Q: 高2で学生指揮者やっています。音楽作りの方程式がよくわかりません。(学生)

A: 音楽は数学のように1つの決まった解答があるものではありませんね。

 ここにメンバーが共同で利用しなければならない1つの場(楽団)があります。その場(楽団)をお互いがそれぞれの違い(個性)をもったまま、いかに仲間と分かち合っていくか。そして、仲間と共同で1つのものを作り上げていくためには、仲間に迷惑をかけないよう、団(部)員1人ひとりが合奏への必要な準備をして臨むのが、責任でもあり、礼儀でもあります。そこから生まれてくる「音楽の楽しみ、喜びや魅力」は無限大です。

  1(人)+1(人)+・・・(メンバー数)=∞  そこで今回は、合奏は「音楽を創造する時間と空間」であるという観点から、吹奏楽で演奏するにあたり、「サウンド(響き)」「アンサンブル(調和)」「曲の解釈と表現」という3つポイントをお話しします。

1.サウンド(響き)
吹奏楽は、響きの美しいことが魅力の1つです。どのようにしたら美しいサウンド(響き)になるのかを考えてみましょう。そこで次の「音程」「音色」「バランス」の3つの要素が重要と考えます。

 a)音程
チューナーを使って正しい基準音を出して、耳によるチューニングを丁寧に行なわなければなりません。楽器の管の長さを調節して行なうことは言うまでもありませんが、姿勢や奏法によっても音程は変わります。したがって、正しい姿勢、正しい奏法を身につけることは必要不可欠です。
しかし、せっかくチューニングをしても曲の中で正しい音程で演奏できなくては何もなりません。音程は、音の強弱によっても変化し、旋律とハーモニーとでは微妙に違ったりもします。正しい音程は、あくまで自分の耳で、それぞれの場面により判断しなければなりません。
それには、音楽的な感覚を身につけること。楽器で演奏する前に、自分のパート譜を音名で声に出して唱うなど、音をよく聴く唱うという<ソルフェージュ>が不可欠です。

 b)音色
音はまず、生きていることが大切です。楽器をよく鳴らすことを考え、音を伸び伸びと出せるようにしてから美しい音を求めるようにします。このための練習方法は<ロングトーン>以外にはありません。音の発奏、強弱、長さ、伸び、終わり方、消し方、切り方、余韻の付け方、等合奏で役立つようにいろいろと考えながらロングトーンを行なわなければなりません。ロングトーンが退屈な練習と思っている人は考えが足りません。ロングトーンは「音の源」です。

 c)バランス
楽器には各々の特徴(音色、ベルの向き、材質、音高等)があり、違った持ち味、役割があります。それら全体がうまくまとまるようにバランスを考えなければなりません。
奏者は、曲中の強弱、役割などを考えて演奏し、必ず指揮者の指示を確認することが大切です。指揮棒の動きに敏感に応じられるように訓練を積まなくてはなりません。

2.アンサンブル
アンサンブルといっても、特別に編成を組んで曲を演奏するのではなく、合奏で合わせるためにはどうしたらよいかということです。それでは、次のことを考えて欲しいと思います。
A) 1人で演奏することと集団で演奏することの違い。

B) 合奏に臨む前に自分でやるべきことをやっておき、技術面で他の人に迷惑をかけない。
C) 他のパートの動き、さらに全体の流れを把握する。
技術的には,チューナーを使いピッチを合わせる、メトロノームを使いテンポ・リズムを合わせるなど、ある一定の条件で機械的に合わせられます。しかし、そこに自分勝手でなく、他の人(パート)と合わせようとする「気持ち」がなくてはなりません。そして自分に余裕があって初めて他人を思いやれ、受け入れられる。アンサンブルもそれからです。アンサンブルという言葉は、本来「調和」という意味であることをかみしめて欲しいと思います。

3.曲の解釈と表現
曲の解釈は、演奏する人(特に指揮者)に任されていることが多く、様々な解釈が生まれてきます。しかし、その

 解釈と表現にはルールがあることを知って欲しいと思います。

a)譜面をよく読む
作品には作曲者がおり、その音符1つ1つを思いを込め書いているので、ていねいに譜面を読むことが大切です。

b)演奏には責任がある
作品は音になって初めて伝えることが出来るので、演奏は最後の仕上げです。作品を生かすために責任を持って演奏することが大切です。

c)よりよい解釈
音楽は考えてばかりいてもダメなので、実際に音に出して演奏したり、他の人の演奏を聴いたりして経験を積むことが必要です。指揮者の考えなどを加味して、その時点でベストの答えを生み出して欲しく、音楽は常に新鮮でなくてはなりません。

d)説得力のある演奏
人の心を動かす演奏の要素として、解釈に妥当性があり、自然であるとがあげられます。さらに、表現に自信と熱意が感じられる演奏は、聴衆を説得する力があります。

