Q: 社会人のバンドでピッチが悪い場合はどのように矯正したら良いですか。ちなみに練習は週1回で部屋としては少し狭い所で練習しています。ハーモニーやサウンドがいまいち良くなりません。練習方法を教えて下さい(会社員)

A22: 響きのある、美しく豊かな音を作るために、音に対して集中して聴くことを心掛けて練習をして下さい

 「ピッチが悪い」=「チューニング」が上手くいかないということだと思います。
チューニングとは「調律する」「同調する」という意味です。ただ単にチューナーのメータだけに合わせるのではなく、メンバー同士が良く聴きあい「音色」を統一することが大切です。

『正しい(同じ)振動にする。つまり「うなり」をなくす』ことです。

 まず、個々の奏者が常に気をつけなければならないことは、管楽器は自分自身で正しい音を作る責任があるということです。そのためには「正しい姿勢」「正しい呼吸法」「正しいアンブシュア」を常に意識した正しい奏法で演奏することが大切です。

・正しい姿勢:頭、顔、目線、上半身、息の経路 などのチェック
・正しい呼吸法:息の吸い方、支え方、スピード、量や使い方などのチェック
・正しいアンブシュア:マウスピースのあて方、くわえ方、楽器の構え方などのチェック

このことにより、「音色」が統一され、その上で「音程」が合い、「音量」が増し、「響き」のある美しく豊かなサウンドが生まれます。

 練習方法としては、上の3つのポイントを必ず意識して、

 1.ハーモニー・ィレクターなどの基準音に各パートリーダ(またはトップの人)のみで合わせる。
2.次にパートのメンバーがパートリーダー(またはトップの人)とユニゾンで「音色」「音程」「音量」に合わせる(マネをする)
3.低音グループよりオクターブ関係でバンド全体の「響き」をチェックしながら合わせる(グループ分けはこのコーナーのQ11を参考にして下さい)

 この時、各自ハミングで音程を歌う。金管楽器はマウスピースのみで確認してみて下さい。オクターブ関係のユニゾンのブレンド感が生まれると、響きが出てくると思います。

 4.5度や3度のユニゾンやインターバルの練習をして、音程感を養ってからハーモニーを作る。
5.ハーモニーは根音をユニゾンで、次に5度と3度の人が全員で5度を、そしてその中から3度の人のみ音を変える。という順番で響かせる。
6.音の持っている性質(アタック、コア、リリース)を統一し、響きをチェックする。

 「社会人バンド」「週に1回」というキーワードがあっても、大切なことはやっていかないと曲の完成度があがりません。楽しく音楽活動するためにも避けられないことと思います。
しかし、楽団の状況により、指揮者等の考え方で達成目標を決められ、基礎的な部分の練習時間配分などを考えて下さい。
私は社会人バンドの指導では、必ず「曲は通し」ます。だって、せっかく練習に来た(=吹きに来た)のだから、部分練習のみで出番なし!なんてイヤですよね。

◎響きのある、美しく豊かな音を作るために、音に対して集中して聞くことを心掛けて練習して下さい

※この回答内容は2002年6月号のWinds(ブレーン)の特集「発見!新★チューニング法」(講師:五十嵐 清)で取り上げてありますので、ぜひご覧ください(解説や実際に指導している模様が見られます)

回答:五十嵐 清

Q: 高2で学生指揮者やっています。音楽作りの方程式がよくわかりません。(学生)

A: 音楽は数学のように1つの決まった解答があるものではありませんね。

 ここにメンバーが共同で利用しなければならない1つの場(楽団)があります。その場(楽団)をお互いがそれぞれの違い(個性)をもったまま、いかに仲間と分かち合っていくか。そして、仲間と共同で1つのものを作り上げていくためには、仲間に迷惑をかけないよう、団(部)員1人ひとりが合奏への必要な準備をして臨むのが、責任でもあり、礼儀でもあります。そこから生まれてくる「音楽の楽しみ、喜びや魅力」は無限大です。

  1(人)+1(人)+・・・(メンバー数)=∞  そこで今回は、合奏は「音楽を創造する時間と空間」であるという観点から、吹奏楽で演奏するにあたり、「サウンド(響き)」「アンサンブル(調和)」「曲の解釈と表現」という3つポイントをお話しします。

