海外レーベルを聴く愉しみ ジョンブルの誇り-スペシャリスト・レコーディング(4)各バンドの“歴史“や“人”、埋もれていたレパートリーにスポットを当てるアカデミックなシリーズ -“レジメンタル・シリーズ”

各バンドの“歴史“や“人”、
埋もれていたレパートリーにスポットを当てるアカデミックなシリーズ -“レジメンタル・シリーズ”(SRC – Regimental Series)

 スペシャリスト・レーベル(SRC)の“レジメンタル・シリーズ”は、“イギリス名作曲家シリーズ”の大成功後に、“バンドスタンド・シリーズ”と同じような経緯で生みだされた同社のサード・シリーズだ。

 前の項で書いたように、SRCの“名作曲家シリーズ”でプロデューサーのマイク・プアートンとそのスキルフルな録音スタッフたちが証明してみせたハイ・クオリティなアルバム作りは、なかなかいい録音機会とプロデューサーに恵まれなかったイギリスのミリタリー・バンド(ウィンド・バンド)関係者を大いに奮い立たせた。

 しかし、どんなジャンルのCD作りでも、作り手と演奏側のプログラミングについての考え方には、常にギャップがある。プアートンもまさにこの問題に直面した。各バンドの音楽監督たちの多くが、彼らが日常的に演奏しているような、マーチやポップな音楽を主体としたいわゆる典型的ミリタリー・バンドのレパートリーを、SRCでCD化したいと考えたからだ。しかし、クオリティにこだわりさえなければ、その手のレパートリーの入ったCDは、市場に溢れていた。新しくCDを作るには、採算性はもとより、既存CDとのバッティングも視野に入れなくてはならない。

 そこで、プアートンは、各バンドの演奏の“歴史”と“人”に着目。バンド創設時から今日に至るまで演奏してきたすべての楽譜をもう一度洗い直して、各バンドの歴代の音楽監督やプレイヤーが最も大切にしてきたレパートリーから1枚のCDを作ることとした。これが新しい“レジメンタル・シリーズ”のコンセプトとなった。

 イギリス陸軍のミリタリー・バンドのほとんどは、バンドが所属する各連隊の連隊長や士官のポケット・マネーで作られ、運営されてきた歴史的経緯がある。シリーズ名に“レジメンタル (連隊の)”という文字を入れたのは、隠れたヒットだった。関係者のプライドを大いに刺激したからだ。そして、すべてが協力的に動き出した。

 創設350年以上の歴史をもつグレナディア・ガーズ・バンドを筆頭に、100年、200年以上の歴史をもつバンドはザラにあるイギリスのミリタリー・バンド。その長い演奏の歴史には、それぞれの時代を代表するような多くの優れた音楽家が深く関わり、各バンド独自のレパートリーを作っていった。時の流れによって、それらはどんどん新しいものに代えられていったが、プアートンによって再び陽の目をあてられ、各CDに収録された曲には、単に珍しいだけでなく、本当にいい曲が多いのも事実。相当年期の入った音楽ファンにとっても、初めて聴くことになるものが多いだけに要注目。また、ピーター・グレイアムの知られざるマーチなども入っているCDがあるだけに、現代曲ファンも見逃せない。

 その他、ファンにとって見過ごせないのは、各連隊やバンドの協力で提供された他で見ることのできない歴史的絵画や写真が豊富に使われているブックレット。ワインを片手にページをめくるとき、ちょっとだけ王侯貴族になったような気分になれる。

 “アカデミックさ”ということになれば、これほどの“こだわりアカデミック”を演出したシリーズは、かつてなかった。マイク・プアートン、なかなかやるな、という印象だ!!