音楽というのは、音符をただ物理的に音にしたのではなく、心で感じて心で表現することが、聴く人の心を動かす演奏につながります。
Q3など、これまでこのコーナーで回答したことが色々あてはまりますので参考にして下さい。

回答:五十嵐 清

Q: どう研究しても、指揮の振り方がしっくりこない。

Q: 千葉にある母校(高校)の指揮をやらせてもらっています。練習曲でどう研究してもしっくりいかない所があります。それは、2小節クレッシェンド、最後4拍目にフェルマータ、そしてフォルテというところで、どう鏡を見ながら振り方を研究しても、フェルマータの所がクレッシェンドに見えないのです。やはり、自分がそのように振れないと、クレッシェンドが今ひとつ物足りないのです。どのように振ったらよいでしょうか。(学生)

 

A30: 楽曲のニュアンスやその所のテンポによっても違ってきますが・・・一例としてコメントします。

1)右手でクレッシェンドを指示していく(左手でフェルマータ)
・右手でカウントを取りながら、裏拍の「ト」の部分で自分の身体から遠くへ「腕」を離していくイメージで振っていく(4拍目で一時停止!)。
・左手を2小節目で手先を軽く握った状態で前に出す。
・左手を2小節目の3拍目で手先を開いていき、4拍目で上に持ち上げフェルマータを指示(右手より上のポジション)。
・その後、フォルテの音符の予動作を右手で振り上げて(左手より高く!)深くDownを持ってくる。この瞬間で左手は手先を握る。
・ 右手はテンポで裏拍をとり、次のフレーズを指示する。

2)左手でクレッシェンドを指示していく(右手でフェルマータ)
・左手を前に差し出し、手のひらを上に、「ひじ」から先を持ち上げていく(リフト)
同時に手の先を広げていく
・右手はテンポを振って(指示して)いて、あまり大きさを変化をさせない
・そうしてフェルマータの音で右手を停め、フェルマータ指示する
・左手は停めず広げていく
・右手は停めた位置から(必ず)予動作を起こし、フォルテの音を導入する。
・左手は右手の動きと同じように音を導入する
・右手はテンポで裏拍をとり、次のフレーズを指示する。

 共通はクレッシェンドよりやや速めのスピードで目線を上げて、遠くを見ていく。
上体をできるだけ大きく見せていくことがポイントです。
(フェルマータで切る楽曲ではないと判断し、こちらの方法は解説していません)

回答:五十嵐 清

Q: 新入生、初心者に腹式呼吸や横隔膜の仕組みについて説明するにはどのように説明すればいいですか?(高校生)

A: あまり難しく考えないで、『息を充分に吸いこみコントロールして出すこと=腹式呼吸』と考えて下さい

 「腹式」呼吸といっても、お腹=胃?で呼吸をすることではありません。あくまで肺に息を吸い込み、そしてコントロールしながら出していくことです。普段、友達と何気なく話している時の呼吸でなく、意識的に息を充分にとる呼吸の方法です。
イメージとして、肺という風船に息を入れ(吸い込み)ます。しかし、肋骨というバリアーがあるため体の前面には広げられなく、下の方に押し下げないと充分に膨れません。この時、横隔膜という移動式壁が動いてスペースを確保してくれます。「注射器に薬を入れていくこと」が例になるかと思います(分かりますよね。昔は路地にあった「汲み上げ井戸」なんて使っていたのですがね。見たことないですよね。ん、齢がバレる!)
あまり難しく考えないで『息を充分に吸いこみコントロールして出すこと=腹式呼吸』と考えて下さい。

回答:五十嵐 清

Q: 基礎練習を全くしない生徒が多いのが現状です。私自身、基礎練習ができてこそ、曲が出来ると思うのですが如何でしょうか

Q: 私は、今年度からアメリカの大学に通いながらこちらの中学、高校、そして大学のバンドの練習を見させていただけることになりました。日本と違いアメリカは吹奏楽が一つの選択授業ですので、時間がないのは仕方がないですが、基礎練習を全くしない生徒が多いのが現状です。私自身、基礎練習ができてこそ、曲が出来ると思うのですが如何でしょうか?(バンド指導者)

 

A19: これまでの考え方に固執せず、色々なことを吸収し、自分なりに判断し、実行してみてください!

