■全英ブラスバンド選手権1988(演奏:デスフォード・コリアリー・ダウティ・バンドほか)

1988年10月8日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された「全英ブラスバンド選手権1988」決勝の模様を収めたライヴ・アルバム。プロデューサーはスタン・キッチン、エンジニアはマイクル・ムーアが担っている。

全国の地区選手権を経てロンドンの決勝にエントリーされたのは、合計19のバンド。テストピース(課題)は、この日のために委嘱された新作、レイ・ステッドマン=アレンの『海の情景』だった。ジョン・メースフィールドの詩「カーゴス」からインスピレーションを得た情景の見える変化にとんだドラマチックな作品だ。

優勝者は、200ポイント満点中、198ポイントをゲットし2年連続優勝となったジェームズ・ワトソン指揮、デスフォード・コリアリー・ダウティ・バンド! 会心の出来のこのライヴは聴きものだ!

他のトラックには、審査発表までの合間に行なわれるガラ・コンサートのハイライトが収められている。

この頃の全英選手権のガラは、トップクラスのバンドによるマスバンドが組まれることが多く、この日もステージに上がったのは、ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・フォーデン・バンド、コーリー・バンド、CWSグラスゴー・バンド、グライムソープ・コリアリー・バンドの4バンドからなる約100名編成の大ブラスバンド! それを当時人気絶頂のハワード・スネルが指揮するということで前評判も上々だった!!

すでに人気作曲家の座を確実なものにしていたジョン・マッケーブの『デザートII – ホライズン』やフィリップ・スパークの『エンデヴァー』といったオリジナルや、コルネットの名手フィリップ・マッキャンをゲスト・ソロイストに招いたデニス・ライトの『コルネット協奏曲』やエコー・コルネットやポストホーンを駆使した『フィリップ・マッキャン・サリュート・ハリー・モーティマー』などが、ロイヤル・アルバート・ホールの豊かな響きの中で愉しめる!

■全英ブラスバンド選手権1988
演奏:デスフォード・コリアリー・ダウティ・バンドほか
The National Brass Band Festival 1988
Desford Colliery Dowty Band and others
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4650/

【データ】

・演奏団体:(曲目欄に記載)
・指揮者:(曲目欄に記載)
・発売元:ポリフォニック(Polyphonic)
・発売年:1989年
・収録:1988年10月8日、Royal Albert Hall, London, U.K.
・メーカー品番

【収録曲】

  1. キャンディード序曲/レナード・ハーンスタイン(arr. ハワード・スネル)【4:24】
    Overture : Candide/Leonard Bernstein(arr. Howard Snell)
    【指揮】ハワード・スネル(Howard Snell)
    【演奏】合同バンド(ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・フォーデン、コーリー、CWSグラスゴー、グライムソープ・コリアリー)(The massed bands of Britannia Building Society Foden, Cory, CWS(Glasgow)and Grimethorpe Colliery)
  2. 祭り(「夜想曲」第2楽章)/クロード・ドビュッシー(arr. トーマス・ウィス)【6:17】
    Fetes/Claude Debussey(arr. Thomas Wyss)
    【指揮】ハワード・スネル(Howard Snell)
    【演奏】合同バンド(ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・フォーデン、コーリー、CWSグラスゴー、グライムソープ・コリアリー)(The massed bands of Britannia Building Society Foden, Cory, CWS(Glasgow)and Grimethorpe Colliery)
  3. コルネット協奏曲/デニス・ライト【10:31】
    Concerto for Cornet/Denis Wright
    【指揮】ハワード・スネル(Howard Snell)
    【演奏】グライムソープ・コリアリー・バンド(Grimethorpe Colliery Band)
    【独奏】コルネット(Cornet):フィリップ・マッキャン(Philip MaCann)
  4. デザートII – ホライズン/ジョン・マッケーブ【12:32】
    Desert II – Horizon/John McCabe
    【指揮】ハワード・スネル(Howard Snell)
    【演奏】合同バンド(ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・フォーデン、コーリー、CWSグラスゴー、グライムソープ・コリアリー)(The massed bands of Britannia Building Society Foden, Cory, CWS(Glasgow)and Grimethorpe Colliery)
  5. 海の情景/レイ・ステッドマン=アレン【14:38】
    Seascape/Ray Steadman-Allen
    【指揮】ジェームズ・ワトソン(James Watson)
    【演奏】デスフォード・コリアリー・ダウティ・バンド(Desford Colliery Dowty Band)
  6. 小さな黒人/クロード・ドビュッシー(arr. ジェフリー・エマースン)【1:50】
    Le Petit Negre/Claude Debussey(arr. Geoffrey Emerson)
    【指揮】ハワード・スネル(Howard Snell)
    【演奏】ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・フォーデン・バンド(Britannia Building Society Foden Band)
  7. フィリップ・マッキャン・サリュート・ハリー・モーティマー(アルペン・エコーズ – ハンティング・シーン – ポストホーン・ギャロップ)【5:24】
    Philip McCann Salutes Harry Mortimer(Alpine Echoes – Hunting Scene – Posthorn Galop)
    【指揮】ハワード・スネル(Howard Snell)
    【演奏】ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・フォーデン・バンド(Britannia Building Society Foden Band)
    【独奏】エコー・コルネット&ポストホーン(Echo Cornet & Posthorn):フィリップ・マッキャン(Philip MaCann)
  8. エンデヴァー/フィリップ・スパーク【12:24】
    Endeavour/Philip Sparke
    【指揮】ハワード・スネル(Howard Snell)
    【演奏】合同バンド(ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・フォーデン、コーリー、CWSグラスゴー、グライムソープ・コリアリー)(The massed bands of Britannia Building Society Foden, Cory, CWS(Glasgow)and Grimethorpe Colliery)