<ワン・ポイント・ガイド>

[1]【ミュージック・オブ・ザ・ロイヤル・アーティレリー】
The Music of the Royal Artillery

【指揮】マルコム・トレント中佐
【演奏】ロイヤル・アーティレリー・バンド
【録音】2004.3.8-9、ウーリッチ・タウン・ホール(ウーリッチ)
【CD番号】Specialist、SRC131
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0931/

 シリーズ第1弾は、1762年創設で、かつて100名に超える編成で管弦楽演奏まで行い、イギリス最優秀のオーケストラとしても知られていたロイヤル・アーティレリー・バンド。その最も華やかな時代は、ドヴォルザークの弟子カヴァリエレ・ラディスラオ・ザヴェルタルが指揮者をつとめていた時代(1881-1907)で、ドヴォルザークの“新世界交響曲”やスメタナの“売られた花嫁”などのイギリス初演がその時代に行われている。このCDの最大の売りは、そのザヴェルタルのグランド・マーチ『ヴィクトリア女王』が発掘・収録されたこと。その他、ロイヤル・アーティレリー250周年委嘱曲のブリスのファンファーレ『ザ・ライト・オブ・ザ・ライン』も誇らしげに演奏されている。指揮は、SRCのCD「グリニッヂ・バンドスタンド」と同じくトレント中佐。


[2]【ミュージック・オブ・ザ・ライフ・ガーズ】
The Music of the Life Guards

【指揮】デーヴィッド・W・クレスウェル少佐
【演奏】ライフ・ガーズ・バンド
【録音】2004.11.22-23、チェルシー・バラックズ・チャペル(ロンドン)
【CD番号】Specialist、SRC132
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1059/

 イギリスの近衛兵には、歩兵のほかに騎兵連隊も2つある。ライフ・ガーズ・バンドは、そのうちの1つの連隊に所属し、創設は1660年。得意技は、もちろん馬上演奏(馬に乗ったまま演奏し、行進も行う)。現在、34名編成の中編成だが、演奏はひじょうにスキルフルで、サウンドもとてもやわらかい。CDには、ベートーヴェンの『ツァップフェンストライヒ第2番』やドナジォフスキーの『プレオブラジェンスキー』など、馬上演奏時のテンポで演奏されるマーチもたっぷり収録されているが、同じ曲でもテンポ感が違うとこうも違って聞こえるか、というくらい何とも厳かな気分が味わえる。


[3]【ミュージック・オブ・ザ・ブルーズ & ロイヤルズ】
The Music of the Blues and Royals

【指揮】ダグラス・D・ロバートスン少佐
【演奏】ブルーズ & ロイヤルズ・バンド
【録音】2005.11.23-24、チェルシー・バラックズ・チャペル(ロンドン)
【CD番号】Specialist、SRC133
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1081/

 ライフ・ガーズに続き企画されたのは、もうひとつの近衛騎兵連隊のバンド、ブルーズ & ロイヤルズ・バンドのCD。1969年、原連隊の統合により、近衛騎兵のロイヤル・ホース・ガーズ・バンド(1805年創設)にロイヤル・ドラグーンズ(ファースト・グラグーンズ)・バンド(1802年創設)が吸収されるかたちで、現在のバンドとなった。ライフ・ガーズと同規模の編成をもつ。かつて、このバンドの先達たちが演奏してきた今は演奏されなくなったマーチを徹底的に掘り起こしたこのCDの選曲は、シリーズの中で最もマニアックかも知れない。これで、バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』や、シュトラウス(父)の『ラデツキー行進曲』や、モリコーネの『ガブリエルのオーボエ』などが入ってなかったら、逆にレコード・アカデミー賞ものだったかも知れない。マーチ演奏は、これまた、とても格調高い。


[4]【ミュージック・オブ・ザ・ウェルシュ・ガーズ】
The Music of the Welsh Guards

【指揮】デーヴィッド・W・クレスウェル少佐
【演奏】ウェルシュ・ガーズ・バンド
【録音】2006.12.11-12、チェルシー・バラックズ・チャペル(ロンドン)
【CD番号】Specialist、SRC134
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1376/

