横浜開港祭 チャリティー吹奏楽コンサート  ザ ブラス クルーズ…一般公募型フェスティバルバンド ザ ヨコハマ ウィンド シンフォニー 2008 活動報告(1)

 生涯学習と2009年の横浜開港150周年に向けた街の賑わいの創造等として新たに創設された「ザ ヨコハマ ウィンド シンフォニー」。
2008年度も、プロ演奏者の指揮指導、演奏指導を受け、6月1日(日)にあの、横浜みなとみらい大ホールのステージに立ちます。今回も横浜市内外を問わず多くの方からの参加応募をいただき、総勢100名を超えたビッグバンドになりました。横浜と吹奏楽のために集った皆さんへ感謝です! ! !
このバンドパワーでも募集告知をさせていただきましたので、経過報告をさせていただきます。

ザ ヨコハマ ウィンド シンフォニー 2008 活動開始

■3月9日(日) 事前説明会
早春の暖かな日差しの中、鶴見大学附属中学校・高等学校の講堂にて、説明会・メンバーの顔合わせが行われました。
今年で3回目ということもあり、見慣れた顔ぶれが多く、「久しぶり?」「元気だった?」という声も多く聞かれました。
前回終了後も交流を続けていたパートもあったようです。このイベントをきっかけに始まる交友というのも素敵ですね。
もちろん今回が初参加!となる方も大勢いらっしゃいましたが、さすが音楽という共通の趣味を持ち合わす人たち!パート別ミーティングという場も手伝って、すんなり溶け込めたようでした。
また今回から、練習日などの現場運営スタッフも参加メンバーからのボランティアが主体となって活動することになりました。”与えられた場”から”よりメンバーの場”へと変わっていきます。生涯学習の価値もより深まりそうですね。
スタッフとなったメンバーの皆さん、どうぞよろしくお願いします! !

■4月20日(日) 第1回目の合奏練習
初顔合わせから約1ヶ月が経ち、いよいよ練習がはじまりました。
集まったメンバーが口々にしていたのは、今年は今まで以上に難曲!とのこと。それもそのはず。今年の曲目は、今回の指揮者である清水大輔氏の「セレブレイト」「TAONGA」、昨年の指揮者八木澤教司氏の「輝きの海へ」など豪華な選曲となっております。そしてウインド シンフォニー十八番の「横浜市歌」も、清水氏によってスケールの大きいカッコイイ編曲になっていました!(先生の敬愛するジョン・ウィリアムズ調?という噂も)ぜひお楽しみに♪
ひとたび合奏練習が始まると、会場の雰囲気は一気に真剣モードへ。特に細かいパッセージの多い「TAONGA」では清水氏の指導にも一層の熱がこもります。
練習終了後、音楽監督の戸田顕氏からは「年々良くなっているね」との太鼓判をいただき、指揮者清水氏も「これから楽しみです。」と手応えを感じたようでした。
メンバーの中には、完全燃焼してお疲れの声も聞かれましたが、いかに練習に夢中だったのかが伺えますね。
指導者と奏者の間にも、目に見えない団結力を感じられた練習となりました。

 この日は、読売新聞大阪支社の取材も入り、練習風景の写真撮影や、インタビューなどもありました。5月20日(火)、大阪地域の夕刊に掲載されるそうなので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。

…という感じで、本番6月1日に向けて盛り上げて参りますので、どうぞお楽しみに! 次回は、4月27日(日)第2回合奏練習です。その模様も追ってレポートいたします。


■横浜開港祭 チャリティー吹奏楽コンサート ザ ブラス クルーズ 2008

【日時】2008年6月1日 (日) 12:00開場/12:30開演
【会場】横浜みなとみらい大ホール
【出演団体】

 ★ザヨコハマウィンドシンフォニー/指揮 清水 大輔
★東京都立 杉並高等学校吹奏楽部
★東海大学付属 高輪台高等学校中等部吹奏楽部
★水戸市立 笠原小学校金管バンド部/指揮 浅野正樹
★神奈川県警察音楽隊
※出演順/演奏順は未定。

【入場料】前売:S席1900円 A席1400円 B席900円
(当日券は料金割増となります。また充分にご用意できない場合があります。)

【チケット取り扱い】

 3月1日(土)より一般発売/
横浜みなとみらいホールチケットセンター TEL:045-682-2000
セントラル楽器 TEL:045-324-3111

 また、各出演団体からは出演団体用優先席を販売いたします。

 ※お近くの「電子チケットぴあ」取扱のコンビニでもお買い求めになれます。
その際には、Pコード:283-729 をお店の方にお申し出下さい。
http://t.pia.jp/index.html

【問い合せ】

 横浜開港祭 ザ ブラス クルーズ実行委員会
Tel:045-260-7566/Fax:045-260-7567
ホームページ : http://www.the-brass-cruise.org
E-mail:usmc6120@yahoo.co.jp

NEC玉川吹奏楽団 第27回定期演奏会(5/31)…バーンズの「テューバ協奏曲」吹奏楽伴奏バージョン本邦初演。こいつは、決して聴き逃せないぜ!

