前作をしのぐ、感動的「吹奏楽小説」! 中沢けい『うさぎとトランペット』(新潮社)

「吹奏楽小説」などというジャンルがあるとしたら、近年の中沢けいの作品が、まさに、それにあたるだろう。

 以前にBPでも紹介されていた『楽隊のうさぎ』につづく、著者第二の「吹奏楽小説」、『うさぎとトランペット』が、2004年末に、刊行された。

 ちなみに、前著『楽隊のうさぎ』は、2000年に刊行され、現在は新潮文庫に収録されている。これは、中学校の吹奏楽部を舞台に、コンクール全国大会に挑む生徒たちの姿を描いた小説だ。主人公は、引っ込み思案の大人しい男子だったが、吹奏楽部に入部し、パーカッションを担当する・・・。

 作中に登場する曲は、例えば、【課題曲】として、≪交響的譚詩~吹奏楽のための≫(露木正登)、≪ラ・マルシュ≫(稲村穣司)。
また、【自由曲】には、≪くじゃく変奏曲≫(コダーイ)、≪シバの女王ベルキス≫(レスピーギ)など。

 これ、ようするに、1996、97年のコンクールが舞台になっているのだ。これらの曲を演奏したことのある人にとっては、音楽の描写など、思い当たる部分が多く出てきて、興味を引かれるであろう。

 また、吹奏楽をよく知らない人でも、伸び盛りの中学生たちが、吹奏楽部の中で、様々な人間関係や家族関係に悩みながら、次第に成長していく姿には、実に自然な感動を覚えるはずだ(作中の吹奏楽部のコンクールにおける結果は、これは、読んで知っていただきたい)。

 こういう形で音楽を、しかも吹奏楽を描いた小説は、筆者は寡聞にして知らない。

 さて、その続編ともいうべき『うさぎとトランペット』だが、舞台は、前作と同じ町。何人か、同じ人物も登場する。今回の主人公は、小学校5年生の女子である。名前は「宇佐子(うさこ)」。

 この子、なかなか感受性が鋭いというか、神経の細かい子である。クラスの中に、転校生のミキちゃんを仲間はずれにする子たちがいて、そんなムードがいやになり、熱が出て学校に行けなくなる。

 そして、宇佐子は、当のミキちゃんとともに、町中でメンバーを募集していた市民バンドに入る・・・。

 今回登場する「キーポイント」楽曲は、「ヴェルディのレクイエムだと思って聴いていた」天野正道の≪BR≫だ(≪GR≫ではないので、注意!)。コンクールを見学に行った2人。ミキちゃんは、昨年、母親を亡くしていた。そのような思いを体験した小5の女子が、≪BR≫を聴いたら・・・。そして、横にいる宇佐子は、そんなミキちゃんの心中の何かを感知するのだ。

 そして、宇佐子も、バンドでTrpを習ううちに、次第に心が開けてきて・・・。

 ネタバレになるので、あまり中身を詳しく書けないが、ほかにも、≪ナブッコ≫(ヴェルディ)や、≪アルメニアン・ダンス≫パート2(リード)などが登場する。

 さてさて、この第2作、筆者は前作よりも、はるかに素晴らしい内容だと感じた。

 ここに登場する宇佐子の行動や考え方を、著者は、まるで河が流れるように、実にスムーズに描いている。それどころか、文章自体に、音楽のようなものを感じるのだ。この小説は、題材だけでなく、存在そのものが「音楽」なのではないか。それを、なんと「吹奏楽」でやってしまったところがスゴイ!