 1915年創設のこのバンドは、近衛歩兵5連隊のバンドの中で最も歴史が浅い。しかし、ベルベットが包み込むような美しいテュッティ・サウンドは、脈々とつづくこのバンドの伝統となっており、バンド創設にあたり楽器購入費を募金で集めたウェールズの人々にとっても大きな誇りとなっている。それは、ウェールズ民謡『ホワイト・ロックのデーヴィッド』やモーツァルトの『交響曲第39番』から“メヌエット”などのコンサート・アイテムを演奏するときだけではなく、タイケの『旧友』やビッドグッドの『勇者の後裔』、グッドウィンの『空軍大政略マーチ(ドイツ空軍マーチ)』、ステーサムのグランド・マーチ『グレート・アンド・グローリアス』といったマーチを演奏するときも変わらない。収録曲のほとんどがバンドの歴代音楽監督による作編曲であり、その手の内に入った演奏からは、一種独特のやすらぎさえ覚える。音楽監督のクレスウェル少佐は、2005年6月にCD[2]のライフ・ガーズからこのバンドに移動になった。


[5]【ミュージック・オブ・ザ・グレナディア・ガーズ】
The Music of the Grenadier Guards

【指揮】デニス・バートン少佐
【演奏】グレナディア・ガーズ・バンド
【録音】2005.12.7-8、チェルシー・バラックズ・チャペル(ロンドン)
【CD番号】Specialist、SRC135
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1060/

 2006年に創設350周年というアニヴァーサリー・イヤーを迎えたグレナディア・ガーズ・バンドの記念碑的アルバム。さすがにロンドンをベースとするバンドだけに、歴代の楽長や音楽監督にも後世に名を残した人が多く、このCDのほとんどがそういった人々の作編曲であるのも凄い。有名な『ブリティッシュ・グレナディアーズ』は無論のこと、BBCテレビの「モンティー・パイソン」のテーマににこのバンドの演奏が使われたことからさらに有名になったスーザの『自由の鐘』、このバンドが演奏した自作を聴いて感動したナイジェル・クラークから贈られた『忘れし英雄たち』など、収録曲もすべてこのバンドに因んだものだ。


[6]【ミュージック・オブ・ザ・ロイヤル・エンジニアーズ】
The Music of the Royal Engineers

【指揮】エド・H・キーリー少佐
【演奏】ロイヤル・エンジニアーズ・バンド
【録音】2005.12.12-13、ロイヤル・ドックヤード・チャペル(チャタム)
【CD番号】Specialist、SRC136
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1080/

 2006年、創設150年という節目の年を迎えたロイヤル・エンジニアーズ・バンドの記念アルバムであると同時に、同年8月に退役した音楽監督のキーリー少佐の引退記念盤ともなった。目玉曲は、ピーター・グレイアムに委嘱された新作『ロイヤル・エンジニアーズ・バンド150周年マーチ』。典型的ブリティッシュ・マーチのメロディー・ラインと明るい響きをもつこのコンサート・マーチは、このバンドの定番としてだけでなく、広く一般に演奏される新作マーチになるかもしれない。他の収録曲も、バンドの150年に因んで選ばれたマーチが中心だが、指揮者のキーリー少佐がマーチ演奏において示すスピード感覚とバランスは現代の指揮者の多くが忘れてしまった一種独特の味があり、クイック・マーチ、スロー・マーチのいずれにおいても、そのやや前のめり気味にセットされたノリノリの演奏は、とても心地よい。オールド・ファンにとっては懐かしい、1960年代のロイヤル・マリーンズの演奏に近い爽快感を覚えた。

(ウィンド・ナビゲーター: 樋口幸弘)

 

駒澤大学吹奏楽部 北海道特別演奏会…部員皆さんの心から楽しんで演奏してる笑顔が素敵でした!

日時:2007年11月26日(月) 18:30開演
会場:札幌コンサートホール キタラ 大ホール
レポート:立花明子(札幌ウィンドアンサンブル ドゥ・ノール)

部員皆さんの心から楽しんで演奏してる笑顔が
素敵でした!