 職場の名門バンド、NEC玉川吹奏楽団の「第27回定期演奏会」が5月31日(土)にミューザ川崎シンフォニーホールにて開催される。
今回はフィリップ・スパークの名曲「二つの流れのはざまに」をはじめ、なんと、あのジェームズ・バーンズの「テューバ協奏曲」(吹奏楽伴奏バージョン本邦初演)といった、聴き逃せないプログラムがたっぷり。
ちなみに「テューバ協奏曲」でソロを担当するのは、侍Brassのメンバーでもある次田心平氏(2007年度日本管打楽器コンクールテューバ部門第1位)。
吹奏楽の演奏で、こういったテューバの協奏曲が聴ける機会はめったにないことなので、テューバ吹きの皆さんは、今からしっかりとカレンダーにチェックを入れておきましょうね。


■NEC玉川吹奏楽団 第27回定期演奏会

【日時】5月31日(土)12:50開場/13:30開演
【会場】ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川県川崎市)
【料金】前売 S席1,000円、A席800円、B席500円
「ぴあ」で発売中 Pコード288-050
【指揮】稲垣征夫
【ゲスト】次田心平(侍Brassテューバ奏者、
2007年度日本管打楽器コンクール(テューバ部門)第1位)

【プログラム】

【第一部】
1.マーチ「ベル・オブ・シカゴ」(J.P.スーザ/J.ブージョワ校訂版)
2.ワルツ「芸術家の生涯」 (J.シュトラウス2世/磯崎敦博編曲)
3.二つの流れのはざまに
~「われらが神は堅き砦」による変奏曲~(P.スパーク)

【第二部】
4.バレエ音楽「ドン・キホーテ」より(L.ミンクス/近藤久敦編曲)
5.テューバ協奏曲(J.バーンズ)【吹奏楽伴奏バージョン本邦初演】

【第三部】
6.交響組曲パイレーツ・オブ・カリビアン
~「デッドマンズ・チェスト」 (H.ジマー/J.ブコック編曲)
7.ミュージカル「ザ・ウィズ」より (Q.ジョーンズ/西野淳編曲)

【問い合わせ】楽団HP http://www2s.biglobe.ne.jp/~kshin/tband/

■スピリット・オブ・キリアン・ヒル(作曲:ロバート・シェルドン)

 日本とは違い、学校のカリキュラムの一環として、吹奏楽を選択することのできるアメリカでは、スクール・バンドと作曲家の間にも、互いの信頼に基づいた協力関係が築かれている。この結果、バンドは、自らの実情に合わせた作品を身近な作曲家に委嘱して作曲してもらうことができ、こういった創作活動の中から、幾多のすばらしい作品が生まれている。

 スクール・バンドのためにおびただしい数の作品を提供し、全米学校バンド・ディレクター協会から、“ヴォルクウェイン賞”、“スタンバリー賞”の両賞が贈られたほか、アメリカ作曲家・著作家・出版者協会(ASCAP)の“スタンダード賞”を受賞したウィンド・バンド作品も実に17曲を数えるという、ロバート・シェルドンも、このジャンルに大きな貢献を続けている作曲家のひとりだ。

 米ジョージア州リリバーンのトリッカム・ミドル・スクールの音楽部の委嘱で作曲され、2007年1月21日、同校で行われたコンサートで、作曲者自身の客演指揮で初演された『スピリット・オブ・キリアン・ヒル (The Spirit of Killian Hill)』も、シェルドンのそういった活動の中から生み出された作品だ。

 この作品の完成時のエピソードが面白い。

 委嘱時の条件で、同校のバンド、オーケストラ、コーラスが合同演奏できるように作曲されたこの作品は、オリジナルの曲名が、今とは少し違って『スピリット・オブ・ストーン・マウンテン』というものだった。

 合同演奏で、コーラスが歌うのは、同校の生徒の合作になる歌詞だったが、ここで関係者の間で議論になった(といっても悪い意味ではない)のが、曲名に使われていた“ストーン・マウンテン”だった。それは、確かにこの学校の校区にあるエリア名のひとつで、シェルドンは、気を利かせて今度の委嘱作の曲名に取り入れたつもりだった。しかし、学校関係者にとっては、“ストーン・マウンテン”より、もっと地元を強く意識させるエリア名があった。それが現在の曲名に使われている“キリアン・ヒル”で、当然のことながら、それは生徒たちが作った歌詞の中にも含まれていた。

 その一方、作曲者が指揮した初演自体は大成功!! しかし、学校関係者にとっては、どうしても曲名がシックリこない。それで、彼らはシェルドン先生に御伺いをたて、曲名を自分たちのお気に入りに変えてもらうことに決めた。交渉の結果、幸いなことに作曲家の同意を得て、曲名は公式に現在のものに変更されることになった。そして、関係者一同、すべてハッピー!! ハッピー!!

 しかし、なんともバツが悪いというべきか、その後、この作品が、コーラスを省いた純粋なバンド曲として出版されることになったとき、この曲名変更の件が、どうやら出版社内部において徹底して伝わらなかったようだ。

 出版されたスコアを見ると、大きな曲名はすべて正しく現曲名になっているが、スコアの表紙にある簡単なプログラム・ノートの中の曲名が、なんとオリジナルのまま、『スピリット・オブ・ストーン・マウンテン』と、デーンと印刷されている。それも、一番目立つ文頭で!!

 後日、このことをシェルドン本人に正すと、ただただ苦笑するばかり。(みなさん、反面教師にしましょうね!!)

