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【レポート】

東京佼成ウインド・オーケストラ 第106回定期演奏会

日時:2010年10月28日(木)
会場:東京芸術劇場
レポート:福田 滋

「ヨーロッパから日本へ」と題した東京佼成ウインド・オーケストラの第106回定期演奏会。これは海外ツアーの最後を飾る締め括りのコンサートとして東京芸術劇場で開催された。

 同オーケストラは、去る9月19日から10月4日にかけて、楽団創立50周年記念事業として海外ツアーを実施。イタリア、スイス、ドイツ、トルコの4カ国8公演を行ってきた。

 いずれの公演地でも満員の聴衆に迎えられ、首席客演指揮者ダグラス・ボストック氏のタクトの下、2つの協奏曲(ウズメの踊り、ウイングス)でソリストのアントニオ・ピリコーネ氏、須川展也と熱演、会場はスタンディングオベーションと大歓声に包まれたという。

 また、現代日本を代表する作曲家・真島俊夫氏の「三つのジャポニスム」、松下 功氏の「天の岩戸」は、ヨーロッパの聴衆から深く強い共感を受け、欧米の作曲家によるウインド・オーケストラの為の新旧の名作を含む幅広いジャンルを網羅したプログラムは、ボストックが思い描いたコンセプト"音楽におけるヨーロッパと日本の繋がり"を見事に表現した。

 さて、その凱旋公演である記念演奏会は、指揮者ボストックの故郷イギリスの作曲家スパークの「オリエント急行」で出発。この作品はヨーロッパでも好評を得たが、もともと佼成ウインドのために吹奏楽版が生まれた記念的作品でもある。曲の冒頭、爽やかな滑り出しを聴いただけでもこの日の演奏が並はずれたものと感じられる。

「今日の佼成は何か違うぞ!」
抑え気味の音量ながら鮮やかな色彩はホールを隅々まで満たしていった。

 続く2曲はわが国の作品、民謡組曲「わらべ唄」(兼田敏)と松下功のバレエ組曲「天の岩戸」である。「天の岩戸」では奏者が「手拍子」や「笑い声」などをとりいれた新機軸で、ヨーロッパでは拍手喝采を浴びたという。今後海外でも演奏機会が増えそうな新レパートレリ−の誕生だ。

 続く「ウズメの踊り」は、ベルギーの作曲家、ピット・スウェルツによるもので、ツアーではソロ・コンサート・マスターの須川展也のソロで、メイン曲として各地で演奏。サクソフォンの超絶技巧が聴衆の心を掴み、余すとこなくその魅力を伝えた。
  この曲はもともと須川が2004年に委嘱した作品で、タイトルは「コンチェルティーノ」であったが須川自ら「ウズメの踊り」と命名して定着した作品だ。前曲と同じ「天の岩戸」の伝説に登場する女神「アメノウズメ」を題材にしている。

 休憩の後は、今や日本を代表する作品となった感のある真島俊夫作曲の「三つのジャポニスム」である。昨今、カット版をコンクール等で耳にすることが多いが、もちろん今夜は本来の全曲演奏。ボストック×佼成の十八番(オハコ)として香り高い演奏を披露。会場にいた真島自身も「今日は本当に良かった」とため息を漏らしたほど。

 お膝元のイタリアで喝采を浴びた曲が、歌劇「トゥーランドット」セレクションである。プッチーニが命と引き換えに創った歌劇(未完)ということもあり名旋律と華麗な色彩感が全編を覆っている。真島俊夫の見事な編曲で約12分の緊迫の物語を再現した。

 最後は再びボストックの故郷イギリスにもどって、エルガーの「威風堂々第1番」でコンサートの幕を閉じる。ツアー凱旋の最後を飾るにふさわしい選曲といえる。華やかなフレーズとやや抑えた表情が厳かな雰囲気を余すことなく伝えていた。編曲はアルフレッド・リードのもの。
  この日、高レベルの演奏を肌で感じた聴衆は大きな拍手で佼成ウインドの演奏会成功と帰国を祝っていた。

 サービス満点のアンコールは次の3曲。
  グレインジャーの「羊飼いの呼び声」を模した伊藤康英の「ニッポン、ヘイ!」。これは原曲を知れば知るほどニヤリとする作品だ。2曲目の「故郷(ふるさと)」(真島俊夫編)はひとときの抒情をプレゼントしてくれた。最後の「フローレンティナー行進曲」は、この1曲を聴くだけでもこの会場に来た甲斐があると思わせる完成度の高い演奏だった。それは吹奏楽によるショート・シンフォニーを聴くような感動を呼んだ。聴きながら瞼にマエストロ・フェネルを浮かべたファンも多かったであろう。

 以上、とても語りつくせないコンサートであったが、次回が益々楽しみになってきた佼成ウインド、当分目(耳?)が離せそうにない!


<プログラム>
1.オリエント急行(フィリップ・スパーク)
2.日本民謡組曲「わらべ唄」(兼田 敏)
3.バレエ組曲「天の岩戸」(松下 功)
4.ウズメの踊り( ピット・スウェルツ)
  Solo:須川展也(Saxophone)
5.三つのジャポニスム(真島俊夫)
6.歌劇「トゥーランドット」セレクション(ジャコモ・プッチーニ/真島 俊夫編)
7.威風堂々 第1番(エドヴァルト・エルガー/アルフレッド・リード編)

(2010.11.13)

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