1.サウンド(響き)
吹奏楽は、響きの美しいことが魅力の1つです。どのようにしたら美しいサウンド(響き)になるのかを考えてみましょう。そこで次の「音程」「音色」「バランス」の3つの要素が重要と考えます。

 a)音程
チューナーを使って正しい基準音を出して、耳によるチューニングを丁寧に行なわなければなりません。楽器の管の長さを調節して行なうことは言うまでもありませんが、姿勢や奏法によっても音程は変わります。したがって、正しい姿勢、正しい奏法を身につけることは必要不可欠です。
しかし、せっかくチューニングをしても曲の中で正しい音程で演奏できなくては何もなりません。音程は、音の強弱によっても変化し、旋律とハーモニーとでは微妙に違ったりもします。正しい音程は、あくまで自分の耳で、それぞれの場面により判断しなければなりません。
それには、音楽的な感覚を身につけること。楽器で演奏する前に、自分のパート譜を音名で声に出して唱うなど、音をよく聴く唱うという<ソルフェージュ>が不可欠です。

 b)音色
音はまず、生きていることが大切です。楽器をよく鳴らすことを考え、音を伸び伸びと出せるようにしてから美しい音を求めるようにします。このための練習方法は<ロングトーン>以外にはありません。音の発奏、強弱、長さ、伸び、終わり方、消し方、切り方、余韻の付け方、等合奏で役立つようにいろいろと考えながらロングトーンを行なわなければなりません。ロングトーンが退屈な練習と思っている人は考えが足りません。ロングトーンは「音の源」です。

 c)バランス
楽器には各々の特徴(音色、ベルの向き、材質、音高等)があり、違った持ち味、役割があります。それら全体がうまくまとまるようにバランスを考えなければなりません。
奏者は、曲中の強弱、役割などを考えて演奏し、必ず指揮者の指示を確認することが大切です。指揮棒の動きに敏感に応じられるように訓練を積まなくてはなりません。

2.アンサンブル
アンサンブルといっても、特別に編成を組んで曲を演奏するのではなく、合奏で合わせるためにはどうしたらよいかということです。それでは、次のことを考えて欲しいと思います。
A) 1人で演奏することと集団で演奏することの違い。

B) 合奏に臨む前に自分でやるべきことをやっておき、技術面で他の人に迷惑をかけない。
C) 他のパートの動き、さらに全体の流れを把握する。
技術的には,チューナーを使いピッチを合わせる、メトロノームを使いテンポ・リズムを合わせるなど、ある一定の条件で機械的に合わせられます。しかし、そこに自分勝手でなく、他の人(パート)と合わせようとする「気持ち」がなくてはなりません。そして自分に余裕があって初めて他人を思いやれ、受け入れられる。アンサンブルもそれからです。アンサンブルという言葉は、本来「調和」という意味であることをかみしめて欲しいと思います。

3.曲の解釈と表現
曲の解釈は、演奏する人(特に指揮者)に任されていることが多く、様々な解釈が生まれてきます。しかし、その

 解釈と表現にはルールがあることを知って欲しいと思います。

a)譜面をよく読む
作品には作曲者がおり、その音符1つ1つを思いを込め書いているので、ていねいに譜面を読むことが大切です。

b)演奏には責任がある
作品は音になって初めて伝えることが出来るので、演奏は最後の仕上げです。作品を生かすために責任を持って演奏することが大切です。

c)よりよい解釈
音楽は考えてばかりいてもダメなので、実際に音に出して演奏したり、他の人の演奏を聴いたりして経験を積むことが必要です。指揮者の考えなどを加味して、その時点でベストの答えを生み出して欲しく、音楽は常に新鮮でなくてはなりません。

d)説得力のある演奏
人の心を動かす演奏の要素として、解釈に妥当性があり、自然であるとがあげられます。さらに、表現に自信と熱意が感じられる演奏は、聴衆を説得する力があります。

音楽というのは、音符をただ物理的に音にしたのではなく、心で感じて心で表現することが、聴く人の心を動かす演奏につながります。
Q3など、これまでこのコーナーで回答したことが色々あてはまりますので参考にして下さい。

回答:五十嵐 清

Q: どう研究しても、指揮の振り方がしっくりこない。

Q: 千葉にある母校(高校)の指揮をやらせてもらっています。練習曲でどう研究してもしっくりいかない所があります。それは、2小節クレッシェンド、最後4拍目にフェルマータ、そしてフォルテというところで、どう鏡を見ながら振り方を研究しても、フェルマータの所がクレッシェンドに見えないのです。やはり、自分がそのように振れないと、クレッシェンドが今ひとつ物足りないのです。どのように振ったらよいでしょうか。(学生)

 

