いつも新しいレパートリーを紹介して、多くのファンをつかんでいるNEC玉川吹奏楽団。6月11日の演奏会当日は、梅雨入りしたてのハッキリしない天気模様ながらも、多くの人が会場を訪れていた。
今回も、随所にの見所(聴き所?)が散りばめられ、飽きることなく最後まで楽しませてくれた。なかでも特筆すべきは、ジェイムズ・バーンズが作曲したマーチ「かわさきのねいろ」、東京交響楽団ホルン奏者のジャナサン・ハミル氏による「ホルン協奏曲」、そしてバンドとナレーションによる「となりのトトロ」である。
1部では、オーソドックスに演奏を聴かせてくれた。程よい重みのマーチに好感を覚える。ぶしつけにスピードやギミックで誤魔化すことなく、しっかりとした演奏ができることに、このバンドの底力が伺えた。
マーチ「かわさきのねいろ」は、NECの地元である川崎市が、歌詞・曲を市内の児童生徒から公募し作られた「音楽のまち・かわさきの歌〜かわさきのねいろ」のメロディーを使用して今年(2006)年2月に作曲された行進曲。
曲は、やや短めなフレーズにより織り成され、1つの曲が創られる。途中、和のテイストのインサートがされるが、いずれも日本人の耳に馴染みの良い曲になっているので、川崎市のみならず日本中でこれから演奏機会が増えていくことだろう。
今年のメインゲストであるジョナサン・ハミル氏。吹き出しの1つ目の音が出た瞬間から、会場の隅々まで勢いの良い音が響き渡る。「勢い」と書いたが、押しつけるようなイヤな感じはせず、目に見えない音圧のようなものが体を突き抜けていく感じ。
細やかなパッセージ、伸びやかなメロデーィ、何をとっても非の打ち所がないので、ただただ素晴らしいとしか言葉がでない。コンサートのレポートとしては失格な表現だろうがしょうがない。
場面変わって第3部では「となりのトトロ」で一転して和やかな雰囲気。余裕のある大人の集団といいますか、気負った雰囲気がなく力が程よく抜けた感じが、このバンドの持ち味の1つであろう。
語られる物語に音楽・擬音が加わるだけで、映画で見たトトロ、ねこバス、あの場面この場面が目に浮かぶようだ。演奏している方も実に楽しそうに見える。
ハミル氏も加わってのアンコールが終わっても鳴り止まない拍手に、聴衆の満足具合が現れている。欲を言えば、もう1曲くらい聴きたかた気もするが、程よく終わることができるのも大人のバンドのなせる技。
色々な点で、このバンドには頭が下がります。ゲスト、演奏、選曲レパートリーのバランスも含めて非常に高いレベルでありながらも、「これでもか」と詰め込んだ押しつけがましい感じがしないのだ。こうして次回も「また来よう」と思わせる演奏会が良い演奏会ではないだろうか。全て出し切って「満腹」にされるよりも「腹八分目」の方がうれしいもんです。 |