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【注目曲】

ジュリー・ジロー: 寓話の交響曲

〜 こんな愉快な作品なかなかなかった!!
2008年6月6日、日本初演せまる!!

イソップ、グリム、アンデルセン、ノルウェー民話
などの昔話に題材を求めた5楽章構成の交響曲

第1楽章 : ライオンとネズミ
第2楽章 : ハーメルンの笛吹き
第3楽章 : ウサギとカメ
第4楽章 : みにくいアヒルの子
第5楽章 : 三匹のやぎのがらがらどん


Text: 樋口幸弘(ウィンド・ナビゲーター)

 スペインが誇る世界遺産を題材に書かれた『コルドバのメスキータ』、アメリカ南部のトラッドにテーマを求めた『ヴィジルス・キープ』など、新作のたびにツウを唸らせる意欲的な創作活動を展開中のアメリカの実力派作曲家、ジュリー・ジローの新作交響曲が日本初演される。

 『寓話の交響曲(A Symphony of Fables)』とネーミングされたこの作品は、米オハイオ州デイトンのライト・パターソン空軍基地を本拠とする、アメリカ空軍バンド・オブ・フライトの委嘱により作曲され、2006年5月17日、同基地にあるアメリカ空軍博物館において開催された同バンドのコンサートで、アラン・シェリンクス中佐の指揮で初演された。

 合計で5つの楽章から構成され、題材には、イソップから「ライオンとネズミ」と「ウサギとカメ」、グリムから「ハーメルンの笛吹き」、アンデルセンから「みにくいアヒルの子」、ノルウェー民話から「三匹のやぎのがらがらどん」という、誰でも一度は読んだり、聞いたりしたことのある世界中の寓話や説話が選ばれている。

 ここで力説しておきたいが、この作品、題材は確かに子供向きの寓話から取られているが、決してグレードの低い作品ではなく、その音楽的内容の豊かさは、さすがにジローといったところ。各楽章が扱っているテーマやモティーフの処理が実にクレバーで、ストーリーが音楽の中から聴こえてくる。そして、作品を聴いた人すべてがワクワクするような理屈ぬきの愉しさ。それは、強いて言うならプロコフィエフの『ピーターとおおかみ』のような愉快さか。こんなウィンド作品、あるようでなかなか無かった。

 運良く、委嘱者のアメリカ空軍バンド・オブ・フライトの楽譜を見る機会にも恵まれたが、そのスコアの上部には、原作のストーリーも書き込まれていた。

 発表以来、楽譜出版がいつかいつかと待たれていたが、大作だけになかなか準備が進まず、今度の日本初演に合わせるかのように、やっと出版の運びとなった。

 各楽章の演奏時間は、4:20 / 4:00 / 3:30 / 4:40 / 3/50 で、合計約20分20秒。

 日本初演は、2008年6月6日(金)、大阪のザ・シンフォニーホールで開催される「大阪市音楽団第96回定期演奏会」で、小松一彦の指揮で行われる。


【楽器編成】

Piccolo
Flutes (Solo、T、U)
Oboes (T、U)
E♭ Clarinet
B♭ Clarinets (T、U、V)
B♭ Bass Clarinet
B♭ Contrabass Clarinet
Bassoons (T、U)
Contra Bassoon
E♭ Alto Saxophones (T、U)
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone
Trumpets (T、U、V)
Horns (T、U、V、W)
Trombone (T、U、V、Bass)
Euphonium (Div.)
Tuba (Div.)
String Bass
Timpani
Mallet Percussion (Xylophone、Glockenspiel)
Percussion (Snare Drum、Bass Drum、Clash Cymbals、Suspended Cymbal、Suspended Trash Cymbal、Gong、Tambourine、Triangle、Cow Bell、Sand Blocks、Temple Block <Largest>、Maracas)

【楽譜】

2008年、米Musica Propria


■ジュリー・アン・ジロー Julie Ann Giroux


 1961年12月12日、マサチューセッツ州フェアへブンに生まれる。3才でピアノを始め、9才で最初の出版曲が出るほどの天賦の才能を発揮。その後、ルイジアナ・ステート大学とボストン大学に学び、ピアノとホルン奏者として活躍。主にジョン・ウィリアムズとジェリー・ゴールドスミスに作曲を師事。1988年、エミー賞に初ノミネートされ、1992年には、作曲部門で女性として初めて、そして最年少でエミー賞を受賞。これまで100以上のテレビ番組に楽曲を提供し、セリーヌ・ディオン、ダドリー・ムーア、マドンナ、ジョン・ボン・ジョヴィ、マイケル・ジャクソン、ローリング・ストーンズら、著名なミュージシャンのアレンジも担当してきた。作品は、交響曲、吹奏楽、ソロ、アンサンブルなど、多岐にわたり、コマーシャル音楽でも活躍している。1983年に初のウィンド・バンド曲を書き、これまで、プロのウィンド・アンサンブルやミリタリー・バンド、大学バンドのために膨大な数の作品を書いている。

(2008.05.07)
(C)2008、樋口幸弘 / Yukihiro Higuchi

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