【このCDをBPショップでチェックする】
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4650/

■「BPラジオ 吹奏楽の世界へようこそ」6月の放送予定

毎週(土)23時…FMカオン(厚木・海老名)
http://www.fmkaon.com/

毎週(日)正午…調布FM
http://www.chofu-fm.com/
もちろん、どちらもネット経由で、全国どこででも聴けます!

【第147回】まぼろしの吹奏楽コンクール2020
FMカオン:6/6(土)23:00、【再放送】6/20(土)23:00
調布FM:6/7(日)正午、【再放送】6/21(日)正午

【第148回】「全英ブラスバンド選手権1998」超レア・ライブ!
FMカオン:6/13(土)23:00、【再放送】6/27(土)23:00
調布FM:6/14(日)正午、【再放送】6/28(日)正午

【制作・提供】バンドパワー
【ご案内】富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)

【BPラジオの視聴方法】

【第147回】まぼろしの吹奏楽コンクール2020
FMカオン……6/6(土)23:00、【再放送】6/20(土)23:00
調布FM………6/7(日)正午、【再放送】6/21(日)正午

残念ながら、今年度のコンクールは中止となりました。もし、開催されていたら、どんな自由曲が登場していたでしょうか。昨年度の全国大会で注目を浴びた「隠れた名曲」から、今年度、人気となっていたかもしれない、ユニークな楽曲をご紹介します。

【1】交響曲第1番 より 第1楽章/シベリウス作曲、大竹礼子編曲
愛知県 日進市立日進西中学校、指揮: 大竹礼子【約7分】

【2】歌劇《エレクトラ》より/R.シュトラウス作曲、高木登古編曲
北海道 札幌日本大学高等学校、指揮:木田恵介【約7分】

【3】インヴォカシオン 「エル・プエルト」を元にして/アラルコン作曲
愛知県 光ヶ丘女子高等学校吹奏楽部、指揮:日野謙太郎【約7分】

【4】オペラ「ある水筒の物語」によるパラフレーズ/伊藤康英作曲
東京都 創価大学、指揮:伊藤康英【約7分半】

【5】リグ・ヴェーダ 天地創造への賛歌/清水大輔作曲
静岡県 浜松交響吹奏楽団、指揮:浅田享【約8分半】

【6】タイム・フォー・アウトレイジ! /ビュッツ作曲
宮城県 名取交響吹奏楽団、指揮:奥村伸樹【約8分半】

【第148回】「全英ブラスバンド選手権1998」超レア・ライブ!
FMカオン……6/13(土)23:00、【再放送】6/27(土)23:00
調布FM………6/14(日)正午、【再放送】6/28(日)正午

最近、BPショップで密かに人気を呼んだCD「全英ブラスバンド選手権1998」。いったい、どこがすごいのでしょうか。今回、この番組をお聴きの皆様だけに、おおくりいたします! 課題曲の聴き比べです。同じ曲で、演奏時間に「3分」もの差が!