11月下旬の札幌では暖かく、とても過ごしやすい日~
駒沢大学吹奏楽部 北海道特別演奏会です!
「駒大」の演奏を北海道で聴けるチャンス!
足元軽やかにコンサートホールkitaraに向かいました。

演奏会は吹奏楽ではお馴染みの曲や
ゲストは東京都交響楽団首席トロンボーン奏者/
小田桐寛之氏のトロンボーン独奏ありと充実内容のプログラムです。
トロンボーンの音色にうっとりでしたね~。

演奏は、さすがにうまい!スゴイ!と思いましたが
後半になっても金管の底力溢れるエネルギーで私たち観客を魅了させてくれましたし
アンコールでは木管の美しい音色で泣かせてくれました。あちこちですすり泣きが…。
バンドの懐の深さを感じずにはいられなかったのです。

岩田力哉主将のあいさつにこうあります。
「常に誠実で つつましく そして情熱をもって」という部訓と
「共奏進(きょうそうしん)」をモットーにかかげ、
共に奏で、競い合い、互いを高めあってそして成長しようと
部員一丸となって日々練習に励んで参りました。
普段の彼らの誠実さや感謝の気持ち、
様々なことに弛み無い(たゆみない)努力を重ねてこそ
いい形になっていくのだなと思いました。
フィナーレは実行委員の谷さんをステージ上に引っ張り上げ
小気味いいリズム隊に参加♪一緒に演奏を。すごく楽しそう!!
部員皆さんの心から楽しんで演奏してる笑顔が素敵です。

時間が止まったような感覚があり、ステージと客席の一体感があって
非常に充実した時間を過ごしました。
このような演奏会が実現し、聴けたことをとてもうれしく思います。
実行委員の皆様、関係者の皆様ありがとうございます。

メンバーのみなさん、北海道はどうでした?
また来たいなと思っていただけましたか?(笑)
またこの地で演奏会があることを願っています。

4年ぶりの北海道ツアー。今回は11月21日~11月27日までの6泊7日間の演奏旅行でした。

■プログラム

第1部 指揮 秋山鴻市(元NHK交響楽団トロンボーン奏者)
マーチ ハイデックスブルク万歳
リンカーンシャーの花束(P.グレインジャー)
ガイーヌ(A.ハチャトゥリアン)
第2部 指揮 上埜 孝(当部 常任指揮者)
パガニーニの主題による幻想変奏曲(J.バーンズ)
トロンボーンとバンドのためのラプソディ(G.ラングフォード)
ボレロ イン ポップス(M.ラヴェル)

アンコール
1.貴歌劇「メリー・ウィドウ」より“ヴィリアの歌”/フランツ・レハール
2.スーザズホリデー ~星条旗よ永遠なれ~/ジョン・フィリップ・スーザ(arr.真島俊夫)
3.ソーラン節(北海道民謡/今泉 有規男)

ユーフォ二アムの木村寛仁2枚目のソロCD『流れゆく時間(とき)の中を・・・』、編集・マスタリング完了。新春発売予定!!

▲木村寛仁氏と石田忠昭氏

 2007年、イギリスの作曲家ピーター・グレイアムの作品にスポットを当てた初のソロCD「グローリアス・ヴェンチャーズ」(WindStream、WST-25002)が大ヒット。毎月のようにアグレッシブなソロ演奏活動を展開中のユーフォニアムの木村寛仁(大阪音楽大学准教授)が2枚目のCDを収録し、このほど、その編集、マスタリングが完了した。

 レコーディングは、2007年9月5~6日、「グローリアス・ヴェンチャーズ」と同じ、兵庫県川西市のみつなかホールで、同じスタッフによって行われ、ジョーゼフ・ホロヴィッツの『ユーフォニアム協奏曲』、ジョン・ゴーランドの『ピース』、石田忠昭の『流れゆく時間の中を・・・』、フィリップ・スパークの『サマーの島々』の計4曲が収録された。

