが、それを平然と疲れを見せることなく演奏してしまうから驚きです。力強い迫力のあるサウンドが最後まで持続し、ロマンに満ちたカリブ海で沈没することなく演奏されたことは素晴らしく、客席も大きなスケールの世界へ誘われて、第1部が終了しました。
休憩を挟んで第2部は、今回ゲストの「植竹こども合唱団」をお迎えしてということで、吹奏楽と合唱の共演を楽しむことができました。
ここで、少しだけ植竹こども合唱団のご紹介をしたいと思います。埼玉県さいたま市で活動され、昨年は創立25周年となった歴史ある合奏団で、須藤和子先生の指導の下、小・中学生を中心に幼稚園児から高校生まで約20人のメンバーで活動されています。
今回は、《三つの汽車のうた》−「汽車・汽車ポッポ・汽車ぽっぽ」を始め、《どんぐりころころ》《君をのせて》《さんぽ》の4曲が演奏されました。こども合唱の音量とバンドとの音量バランスがとても難しかったと思いますが、秀逸なアレンジとシンフォニックなサウンドを持つANWSとのアンサンブルはとても自然で、とても微笑ましい歌声だったと思います。
かわいらしい合唱の歌声の印象冷めやらぬ中、本日最後の曲、S.プロコフィエフ作曲《バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より》が演奏されました。この作品は、第3回定期演奏会で「マドリガル」のみですが取り上げられています。また現在、某ソフトバンクモバイルのCMで使われていて大変有名ですね。今回もアレンジは、ANWS専属のアレンジャー三井英健氏です。少しずつですが謎に包まれたヴェールが脱がされており、どうやら1人ではなく、武蔵野音大か玉川大学の出身らしいそうです。ここから先はまだ謎のままです。
アレンジは、力強い曲と弱い曲とバランスよく構成されており、背景・心情など、繊細な表現や変化を表現するのはとても難しいですが、全体の曲の雰囲気が作りやすくなっていたのは流石です。特にフィナーレの迫力あるサウンドは、音楽だけでどのような場面かが浮かんでくるような、素晴らしい演奏でした!
定期演奏会開催10回の記念の演奏会に込める思いは、井山氏の全曲暗譜での指揮に加え、それに応えた団員さんの熱演が大成功へと導かれたと思いました。素晴らしかったです!聴衆も、演奏会のお祝いと演奏に敬意を表して拍手していました。その客席の期待に応えて、アンコールを3曲も演奏して終演となりました。
シンフォニックなサウンドを持っているバンドの1つANWS。今年「強弱」の「強」を手にした新しいANWSの誕生を見ることが出来ました。今までのサウンド感にプラスされたサウンドコントラストが、より音楽性の高い演奏に繋がっていました。今後のますますの進化がとても楽しみなバンドの1つです!
(2007.05.09) |