◎委嘱作品の初演を始め、2006年の話題作を次々と登場!
やや暖冬の今年も、昨年に引き続き2006年12月23日の天皇誕生日に、川口リリアメインホールにおいて開催されました「川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団
第34回定期演奏会」に行って参りました。
今回は世界的に活躍されているトランペット奏者ヒロ野口氏をスペシャルゲストに迎え、また、吹奏楽界で活躍されている作曲家八木澤教司氏の委嘱作品(世界初演)など、吹奏楽ファンだけでなく、音楽が好きな方々でも楽しめる盛りだくさんのプログラムが、2部構成で繰り広げられました。
それでは早速、演奏会にふれてみたいと思います。
第1部最初は、若手作曲家・清水大輔氏の作品《マーチ“ギヴ・ア・プレイズ・トゥー・ウィナー!!”》《すべての答え》の2作品が演奏されました。
1曲目は、華やかなアメリカンテイストのマーチで、流れるメロディーが親しみやすいフレッシュな作品でした。
続いて演奏された《すべての答え》は、ヤマハ吹奏楽団浜松の委嘱で2006年の全国大会で演奏された作品です。6つ(4+2)の音で構成され、チャイムがその音列を奏でていました。これは、宇宙の究極の疑問を追い求めているそうです。そして、後半はサックスを中心とした木管セクションがリードしてハーモニーを形成していきました。
作曲者曰く「作品の中では答えは出ず、聴衆1人ひとりに委ねられている」とのことでした。私は、演奏側も、聴衆側も、なかなか難しい作品というのが第一印象でした。調性感の薄い前半は“うねり”のようなもの…何か混沌としている感がありますが、音がシステマティックに整理されていない感を部分的に感じました。そして後半では前半の問いかけを解決に向かわせるヒントとなっているように感じました。
清水氏の作品は比較的難易度が高いですが、この作品は今まで作品の中で1番高いのではと思いましたが、演奏の安定感はさすがリベルテという引き締まった演奏でした。
続いて3曲目は、A.アルチュニアン作曲《トランペット協奏曲》です。
この作品は、トランペットをやっている人ならば誰もが演奏してみたいと思う1曲ではないでしょうか。ヒロ野口氏の、ppからffまでの多彩な音色、華やかかつ繊細なトランペットは、クラシック作品の素晴らしいところを余すことなく表現していた演奏でした。
1部最後の曲は、八木澤教司作曲《ナルシスの変貌〜サルバドール・ダリに寄せて》です。
プログラムノートによると、この作品は現代画家サルバドール・ダリの代表作の1つである「ナルシスの変貌」をテーマにかかれたそうです。2006年年9月に開催されていた「ダリ生誕100年記念回顧展」に訪れ、この作品だけでなく、他の多くの作品に触れヒントを得、彼自身の音楽語法で表現された作品で、ヤマハ吹奏楽団浜松委嘱作品《神秘の花》に続く絵画シリーズ第2作になるそうです。
前回の委嘱作品《空中都市「マチュピチュ」》とは大きく違う方向性を持った作品で、1つの音を軸に様々な音がセリーとして派生していく様子が、きれいなパズルの様にごく自然に感じられました。曲の終わりまで、奏者も聴衆も息つく暇を与えずに引き付ける面白さを感じました。1フレーズを表現する難しさや、各所にある楽器のソロなど、委嘱段階で八木澤氏の書きたいものをかいてもらいたいとの条件だったため、とても難しい作品でありますが、リベルテの底力の深さを感じる演奏をされており、曲が始まったら決して止まることのない作品を、緊張感、スピード感、立体感をもった素晴らしい演奏で、第1部が終了しました。
休憩を挟んで第2部は、最初の曲は《ハリウッド万歳》です。
軽快でノリの良い作品で、2部のアメリカン・プログラムの最初を飾るに相応しい作品と演奏で、華やかに第2部が幕を開けました。
続いては、再び世界的トランペット奏者・ヒロ野口氏の演奏です。
《ハリー・ジェームスに捧ぐ(スリーピー・ラグーン〜チリビリビン)》《マッカーサー・パーク》の2曲が演奏されました。第1部のアルチュニアンの《トランペット協奏曲》とは一味違った作品・演奏で、しっとりと歌うこと、リズムに乗りながらの細かいパッセージ、ハイトーンが続くなど、技術の難しい作品ばかりでしたが、存在感のある素晴らしい演奏でした。圧巻です!
曲間にはヒロ野口氏のワンポイントレッスンがあり、「ラッパ吹きはハイトーンの練習をあまりしない方が良いです」と話されていたのが印象的でした。
最後の作品はF.グローフェ作曲《ハリウッド組曲》です。
本日の演奏会のトリを飾るこの作品は、G.ガーシュイン作曲《ラプソディ・イン・ブルー》のオーケストレーションや《組曲「グランドキャニオン」》を作曲したグローフェの作品です。この組曲は6つの曲からなる作品で、1曲目では「たけぼうき」を楽器として使用するなど、視覚的にも楽しめる作品です。チェレスタやハープの楽器のデュオや、タップシューズを打楽器として使いタップを再現するなど、各曲で見せ場があるためやや難しい作品ではありますが、見事に1900年代前半のアメリカの“ショウ”をリベルテは見事に再現されていて、本当に華やかで素敵な演奏でした!
客席からの沢山の拍手に応じて、アンコール2曲が演奏されました。美しいメロディーに乗りながらクリスマスを感じることができたのではないでしょうか。引き続く拍手に包まれる中、終演のアナウンスによって演奏会は閉じられました。
今回も委嘱作品の初演を始め、2006年の話題作を次々と演奏するという事は、吹奏楽界全体の注目度が非常に高いため、音楽面・技術面・精神面など様々な面でより高度なものが求められます。しかし、素晴らしい実績のあるリベルテは、周りからの重圧などに屈することなく、自分達の音楽をしておりました。指揮者を始め団員のみなさんの集中力と緊張感によって奏でられた音楽は、高い技術・音楽をもった本当に素晴らしい演奏でした!これからもリベルテから目が離せません!
◎川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団HP
http://www.asahi-net.or.jp/~gx7m-skmt/
◎ヒロ野口HP
http://www.atlanticbrassquintet.com/
http://www.geocities.jp/hironoguchimusic
■プログラム
プログラム
第1部
・マーチ“ギヴ・ア・プレイズ・トゥー・ウィナー!!”/清水大輔
・すべての答え/清水大輔
・トランペット協奏曲/A.アルチュニアン
・ナルシスの変貌〜サルバドール・ダリに寄せて(委嘱作品・世界初演)/八木澤教司
第2部
・ハリウッド万歳
・ハリー・ジェームスに捧ぐ
スリーピー・ラグーン〜チリビリビン
・マッカーサー・パーク
・ハリウッド組曲/F.グローフェ(Arr.仲田 守)
1.セットにて〜清掃員たち
2.吹き替え
3.セット技師と電気技師
4.プレビュー
5.製作メンバー
6.監督〜スター〜脇役たち
アンコール
・サンタが街にやってくる
・オズの魔法使いメドレー(Arr.J.バーンズ)
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