 そんなハプニングがあるにはあったが、曲自体は、とても愉快な作品で、急~緩~急のスタイルで書かれ、原曲に歌があったことをイメージさせる親しみやすい旋律が耳に残る、さわやかタッチの演奏会序曲となっている。また、もともと3つの異なるグループの合同演奏用に書かれた、ということもあるのだろう。大編成から小編成までのいろいろな人数で演奏しても、シンプルなオーケストレーションが功を奏し、すばらしい演奏効果が期待できる。屋外でもOKだ。

 この曲も、2008年4月発売の、秋山和慶指揮、大阪市音楽団演奏のCD「ニュー・ウィンド・レパートリー2008」(大阪市教育振興公社、OMSB-2814)に収録されたことにより、日本でも多くのバンドによって演奏されることになるだろう。


【編成】

Flute
Oboe
Bassoon
B♭ Clarinets (Ⅰ、Ⅱ)
E♭ Alto Clarinet
B♭ Bass Clarinet
E♭ Alto Saxophones (Ⅰ、Ⅱ)
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Bariton Saxophone
B♭ Trumpets (Ⅰ、Ⅱ)
Horn
Trombones (Ⅰ、Ⅱ)
Euphonium
Tuba
Timpani
Mallet Percussion (Glockenspiel)
Percussion (Snare Drum、Bass Drum、Clash Cymbals、Suspended Cymbal、Triangle)

【楽譜】

2007年、米Alfred


ロバート・シェルドン Robert Sheldon

1954年2月3日、米ペンシルヴェ二ア州チェスターに生まれる。マイアミ大学に学び、音楽教育で音楽学士号を、ついでフロリダ大学に進み、器楽指揮で芸術修士号を取得した。フロリダ、イリノイの両州のパブリック・スクールで器楽を教えたほか、フロリダ・ステート大学でも教鞭をとった。全米学校バンド・ディレクター協会から、ヴォルクウェイン賞、スタンバリー賞の両賞が贈られ、アメリカ作曲家・著作家・出版者協会(ASCAP)のスタンダード賞を受賞したウィンド・バンド作品も17曲を数える。速筆、多作家で、作曲活動の傍ら、イリノイ・セントラル・カレッジのプレイリー・ウィンド・アンサンブルの専任指揮者をつとめている。

川越奏和奏友会吹奏楽団 創立30周年記念「第32回定期演奏会」(5/4) BP読者(5組10名様)チケット当選者発表!

 今年で創立30周年を迎えた川越奏和奏友会吹奏楽団の「第32回定期演奏会」が5月4日(日)に所沢市民文化センターMUSEアークホールにて開催される。

 川越奏和といえば、言わずと知れた日本を代表する名門バンドの1つ。昨年(2007年)の全日本吹奏楽コンクールでも、ラヴェル作曲(arr.天野正道)の「左手のための協奏曲」を演奏して、見事金賞を獲得。多くの吹奏楽ファンを熱狂させた。

 気になるプログラムですが、今年もラフマニノフの「交響的舞曲 第三番」をはじめ、先日発売になったばかりの話題のCD「天野正道 meets SEGA」より、天野氏の新作「交響組曲MK2」の初演など、魅力的な作品がズラリと勢ぞろい。聴き逃すと、ちょっともったいないかもよ。

プレゼント当選者

小長谷 博
コーヘイ
矢口国彦
川端和博
松井泰之、他

上記、当選者の皆さんにはチケットを2枚づつ、
本日(4月30日)発送しておきましたので、楽しみに待っててくださいね。

■川越奏和奏友会吹奏楽団 創立30周年記念
全日本吹奏楽コンクール3年連続出場記念
第32回定期演奏会

【日時】2008年5月4日(日) 13:20開演/14:00開演
【会場】所沢市民文化センターMUSE アークホール
【料金】S席1000円(1階指定席)、A席700円(2・3階自由席)
【曲目】

奏楽Ⅵ(委嘱初演)/飯島俊成
呼び声は空の彼方より/後藤 洋
ヴォルケーノ~吹奏楽のための行進曲/諏訪 雅彦
ストラットフォード組曲/H.ケーブル
Fanfare Symphonique/天野正道
交響組曲「MK2」より(初演)/天野 正道
交響的舞曲 第三番 作品45/S.ラフマニノフ、他

【問い合わせ】当団広報係
E-Mail sohwa_w_e@hotmail.com
HomePage http://www.sound.jp/kswe/

吹奏楽による「奏楽堂の響き2」…埋もれた作品を後世に伝える貴重な演奏会

日時:2008年4月27日(日) 18:15開演
場所:旧東京音楽学校奏楽堂
レポート:大澤夏精(フリーライター)

埋もれた作品を後世に伝える貴重な演奏会

 2008年4月28日、旧東京音学学校奏楽堂で「奏楽堂の響き2」が開催されたので、足を運びました。演奏のリベラ・ウィンドシンフォニーは音楽監督の福田滋氏の元、貴重な邦人作品の発掘、演奏に力を入れており、2006年に行われた「奏楽堂の響き」では、芥川也寸志の『東京シティユニバーシアード・マーチ』(1967)や別宮貞雄の組曲『映像の記憶』(1987/06)、眞鍋理一郎への委嘱作『三つのマーチ』初演を含む魅力的なプログラムで大きな反響を呼びました。また「奏楽堂の響き」をはじめ、「別宮貞雄管楽作品コレクション」「團伊玖磨吹奏楽作品集 Vol.1」といったCDがスリーシェルズレーベルからリリースされており、その演奏を聴くことが出来ます。