 アメリカの中学、高校のバンド(大学ではほぼ専門課程ですので高校までの活動とは違うようです)は授業の一環で行なっており、日本のような課外の活動ではありません。ミーティングなどをして士気を高めたり、同じ目標を設定することもほぼないと思います。
選択をした授業ですので興味や学習意欲はあるのですが、毎日開講されるわけではないので楽器テクニックの向上はなかなか難しいと思われます。しかし、その時間を有意義に「楽しむ」ことはできると思います。
私たち指導者はそのバンドのニーズや目標、環境に対応した考え方を持つべきと思います。
先生の言われる「基礎練習ができてこそ、曲が出来る」は当然なのですが、なかなか難しいと感じます。「もっとここまでやりたい、こんなサウンドを作りたい」などという要求が生まれくるような指導を手を抜かずやることが大切と思います。
音楽は作者がいないと生まれません。奏者がいないと育ちません。育てるには責任が必要です。曲は生きています。
せっかくアメリカで学べるチャンスですので、これまでの考え方に固執せず、色々なことを吸収し、自分なりに判断し、実行してみてください。学友とご自身が良いとも思ったことをきちんと議論してみて下さい。きっと熱心に議論してくれると思いますよ。
頑張って下さい。

回答:五十嵐 清

Q: 3年生が卒業してしまうので人数が減ってしまいます。

Q: 3年生が卒業してしまうので人数が減ってしまいます。3年生がいなくなるとFl2、Cl3、Bcl1、Asax2、Tsax1、Bsax1、Ob1、Hr1、Tp1、Tb4、Ep1、Tu1、Fg1 (学生)

 

A18: 募集人数を明確にして、計画的に編成してみよう。

 Tb4、Perc3が気になります。HrとTpが少ないのでどうにかしたところです。
理想で言うならば、Tb4→2、Perc3→2、Hr1→2、Tp1→3ですが、適正や愛着もあるかと思います。
しかし、Tb4は半分にしないと新1年生の加入は不可能です。
新1年生のパート募集人数を明確(例えばFl2、Cl3、ASx1、TorBSx1、Hr2、Tp2、Tb1-2、Ep1、Tu1、Perc1-2)にして、計画的に編成を充実してみて下さい。

回答:五十嵐 清

Q: チューニングの際チューナーは何Hzで合わせればよいのでしょうか?(学生)

A: 最後は自分の耳が頼りです!

 基準ピッチはそのバンドの特性にもよりますが、私は442Hzでやっています。
440Hzの+10セントの442.5Hzもいいと思います。
チューナーで基準ピッチを合わせても、合奏で音程を合わせるのは、自分の耳でしか
できません。チューナーはあくまで目安であることは認識しておいて下さい。

回答:五十嵐 清

Q: 学生指揮者をしている高校2年生です。早い速度の拍子になると腕がブラブラした感じになってしまって拍がわかりにくくなってしまうのですが、どうすれば良いでしょうか。(高校生)

A: 速いテンポは「ひじ」や「手首」を固定して振ってみよう。

 テンポの速い曲では、ひじを固定し、その先で振ってみて下さい。
さらに速いテンポなら、手首を固定してその先で振ること(速いテンポのpの部分にも使えます)。
それでも、拍がわからない様なら、指揮棒は持たずに振ってみる。
試してみて下さい。

回答:五十嵐 清

Q: クラリネットをやっています。でも、パート全員すごくピッチが悪いんです。-20や30は当たり前です。ひどいときは-40ぐらいいきます。  吹き方が悪いと思うのですが、どうやって直していけばいいでしょう?(中学生)

A15: 基本的な姿勢、アンブシュア、リードなどの付け方について、次のことをチェックしてみて下さい。

1.楽器の組み立て方
レジスターキーとリードの中心が一直線になっていること

2.姿勢
リラックスして立って、頭が重たく感じないよう首や腰で支える。
腕はほぼ直角に曲げ、ひじを体から握りこぶし1つ位あけて楽器を構える。

3.リードの付け方
リードをマウスピースの先端の黒い部分がほんの少し見える程度にセットする。
リガチャーを付ける位置はマウスピースの筋線が見えるか見えないか位置にセットする(マウスピースによっては筋線がないものあるので注意!)。
リガチャーのネジはきつく締め過ぎないようにする(特に口に近いほうのネジ)。

