◎〜金洪才氏が送る「うた」、そして青春のコラボレーション〜
新年明けて間もない1月7日〜8日、シエナ・ウインド・オーケストラ(以下SWO)の九州ツアーが行われた。
指揮はSWO15年ぶり(!)の登場となる金洪才氏、ゲストはこちらも3年ぶりとなるT-SQUAREの伊東たけし氏(福岡市出身)であった。
本稿では1月8日に行われた福岡シンフォニーホールでの公演について、今回スタッフを務めた内輪の人間ではあるができる限り客観的に書いてみようと思う。
オープニングはドミトリー・ショスタコーヴィチ(上埜孝編曲)の《祝典序曲》。
メモリアルイヤーが明けたばかりのショスタコーヴィチ、横浜での定期公演で鍛え上げたばかりの《祝典》は気力十分、しかし力まず余裕を感じさせる演奏で幕を開けた。
つづいてアルフレッド・リード《エル・カミーノ・レアル》。
筆者が感じる洪才氏の魅力はゆったりめのテンポ・tuttiで歌いこんでいく時の、そのドラマティックなサウンドであると感じる。この曲の中間部でもいかにも氏らしく、じっくりと「うた」を聴かせてくれた。そのことが、Allegro
brillanteに戻った後の木管楽器のメロディーで再び感動を与える要素となったのではないか。
3曲目はロルフ・ルディン《詩のない歌》。
先ほども書いた洪才氏の「うた」、弱奏の緊張感の中でもしっとりと聴かせてくれた。
そして第1部の締めくくりはSWOの十八番《アルメニアン・ダンス パートI》(アルフレッド・リード)。
ここまでいずれもSWOおなじみのメニューであったが、どの曲にあっても洪才氏の個性が発揮されていたと感じる。
まだまだソフトの少ない吹奏楽において、同じ曲を違う指揮者で楽しむことができたのは有意義であろう。
休憩をはさんでの第2部、伊東たけし氏の登場である。
スクェアで吹奏楽と言えば、やはり《オーメンズ・オブ・ラブ》であろう。筆者世代にとっては観月ありさ主演のTVドラマ『放課後』のイメージが強すぎるのだが、すなわち「青春の音楽」である。
毎回書いているようにもともと若さあふれるSWOのメンバーであるが、やはりこういう演目で一段と生き生きしてくるのが音にも表情にも表れてくるのである。
また、真島俊夫の編曲ももはや普遍的なものであるが、その上にオリジナル・アーティストの奏でるEWI。アコースティック楽器と比較するわけではないが、しかしもちろん異質であるEWIが重なることによってさらなる色彩が生まれるのである。
九州出身、トロンボーンの郡氏によるご当地トークをはさんでは《フォーガットン・サガ》。
アルトサックスでのソロだが、これもクラシックのそれとは違う、むせび泣くバラードを聴かせてくれた。今回照明操作は無かったが、そこには音のスポットライトが見えたのである。
再びEWIで演奏するは《トゥルース》。
そして最高潮に盛り上がったステージで迎えるは《スター・ウォーズ》組曲。
もう多くを語る必要はないであろう。
アンコールには再び伊東氏による《宝島》。
さわやかなイメージの原曲と、にぎやかな編曲の吹奏楽版。
この良いとこ取りはぜひ一度経験してほしいものである。(もちろん完全アコースティックの演奏もステキだけどね)
もちろん、最後はお決まりの《星条旗よ永遠なれ》。
伊東氏もフルートで参加、そして横浜での定期公演に劣らずたくさんのお客さんが一緒に演奏。福岡のみなさんにとっては初めてのはずだが、もうすっかり慣れた様子であったのにはビックリであった。
……以上、全然客観的ではなくなってしまったが福岡公演レポートを終わる。
SWOが今度あなたの街に行くならば、やはり楽器はお忘れなく!
(2007.02.23) |