 さて、この日、最初の作品は團伊玖磨が神奈川芸術フェスティバルのために作曲した『ファンファーレ』(1994)。僅か1分30秒の短い作品ながら、明朗な旋律には團の個性が見事に凝縮されていました。続けて演奏されたのは芥川也寸志の『「祝典行進曲」 №3 行進曲』(1959)。芥川の吹奏楽曲では、『マーチ1979「栄光を目指して」』、行進曲『風に向かって走ろう』(1982)、前述の『東京ユニバーシアード・マーチ』が知られていますが、『祝典行進曲』は、これまで演奏される機会がなかったことが到底信じられない傑作。まるでバリー・グレイの『サンダーバード』を先取りしたかのような迫力で、とにかく圧倒されました。

 ここからの3曲は、共に1907年生まれの作曲家によるもの。松平頼頼の『日本舞曲第2』(1943)は、牧歌的雰囲気を携えた、なんとも穏やかな作品。松平頼頼といえば、戦後になって雅楽と12音を融合させ、自らのスタイルを確立しましたが、先日オーケストラ・ニッポニカで蘇演された『南部子守唄を主題とするピアノとオルケストルの為の変奏曲』(1939)といい、前衛に走る以前の松平作品も、もっと注目されるべきではないでしょうか。
平尾貴四男の諧謔曲『南風』(1943)は南進政策をイメージした作品だそうです。平尾の特徴である雅楽的な要素を内包しつつ、終結部に向かっての畳み掛ける展開には、まさしく鬼気迫るものがあり、作曲された時代を想像せずには入られませんでした。
そして近年、再評価が進んでいる須賀田磯太郎の『フーガによる舞踏曲』。作曲年代は不明ですが、軍楽隊の演奏で放送されたらしく、戦中の作品であることは間違いなさそうです。力強さの中にも華麗な響きを併せ持ち、フーガ形式で次々と紡がれていく陽性な旋律が妙に耳に残りました。

 早坂文雄の映画音楽第2作目となる『海軍爆撃隊』(1940)は、今回のプログラム中で注目を集めた作品のひとつ。演奏の経緯は以下の通りです。リベラの音楽監督・福田滋氏が近代音楽館でマイクロフィルムに収まっていた同作のスコアを発見、遺族の許可を取りつけ、今回の演奏会のために吹奏楽用に編まれました。
なお、06年には、映画の短縮版フィルムが発見、復元作業を経て第5回京都映画祭で上演されました。永らく埋もれていた作品と音楽に相次いで光が当てられたわけですが、お互い呼び合っていたのか、なんとも不思議な出来事ではないでしょうか。
編曲は陸上自衛隊東部方面音楽隊所属の平原伸也氏の手によるもので、映画のトップとラストシーンを彩った音楽で構成されています。冒頭のミリタリスティックなスネアドラムと共高らかに鳴り響くトランペットのファンファーレに感情を鼓舞され、小気味良いリズムが、なんともいえない高揚感をもたらしてくれました。とにかく早坂の作品は破棄、もしくは散逸してしまったものも少なくないので、こうして新たな作品に接することが出来たのは、この上ない喜びです。

 そして伊福部昭の新発見のマーチ曲『マルシュ・トゥリヨンファル』も本演奏会の注目曲で、執拗なオスティナートにゼネラル・パウゼが効果的に用いられ、否応にも興奮を盛り上げてくれました。
原曲は二台のピアノを含んだ管弦楽作品で、詳細は不明ですが、本作も戦中の作品であることはまず間違いないでしょう。伊福部門下の今井重幸氏から伺ったお話では「あんなに筆跡が荒い先生のスコアは見たことがありません」とのことで、かなり急いで書かれたようです。
編曲は『レディアント・マーチ』(1999)や『祝典のための協奏的断章』(2002)など、吹奏楽の分野においても優れた手腕を発揮している、伊福部門下の作曲家・今井聡氏が手掛けました。荒書き故かスコアには訂正を要する箇所も多く、必ずしも原曲の忠実な再現にはなっていないそうですが、伊福部音楽を熟知した今井聡氏の編曲だけあって、今回演奏された吹奏楽版は、まさに伊福部音楽そのものと言っても過言ではありません。また作品からは後の映画でも使われた伊福部マーチの萌芽や、『兵士の序楽』(1944)と共通する要素なども見られ、これを機に作品についての詳しい研究がなされることはもちろん、オリジナルの管弦楽版での演奏に繋がってゆくことを切に願います。

 『シロフォン小協奏曲』(1965)も今回楽しみにしていた作品。というのも黛は『涅槃交響曲』(1958)やオペラ『金閣寺』(1976)といった大作があまりに傑作過ぎたためか、それ以外にも優れた作品が多数あるにも関わらず、焦点を当てられることがほとんどないからです。さらに言及するなら、昨年は黛の没後10年でありましたが、彼を顧みて業績を讃えるコンサートの類は一切行われず、このような状況は異常であるとしか言いようがありません。いささか話が脱線しましたが、本作は「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、「アダージェット」、「プレスト」の3楽章から成り、いずれの楽章も黛らしくウィットとエスプリに富んでおり、とても親しみやすい作品です。片岡寛晶氏によるマリンバも瑞々しい演奏で、その魅力を十二分に引き出していたと思います。

