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【注目曲】

ネイティヴ・アメリカンの精霊をテーマに書かれたダイナミックな作品、
ネイサン・タノウエの『ココペリ・ダンス』--- 楽譜も入手可能に!!

Text: 樋口幸弘(ウィンド・ナビゲーター)


◎久しぶりにアメリカのウィンド・オリジナルから聴く、
バンド全体でドライヴするようなダイナミックな音楽は魅力たっぷり!!

 今回の注目曲は、2006年6月8日の「タッド・ウインドシンフォニー第13回定期演奏会」で鈴木孝佳の指揮で日本初演された、アメリカの作曲家ネイサン・タノウエの『ココペリ・ダンス』。演奏会後、そのすばらしいライヴ演奏は、CD(「タッド・ウィンド・コンサート(2) 」/ WindStream、WST-25004)となり、BPラジオ「ウィンド・シンフォニー・アワー」第3回でも取り上げたので、すでに聴かれた方も多いだろう。

ネイサン・タノウエ

 ネイサン・タノウエ(Nathan Tanouye)は、1974年7月18日、アメリカ合衆国ウィスコンシン州プラットヴィルに生まれた。小学生のときにピアノとトロンボーンを習い始め、11歳のときにハワイへ移って高校、大学と進学。ハワイ大学在学中、ホノルル交響楽団のジム・デッカー、マイク・ベッカーなどに師事した。1995年、奨学生としてネヴァダ大学ラスベガス校に転入し、クラシック、ジャズの両方で学位を取得。フリーランスのトロンボーン・プレイヤーとして、ナタリー・コール(Natalie Cole)、ジョニー・マティス(Johnny Mathis)、トニー・ベネット(Tony Bennett)、ザ・テンプテーションズ(The Temptations)、ルチアーノ・パヴァロッティ(Luciano Pavarotti)、アンドレア・ボッチェリ(Andrea Bocelli)などと共演している。1998年にラスベガス・フィル首席トロンボーン奏者となり、その一方で、「アト・ザ・コパ(At the Copa)」、「ストーム(Storm)」、「ヘアスプレー(Hairspray)」、「ザ・プロデューサーズ(The Producers)」など、ラスベガスの有名なホテルショーでも演奏活躍を行っている。

 経歴を見る限り、ジャズとクラシックの異なるジャンルでクロスオーバー的活動が続いており、作曲活動でもジャズ・トリオからウィンド・バンドまで、さまざまな形態の作品を書いている。2004年2月には、ジャズ界のスーパー・スター、エリック・マリエンサル(Eric Marienthal)、 ウィル・ケネディ(Will Kennedy)、ジミー・ハスリップ(Jimmy Haslip)、 ラッセル・フェランテ(Russell Ferrante)をゲストに迎え、UNLVウィンド・オーケストラの伴奏で『スリー・ステップス・フォワード(Three Steps Forward)』の初演が行われ、後に KlavierレーベルからCDも発売された。CDセッションやスタジオ用の編曲も多く、すでにビッグ・バンドのアレンジャーとしての地位も確立している。

 『ココペリ・ダンス(Kokopelli's Dance)』は、前記『スリー・ステップス・フォワード』につづくネイサン・タノウエ第2作目のウィンド・バンド作品で、2005年3月3日, ネヴァダ州ラスベガスのネヴァダ大学ラスベガス校(UNLV)内アーテムス・ハム・コンサート・ホールにおけるUNLVウィンド・オーケストラのコンサートで、トマス・G・レスリーの指揮で初演。曲は指揮者レスリーに献じられた。前作がジャズとウィンドのコラボ・スタイルで書かれていたことから、混じりッけのないウィンド・バンド編成だけで作曲された作品としてはこれが初のオリジナルとなる。

 ネイティヴ・アメリカン文化の中によく登場する“ココペリ”は、本来は原住民の間に伝わる精霊(カチーナ)のひとりだが、独特の背中が曲がった格好で笛を吹く姿のためもあって、根強い人気がある。いたずら好きなペテン師または音楽の精としても描かれる。

 曲は、前半部でフルート・ソロが歌い始めるココペリの主題がフーガのように他の楽器に次々と引き継がれながら発展し、やがて、前後半をつなぐブリッジの役割を果たすテューバ・ソロにつづいて全合奏による力強いダンスが始まる。この後半部は、久しぶりにアメリカのウィンド・オリジナルから聴く、バンド全体でドライヴするようなダイナミックな音楽が展開され、演奏効果もバツグン。かつて、アルフレッド・リードの名曲『エル・カミーノ・レアル』で味わったのと同じ種類の興奮を体験できる。エンディングも力強く、ヤングからおじさんバンドまで、幅広い世代に受け入れられる作品となっている。聴き終わった後に残る爽快感は、まずはCDで確認してほしい。

 現在、この作品は、音楽出版社の販売譜ではなく、作曲者自身が著作権も含めてすべてを管理する自費出版。このため、入手はとても難しかったが、近くバンドパワー・ショップで入手可能となる。

 作曲者のタノウエは、ジャズの演奏活動で本当に多忙な毎日をすごしているようだ。つぎなるウィンド作品はいつになるのだろうか。実力のある本格派だけに、それが遠い日でないことを祈りたい。

吹奏楽専門ショップ「バンドパワー」 >>>
http://www.rakuten.ne.jp/gold/bandpower/index.html

▲スリー・ステップズ・フォワード収録 詳細>>> ▲ココペリ・ダンス収録 詳細>>>

▲ココペリ・ダンス収録 詳細>>>


【Nathan Tanouye ウィンド・バンド作品】

・Three Steps Forward (2004) 自費出版

・Kokopelli's Dance (2005) 自費出版

(2008.01.17)


(C)2007、Yukihiro Higuchi / 樋口幸弘/Band power

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