【1】(ガラ・コンサートより)
リル・ダーリン/ニール・へフティ作曲、スパーク&グレイ編曲
コンスタンティン・キッツオプロス指揮、リチャード・エルマン(コルネット)、ブラスバンド・オブ・バトル・クリーク【約5分】

【2】(課題曲、チャンピオンシップ部門第2位=196点)
月とメキシコのはざまに/フィリップ・スパーク作曲
デヴィッド・キング指揮、ヨークシャー・ビルディング・ソサエティ・バンド【約19分45秒】

【3】(ガラ・コンサートより)
シング・シング・シング/ルイ・プリマ作曲、フリーフ編曲
コンスタンティン・キッツオプロス指揮、ブラスバンド・オブ・バトル・クリーク【約4分半】

【4】(課題曲、チャンピオンシップ部門第1位=197点)
月とメキシコのはざまに/フィリップ・スパーク作曲
アラン・ウィズィントン指揮、プリッグハウス&ラストリック・バンド【16分54秒】

■樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言 第123話 レイランド・ヴィークルズ初来日

▲ツアー・プログラム – The Leyland Vehicles Band of Great Britain Tour of Japan 1980

▲リチャード・エヴァンズ

▲ハリー・モーティマー

▲レイランド・ヴィークルズ・バンド(1980年7月22日、日比谷公会堂 / 「バンドピープル」1980年10月号から(八重洲出版、許諾により転載  / 文・山本武雄 )

1980年(昭和55年)7月27日(日)、快晴。筆者は、国鉄「新大阪」駅から朝一番の東海道新幹線の“ひかり”に乗車。「名古屋」駅ホームで朝食代わりに名物“きしめん”をかきこんで、中央本線の特急“しなの”に乗り継ぎ、一路「長野」へ。帰路は、その逆コースを辿るという日帰り弾丸ツアーを敢行した!!

新幹線に“のぞみ”が登場するかなり以前の話で、当時はこれが大阪から長野へと至る最短、最速ルートだった。途中、新幹線車中のことは何も覚えていないが、中央本線では、初めて乗った国鉄自慢の“振り子電車”の信じ難い乗り心地の悪さだけが、すばらしい沿線の景色以上に記憶に残っている。たぶん、カーブのたびに脳味噌が大きく揺さぶられたからだろう。大阪に帰り着いてからも、何故か体が揺れている感覚だけが残った。

弾丸ツアーの目的は、長野市民会館で午後2時30分から行なわれるイギリスの“レイランド・ヴィークルズ・バンド(Leyland Vehicles Band)”の来日公演!

演奏会情報を得て、事前に長野市の最新地図と時刻表を買い求めてチェックしたら、運よくホールが国鉄「長野」駅から徒歩圏内にあることを発見!それがこの日の“弾丸”を決意させる引き金となった。オーシ!!

“レイランド・ヴィークルズ・バンド”は、《第95話 ナショナル・バンド・オブ・ニュージーランド来日》でお話しした1970年の日本万国博に来演した“ナショナル・バンド・オブ・ニュージーランド(The National Band of New Zealand)”、1979年に来日公演を行った“ウェリントン・シタデル・バンド(Wellington Citadel Band)”(ニュージーランド)についで、海外から日本にやってきた3番目のブラスバンドだ。先に挙げた2つのバンドが、英連邦ながらニュージーランドからだったので、レイランドは、その後も、ブラスバンドの母国イギリスから来日した初のバンドという栄誉を担うことになった。