 前半の最後は、2007年に没した松村禎三を追悼し、『交響曲』(1965年)より第3楽章を演奏。陸上自衛隊中央音楽隊所属の宗形義浩氏の編曲です。松村の作風と吹奏楽は、正直あまり結びつくものがありませんでしたが、激しく衝突する音の塊は、なかなかどうして、吹奏楽の響きとしても、大変面白いものがありました。オリジナルの吹奏楽作品を書かれなかったことが残念でなりません。

 休憩を挟み後半は、北爪道夫の小品『森のファンファーレ』(2005)からスタート。「愛・地球博」のために書かれた作品で、ウッドブロックによって非常に分かりやすく、森の雰囲気が表現されています。

 そして湯浅譲二のラジオ・ドラマ『火星年代記』より「March」(1966)は、アメリカのSF作家、レイ・ブラッドベリの小説を原作としたラジオ・ドラマの劇伴。もともとは小編成で書かれたものですが、ここでは編成を拡大した上、中間部を繰り返した形で演奏されました。湯浅といえば、前衛音楽の旗手として高い評価を得ていますが、一方で九重佑三子の『コメットさん』(1967)や童謡『はしれちょうとっきゅう』(1967)といった作品もあり、

 本作もそれらと同様、湯浅のメロディメーカーとしての才能が遺憾なく発揮された作品でした。なお、この「March」は後の行進曲『新潟』(1973)にモチーフが流用されており、そういった意味でも非常に興味深い演奏でした。

 『夕鶴幻想』(2007年)は、團伊玖磨のオペラ『夕鶴』をテーマに、弟子の白石茂浩によって書かれた作品。ただ原曲はフルート・ソロと弦楽合奏の編成であるため、今回、福田滋氏が吹奏楽用に編み直した版で演奏されました。フルート独奏の江尻和華子さんの演奏も素晴らしく、永久不変の魅力を持つ、夕鶴の美しい旋律を堪能させていただきました。

 そして『SF交響ファンタジー第2番』(1983)。伊福部の映画音楽をコンサートピースに編み直した作品としては、1~3番の三部作、そして『交響ファンタジー ゴジラVSキングギドラ』(1991)が存在します。リベラ・ウィンドシンフォニーでは2004年に同じ福田滋氏の編曲&指揮により第1番を初演しており、それに続く待望の吹奏楽版での初演となりました。『SF交響ファンタジー』は、有名なゴジラのテーマを含む第1番が取り上げられることがほとんどで、第2番のみが独立して演奏されるのはオーケストラ版でも滅多にありません。そういった意味でも貴重な演奏といえるでしょう。作品は『奇巌城の冒険』(1966)、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)、『キングコング対ゴジラ』(1962)、『モスラ対ゴジラ』(1964)、『大怪獣バラン』(1958)、『キングコングの逆襲』(1967)、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966)、『空の大怪獣ラドン』(1956)といった映画のための音楽を素材として構成されており、いわゆる伊福部マーチは、折り目正しく実に堂々たる演奏でありましたが、反面、怪獣のモチーフはもっと猛々しく聴かせて欲しかったです。

東京音大出身で、若干23歳の新進作曲家・木山光の『Black Symphony』は今回の委嘱新作。動画サイトにアップされている彼の作品を聴くと、どうやら破壊的ともいえる大音量が特徴であるらしく、140デジベルもの爆音を持つ彼の作品の初演では、なんでも耳栓が配られたこともあるそうです。『Black Symphony』もまた同じように爆音を意図して書かれた作品ですが、いざ演奏が始まってみると、音のほうは思いのほか、気になりませんでした。むしろ轟音を巧みに吹奏楽に落とし込んでおり、作品として素直に楽しめるものでした。実際のデシベル数はさておき、先に演奏された松村の『交響曲』や、『SF交響ファンタジー第2番』のキングギドラやキングコングのライトモチーフのほうが、ある意味うるさく感じられました。本作はさしずめサティの『家具の音楽』といったところでしょうか。

コンサートの最後を飾るのは黛敏郎『NTVスポーツ・ニュース・テーマ音楽「スポーツ行進曲」』(1953)。全日本プロレスの番組テーマ曲としても使われ、ある意味もっとも広く知られている黛作品といえましょう。これまで普及していた吹奏楽版の楽譜はかなりいい加減なものだったそうで、ここでは松木敏晃氏の手による新たな楽譜を使用、原曲のニュアンスを巧みに掬い取ったアレンジと、血沸き肉踊る演奏で「奏楽堂の響き2」は幕を閉じました。

 吹奏楽の分野においては、オーケストラに比して、邦人作品が取上げられる機会も多く、現代においても数多くの作品が、生み出されております。しかしながら、妙にアカデミックな前衛に被れたもの、或いは正反対に俗っぽいもの、はたまた演奏する側に阿ったものなど、純粋な演奏会用作品となると、正直、疑問を感じるものも少なくありません。
そんな中、「奏楽堂の響き2」は、古い時代の作品を中核に据えたプログラムでしたが、いずれの作品も鑑賞に耐え得る大変魅力的なものばかりであったかと思います。近年、リベラ・ウィンドシンフォニーの活動を例に出すまでもなく、埋もれた邦人作品への再評価が各分野において、徐々に高まりつつありますが、一方でこうした活動を異質なものとして捉える向きがあることも耳にします。例えば「検証する機会としては意味があるが、作品としては……」といった意見です。
しかしながら、単に「演奏される機会がない」とか「珍しい作品」といったことではなく、確かな審美眼の元、優れた、そして価値のある作品だからこそ取上げるという姿勢は、高く評価されてしかるべきではないかと思います。ともすれば作品検証といった側面ばかりがクローズアップされがちな企画ですが、充実したプログラムを通じ、そうした部分を強く実感した次第です。

