|
シリーズ以外にも、魅力的なアルバムが!!
スペシャリスト(SRC)レーベルには、登場以来、大きな話題をよんだ“イギリス名作曲家シリーズ(Single Composer Series)”“バンドスタンド・シリーズ”“レジメンタル”シリーズの3つの基本シリーズ以外にも、面白いアルバムがある。
その多くは、バンドや団体との共同制作や、原盤制作のみだったりするので、残念ながら我々の目にはなかなか触れる機会がない。また、イギリスのミリタリー・バンドが演奏旅行する際の、アメリカの会場での販売目的のために制作されたツアー・アルバムもあり、情報によると100万枚以上売れたアルバムもざらにあるそうだ。一例としては、バンドパワー・ショップでも販売されている、有名なバグパイプ鼓隊の“ブラック・ウォッチ”と“ウェルシュ・ガーズ・バンド”のコラボレーション・アルバム(2006年アメリカ・カナダ演奏旅行記念盤)(CA206CD)も、そんなアルバムの1つで、これなど、関係者の言質さえ間違ってなければ、実に120万枚近いセールスがあったそうだ!! さすが、アメリカのマーケットはでかい!!
そんな特別な企画盤はさておき、Specialist のレーベル・マークの入ったレギュラー・アルバムもいくつかある。
その中には、亡き名プレイヤーを偲ぶ全員参加型のトリビュート盤あり、恐らくは音楽監督の強い要望を呑むかたちで作られたであろう初のマーチ・アルバムあり、イギリスのミリタリー・バンドすべてを統括するネラー・ホールのアニヴァーサリー・イヤー・アルバムありと、内容は千差万別。しかし、そこは名プロデューサー、マイク・プアートン。一度作ると決めると、アルバム・コンセプトを絞り込み、優れた内容のアルバムを作っている。
近況によると、すでにブラスのソロものの録音にも着手したというプアートン。『シリーズの幅はあまり拡げたくない』とするが、その手腕を買われ、今後ともいろんなアルバムがラインナップに上がってくるに違いない。
ファンに夢を見させてくれるすばらしいプロデューサーと、本物志向の新しいレーベル Specialist。その動きについては、今後とも注目を続けていきたい。
[1]【フレッチに捧ぐ(テューバ・トリビュート・トゥー・フレッチ)】
Tuba Tribute to Fletch
【指揮】:ジェームズ・ウォトスン、ジョン・ミラー、リチャード・ビッシル、サイモン・ウィリス、エリック・クリーズ
【演奏】[ユーフォニアム]:アンドルー・フォーバート、バイロン・フルチャー、デーヴィッド・パーサー、デーヴィッド・スティワート、リンゼイ・シリング、リチャード・エドワード / [テューバ]:ジェームズ・アンダーソン、デーヴィッド・ゴードン=シュート、ジェームズ・ガーレイ、パトリック・ハリルド、ニック・ヒッチェンス、ジョン・ジェンキンズ、デーヴィッド・ケンドール、マーティン・ノウルズ、マイクル・レヴィス、オーレン・マーシャル、ケヴィン・モーガン、デーヴィッド・パウエル、オーウェン・スレード、リー・ツァーマクリス、スティーヴン・ウィック、グレイアム・シブリー / [アンサンブル]ロイヤル・ノーザン音楽カレッジ・テューバ・アンサンブル / [パーカッション]トリスタン・フライ
【録音】1997、ヘリテージ・スタジオ / 2003.12.19-20、ギルドフォード音楽演劇学校コンサート・ホール / 2004.7.、王立音楽カレッジ / 2004.9.26、ロイヤル・ノーザン音楽カレッジ・ハーデン・フリーマン・コンサート・ホール
【CD番号】Specialist/The John Fletcher Trust Fund、JFTF01
1987年に亡くなったイギリスの不世出のテューバ奏者、ジョン・フレッチャーの人をと音楽を偲んで、イギリスの名手たちがこぞって参加したトリビュート・アルバムで、フレッチャーの死後に作られたジョン・フレッチャー・トラスト基金との共同制作された。参加メンバーの顔ぶれだけで、テューバ・ファンにとってはたまらない内容のアルバムだが、選曲も、チャイコフスキーの『胡桃割り人形』、オッフェンバックの『天国と地獄』、フンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』のような誰でも知っているようなクラシックのメロディーから、エリントンの『キャラバン』のようなポップ・アイテムまでバラエティーに富んでいる。テュービスト以外の音楽ファンにもぜひ聴いていただきたいアルバムで、ナチュラルなバランスの録音も、名手たちの好演をバックアップしている。音楽ファン必携盤。
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0932/
[2]【ザ・ディレクターズ・チョイス】
The Director's Chioce
【指揮】ダグラス・D・ロバートスン少佐
【演奏】ブルーズ & ロイヤルズ・バンド
【録音】2005.9.27-28、チェルシー・バラックズ・チャペル(ロンドン)
【CD番号】Specialist、SRC151
スペシャリスト初のマーチ・アルバムで、選曲は、プロデューサーのプアートンではなく、音楽監督のロバートスン少佐が行った。サブ・タイトルとして、「個人的なマーチ・セレクション」と印刷されているのは、そのためだ。『ハイデックスブルク万歳(ウォッチ・タワー)』、『ガーズ・アーマーズ・ディヴィジョン』、『ウェリントン』、『輝かしい勝利』、『セント・ジョージ軍旗』、『消えた軍隊』など、このバンドがよく演奏するおなじみのマーチばかり合計21曲が入っている。今後、SRCがマーチ・アルバムの制作を続けるかどうか、試金石になりそうなアルバムだ。
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1082/
[3]【ネラー・ホール】
Kneller Hall/ Music to Celebrate the 150th Anniversary of the Royal Military School of Music
【指揮】スティーヴン・スミス中佐
【演奏】ネラー・ホール・ガラ・コンサート・バンド(グレナディア・ガーズ・バンド、ロイヤル・シグナルズ・バンド、ライフルズ・バンド)
【録音】2007.2.12-15、ロシルン・ヒル・ユニタリアン・チャペル(ロンドン)
【CD番号】Specialist、SRC192
2007年、創立150周年を迎えたロンドン近郊、トウィッケンナムの王立ネラーホール陸軍音楽学校の記念アルバムで、同年8月1日に行われた記念ガラ・コンサートのハイライトを選抜バンドによって事前に録音したもの。録音のために選ばれたバンドは、1685年に創設され、350年というイギリス陸軍最長の歴史を誇るグレナディア・ガーズ、1920年創設の中堅ロイヤル・シグナルズ、2007年に誕生したばかりのライフルズという3つのバンドからなる大バンド。レパートリーは、ゴードン・ジェイコブ編の華麗なファンファーレつきの『英国国歌』をオープニングに収録し、150周年記念委嘱曲のナイジェル・クラークの大作『ファンファーレとセレブレーション』とローリー・ジョンスンの『エコーズ』の両オリジナルを中心に、エルガーの序曲『コケイン』、アーノルドの『ケンブリッジ公爵閣下』、シャープの『ファンファーレとソリロキー』などを配した英国色満載の選曲が特徴。クラークの新作は、ジョン・ウィリアムズばりに金管が炸裂する。久しぶりに聴く、イギリスの大編成ミリタリー・バンドの演奏による、重量感あふれるアルバムだ。
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1375/
(ウィンド・ナビゲーター: 樋口幸弘)
(2007.12.14)
|