 この内、タイトル曲となっている初録音の『流れゆく時間の中を・・・』は、木村寛仁委嘱による注目の無伴奏独奏曲。作曲者の石田忠昭(相愛大学音楽学部卒業、同研究科修了)は、ユーフォニアム奏者として演奏活動の傍ら、作編曲家として数々の“ユニーク”な作品をこのジャンルに提供し、関西のユーフォニアム界にとって欠かせない存在となっている。今回の録音により、楽譜も出版されることになった。

 また、ゴーランドの『ピース』は、21世紀に入って作曲者の手稿をもとに再校訂された最新バージョンによる録音でこれまた注目される。

 無伴奏の『流れゆく時間の中を・・・』を除く3曲のピアノ伴奏者は、木村寛仁と初の顔合わせとなる佐藤友美。入念なコラボによるレコーディングは、各作品の魅力を見事に引き出している。

 発売は、「グローリアス・ヴェンチャーズ」と同じく、WindStreamから。発売日は、近日中に発表予定だ!!

(2007.12.05)


■ グローリアス・ヴェンチャーズ / ピーター・グレイアム作品集           GLORIOUS VENTURES

【演奏:】木村寛仁(ユーフォニアム)
浅川晶子(ピアノ)

【曲目】

1. ホーリー・ウェル The Holy Well
2. グローリアス・ヴェンチャーズ
Glorious Ventures
3. レインフォレスト Rainforest
4. ケルトの夢 Celtic Dream
5. ドイルの哀歌 Doyle’s Lament
6. つむじ風 Whirlwind
7. 小さな願い A Little Wish 

【作曲】(1 – 7) : ピーター・グレイアム Peter Graham

【CD番号】 WINDSTREAM, WST-25002
【発売日】 2007年1月6日
【定価】 \1,400(税込)

【好評発売中】 BPショップへ GO >>>
グローリアス・ヴェンチャーズ/ピーター・グレイアム作品集/
GLORIOUS VENTURES【ユーフォニアム&ピアノ】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1079/

交響曲第1番『指輪物語』でおなじみのヨハン・デメイが、“オランダ・ウィンド・ミュージック賞2007”を受賞!!

  『指輪物語』、『ビッグ・アップル』、『プラネット・アース』という3つの交響曲のほか、『エクストリーム・メイク=オーヴァー』が大きな話題となっているオランダの作曲家ヨハン・デメイ(Johan de Meij、1953 -)が、<オランダ・ウィンド・ミュージック賞2007(Dutch Wind Music Award 2007 / Nederlandse Blaasmuziekprijs 2007)>に輝いた。

 同賞は、“クンストファクトール・ムジーク”“世界音楽コンクール(WMC)”“オランダ指揮者ユニオン(BVD)”という3つの音楽組織から、2年に一度、オランダのウィンド・ミュージックの世界的ステータスを高めた貢献者に対して贈られる音楽賞で、過去2回の受賞者は、元オランダ王国海軍バンド指揮者で作曲家のヘンク・ファン=レインスホーテン(2003年受賞)、同じく同指揮者のヤープ・コープス(2005年受賞)だった。デメイへの受賞は、交響曲第1番『指輪物語』の世界的な成功と、その後の継続的な作品の発表を通じての活動が認められてのものだった。

 授章セレモニーは、2007年11月25日、オランダ・ケレルクラーデのロダ・ハルで行われた「オランダ・オープン選手権コンサート部門(Open Nederlandse Kampioenschappen)」(通称:ミニWMC)の会場で行われ、受賞者デメイには、賞状とともに、賞金3500ユーロ、および『指輪物語』の主題の最初の6つの音が刻み込まれた“ザ・サウンド・オブ・ウィンズ・イン・クリスタル”という特製クリスタル・アートの記念品が贈られた。

 ヨハン・デメイ。何をやっても、その話題は常にビッグ・クラス!! 今後のますますの活躍を期待したい!!


