イギリス作品を中心にプログラミングされたフィルハーモニック・ウインズ大阪「木村吉宏氏音楽監督就任記念定期演奏会」は、今後のP.W.Oのみならず、日本の吹奏楽のゆくえを占ううえでも、大変興味深い演奏会となった。
明伯楽・木村吉宏氏の音楽を正面から見据えた正当な解釈、確かな技術とソルフェージュに裏打ちされた―外連味のないまっすぐな表現が、感動を呼び新鮮な音世界を現出した。 十分な鍛練と現代の多様な音楽的刺激の中で育まれた若き演奏者達と、木村氏の自然体の音楽の融合が成された結果であろう。
プログラムが進むにつれ、個々のプレイヤーの持つセンシティヴな音楽が息づき、やがて熱を帯び勇壮なトゥッティを形成する。
たぶん楽譜に記されていない表現、巧妙なアイディア本質を損なうことなくちりばめられ、それらが遊離することなく一体となって音世界を創造していく。
このオーケストラは、いわゆる“クラシック”を十分に演れる素養(素地)を持ち合わせているのではないか!?
その予感はメインプロであるD.ブルジョワの交響曲第6番「コッツウォルド・シンフォニー」で的中し証明された。
吹奏楽で演奏するにはスパンが長く大曲といえるこの曲を、骨太なつくり・シンフォニックなソノリティ・明確なことばでしゃべり切った。
このオーケストラの音楽的潜在能力はアンコールのグレインジャーによってさらに確かなものとなった。
吹奏楽というジャンルの音楽が、芸術表現として頭打ち状態にある昨今、P.W.Onが、音楽が本来持つ魂・情感を適切にデフォルメする語法を身に付けたとき、まさに日本の吹奏楽が向かうべき方向を示唆し牽引していく役割をになうのではないか―――。
いずれにせよ今後がもっとも楽しみなオーケストラのひとつであることは間違いない。
■フィルハーモニック・ウインズ 大阪
http://www.osakan.jp
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