 何より、幻ともいえるこれらの作品を楽譜の発掘からはじまって、演奏に漕ぎ着けるまでには、並々ならぬ苦労があったことは想像に難くありません。演奏自体は後半さすがに若干の息切れも感じられたものの、団員のほとんど(全員か)が演奏するのがはじめての作品ばかりという中、作品へかける意気込みは前回にも増して強く感じられ、それは演奏にも確実に反映されており、いずれの作品からもひしひしと伝わってきました。

 但し、問題がなかったわけではありません。前回同様、曲間には司会者による短いトークが入るスタイルで進行されましたが、正直これには興を削がれました。「ああして、司会を入れるのは吹奏楽コンサートの悪習だ」との声も筆者の周りでは聞かれました。司会者自身も「お手元のプログラムに詳しく」と度々発言されていたように、わざわざ司会を立てる意味が果たしてあったのでしょうか。この点に関しては関係者一同、どうかご一考願いたいと強く思います。加えて開演前に音楽評論家の上野晃氏を招いて行われたプレトークでは、上野氏の話が非常に聞き取り難かったことも惜しまれます。

 今回、2回目となる「奏楽堂の響き」を終えたわけですが、北爪道夫氏が「繰り返し演奏していくことに意味がある」と発言しておられたように、今後は「奏楽堂の響き」はもちろん、それ以外での演奏会の実現にも期待したいものです。
前回の『三つのマーチ』、そして今回、舞台初演された『「祝典行進曲」 №3 行進曲』、『海軍爆撃隊』、『マルシュ・トゥリヨンファル』などは、リベラにとっても大きな財産といえるのではないでしょうか。是非とも再演の機会を設けてほしいです。

 そして願わくは、このような意欲的な企画が多くの団体へ波及すると共に、これまであまり脚光を浴びる機会のなかった、邦人作品への関心が高まっていくことを切に期待します。

 末尾になりますが、このような素晴らしい演奏会を実現された、音楽監督の福田滋氏とリベラ・ウィンドシンフォニーの皆様、そして企画者の西耕一氏をはじめとした多くの関係者に厚くお礼申し上げます。

(2008.05.16)


【リベラ・ウィンド・シンフォニー関連のCD】
Libera Wind Symphony

■奏楽堂の響き~吹奏楽による「奏楽堂ゆかりの作曲家たち」
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1028/

■團伊玖磨吹奏楽作品集 Vol.1
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0777/

■別宮貞雄 管楽作品コレクション
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1447/

■ビムス・エディションズ・バンド・コレクション Vol.1
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0714/

■ビムス・エディションズ・バンド・コレクション Vol.2
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1102/

リードやジェイガーなど、懐かしの吹奏楽オリジナルを大阪市音楽団がキング・レコードに収録!! 発売は、6月25日の予定だ!!

 2007年9月、アルフレッド・リードやロバート・ジェイガーなど、70年代によく演奏された懐かしのオリジナル曲ばかりを集めたコンサート「青春の吹奏楽 名曲セレクション」が好評を博した大阪市音楽団が、そのときのレパートリーをキング・レコードに録音した。

 レコーディングは、2008年4月15~16日の両日、京都府・八幡市文化センター大ホールで行われ、北原幸男の指揮で、以下のレパートリーが収録された。

・フェスティヴァル・プレリュード(アルフレッド・リード)
・アルメ二アン・ダンス(パートⅠ)(アルフレッド・リード)
・マスク(フランシス・マクベス)
・インヴィクタ序曲(ジェームズ・スウェアリンェン)
・シンフォ二ア・ノビリッシマ(ロバート・ジェイガー)
・吹奏楽のための第1組曲(グスターヴ・ホルスト)
・朝鮮民謡による変奏曲(ジョン・バーンズ・チャンス)
・吹奏楽のための民話(ジム・アンディ・コーディル)

 タイトルは「わが青春の吹奏楽 ブラバンR35」(仮称)(キング・レコード、KICC-696)で、発売は6月25日の予定。

■キャッツ・テイルズ(作曲:ピーター・グレイアム)

エルマー・バーンスタイン、ヘンリー・マンシー二、ソニー・ロリンズ、
ジョージ・ガーシュウィン、レナード・バーンスタインへの
トリビュートとして書かれたジャズ・テイスト満開のスーパー・ウィンド・ポップス!!