■ヨハン・デメイ主要作品

【管弦楽】

Symphony No.1 “The Lord of the Rings” (2000)Amstel Music
(Orchestral Version by Henk de Vlieger)

Casanova (2000) Amstel Music
(Orchestral Version by Ted Ricketts)

Symphony No. 2 “The Big Apple” (2001) Amstel Music

Excerpts from “The Lord of the Rings” (2004) Amstel Music
(Orchestral Version, arr: Paul Lavender)

Symphony No. 3 “Planet Earth” (2006) Amstel Music

【室内楽】

Patchwork (1979)(Brass Sextet)Molenaar

Ceremonial Fanfare (2005)(Brass and Percussion) Amstel Music

【ウィンド・バンド】

Symphony No.1 “The Lord of the Rings” (1984/1988) Amstel Music

Loch Ness – a Scottish Fantasy (1988) Amstel Music

Aquarium (1991) Amstel Music

Symphony No. 2 “The Big Apple” (1991/1993) Amstel Music

Polish Christmas Music – part I (1995) Amstel Music

T-Bone Concerto (1996)(with Trombone solo) Amstel Music

Continental Overture (1997) Amstel Music

Madurodam (1997) Amstel Music

La Quintessenza (1998) Amstel Music

Casanova (2000)(with Cello solo) Amstel Music

Voice of Space (2000)(The Venetian Collection – part I) Amstel Music

The Red Tower (2000)(The Venetian Collection – part II) Amstel Music

Magic Garden (2000)(The Venetian Collection – part III) Amstel Music

Empire of Light (2000)(The Venetian Collection – part IV) Amstel Music

The Wind in the Willows (2002) Amstel Music

Excerpts from “The Lord of the Rings” (2003) Amstel Music
(arr: Paul Lavender)

Klezmer Classics (2004) Amstel Music

Extreme Make-Over (2006) Amstel Music

Hobbits Dance and Hymn (2006) Amstel Music
(arr: Paul Lavender)

Windy City Overture (2006) Amstel Music

Symphony No. 3 “Planet Earth” (2007)(Wind Orchestra Version) Amstel Music

Canticles (with Bass Trombone) (2007) Amstel Music

【ファンファーレ・オルケスト】

Pentagram (1989) Amstel Music

Polish Christmas Music – part I (1995) Amstel Music

【ブラス・バンド】

Extreme Make-over (2005) Amstel Music

ブライアン・ボーマン ユーフォニアム・マスタークラス公開クリニック…それはクリニックの名を借りた、すばらしいコンサートだった!!

それはクリニックの名を借りた、
すばらしいコンサートだった!!

日時:11月27日 (火)
会場:大阪・三木楽器 開成館サロン
レポート:樋口幸弘(ウィンドナビゲーター)

2007年11月27日(火)、大阪・三木楽器 開成館サロンで開催されたブライアン・ボーマン公開クリニックにおじゃました。現在、アメリカのノース・テキサス大学教授をつとめる同氏は、かつて、アメリカ空軍ワシントンD.C.バンドのソロ・ユーフォニアム奏者として世界的な名声を有するだけでなく、すぐれた教育者としても知られ、日本で活躍するプロフェッショナルの中にも、氏のもとに学んだ人は多い。

今回のクリニックは、日本管打楽器コンクールのユーフォニアム部門審査員として氏の日程の空き日を活用して開かれたもので、会場は、氏を慕うプロ奏者や専門学生らでギッシリ満員。受講する“生徒”(失礼!!)も、深川雅美、坂岡裕志、松谷晃伸、三宅孝典という、いつもは“先生”と呼ばれている関西の代表的ユーフォニアム奏者がズラリ勢ぞろいする超豪華版だった。

と前置きはこれくらいにして、いざクリニックが始まると・・・・・・。各奏者とも練りに練った選曲、そして好演の連発に、ボーマン“先生”もすっかりご満悦。しかし、そこはプロフェッサー。『こういうことが手助けになるかも知れない。』と、さらにいい演奏につながるような的を得たアドバイスに頷く“生徒”たち。それぞれ一流プレイヤーだけに、まるで魔法か何かを見せられているかのように、見事、音が演奏が変わっていく。