A30: 楽曲のニュアンスやその所のテンポによっても違ってきますが・・・一例としてコメントします。

1)右手でクレッシェンドを指示していく(左手でフェルマータ)
・右手でカウントを取りながら、裏拍の「ト」の部分で自分の身体から遠くへ「腕」を離していくイメージで振っていく(4拍目で一時停止!)。
・左手を2小節目で手先を軽く握った状態で前に出す。
・左手を2小節目の3拍目で手先を開いていき、4拍目で上に持ち上げフェルマータを指示(右手より上のポジション)。
・その後、フォルテの音符の予動作を右手で振り上げて(左手より高く!)深くDownを持ってくる。この瞬間で左手は手先を握る。
・ 右手はテンポで裏拍をとり、次のフレーズを指示する。

2)左手でクレッシェンドを指示していく(右手でフェルマータ)
・左手を前に差し出し、手のひらを上に、「ひじ」から先を持ち上げていく(リフト)
同時に手の先を広げていく
・右手はテンポを振って(指示して)いて、あまり大きさを変化をさせない
・そうしてフェルマータの音で右手を停め、フェルマータ指示する
・左手は停めず広げていく
・右手は停めた位置から(必ず)予動作を起こし、フォルテの音を導入する。
・左手は右手の動きと同じように音を導入する
・右手はテンポで裏拍をとり、次のフレーズを指示する。

 共通はクレッシェンドよりやや速めのスピードで目線を上げて、遠くを見ていく。
上体をできるだけ大きく見せていくことがポイントです。
(フェルマータで切る楽曲ではないと判断し、こちらの方法は解説していません)

回答:五十嵐 清

Q: 新入生、初心者に腹式呼吸や横隔膜の仕組みについて説明するにはどのように説明すればいいですか?(高校生)

A: あまり難しく考えないで、『息を充分に吸いこみコントロールして出すこと=腹式呼吸』と考えて下さい

 「腹式」呼吸といっても、お腹=胃?で呼吸をすることではありません。あくまで肺に息を吸い込み、そしてコントロールしながら出していくことです。普段、友達と何気なく話している時の呼吸でなく、意識的に息を充分にとる呼吸の方法です。
イメージとして、肺という風船に息を入れ(吸い込み)ます。しかし、肋骨というバリアーがあるため体の前面には広げられなく、下の方に押し下げないと充分に膨れません。この時、横隔膜という移動式壁が動いてスペースを確保してくれます。「注射器に薬を入れていくこと」が例になるかと思います(分かりますよね。昔は路地にあった「汲み上げ井戸」なんて使っていたのですがね。見たことないですよね。ん、齢がバレる!)
あまり難しく考えないで『息を充分に吸いこみコントロールして出すこと=腹式呼吸』と考えて下さい。

回答:五十嵐 清

Q: 基礎練習を全くしない生徒が多いのが現状です。私自身、基礎練習ができてこそ、曲が出来ると思うのですが如何でしょうか

Q: 私は、今年度からアメリカの大学に通いながらこちらの中学、高校、そして大学のバンドの練習を見させていただけることになりました。日本と違いアメリカは吹奏楽が一つの選択授業ですので、時間がないのは仕方がないですが、基礎練習を全くしない生徒が多いのが現状です。私自身、基礎練習ができてこそ、曲が出来ると思うのですが如何でしょうか?(バンド指導者)

 

A19: これまでの考え方に固執せず、色々なことを吸収し、自分なりに判断し、実行してみてください!

 アメリカの中学、高校のバンド(大学ではほぼ専門課程ですので高校までの活動とは違うようです)は授業の一環で行なっており、日本のような課外の活動ではありません。ミーティングなどをして士気を高めたり、同じ目標を設定することもほぼないと思います。
選択をした授業ですので興味や学習意欲はあるのですが、毎日開講されるわけではないので楽器テクニックの向上はなかなか難しいと思われます。しかし、その時間を有意義に「楽しむ」ことはできると思います。
私たち指導者はそのバンドのニーズや目標、環境に対応した考え方を持つべきと思います。
先生の言われる「基礎練習ができてこそ、曲が出来る」は当然なのですが、なかなか難しいと感じます。「もっとここまでやりたい、こんなサウンドを作りたい」などという要求が生まれくるような指導を手を抜かずやることが大切と思います。
音楽は作者がいないと生まれません。奏者がいないと育ちません。育てるには責任が必要です。曲は生きています。
せっかくアメリカで学べるチャンスですので、これまでの考え方に固執せず、色々なことを吸収し、自分なりに判断し、実行してみてください。学友とご自身が良いとも思ったことをきちんと議論してみて下さい。きっと熱心に議論してくれると思いますよ。
頑張って下さい。

回答:五十嵐 清

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