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【レポート】

大内邦靖 トロンボーンミニリサイタル

日時:2008年5月24日 18:00〜
会場:(株)ビュッフェ・クランポン・多目的サロンSalle Pavillon d'Or
レポート:にしはじめ


◎「ミニの冠に反し 盛り沢山の内容に満足」

 東京では10年ぶりとなる大内邦靖氏のソロリサイタルが行われました。
会場は地下鉄東西線の東陽町駅から徒歩数分にあるビュッフェ・クランポン。中に入ると綺麗なサロンに多くの楽器・楽譜・CDなどが陳列され、着席する前から少々リッチな気分に浸りました。

 大内氏は先日初CDをリリースしたばかりのハイパートロンボーンズのメンバーであり、玉川大学芸術学部講師として後進の育成にもあたっているトロンボーン奏者です。数年前に顔面神経麻痺を患って、演奏活動の中断を余儀なくされたそうですが、病を克服しての10年ぶりのリサイタルとなるそうです。

 前半はピアノ伴奏によるトロンボーン・ソロ。前半特に印象的だったのは邦人二作品でした。
 まずは谷川マユコ氏作曲の「妖精組曲」。トロンボーン奏者がナレーターを兼ね、物語と共に曲が進行してゆきます。大内氏は着席し、フォークギターの弾き語りならぬトロンボーン吹き語りのスタイル。ピアノ伴奏の山田直子氏とはトランペットを含めた「ウィスパートリオ」としても活動されているようで、非常に息のあったところを披露していました。

 続いては砂原嘉博氏がこの日の為に作曲した「トロンボーンとピアノの為の抒情的ソナチネ」。ジャズやシャンソンのエッセンスを漂わせながらも、どこか日本人の心をくすぐるメロディ。例えるなら一編の小説を読み終えた時のような、優しい気持ちにしてくれる演奏でした。
両曲共に、鳴り止まぬ拍手を制止し聴衆の中から作曲者を紹介する大内氏の表情から作曲者に対する深い感謝を感じたのは、きっと私だけではないと思います。

 ところで当日使用された楽器は、大内氏愛用のクルトワ420BHRで、ロータリー内で息の通り道が細くならないハグマンバルブを搭載したモデル。あの芯の通った伸びやかな音の秘密は、この楽器にも隠されていたのでしょう。私はまだこのタイプの楽器を吹いた経験が無いので、機会があれば是非試奏してみたいものです。

 休憩を挟んだ後半は、山崎忠男・沼田司両氏が加わってのトロンボーントリオ。御存知「ハイパートロンボーンズ」です。バッハ・モーツァルトといったクラシカルなナンバーから、童謡・Jポップ・スタンダードジャズに至るまで幅広いジャンルの音楽をメンバー自らのアレンジにより演奏し、今年で結成18年目になるそうです。先月に待望の初CDをリリースしたばかりということもあり、この日演奏されたのはCD収録曲の中からピックアップしてのものでした。「ねこふんじゃった」の中間部に出てくるバストロンボーンのスウィングソロでは、思わず手拍子が出るほど客席の反応も上々です。「Love Love Love」演奏前、編曲者でもある山崎氏のMCで「この曲が使われたドラマに感動して涙。曲を聞き返しても涙。編曲しながらも涙…」には会場全体が爆笑。CDで最後に収録されているこの曲が、この日のリサイタルでも最後を飾りました。

 リサイタルにはミニが冠してありますが、内容は盛り沢山。あっという間に過ぎていった約二時間に大変満足しました。アクロバット的な演奏や難解な現代曲を好む奏者も多い昨今、音楽の持つメッセージを聴衆に伝えることに正面から取り組んだ、とても好感が持てるリサイタルでした。
 さて大内氏、12月には横浜の泉管弦楽団をバックにダヴィッドのコンチェルティーノを演奏するそうで、リサイタルとはまた一味違う演奏を聴かせてくれるのでしょう。今から楽しみです。

泉管弦楽団HP(コンサート詳細)
http://rosagigantia.puretree.net/izumi/


■プログラム

<トロンボーン&ピアノ>
Grave and Allegro /G.F.H穫del
Romance/ C.M.v.Weber
Elegy for Mippy II /L.Bernstein
妖精組曲/谷川マユコ
トロンボーンとピアノの為の抒情的ソナチネ/砂原嘉博

<トロンボーントリオ>
ソナタ イ短調/D.Speer(大内邦靖編)
「海の日記帳」より/三善晃(山崎忠男編)
ねこふんじゃった/森彰彦編
STARDUST/H.カーマイケル(沼田司編)
LOVE LOVE LOVE/中村正人(山崎忠男編)

大内邦靖公式ウェブサイト
http://skyfactory.jp/KOOWS/

ハイパートロンボーンズ公式ウェブサイト
http://www2.artevita.view21.net/~trbouchi/

(2008.06.11)

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