そして、氏が1984年の大阪市音楽団定期演奏会のゲスト奏者として招かれて以来の付き合いという三宅さんの選曲は、フィラスの「ユーフォニアム協奏曲」。『少し長い曲なので、どこでも止めてください』という“生徒”に対し、『この曲のナマ演奏はそんなに聴けるものではないので、会場のみなさんにぜひ“通し演奏”を聴いてもらいたかった』と演奏後にコメントした“先生”。受講生ひとりの持ち時間の大部分をそのフル演奏にあてる予想外の展開に、会場は完全にコンサート状態。演奏後の割れんばかりの拍手が、場内の興奮ぶりをよく表していた。

その後、会場の聴講者との質疑応答に移ったが、クリニックの最中、何度も氏が口にした“頭の中にある理想のユーフォニアムの音”とは?という質問(それは、たぶん、どの奏者の音を理想としたのですか?という意味を含んでいる質問のように思えた)に対し、もともとオーケストラでヘンデルのメサイアを歌ったり、ヴァイオリンを弾いていたという氏は、『若い頃には、もちろん有名なレナード・ファルコー二やレイモンド・ヤングといったユーフォニアム奏者も聴いた。しかし、その他、多くの声楽家や、それ以外のいい音楽をLPレコードで聴いているうちに、イメージが出来上がっていった。いい音のイメージは、人によって違う。ユーフォニアムを吹く人には、ユーフォニアムだけでなく、ぜひ、それ以外のいい音楽もいっぱい聴いてほしい。そして、自分が理想とするユーフォニアムの音を見つけ出して欲しい』という回答には、まさに我が意を得たり!!

その後、冗談っぽく、『しかし、LPレコードといっても、皆さん分からないかなー』といいながら、『そうだ、彼が持っている!!』と、こちらを指差す。突然のご指名にやや戸惑いながら、クリニックの前にサインをいただいたばかりのカーナウの『シンフォニック・ヴァリアンツ』(もちろん、独奏:ブライアン・ボーマン / 伴奏: アメリカ空軍ワシントンD.C.バンド)の収録されているLPをバッグから取り出しステージへ。(なんでこうなるノー??)

そんなハプニングもあったが、その後は、アメリカから持ってきた奏者の演奏に追従する新しい伴奏ソフトを使っての氏の独演会。バッハ/グノーの「アベマリア」やおなじみ「ヴェニスの謝肉祭」など、予定の2曲を大きく上回る5曲がこの日会場を埋めた人々のために特別に演奏された。

“日本ではじめた訪れたのが大阪で、それ以来この町が大好きになった。ここには多くの音楽仲間がいる”というボーマン氏。クリニック終了後、『今日聴かせていただいた音は、まだヤングのように若々しい。次に来られるときは、レコーディングも考えてくださいね』というと、『まだまだ録音したい曲は、いっぱいあるよ』と少年のように目を輝かせる氏。音楽だけでなく、その暖かい人柄に再び感動。『シー・ユー・スーン!!ドクター!!』、近い将来の再会を祈念しながら、興奮うずまく会場をあとにした。

 ■ブライアン・ボーマン ユーフォニアム・マスタークラス

公開クリニック プログラム

1.G・F・ヘンデル: 協奏曲へ短調 より 第1・2楽章
深川雅美(ユーフォニアム) / 南 敦子(ピアノ)

2.I・ボサンコ: グローリアス・リバレーション
坂岡裕志(ユーフォニアム) / 竹村美和子(ピアノ)

3.J・S・バッハ: 無伴奏チェロ組曲 第1番
松谷晃伸(ユーフォニアム)

4.J・フィラス: ユーフォニアム協奏曲
三宅孝典(ユーフォニアム) / 浅川晶子(ピアノ)

吹奏楽、ブラスバンド、マーチングの情報マガジン