レイランドのバンド創立は、1946年。イングランド北西のランカシャーで、二階建てバスやトラックを製造する自動車メーカーのバンドとして“レイランド・モーターズ・バンド(Leyland Motors Band)”の名で誕生した。トロンボーンの名手として知られた初代指揮者ハロルド・モス(Harold Moss、1891~1960)の没後、しばらく低迷期が続いたが、1977年になって、バンドが社や製品のプロモーションでいい広告塔になることに気づいた会社が力を入れるようになり、1978年1月にリチャード・エヴァンズ(Richard Evans、1934~)を音楽監督に招聘。全権を委ねられたエヴァンズは、情熱を込めたアツい練習だけでなく、メンバーの大幅入れ替え(オリジナル・メンバーで残ったのは8名だった)まで断行。1979年にレイランド・ヴィークルズ・バンドと改称されたバンドは、その年の10月6日(土)、ロンドンの科学技術専門学校で行なわれた「全英ブラスバンド選手権」セカンド部門決勝で優勝。見事、チャンピオンシップ部門への昇格を果たした。

1980年の初来日は、この若々しいバンドがグイグイ実力を伸ばしていっているその最中、高いテンションの中で実現されたわけだ。

バンドの滞日期間は、7月20日(日)から8月1日(木)。公演日程は、以下のように発表され、プログラムは、3つが用意された。

・7月21日(月) 栃木県教育会館(18:30、Cプロ)

・7月22日(火) 日比谷公会堂(18:30、Cプロ)

・7月23日(水) 神奈川県民ホール(18:30、Bプロ)

・7月24日(木) 山梨県民会館(18:30、Bプロ)

・7月25日(金) 島田市民会館(静岡)(15:00、Aプロ)

・7月26日(土) 習志野文化ホール(千葉)(14:30、Aプロ)

・7月27日(日) 長野市民会館(14:30、Bプロ)

・7月28日(月) 浅草公会堂(東京)(17:30、Bプロ)

・7月29日(火) 川口市民会館(埼玉)(17:30、Aプロ)

・7月30日(水) 新潟県民会館(18:30、Cプロ)

来日した指揮者は、音楽監督のリチャード・エヴァンズと客演指揮者のハリー・モーティマー(Harry Mortimer、1902~1992)のふたり。

この内、エヴァンズは、ロイヤル・ノーザン音楽カレッジ(Royal Northern College of Music)の出身。ランカシャーの実家近くのブリティッシュ・レジョン・バンド(British Legion Band)でコルネットの手ほどきを受け、1952年、英国内の前途有望な青少年からオーディションで選ばれる“ナショナル・ユース・ブラスバンド(National Youth Brass Band of Great Britain / NYBB)”の創立時メンバーとなった。NYBBでは、後にロンドン交響楽団首席トランペット奏者となったモーリス・マーフィー(Maurice Murphy)とともに、プリンシパル・コルネット奏者をつとめ、このとき、指揮者ハリー・モーティマーとの運命的な出会いがあった。

前記のモスが率いるレイランド・モーターズ・バンドやブラック・ダイク・ミルズ・バンド(Black Dyke Mills Band)のコルネット奏者をへて、エヴァンズは、BBCノーザン交響楽団(BBC Northern Symphony Orchestra)、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニック管弦楽団(Royal Liverpool Philharmonic Orchestra)のトランペット奏者としてキャリア・アップ。フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルにも参加し、フリーランスの指揮者としても活動。1978年にレイランド・ヴィークルズ・バンドの音楽監督に就任して、またたく間にチャンピオンシップ・セクションのステータスにふさわしいバンドへと育て上げた。

一方のモーティマーは、世界中のファンから“ブラスバンドの父”あるいは“ミスター・ブラス”としてリスペクトされるレジェンドだ。

7歳のときにコルネットを始め、14歳で既にルートン・レッド・クロス・ジュニア・バンド(Luton Red Cross Junior Band)の指揮者に。その一方で、ルートン・レッド・クロス・バンド(Luton Red Cross Band)とフォーデンズ・モーター・ワークス・バンド(Fodens Motor Works Band)でプリンシパル・コルネット奏者をつとめ、その後、ハレ管弦楽団(Halle Orchestra)、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニック管弦楽団、BBCノーザン交響楽団の首席トランペット奏者として活躍。1942年から1964年の間、BBC放送でブラスバンドとミリタリー・バンドのスーパーバイザーをつとめ、1943年2月放送開始のラジオ番組「リッスン・トゥー・ザ・バンド(Listen to the Band)」の初代プレゼンター(司会進行役)としても知られている。