 今では誰もが知っている『ハリスンの夢』のスーパー・ヒットに始まり、『ゲールフォース』『ザ・レッド・マシーン』『地底旅行』などなど、新作発表のたびに世界中のウィンド・ミュージック・ファンを熱中させているイギリスの作曲家ピーター・グレイアム。

 その書き下ろし新作『キャッツ・テイルズ』が、またまた、ここ日本において、指揮: 秋山和慶、演奏: 大阪市音楽団のCD「ニュー・ウィンド・レパートリー2008」(大阪市教育振興公社、OMSB-2814)に世界初録音された。

 大都会ニューヨークに因んだ、5人の音楽家たちへのトリビュートとして書かれたこの作品は、委嘱時の提案で、当初から、サクソルン属を中心とする金管楽器10名と打楽器2名からなる“テンピース・ブラス・アンサンブル版”、“ブラス・バンド版”、“ウィンド・バンド版”の、異なる3つの編成用のバージョンが企画された野心作で、最も早く2007年に完成したオリジナルのテンピース版は、2008年1月28日、東京文化会館小ホールにおいて、トレイルブレイザーズ・テンピース・ブラスの演奏で世界初演され、やんやの拍手喝采を浴びる大成功を収めた。

 つづく、“ブラス・バンド版”と“ウィンド・バンド版”は、前記“テンピース・ブラス・アンサンブル版”と同じスケッチから作られたが、インストゥルメンテーションの違いを生かす意味で、それぞれ違ったアイディアやフレーズが盛り込まれており、編曲ではない。

 両者はともに2008年1月にオーケストレーションを完了。ブラス・バンド版は、イギリスのブラック・ダイク・バンドのリハーサルにかけられた後、同2月9日、ベルギー・ハレ市のヴォンデル文化センターにおいて、リュク・ヴェルトッメン指揮、ブラスバンド・バイジンゲの演奏で初演され、ウィンド・バンド版は、2月17日、京都府・八幡市文化センター大ホールで行われた前記の大阪市音楽団のCDセッションで世界初録音された。

 ウィンド・バンド版の公開での世界初演は、同4月27日、大阪国際交流センターにおける「大阪市音楽団吹奏楽フェスタ2008」(2日目)のオリジナル・コンサート(指揮: 小松一彦)となる。

 曲は、第1楽章『カタロニア (EBのために) 』、第2楽章『キャットウォーク (HMのために)』、第3楽章『スキャット! (SRのために)』、第4楽章『キャットナップ (GGのために)』、第5楽章『トッカータ (LBのために)』という、独立した5曲構成の組曲。各タイトルのイニシャルが物語るように、エルマー・バーンスタイン、ヘンリー・マンシー二、ソニー・ロリンズ、ジョージ・ガーシュウィン、レナード・バーンスタインという、5人の音楽家へのトリビュートとして書かれ、ジャズ・テイストも満開。おなじみの曲のフレーズの断片やハーモニーを生かしたコントラファクトとなっているので、演奏者だけでなく、聴衆をぐんぐん音楽に引き込んでいく。

 トランペット、トロンボーン、テナー・サクソフォン、ヴィブラフォンなどなど、ソロもビシバシ!! 全曲をやるもよし、どれかの楽章をフィーチャーするもよし。いずれにしても、演奏会場を興奮のるつぼと化す、スーパー・ウィンド・ポップスがここに誕生した!!


【編成】

Piccolo
Flutes (Ⅰ、Ⅱ)
Oboe
Bassoon
B♭ Clarinets (Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)
B♭ Bass Clarinet
E♭ Alto Saxophone (Ⅰ、Ⅱ)
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone
B♭ Trumpets (Ⅰ<doub.Flugelhorn(opt.)、Ⅱ、Ⅲ)
Horns (Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ)
Trombones (Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)
Euphoniums (div.)
Tubas (div.)
String Bass
Timpani、
Mallet Percussion (Xylophone、Vivraphone)、
Percussion (Drum Set、Bass Drum、Clash Cymbals、Tam-Tam、Triangle、Cowbell、Wood Block、Claves、Guiro)

【楽譜】

2008年、英Gramercy


ピーター・グレイアム Peter Graham


1958年12月5日、スコットランドのラナークシャーの音楽一家に生まれる。エディンバラ大学およびロンドン大学ゴ-ルドスミス・カレッジのエドワ-ド・グレッグスンのクラスに学び、作曲で博士号を取得。1983~86年の間、米ニューヨーク市でフリーランスの作・編曲家として活動。BBCを始め、放送、録音の世界でも活躍し、作編曲を担当したシロフォン奏者エヴリン・グレニーのCDは、“グラミー賞1999”の“ベスト・クラシカル・クロスオーヴァー・アルバム”に選ばれた。“ABAオストウォルド作曲賞2002”に輝いた『ハリスンの夢』ウィンド・バンド版(2000)など、ウィンド・バンドやブラス・バンドのための作品は、新作発表のたびに世界を熱狂させている。現在、マンチェスターのソルフォード大学作曲科教授をつとめている。

■スタースケイプス(作曲:ブライアン・バルメイジェス)

 アメリカのコンテンポラリーな作曲家に興味のある人には、フリーランスのオーケストラ・トランペット奏者として活躍し、ウィンド・バンドだけでなく、オーケストラやアンサンブル、ソロ曲など、幅広いジャンルに作品を書いているブライアン・バルメイジェスは、意外と知られた存在だ。

 教育音楽にも高い関心を持つこの作曲家は、ハイ・スタンダードな曲ばかりでなく、スクール・バンド向きにも実に多くの作品を書いている。

 アメリカ、ノース・カロライナ州のナッシュ=ロッキー・マウント・ミドル・スクール・オーナーズ・バンドのために作曲され、2007年3月23日、ノース・カロライナ・ウェスリーヤン・カレッジのコンサートで作曲者の客演指揮で初演された『スタースケイプス(Starscapes)』もそんな1曲だ。

