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【話題】

3月2日、50才の誕生日を迎えたアダム・ゴーブと
初演15周年の『メトロポリス』。さらなる飛躍の年になるか!!


Text: 樋口幸弘(ウィンド・ナビゲーター)



 『メトロポリス』、『アウェイデー』で知られる、イギリスの作曲家アダム・ゴーブが、2008年3月2日、50才のバースデーを迎えた。このアニヴァーサリー・イヤーを迎え、ゴーブの作品の主な出版社であるイギリスのメセナは、年明けとともに大々的なゴーブ作品キャンペーンを展開している。

 ゴーブは、管弦楽をはじめ、室内楽や声楽など、幅広いジャンルに作品があるが、ウィンド・アンサンブルのためにも積極的に作品を書いている作曲家としても知られ、前記2曲などは、すでにこのジャンルのスタンダードとして定着、高い評価を与えられている。

 節目の年を迎え、ゴーブのウィンド作品の原点であり、マスターワークとなった『メトロポリス』に、もう一度スポットをあててみよう。

 『メトロポリス』(1992)は、作曲翌年の1993年3月8日、ロンドンの王立音楽アカデミーにおいて、エドワード・グレッグスン指揮、同アカデミー・ウィンド・アンサンブルによって初演された。

 それまでのイギリスのバンド作品の殻を破った斬新なカラーをもった演奏時間15分のこの作品の初演は、その場にいた聴衆を一手にひきつけるほどの大成功を収め、格付けの高いことで知られるイギリスの新聞「ザ・ガーディアン」にも、つぎのような好意的な作品評が掲載された。

 “1人の才能ある若手作曲家、アダム・ゴーブ。その恐れを知らない作品『メトロポリス』は、著しい演奏効果に満ちていた。”(エドワード・グリーンフィールド) 

 この輝かしい作品は、1994年に、アメリカの“ウォルター・ビーラー・メモリアル作曲賞”を受賞。1996年5月には、ティモシー・レイニッシュ指揮、ロイヤル・ノーザン音楽カレッジ・ウィンド・アンサンブルによって、初のCDレコーディング(英Serendipity、SERCD2400)が行われた。

 このCDは、発売されるや大きなセンセーションを巻き起こしたが、セレンディピティ・レーベル自身の経営不振から絶版。やがて、クラシックプリント・レーベルから再発売された(英Classicprint、CPVP004CD)が、これも経営主体がロック系レーベルであったことから、カタログには載っているものの、品切れ状態が長く続くという有り様。その後、関係作曲家の奔走により、アメリカのクラヴィエ・レーベルにやっと安住の地を見出した。(米Klavier、K11152)

 日本においても、2006年12月22日、横浜みなとみらいホールで行われた佐渡 裕指揮、シエナ・ウインド・オーケストラのライヴがDVD化(エイベックス・クラシックス、AVBL-25517)され、あらためて、この作品の魅力が認識されている。

 2008年3月は、ゴーブの満50才というだけでなく、『メトロポリス』初演15周年にあたる。これを機に、このすばらしい作品にもう一度スポットがあてられるなら、これほど喜ばしいことはないだろう。

 


アダム・ゴーブ Adam Gorb

 1958年3月2日、ウェールズのカーディフに生まれた。作曲は10才のときに始め、15才のときに作曲したピアノ曲はのちにBBC放送ラジオ放送されるなど、その才能は早くから認められていた。1977〜1980年、ケンブリッジ大学に学び、作曲活動の傍ら、劇場ミュージシャンとして活動。1987年、作曲家ポール・パタースンに出会い、個人的に師事を始めるとともに、自らの活動の中心も作曲に移した。1991年、作曲の勉強を深めるためにロンドンの王立音楽アカデミー(RAM)のアドヴァンスド・コンポジションに入り、1992年に音楽修士号を取得。1993年、プリンシパル賞を含む数々の最高位の栄誉を得て卒業した。1999年までロンドン音楽メディア・カレッジやRAMジュニア・カレッジで教鞭をとり、2000年1月にマンチェスターのロイヤル・ノーザン音楽カレッジの作曲と現代音楽の主任に就任した。管弦楽、室内楽、声楽など、幅広いジャンルに作品があり、1994年にアメリカの“ウォルター・ビーラー記念作曲賞”を贈られた『メトロポリス』(1992)をはじめ、ウィンド・ミュージックのフィールドへも積極的に作品を提供し続けている。

■主要ウィンド・バンド作品

Metropolis (1992)

Scenes from Bruegel (1994)

Bermuda Triangle (1995)

Ascent (1996)

Awayday (1996)

Euphonium Concerto (1996-7)

Yiddish Dances (1997 rev. 2003-4)

Elements (1997-8)

Symphony No. 1 in C (2000)

Downtown Diversions (2000 - 1)

Towards Nirvana (2002)

Dances from Crete (2003)

French Dances Revisited (2003-4)

Adrenaline City (2006)

(2008.03.06)


(C)2008、Yukihiro Higuchi / 樋口幸弘
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