指揮者としては、ブラック・ダイク・ミルズ、フェアリー・アヴィエーション(Fairey Aviation Band)、フォーデンズ・モーター・ワークスなど、イギリスの主要なブラスバンドを指揮。1947~1949年の全英ブラスバンド選手権では、ブラック・ダイク・ミルズを指揮し、ハット・トリック(三連覇)を達成した。また、“フェアリー”“フォーデンズ”“モーリス”の3つの名門バンドのメンバーで組織した75名編成のブラス・オーケストラ“メン・オー・ブラス(Men o’ Brass)”のレコードは、アメリカや日本でも発売され、世界的ヒットとなった。後進の育成についても精力的に活動し、ナショナル・ユース・ブラスバンドの指揮者やプレジデントもつとめている。

両者の経歴を摺り合せると一目瞭然だが、エヴァンズがナショナル・ユースのプリンシパルをつとめた頃から、ふたりには多くの接点があり、師と弟子、あるいは、親と子ぐらいの間柄にあった。エヴァンズが、自分のバンドが初の日本演奏旅行に際し、偉大なる先人モーティマーをゲストに招いたのもなるほどと合点がいく。

そして、その結果、我々は、日本盤のレコードが何枚もある“レジェンド”が指揮する“チャンピオンシップ”クラスのブラスバンドをナマで聴く機会を得たわけだ。

メディアも動いた。

月刊誌「バンドジャーナル」(音楽之友社)は、1980年10月号でカラー口絵2ページと本文8ページの特集を組み、山本武雄、山本常雄、斎藤好司、松長 徹の各氏がそれぞれの視点からコンサートやバック・グラウンドをリポート。 創刊間もない「バンドピープル」(八重洲出版)も、7月号に聴きどころと曲目をまとめた2ページの事前コンサート・ガイドを入れ、10月号でコンサートとクリニックの模様をリポートする5ページ特集を組んだ。

長野往復“日帰り弾丸ツアー”の前、筆者は、エヴァンズがレイランドを指揮したファースト・アルバム「トラヴェリング・ウィズ・レイランド(Travelling with Leyland)」(LP:英RCA Victor、PL 25175、1978年7月19日、ハダーズフィールド・タウン・ホールで録音)やモーティマーが指揮した英DeccaとEMIの“メン・オー・ブラス”のレコードをしっかりと聴き込んでからコンサートに望んだ!

いずれもかなりのお気に入り盤だった!

しかし、コンサートの冒頭、ハロルド・モス作曲のレイランドのテーマ『ロイヤル・タイガー(Royal Tiger)』がホールに流れ出すと、琴線にふれるようなサウンドのすばらしさに魅了されてしまい、その後はただ笑って聴いているしかなかった。

紛れもない、不純物のカケラもないピュアなサクソルン属の倍音のシャワーが目の前にあった!やはり、ナマには適わない!!!

ふと見渡すと、超満員の会場には、熱心なブラスバンド・ファンに混じり、生まれてはじめてブラスバンドを耳にするはずの中高生の吹奏楽部員も多くつめかけていた!

みんな喰い入るようにステージを見つめ、曲が終わるたびに、屈託の無いはじけるような笑顔で嬉々として感想を述べ合い、大きな拍手を贈っている!その姿は、お行儀礼よく聴いているというより、もう大騒ぎに近かった!!

終演後、ロビーで行なわれた来日記念盤「コントラスツ・イン・ブラス(Contrasts in Brass)」(LP:英Chandos、BBR-1008(S)、1980年2月10日、マンチェスター大学ウィットワース・ホールでの新録盤に前記“トラヴェリング・ウィズ・レイランド”をそっくりそのまま加えた2枚組)の即売コーナーには、エヴァンズとモーティマーが出てきて、購入者の求めに応じてサインを始めた。で、即購入!!

