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【レポート】

交響曲第3番のアツい演奏が感動を呼んだ
〜TADウインドシンフォニー・ニューイヤー・コンサート2011〜

◎“もはや吹奏楽を超えた”とのアツいエールも飛びだした、
すばらしいパフォーマンス!

 フィリップ・スパークの『ディザーツ』、ジュリー・ジローの『グレンバリー・クローヴ』、ヤン・ヴァンデルローストの『いにしえの時から』などなど、内外の音楽ファンをアッと言わせるような世界初演曲や日本初演曲をつぎつぎとくりだし、ウィンド・ミュージックに旋風を巻き起こしている、おなじみタッド・ウインドシンフォニー(TADWS)の“ニュー・イヤー・コンサート2011”が、オトソ気分もまだまだ抜けない、1月8日(土)、東京・杉並公会堂で開催された。

 指揮はもちろん、アメリカから飛んできた鈴木孝佳(タッド鈴木)氏。

 プログラムは、第1部に、フィリップ・スパークの『ナポリの休日』、ハワード・ハンソンの『コラールとアレルヤ』、兼田 敏の『シンフォニック・バンドのためのパッサカリア』、ジェームズ・カーナウの『旅(ジャーニー)』と新旧ウィンド・オリジナルを配し、第2部にも、20世紀を代表する名曲との誉れも高いジェームズ・バーンズの『交響曲第3番』(もちろん全曲)をドッシリ据えた、すべてがオリジナル曲で構成された超ド級のプログラミングだ。

 開演前に、『日本の着いてすぐ、挨拶代わりに“新年早々、一体何考えているんだ!”と言われたんですが、そういう皆さんからも“バーンズやるんだって! そいつは愉しみだ!”と言われました。』と言って、ニヤリと笑ったタッド氏。会場には、そんなタッド氏とTADWSがくり広げるナマのパーフォーマンスを愉しもうと、大勢のファンがつめかけた。

 この日のTADWSは、注目曲がズラリ揃った第1部から絶好調! しかし、何と言っても圧巻は、第2部で演奏されたバーンズの『交響曲第3番』だった。

 アメリカ空軍ワシントンD.C.バンドの委嘱で作曲されたこの交響曲は、生後すぐに亡くなった娘ナタリーとその後に生まれようとしていた息子への作曲者の想いが込められている4楽章構成の大作で、オリジナルは空軍バンドの編成にそって“チェロ”が大活躍する。たいへん残念ながら、出版社の事情で、初演後に発売された売り譜ではチェロ・パートは省かれているが、TADWSのコンサートでは、ごく当たり前のように上手からチェロ奏者が入場。それを見た場内の期待も一気に膨らんで拍手大喝采!

 タッド氏にうかがうと、『スコアを見たら、チェロとはどこにも印刷されていませんでしたが、第3楽章のソロがチェロなのは明らかでした。アメリカでは、手順を踏めば、ちゃんとチェロのパート譜は分けてもらえるんです。今度の場合は、ジム(バーンズ)が先に連絡を入れてくれていて、出版社に電話したら、すぐ送ってくれましたよ。』と、大の親友(?)のアシストもあったとの説明。

 演奏は、多くの人の気持ちと夢をのせてスタート! 第1楽章冒頭のティンパニー強打による動機の提示、その後に聴かせるテューバ・ソロ、第2楽章のミリタリー調のキビキビした器楽的な動きなど、聴かせどころがつぎつぎと現われ、聴衆をぐいぐい音楽に引き込んでいく。

 そして、第3楽章“ナタリーのために”に入り、打楽器やハープなどが刻むベビー用オルゴールにつづき、魂を揺さぶるようなチェロ独奏の場面にくると、客席は水を打ったように静まり返り、すべての目と耳はたった1人の奏者に注がれる。本当に泣かせる存在感のあるソロだ! こういうパフォーマンスを聴かされると、作曲者にチェロ独奏を書かせた意味がとてもよくわかる。ここはチェロ以外はありえない!とあらためて実感。その後、今度はホルン・ソロが主役をつとめ、こみ上げる感動の“涙、涙、涙”! この第3楽章でたっぷりと泣かされた後は、生気溢れる第4楽章でハッピー・エンドへ!!

 感動の嵐が会場にこだまし、アンコールとして演奏されたのは、フランク・エリクソンのとても美しい小品『エア・フォー・バンド』と、元気溌溂のいつものクロージング・テーマ、ロバート・E・ジェイガーの『ツール・ド・フォース』の2曲。

 いかにもタッド流! すべてがオリジナルで綴られたすばらしいコンサートだった。

 ロビーでは、この日売り出されたばかりのCD<タッド・ウィンド・コンサート(11)春の猟犬>も完売!

 2/18には、BPラジオでも大きな話題となり、作曲者ヴァンデルローストの称賛を得たライヴを収めたCD<タッド・ウィンド・コンサート(12)いにしえの時から(世界初演)>の発売! 6/17の第18回定期演奏会では、2010年11月末に世界初演されたばかりの、フィリップ・スパークの『交響曲第2番』(日本初演)が予定されるなど、TADWSの今年のダイアリーはますますエキサイティングだ!

 ウィンドの世界に新しい風を巻き起こすタッド・ウインドシンフォニー。

 そのますますの活躍を期待したい!

(C)2011、樋口幸弘/Yukihiro Higuchi (ウィンド・ナビゲーター)
(写真:鈴木 誠)


◎A.B.A.(アメリカン・バンドマスターズ・アソシエーション)アーカイヴ・コレクションに選定!
圧倒的名演奏、名曲の宝庫!「タッド・ウィンド・コンサート」シリーズをチェックする。


http://item.rakuten.co.jp/bandpower/c/0000000823/

【最新盤/予約開始】
■タッド・ウィンド・コンサート(12) 
ヤン・ヴァンデルロースト/いにしえの時から


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(2011.02.04)

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