4.アンブシュア
マウスピースとリードを横から見て、離れる位置(7~8mm程度)のところに下唇がくるようにあてる。
「O」と「U」を一緒に発音した時の口の形にする。
口がやや開いた状態になると思うので、そこに楽器を挿入し、上の歯で固定する(下から噛まない、顎を持ち上げないこと)。

5.アンブシュアのチェック
マウスピースにバレルをつけた状態で、音を出して、実音「F#」(クラのソ#)の音が安定して出せる所のマウスピースの角度を探す。

6.息
息のスピードを揃える。

 きっと音程だけでなく、音色も統一感のあるものになりますよ。

回答:五十嵐 清

Q: 狭い場所、響いてしまう普通教室での練習対策は?(中学生)

A: 他教科や他クラブの理解を得て、体育館などの広いスペースでの場所を年に少しでもいいので借りて練習して下さい。
パート練習では、普通教室でも十分です。しかし、異種パートが混同しないように教室数を確保することが理想的です。

 合奏では、
・床に毛布など吸音効果のあるものを敷く。
・窓はカーテン、暗幕を閉める
奏者の椅子にバスタオルやコート類を掛ける
部屋の温度を上げすぎない(狭いと熱気がこもる、温度上昇で音程がとれないため)
配置を固定せずに隣のパートを変化させる(他のパートがどんなフレーズや役割かを聴くため)
バンドの前方のスペースを確保する。
などが考えられます。

 やはり狭いスペース等でのバランス、音量や音程の確認は難しいと思います。 隣教室や廊下に出て(壁を1つ隔てて)確認する。先生が冷静に客観的に判断するために、部屋から1度出てリフレッシュしてから指揮をしないでチェックする。
分解して低音パートから重ねていく(通すと元に戻るようなので、繰り返し奏者が身につくまで行なう)

回答:五十嵐 清

Q: 全員で合奏をしている時、先生に「全体的に音が鳴っていない。もっと楽器を鳴らして」と注意をされる。

Q: 全員で合奏をしている時、先生に「全体的に音が鳴っていない。もっと楽器を鳴らして」と注意をされるのですが、私はその「鳴っている音」というのがよくわからないんです。周りの部員もそうらしく、注意されても首をかしげるばかりです。私は今部長をしているので、何とか先生の意志を部員に伝えたいのですが、「鳴っている音」とはいったいどんな音のことなんでしょうか。また、どうすれば鳴っている音が出るようになるんでしょうか。今鳴っている音が出ているのを確認する方法はあるのでしょうか。(M・H/中学生)

A: まず、「鳴らす」=Sound=音、響き。「鳴り響く」=Resound=反響する、という意味を認識しておいて下さい。

 さて、合奏の時「全体的に音が鳴っていない。もっと楽器を鳴らして」のコメントです。

・合奏において、各楽器間のバランスをとり、あたかも1つの楽器が奏でているように する。例えば、曲中のTutti部分でお互いの楽器がブレンド(混ぜ合わせ方は自由、そしてこれが各楽団の個性特徴となる)して「響く」ことです。
私は、「響く」とは演奏している空間にある空気が奏者の意図を持った音で動く。そしてその音で満ち溢れ、耳だけでなく体の五感すべてで受け手に伝わることと思っています。

次に、個人個人の楽器の音について
・楽器での音の前に「歌」を歌うことをイメージして下さい。オペラ歌手のように、姿勢が背筋が適度に伸び、胸が横に広がり、おへその下に支えがある。そして、力で声を出すのでなく、体全体を1つの楽器として響かせる。「地声」でなく「裏声を出す時のイメージ」で、楽器に連続して息を送り込むように楽器を吹いてみて下さい。きっと遠くまで芯のあるような音が伝わりますよ。

座ってではなく、立って吹く。その時姿勢を保ち、体を支え、肩に力を入れないよう「踵を少しだけ浮かして」吹いてみて下さい。きっと今までと違った振動が楽器を持った手から伝わり、耳(体全体)から反響した音が伝わってくると思います。

 音階を吹く時も「自分の前にある音の階段」を登っていくのではなく、「自分の後頭部の方向に伸びている音の階段」を登っていくイメージで吹いてみて下さい。

 最後に
・音には「音色」「音程」「音量」があることを認識し、自分のそして自分たちの「響き」を作って下さい。

回答:五十嵐 清

吹奏楽、ブラスバンド、マーチングの情報マガジン