 筆者は、昨年12月に聴いた、福島県原町市の市営青少年バンドを思い出していた。あそこにも、小学生がいた。まるで、あの舞台が、そもまま小説になったかのような錯覚を覚えた(レポートのバックナンバーは、こちら⇒http://www.bandpower.net/report01/2004/12/02-haramachi/02_2_haramachi.htm)。

BP読者は、おそらくほとんどが吹奏楽関係者であろうから、この小説の素晴らしさは、あれこれ説明するまでもないだろう。「とにかく、読んでみて」で済む。しかし、吹奏楽を知らない人にも、ぜひ、読んでいただきたい。皆さんの周囲の人たちに薦めていただきたい。子供が登場するが、決して児童文学ではない。かといって、とっつきにくい文芸作品でもない。

 まさしく「吹奏楽小説」としか言いようがない、しかも、誰でも楽しく読めて何かが心の中に残る新しいジャンルを、著者は生み出したのではないだろうか。

豆畑の友(中沢けい公式ウェブサイト)
http://www.k-nakazawa.com/

■交響的譚詩~吹奏楽のための:露木正登【収録CD】

■ラ・マルシュ:稲村 穣司【収録DVD】

■ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲:ゾルタン・コダーイ【収録DVD】

■バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より:レスピーギ
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457688/458893/

■バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より:レスピーギ(arr.小長谷宗一)
※小説で使われたのは、このバージョンとの噂・・・

■ 交響組曲第7番「BR」より/天野正道

第7回トロンボーン・フェスティバル(期間:2005年3月19~21日) トロンボーン吹きなら、何はさておき、参加しないとね

2005年3月19~21日の3日間にわたり、日本トロンボーン協会主催の「第7回トロンボーンアカデミー&フェスティバル」が:東京・北区滝野川会館で開催される。

19日の前夜祭は「第10回記念の懇親会」も兼ねて、アンサンブル大会やら、あんなことやこんなことなど・・・華々しく行なう予定。もちろん、20日、21日の本番も、たくさんのレッスン(申し込み制)をはじめ、大好評のアンサンブル・コンテストや全員が日本管打楽器コンクール上位入賞者による夢のスーパーカルテットなどなど、聴きどころ、楽しみどころも満載です。

とにかく、トロンボーン吹きはなら、何はさせおき、参加しないとね!!

※レッスンの方は申し込み開始から余り経っていないのにも関わらず、ハイペースで埋まって来ています。皆様、お早めに申し込まれた方がよろしいいかと・・・ 今年は、大好評にお応えして、個人レッスンの枠も増やしてあります!

詳細については、日本トロンボーン協会のHPをチェックせよ!
http://www.jat-home.jp/

今回の実行委員長 郡 恭一郎のページ
http://homepage3.nifty.com/cori/


■第7回トロンボーン・フェスティバル

クラシック、ジャズを問わず有名演奏家が集うガラコンサート。昨年に続いてアンサンブル・コンテストも行われます。ぜひ自慢のセクションでエントリーしてください。有名楽器店提供試奏コーナー「TROMBONE EXPO 2005」もお楽しみに!

【日時】2005年3月20日(日)17:00開演(16:30開場)
【日時】2005年3月21日(月)13:30開演(13:20開場)
【会場】東京都北区滝野川会館

【プログラム】

≪スペシャルゲスト・コンサート≫ 21日 19:00~

◇ダカンコシスターズ
Tb.山口 尚人、古賀 光、香川 慎二、篠崎 卓美
全員が日本管打楽器コンクール上位入賞者。夢のスーパーカルテット!!

◇ハシヤンプロジェクト
Tb.橋本 佳明、佐野 聡、池田 雅明、渡辺 亮
Tub.家中 勉、Gt.千葉 伸彦、Dr.井上 尚彦
Jazz界大注目の超いちおし若手4トロンボーン

≪T-1 バトル≫ 20日 17:00~

大好評につき第2回目が実現!トーナメント方式によるアンサンブルコンテスト

≪第11回日本トロンボーン・コンペティション入賞者披露演奏≫  20日 17:00~
第1位 小篠和弥(東京)
第2位 中野耕太郎(神奈川)
第3位 伊東あずさ(茨城)

≪日本トロンボーン学生連盟によるコンサート≫ 20日 17:00~

首都圏音楽大学及び専門学校学生たちによるエネルギッシュなアンサンブルの響き

≪ROMBONE EXPO 2005 トロンボーン屋台村≫ 21日 13:30~

各メーカーの楽器展示、試奏会
普段聞けない楽器のQ&A
気になる楽器をホールで思う存分試奏!