サインを書いてもらう間、ふたりと短い会話ができたが、それは筆者にとっては至福の時間となった。80歳を目前にしたモーティマーとは、残念ながら、それが最後の機会となってしまったが、その後、エヴァンズとは、ブリーズ・ブラス・バンドのミュージカル・スーパーバイザーとしての立場から、いろいろな場面で絡むことになった。

レイランド・バンドのモットーは、“ワールド・クラス・エンターテイメント・イン・ブラス(World Class Entertainment In Brass)”!!

その初来日は、またひとつ、新たな出会いを運んできてくれた!

▲▼ Leyland Vehicles Band 来日メンバー

▲Aプロ(Programme One)

▲Bプロ(Programme Two)

▲Cプロ(Programme Three)

▲LP – Travelling with Leyland(英RCA Victor、PL 25175、1978年)

▲PL 25175 – A面レーベル

▲PL 25175 – B面レーベル

▲LP(ジャケット表) – Contrasts in Brass(英Chandos、BBR-1008(S)、1980年)

▲同 – (ジャケット裏)

▲BBR-1008(S) – A面レーベル

▲BBR-1008(S) – B面レーベル

▲BBR-1008(S) – C面レーベル

▲BBR-1008(S) – D面レーベル

▲モーティマーとエヴァンズの手書きサイン

▲「バンドジャーナル」1980年10月号(音楽之友社)

▲「バンドピープル」1980年10月号(八重洲出版)

【コラム】富樫鉄火のグル新 第287回 書評『まんが訳 酒呑童子絵巻』

 前回の能・狂言の解説書のなかで、《道成寺》が紹介されていた。その「道成寺」伝説を驚くべきスタイルで取り上げる新書が出た。『まんが訳 酒呑童子絵巻』大塚英志監修/山本忠宏編(ちくま新書)である。

 詳しい方なら、書名や著者名から想像がつくだろう。これは、日文研(国際日本文化研究センター)が所蔵する「絵巻」を、場面ごとに拡大抜粋してコマ割りし、吹き出しを付け、「まんが」風に再構成したものである。素材は、書名でもある「酒呑童子絵巻」のほか、「道成寺縁起」、「土蜘蛛草子」の3本。
 これらのオリジナル絵巻は、日文研のサイトで無料公開されており、自由に閲覧できる。しかも、素晴らしい使い勝手の良さと精度である。だから、いまさら、鮮明度ではるかに落ちる、小さな新書判に印刷された「紙」で観る必要など、ないはずである。

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■レスピーギ/交響詩「ローマの松」(演奏:ロンドン・シンフォニック・ウィンド・オーケストラ)

1991年3月6~7日、東芝EMIのリクエストでロンドンのアビロード・スタジオの第1スタジオで録音されたロンドン・シンフォニック・ウィンド・オーケストラの2枚目のアルバムで、プロデューサーは、東芝EMIの中田基彦と英EMIのジョン・ウェスト、エンジニアはマイクル・シーディーが担った。

収録曲は、レスピーギの交響詩『ローマの松』(サイ・ペイン編曲)とムソルグスキーの組曲『展覧会の絵』(サイモン・ライト編曲)とリムスキー=コルサコフの『ロシアの復活祭』序曲(ジョージ・ミラー編曲)の3曲で、この内、『ローマの松』と『展覧会の絵』ではこのレコーディングのために書き下ろされた新しい編曲が使用されている。

編曲者のサイ・ペインは、このウィンドオーケストラの初CDとなったホルストの組曲『惑星』のトランスクリプションですでに名を挙げ、もう一方のサイモン・ライトも、ウォーレス・コレクションのために斬新なアイデアのスコアを提供し、注目を集めていた新進気鋭のアレンジャーだった。

残る『ロシアの復活祭』序曲は、既存の編曲が選ばれている。編曲者のジョージ・ミラーは、第2次大戦前、有名なグレナディア・ガーズ・バンドの音楽監督をつとめ、ホルストの『組曲第1番』を初レコーディングした指揮者としても知られた。時代こそ遡るが、優れた編曲としてイギリスでは定評のあるものだ。

ロンドンの腕利きが集まったというだけでなく、音響の優れたEMIアビーロード・スタジオの空気感の中に溶け込むようなウィンドオーケストラが演奏したクラシック名曲撰!!

