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【レポート】

タッド・ウインド・シンフォニー
第18回定期演奏会
日時:2011年6月17日(金)
会場:東京・めぐろパーシモンホール
レポート:小野寺エリー(BP特派員)

★TADウインドシンフォニーの華麗なる世界!

 梅雨も一休み、まるで美術館の一角にあるような「めぐろパーシモンホール」にて6月17日(金)、噂の最強の楽団!『タッド・ウインドシンフォニー第18回定期演奏会』が行われた。

 この日は平日にも関わらず、吹奏楽界の著名人や吹奏楽ファン、制服姿の学生が多く足を運んでいた。今回の演奏会プログラムは聴きどころ満載! なぜなら“本邦初演曲”がなんと4曲もある。新しい吹奏楽シーンが気になるファンなら、絶対聴かずにはいられないはずだ。

 タッドのプレイヤーが舞台上にそろい、指揮者の鈴木孝佳氏が登場すると客席からはものすごい大喝采だった。
 プログラム入る前に『タッド・ウインドシンフォニー』から今回の東日本大震災の犠牲者の方々、原発問題で苦悩の日々を送るかた、そしてこの日本の復興を祈念して、P.スパーク作曲の「陽はまた昇る」が演奏された。タッドの高級感のあるサウンドが会場を優しく包み込む。

 1部は初めに本邦初演マーティン・エレビー作曲「オーストラリアの大地」
大きなオーストラリアの大地を全体的に大きなフレーズで表現され、キラキラ光る海をトライアングルのトレモロで感じ、カンガルー等の動物が大草原を駆けまわっている情景が浮かぶ作品だ。

 次も本邦初演ネイソン・タノウエ作曲「ロキの復讐」
冒頭、低音楽器のメロディがロキの心の闇を深く演じている。恐怖を覚えながらも「次は? その次は? どーなっちゃうの?」と聴き入ってしまうような作品。ソロ・クラリネットが主人公ロキの行動を表し、魂の中にある喜怒哀楽を物語っている。この難曲は何度も出てくるユニゾンや対旋律を色濃く演奏し、タッドの底地力を聴くことができた。

 1部おしまいはクロード・トーマス・スミス作曲「華麗なる舞曲」
こちらは吹奏楽界ではおなじみの曲。美しく力強く、そして「華麗」に吹きあげた。流石! タッドならではの木管楽器のカデンツァは圧巻の演奏だった。

 2部は爽快なブラス・セクションのサウンドでジャスティン・レインズ作曲の「勝利のファンファーレ」カッコよく始まる。こちらも本邦初演曲だ。

 次にアルフレッド・リード作品の中でも『最高傑作』と故フレデリック・フェネルが称した「ワーグナーの“ポラッツィ”の主題による変奏曲」
とても緊張感のある演奏で、優雅に歌った。

 そして、本プログラム終わりには、今回1番の大曲、本邦初演、フィリップ・スパーク作曲「サバンナシンフォニー(交響曲第2番)」が演奏された。

 作曲者自身、初めてサバンナ市を訪問した時から同市の魅力に惹きつけられと言う。
この楽曲は3楽章形式で、それぞれの楽章タイトルには意味がある。

 第1楽章「1733年2月12日のヤマクロ・ブラフ」
 第2楽章「コットン・ジン(綿操り器作業所)」
 第3楽章「生まれ、また生まれ変わる街」。

 アメリカ初、都市計画のもとに建設された同市と、その素晴らしい歴史を記念する曲となっている。スパークならではのブラス・セクションのサウンドの扱い方と打楽器セクションの彩が各楽章のタイトルを素晴らしく表現している。

 アンコールは、東日本大震災で多くの犠牲者が亡くなったさなか、新しい生命が誕生したことの喜びを敬し『タッド・ウインドシンフォニー』からエドワード・エルガー作曲の「愛の挨拶」をプレゼントとして演奏された。

『タッド・ウインドシンフォニー』と、指揮・鈴木孝佳氏の生み出すサウンドは重厚かつ人間の心の底に訴えかける。そして1つ1つ絵画のように曲が描かれていく。吹奏楽の“旨味”のみを充分に堪能させてくれる貴重で華麗な演奏会だった。

 次回は来年始め頃のニューイヤーコンサートになるそうだ。ぜひ吹奏楽ファンにはライブで『タッド・ウインドシンフォニー』のサウンドを味わって頂きたい。

■プログラム
・オーストラリアの大地/マーティン・エレビー(本邦初演)
・ロキの復讐/ネイソン・タノウエ(本邦初演)
・華麗なる舞曲/クロード・トーマス・スミス
・勝利のファンファーレ/ジャスティン・レインズ(本邦初演)
・ワーグナーの“ポラッツィ”の主題による変奏曲/アルフレッド・リード
・サバンナシンフォニー(交響曲第2番)/フィリップ・スパーク(本邦初演)

【関連CD、楽譜】
○オーストラリアの大地(楽譜セット)
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/set-9068/

○オーストラリアの大地(ブラスバンド演奏のCD)
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-2123/

○華麗なる舞曲(楽譜セット)
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/toset-0124/

○ワーグナーの“ポラッツィ”の主題による変奏曲(交響曲第3番より2楽章)
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0165/


■小野寺エリー
元・海自音楽隊、打楽器奏者。軍事・吹奏楽・クラシック・ライターとして活動中。 【エリーのblog】
http://ameblo.jp/erichannel-222/

(2011.06.22)


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