≪河村百丈のマウスピース講座≫(BLAS-MUSIK アトリエモモ) 21日1 6:45~
マウスピースマイスターシリーズ第3弾!

≪全員合奏≫ 21日 20:35~
おなじみの名曲を会場全員で合奏します

■チケット

【フェスティバルシンプル券】
一般3,000円、学生2,000円

※JAT会員は一般/学生共1,000円(全席自由)
※チケット取扱先 CNプレイガイド 03-5802-9990
※東京文化会館チケットサービス 03-5815-5452
※プロアルテムジケ 03-3943-6677、首都圏各有名楽器店

■問い合せ
プロアルテムジケ
112-0013東京都文京区音羽1-20-14-5F
TEL.03-3943-6677, FAX.03-3943-6659
pam@proarte.co.jp

詳細については、日本トロンボーン協会のHPをチェックせよ!
http://www.jat-home.jp/

広瀬勇人の新作「パイレーツ・ドリーム」が 海上自衛隊横須賀音楽隊の演奏によって初演される(2/24)

現在、ヴァンデルローストの下で作曲を勉強している広瀬勇人氏の新作「パイレーツ・ドリーム」が、海上自衛隊横須賀音楽隊によって初演される。この曲はタイトルどおり海をテーマにした作品で、「キャプテン・マルコ」10分を超す意欲作。どんな曲に仕上がっているのか・・・今から興奮、メッチャ楽しみだ!

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■海上自衛隊横須賀音楽隊 開隊30周年記念演奏会

日時:2月24日(木)18時30分開演
場所:よこすか芸術劇場

※チケットは招待制のため、当日券の発売はありません
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 広瀬氏は尚美学園在学中の98年に「キャプテン・マルコ(Captain Marco)」 発表、これが「21世紀の吹奏楽/響宴II」に取り上げられて注目を集めることに。
2000年、尚美学園を卒業後、さらなる作曲修行のためにアメリカのボストン音楽院の作曲科に進学、その後、「指輪物語」で知られるヨハン・デメイ氏の推薦もあって、日本人初の「ヴァンデルロースト氏の弟子」として、氏の下で勉強を続けながら、意欲的に吹奏楽作品を発表しつづけてる。
世界から注目を集める、期待の邦人作曲家である。

代表作は以下のとおり

キャプテン・マルコ
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cdi-0018/

ブレーメンの音楽隊
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0569/

アメリカン序曲、他
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457687/564983/

楽譜はデハスケ、他より好評発売中!

「JBAゼミナール」 最終日には「第19回吹奏楽指導者認定試験」も同時開催

特に吹奏楽の指導は初めて・・・
または日が浅い指導者を対象としたコースもあり!

社)日本吹奏楽指導者協会(JBA)では、吹奏楽指導者のための「吹奏楽ゼミナール」を下記要領にて開催する。今年は特に吹奏楽の指導は初めて、または日が浅い指導者を対象としたコースを細分化し、活動現場ですぐに活用できるカリキュラムで構成されており、多くの受講者の参加を呼びかけている。

■第23回JBA吹奏楽ゼミナール

【日時】2004年12月28日(火)~30日(木)
【会場】洗足学園音楽大学(神奈川県川崎市)

【コース内容】
◎上級コース:豊富な指導経験を有する指導者を対象
◎中級コース:5年以上程度の経験を有する指導者を対象
◎初級コース:3~5年程度の経験を有しているが基本から勉強したい指導者対象
◎入門コース:吹奏楽指導は初めてまたは日が浅い指導者対象
◎学生リーダーコース:大学生・高校生のリーダー対象

【受講料】上級・中級・初級・入門コースとも28,000円(JBA会員20,000円)
なお、実技受講希望者(定員制)は別途4,000円必要
大学生 20,000円 高校生 18,000円

【講師】秋山紀夫、井上学、岡田知之、紙谷一衛、川本統脩、崎田俊治、澤野立二郎、汐澤安彦、塩谷晋平、高山直也、田中賢、野中図洋和、馬場正英、藤田玄播、他

【申込締切】平成16年12月20日(月)

なお、ゼミナール最終日には「第19回吹奏楽指導者認定試験」も同時に開催される。

申し込み・問い合わせ:社)日本吹奏楽指導者協会(JBA)事務局
03-5275-5618(13:00~17:00)

恐るべし、福島県原町市! 巨匠リードを迎えてジュニアWOを結成! 12月5日にはライブも決定!