今回紹介するのは、とっくの昔に絶版となった初回発売時のオリジナル盤! 新品状態で少数出土したコレクター・アイテムだ!

【ロンドン・シンフォニック・ウィンド・オーケストラ】
指揮者エリック・バンクスの着想で組織されたウィンドオーケストラ。ロンドン市中の各オーケストラで活躍するプレーヤーのほか、王立音楽カレッジや王立音楽アカデミー等のベテラン教授陣によって構成。EMIのデビュー・アルバムは、ホルストの組曲「惑星」(全曲)。コンサート活動も計画されたが、残念ながら、バンクスのオーストラリアへの移住により、立ち消えとなった。

■レスピーギ/交響詩「ローマの松」
演奏:ロンドン・シンフォニック・ウィンド・オーケストラ
Pini di Roma
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4634/

【データ】

・演奏団体:ロンドン・シンフォニック・ウィンド・オーケストラ(London Symphonic Wind Orchestra)
・指揮者:エリック・バンクス(Eric Banks)
・発売元:東芝EMI
・発売年:1991年
・収録:1991年3月6~7日、Abbey Road Studios No.1、London、U.K.

【収録曲】

  1. 交響詩「ローマの松」/オットリーノ・レスピーギ(arr. サイ・ペイン)【20:13】 
    Pini di Roma/Ottorino Respighi(arr. Cy Payne)
    I) ポルゲーゼ荘の松 I pini di villa Borghese【2:42】
    II)カタコンプ付近の松 I pini presso una Catacomba【6:55】
    III)ジャニコロの松 I pini del Giaicolo【6:05】
    IV)アッピア街道の松 I pini della Via Appia【4:31】
  2. 組曲「展覧会の絵」/モデスト・ムソルグスキー(arr. サイモン・ライト)【35:34】
    Pictures at an Exhibition/Modest Mussorgsky(arr. Simon Wright)
    I)プロムナード~小人~プロムナード Promenade-Gnomus-Promenade【5:12】
    II)古城~プロムナード Vecchio Castello-Promenade【5:30】
    III)テュイルリーの庭園にて Tuileries 【1:10】
    IV)ピドロ(牛)~プロムナード Bydlo-Promenade【3:24】
    V)卵の殻をつけたひな鳥のバレエ Ballet of the chickens in their shalls【1:22】
    VI)サミュエル・ゴールデンベルグとシュムイレ Samuel Goldenberg & Schmuyle【2:11】
    VII)プロムナード~リモージュの市場 Promenade-Limages- Le marche【3:00】
    VIII)カタコンプ(ローマ時代の墓地) Catacombe【2:28】
    IX)死せる言葉による死者への話しかけ Cum mortuis in lingua mortua【2:12】
    X)鶏の足のうえの小屋 The Hut on Fowl’s Legs【3:28】
    X)キエフの大門 The Great Gate of Kiev【5:37】
  3. 「ロシアの復活祭」序曲(作品36)
    /ニコライ・リムスキー=コルサコフ(arr. ジョージ・ミラー)【14:52】
    Russian Easter Festival, Overture/Nikolai Rimsky-Korsakov(arr. George Miller)

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■ブロックバスターズ~スクリーン・スペクタキュラー(演奏:ブリーズ・ブラス・バンド)

1997年12月20日、佼成出版社からリリースされたブリーズ・ブラス・バンド(BBB)のスクリーン・スペクタキュラー! 録音は、大阪府箕面市民会館で行なわれ、エンジニアは、藤井寿典が担った。

『バットマン』『スーパーマン』『スタートレック 4』『ピンク・パンサー』『ロッキー』『サンダーバード』『インディ・ジョーンズ』など、収録されている曲は、地元大阪で年1回行なわれていたブリーズのポップ・シリーズ“ア・ファンタスティック・ナイト”で人気を集めたレパートリーだった!!

ヨーロッパ公演から帰国翌年の1997年、ブリーズがもっとも輝き、充実していた頃にレコーディングされた1枚だ!