 夜空に輝く3つの星座、「オリオン座」「りゅう座」「ぺガスス座」にまつわるギリシャ神話からイマジネーションを得た独立した3楽章構成のこの組曲は、演奏時間ほぼ5分30分。使われている楽器の種類も少なく、楽譜上のグレード表示も“Grade 2”という作品にも関わらず、巧みなオーケストレーションにより、小編成から大編成まで、どんなサイズのバンドでも高い演奏効果が期待できる作品となっている。

 ここで各楽章のテーマとなっている星座の本を紐解くと、おもしろいことに、各星座には実にさまざまな神話が残されていることがわかる。この作品は、作曲者がそういった話の中からふさわしいものを自由に選んでイメージをふくらませ、つぎのような音楽として描いたものだ。

 第1楽章「オリオン座 (狩人)」では、まず導入で満天の星空が映し出された後、海の神ポセイドンの子で腕のいい狩人“Orion”の威厳のあるキャラクターが。つづいて、第2楽章「りゅう座 (ザ・ドラゴン)」では、従者を喰い殺したためにフェニキア王子カドモスに成敗された泉の番人である大蛇“Draco”のキャラクターが。そして、最後の第3楽章「ペガスス座 (翼をもつ馬)」では、天馬“Pegasus”が大空を疾駆する様がスピード感あふれるギャロップとして。

 また、曲中、第2楽章の最後の部分には、ライオン・ロアという打楽器を使った“Draco”の叫び声が仕掛けられている。“威嚇”なのか、それとも“断末魔”の叫びなのか。とにかく、これには聴衆を演奏に一気に惹きつけてしまうだけの劇的な効果がある。(バカ受け、間違いなし!!)

 親しみやすく、平易な旋律ラインにも関わらず、ほどよい品性を保ちながら愉しめるこの作品。その作曲者、バルメイジェスの名は、秋山和慶指揮、大阪市音楽団演奏のCD「ニュー・ウィンド・レパートリー2008」(大阪市教育振興公社、OMSB-2814)にも収録されたことにより、日本国内での認知度も一気に高まることだろう!!


【編成】

Flutes (Ⅰ、Ⅱ)
Oboe
Bassoon
B♭ Clarinets(Ⅰ<div.>、Ⅱ<div.>)
B♭ Bass Clarinet
E♭ Alto Saxophones (Ⅰ、Ⅱ)
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone
B♭ Trumpets (Ⅰ<div.>、Ⅱ)
Horn
Trombones (Ⅰ、Ⅱ)
Euphonium
Tuba
Timpani
Mallet Percussion (Xylophone、Glockenspiel、Chime)
Percussion (Snare Drum、Bass Drum、Floor Tom、Low Tom、Clash Cymbals、Suspended Cymbal、Tam-Tam、Triangle、Wind Chimes、Vibraslap、Lion’s Roar<opt.>)

【楽譜】

2007年 米FJH


ブライアン・バルメイジェス Brian Balmages

1975年1月24日、米メリーランド州ボルティモアに生まれる。父親がトランペット奏者で器楽の教師もつとめるという音楽的環境に育ち、ヴァージニア州のジェームズ・マディソン大学で音楽学士号を、フロリダ州のマイアミ大学で音楽修士号を取得した。作曲活動の傍ら、フリーランスのトランペット奏者として活躍。ミッド・アトランティック・ウィンド・コンダクターズ・カンファレンス等のコンポーザー=イン=レジデンス(座付き作曲家)をつとめる他、ボルティモア交響楽団など、数多くの演奏団体の委嘱作を書いている

ピーター・グレイアム来日決定!! ~ 6/1(日)の「全日本学生吹奏楽連盟第44回大学バンドフェア」で、『ゲールフォース』など、自作を客演指揮。こいつは聴き逃せないゾ!!

 ABAオストウォルド賞受賞作『ハリスンの夢』をはじめ『ゲールフォース』『ザ・レッド・マシーン』など、数々のヒット作品でおなじみのイギリスの作曲家、ピーター・グレイアムが、このほど、全日本学生吹奏楽連盟の招きに応じ、来る2008年6月1日(日)に、京都府・八幡市文化センター大ホールで開催される「第44回大学バンドフェア」に出演し、自作を客演指揮することが決定した。

 グレイアムが登場するのは、バンドフェアのラストを彩るステージで、この日のために全国の大学バンドから参集したメンバーからなる合同バンドを指揮して、人気曲の『ゲールフォース』『カートゥーン・ミュージック』『ザ・レッド・マシーン』を演奏する予定だ。

 今や世界的人気作曲家となったグレイアムが、日本のステージに登場するのは、実はこれが始めて。おなじみの作品が、作曲者の指揮でどのような演奏になるのか、とても愉しみだ!!

 フェアの詳細は、順次主催者から発表の予定だ。今から、カレンダーのその日に赤マルを入れて、チェックしておこう!!


■全日本学生吹奏楽連盟 第44回大学バンドフェア

【日時】2008年6月1日(日) 17:30開場 18:00開演
【会場】八幡市文化センター大ホール(京都府八幡市)
【最寄り駅】京阪電車「八幡市」駅下車、徒歩もしくは京阪バスで

【客演指揮】ピーター・グレイアム
【自作演奏曲目】ゲールフォース(ピーター・グレイアム)、カートゥーン・ミュージック(ピーター・グレイアム)、ザ・レッド・マシーン(ピーター・グレイアム)

【料金】前売り: 600、当日: 800
【問い合わせ】

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