このバンドのために作曲した
新作≪ジュニア・ウインド・オーケストラのためのファンファーレ≫が
リード自身の指揮によって初演されることも決定

東京・上野駅から常磐線で約3時間。福島県の太平洋沿いに、相馬野馬追で有名な、原町市(最寄駅は「原ノ町」)がある。

人口5万人弱、面積の8割ほどを、山林や田畑が占める、風光明媚な土地である。あのシエナ・ウインドオーケストラ(佐渡裕指揮)が、今年初めて、地方ツアーで訪れる場所、として認識している近隣の方々も多いだろう(2004年12月13日)。

 ここで、いま、驚くべきプロジェクトが進行しているのをご存知だろうか。

 本年4月にオープンした、原町市民文化会館「ゆめはっと」が、地域の小・中・高・大学生を対象とした、ホール付属のジュニア・ウインド・オーケストラを設立し、育成していくことになったのだ。

 地方自治体が、若者中心のアマチュア・バンドを設立すること自体、なかなかユニークな試みだが、これだけ聞くと、一種の市民バンドの誕生話か・・・と思う。

 しかし、コトは、そう単純ではない。

 この12月5日(日)に、設立記念式典とともに、第1回コンサートが開催されるのだが、なんと、音楽監督は、あのアルフレッド・リードなのだ! レジデント指揮者は、オペラや合唱指揮で有名な、矢澤定明氏である。

 そればかりか、当日は、そのリード博士当人が来場し、このバンドのために作曲した新作≪ジュニア・ウインド・オーケストラのためのファンファーレ≫が、リード自身の指揮によって初演され、コンサートの後半では、これまたリード自身の指揮で、自作≪春の猟犬≫、≪第2組曲≫などが演奏されるのだという。

■侮りがたし、恐るべし、福島県・原町市!

 短いファンファーレ曲とはいえ、いまや、半ば伝説にさえなりつつある、巨匠リードの新作初演に立ち会えるとは、演奏者にとっても聴衆にとっても、なんという幸福な出来事だろう。そして、その巨匠自身の指揮で、当人の名曲を演奏・鑑賞できるとは・・・。

「そんな企画があったのなら、私も参加したかった!」と叫ぶ若者たちの声が、いまにも聴こえてきそうだ。

 なにぶん、東京からでも3時間かかる場所なので、「みんな、行くべし!」と声高に推薦できないのが残念だが、周辺の方々にとっては、これはもう、一生に一度の機会である。まだスタートしたばかりのプロジェクトだが、「行けるのであれば」ぜひ、このチャンスを逃がさず、若くて新しいバンドの誕生を祝福してあげていただきたい。(Text:富樫哲佳)


◎ジュニア・ウインド・オーケストラ(福島県原町市)
結成記念式典・第1回コンサート

【日時】12月5日(日)14時~(式典&コンサート)
【会場】福島県原町市 原町市民文化会館「ゆめはっと」
http://www.yumehat.or.jp/index.html

【指揮】アルフレッド・リード(ジュニア・ウインド・オーケストラ音楽監督)
矢澤定明(ジュニア・ウインド・オーケストラ レジデント指揮者)

【料金】一般2,000円 学生(大学生まで)1,000円

【プログラム】
○ジュニア・ウインド・オーケストラのためのファンファーレ(式典にて。新作初演)、○春の猟犬
○第2組曲(以上リード作曲)
○ジャパニーズ・グラフィティⅧ~ウルトラ大行進!
○ディープパープル・メドレー
○ディズニー・プリンセス・メドレー
○台所用品による変奏曲
○「アルルの女」第2組曲、他

【問い合わせ】
財団法人原町市文化振興事業団
〒975-0008福島県原町市本町二丁目28番地1
電話:0244-25-2763/FAX:0244-25-2765
e-mail: haramachi@yumehat.or.jp

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