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【レポート】

ヤマハ吹奏楽団創立50周年記念 「アンサンブルと室内楽の夕べ」
★挑戦にあふれた意欲的なコンサート!

日時:3月28日
会場:銀座 ヤマハホール
text:福田 滋


 吹奏楽界トップレベルのパフォーマンスを繰り広げているヤマハ吹奏楽団が、本年2月にグランドオープンしたヤマハホールに於いて創立50周年記念公演開催(客演指揮は加養浩幸氏)。第1部はヤマハ吹奏楽団員によるアンサンブルで5作品が委嘱初演されたが、それぞれ3つの団体はアマチュアの域を超えた安定した演奏で作品そのものを充分に楽しませてくれた。

 最初のサクソフォン四重奏は「Sparking!」(石毛里佳)と「颯〜Introduction and Fantasia」(狭間美帆)の2作品。ともに独自の世界を切り開く意欲作で、サクソフォンが醸し出す新鮮な響きに心地よく包まれた。続くクラリネット八重奏は「ネーニエ〜嘆きの歌」(八木澤教司)と「深草物語」(長生淳)。アンサンブル・コンテストではお馴染みの編成であるが、それぞれの特色が色濃く出た音楽と演奏に唸らされる。今後はますます演奏機会が増えるだろうと期待できる作品たちであった。
 前半最後の金管八重奏は、人気作曲家による「ジャスト・スパークリング・タイム」(真島俊夫)。そのゴージャスなブラス・サウンドは、新生ヤマハホールに一番合っているのかも知れない。輝かしくも柔軟な音楽で1部をしっかりと締めくくった。

 当日は作曲者、石毛里佳、狭間美帆、長生淳の各氏が来場されていて、演奏後に紹介をされていた。(なお、第1部の司会を務めたのは第2部のゲストハープ奏者の彩さん)
後半は豪華なゲストとの共演となり、メンデルスゾーン「歌の翼に」の華麗なデュオ(Fl
& Hp)演奏と吹奏楽伴奏では大変珍しいモーツァルトの「フル−トとハープのための協奏曲」第3楽章を演奏した。

▲彩愛鈴さん(左)とyumiさん(右)

  ソリストはフルート奏者YUMIさんとハープ奏者彩愛鈴さんで、初めての共演ながら細かいところも息の合った繊細な表現が印象的であった。最後はNHK交響楽団ホルン奏者の松崎裕氏をソリストに迎えたモーツァルトのホルン協奏曲第3番(全曲)。洗練された新しいホールの空間を満たす管楽器の上質な響きに満員の聴衆は喝采を贈っていた。 

なお、この日はオープニングのシリーズとあって、来場した聴衆全員にヤマハ特製Tシャツやチョコレートの入った手さげが配られた。サービスの案内アナウンスがロビーに響くと再び拍手と笑いが起こるという和やかな午後のひとときであった。

■演奏者に聞く

◆加養浩幸氏(指揮)



−今日の聴きどころをお聞かせください。

「まず、普通ではやらないプログラムだろうということだと思います。それはモーツァルトであるということ、そして「フルートとハープの協奏曲」といった作品だということです。もちろんホルン協奏曲もそうですが、有名でありながら吹奏楽演奏とモーツァルトという結びつかないものをあえてやる、ということに尽きるでしょうね。まぁ、やらないと何も生まれないということだと思うのです」

−編成上の苦労などは?

「もちろん管と管という特色はあるのですが、まず原曲が弦楽器のですから、タンギングする音楽とタンギングしない音楽の溝を埋めるというのが相当な苦労だと思うのです。これは奏者側にとってもチャレンジであると思います」

−今回の曲を練習してみて、またヤマハ吹奏楽団の印象は?

「意外に思われますが、僕はモーツァルトが大好きなのです。だから自分でやらせてもらうということが非常にうれしい。難しいとか大変だとかいう以前に、『あっ、やれて良かった』ということなのです。ヤマハ吹奏楽団とは10回くらいは御一緒しています。以前、夏に一晩コンチェルトだけのコンサートをやらせていただいたことがありますね。ヤマハのバンドは確かに恵まれたバンドであると思いますが、仕事が終わった後に活動したりすることは他の団体と全く変わりません。やはりその情熱は凄いものであり、頭が下がります」

−ホールについて

「このホールはとても素晴らしいですね。まず、この日本で一番土地の高いこの銀座に、この音楽ホールが存在していることが素晴らしいと思います。たぶんこれは元がとれないのではないでしょうか? それをやったヤマハさんの企業努力は高く評価したいですね。響きもとても良いですし、ステージはそれ程大きくはないのですが、お客さんの数(333席)と客席からステージを望んだ時に天板までが高く、空間が広いことで聴きごたえがありますね」

−今後の抱負など

「今回はこのようにモーツァルトの作品に挑戦させてもらい、最近はオーケストラも振ることで思うのですが、吹奏楽の人たちは割と吹奏楽だけをやっている人が多いですよね。しかし外の世界、例えばマーチングでも良い、合唱やオーケストラなど普段自分に馴染みのない世界のことをもっともっと知っていけたら、良いと思っています」

◆YUMIさん(フルート奏者)



−今日の演奏会はいかがでしょうか?

「初めての新しいホールで演奏ができるのを楽しみにしていました。とくにモーツァルトの有名なこの協奏曲を『何と吹奏楽で!』というところが一番聞いて欲しいところです。練習をしてみて、オーケストラよりも吹奏楽の方が柔らかい感じになってしまうので、どのように優雅さを創っていくか、というのが今回の課題でした。伴奏が管楽器ということで演奏の方も少し変えるのですが、今回は特に第2楽章だったので、それほど音を張るということはしていません」

−ヤマハ吹奏楽団とは?

「ヤマハ吹奏楽団にはフルート・パートを教えに行っているので気心は知れていました。この新しいホールはストレートに響き、といても吹きやすですね。東京文化会館の小ホールにちょっと似ているでしょうか」

−彩さんとは初めてと伺いました。


「彩さんとは初めてで最初はとても緊張しました。2人の合わせは直前までなかったので、先ほどお弁当を一緒に食べて仲良くなりました」

−今後の抱負をお聞かせ下さい。

「いままではずっとクラシックばかりやってきたので、ジャズやアニメの音楽など、色々なものに挑戦して楽しいコンサートが出来るようになりたいと思っています」

◆彩 愛鈴さん(ハープ奏者)



−今日のコンサートですが。

「とてもアレンジには工夫を凝らしました。リハーサルを重ねるごとに良くなって、先ほどのゲネプロはもう最高の演奏でしたよ(笑)」

−ヤマハ吹奏楽団とは?

「ヤマハ吹奏楽団とは良く一緒に演奏をいたします。そう、もう準団員みたいな感じでしょうか。お付き合いは、学生の頃からですからもうずいぶん長いですね」

−ホールの印象やYUMIさんとのことなど。

「ヤマハホールはとても重厚な雰囲気が素晴らしいですね、もちろん響きも。加養浩幸さんの指揮は素晴らしく、私たちを自由奔放にさせてくださいます。YUMIさんとは初共演ですが、控室での話は大変に盛り上がって、直ぐに仲良くなりました」

−今後は?

「抱負としては10月2日にこのヤマハホールでリサイタル《Rebirth 彩愛鈴・亮陰-Harp×古代から続く波》を開催いたします。このコンサートは書案家である兄(亮陰)との共演を企画しました。今後は、すでに実践している違うジャンルのアーチストの方々とのコラボレーションを広くやっていきたいと思っています。」

◆松崎 裕氏(ホルン奏者)



−今回のコンサートについて

「今回のような吹奏楽でモーツァルトっていうのはあまりないですよね。もう少し広いホールだと良いのでしょうが、バランスが難しいです。リハの時からメンバーの方はかなり気を使っていただき、ずいぶん抑えてくれていたのです。しかし、どうしても同族楽器なので、音がとけ込んでしまってね。それでも、ソロを吹くのに関しては特に演奏を変えることはありません」

−ホールについて

「このホールは先日“カスタム・ブラス”で演奏しましたが、その時はとても良かったですね。フィリップ・ジョーンズのスタイルで演奏しました。しかし、慣れてくればこのホールでももっと良い演奏が出来るようになるでしょう。今回は楽しみました」

 

(2010.04.08)


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