発売元の佼成出版社が、その後CDから完全に撤退したため、入手が極めて難しくなったが、奇跡的に流通に残っていた発売当時の新品が少数入荷した。

【ブリーズ・ブラス・バンド】
1990年、オーケストラ・トロンボーン奏者、上村和義を常任指揮者として結成されたブリティッシュスタイルのプロのブラスバンド。同年7月2日のデビューコンサート以来、シリアスな作品をアグレッシブに取り上げる「LIMELIGHT CONCERT」と、ポップな音楽をリッチに聴かせる「A FANTASTIC NIGHT」の2つのシリーズを軸に、年2回の地元での自主コンサートのほか、全国各地への演奏旅行、依頼演奏、クリニック、CD制作など活発な活動を展開。海外の作曲家、指揮者、演奏家などとの交流も盛んで、意欲的なプログラミングや本場から多彩なゲストを招いてのコンサートは、国内外の専門誌等が高く評価。佼成出版社がリリースしたCD「エクスカリバー」(KOCD-2503)および「マーキュリー」(KOCD-2504) が、ともに『レコード芸術』誌の管弦楽部門・準薦盤に選ばれる。1996年10月にヨーロッパ演奏旅行。ロンドンではBBC放送番組「リッスン・トゥー・ザ・バンド」に出演。1998年、平成10年度「大阪文化祭賞」本賞を受賞した。

■ブロックバスターズ~スクリーン・スペクタキュラー
演奏:ブリーズ・ブラス・バンド
The Blockbusters – Screen Spectacular
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4627/

【データ】

・演奏団体:ブリーズ・ブラス・バンド(Breeze Brass Band)
・指揮者:上村和義(Kazuyoshi Uemura)
・発売元:佼成出版社
・発売年:1997年
・収録::1997年6月30日~7月1日、箕面市民会館(大阪府)

【収録曲】

  1. バットマン/ダニー・エルフマン(arr. アラン・キャザロール )【3:27】
    Batman/Danny Elfman(arr. Alan Catherall)
  2. スーパーマン/ジョン・ウィリアムズ(arr. レイ・ファー)【3:35】
    Superman/John Williams(arr. Ray Farr)
  3. スタートレック 4~故郷への長い道
    /レナード・ローゼンマン(arr. ダーロル・バリー)【2:34】
    Star Trek IV – The Voyage Home/Leonard Rosenman(arr. Darrol Barry)
  4. ジェームズ・ボンド・コレクション/(arr. ゴフ・リチャーズ)【6:19】
    The James Band Collection/(arr. Goff Richards)
  5. ピンク・パンサー/ヘンリー・マンシーニ(arr. マーク・ジャクスン)【4:06】
    In the Pink, from The Pink Panther/Henry Mancini(arr. Mark Jackson)
  6. ロッキー/ビル・コンティ(arr. リークス・ファンデルフェルデ)【5:41】
    Gonna Fly Now, from Rocky/Bill Conti(arr. Rieks van der Velde)
  7. クリフハンガー
    /トレヴァー・ジョーンズ(arr. リークス・ファンデルフェルデ)【5:41】
    Cliffhanger/Trevor Jones(arr. Rieks van der Velde)
  8. サンダーバード/バリー・グレイ(arr. エドリッチ・シーバート)【2:41】
    Thunderbirds/Barry Gray(arr. Edrich Siebert)
  9. ライオン・キング~愛を感じて
    /エルトン・ジョン(arr. フランク・ベルナールトス)【3:31】
    The Lion King, Can you feel the love tonight/Elton John(arr. Frank Bernaerts)
  10. インディ・ジョーンズ~魔宮の伝説
    /ジョン・ウィリアムズ(arr. レイ・ファー)【5:57】
    Indiana Jones and Temple of Doom/John Williams(arr. Ray Farr)

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■スパーク(演奏:ブリタニア・ビルディング・ソサエティほか)

1997年、既発売アルバムからコンピレーションされたフィリップ・スパーク作品集。各トラックは、以下の5枚のアルバムからとられている。

・Rule Britannia
(Doyen、DOYCD004、1990年)

・European Brass Band Championships 1991
(FT Records、FT5001、1991年)

・Welsh Wizard
(Doyen、DOYCD022、1993年)

・The Vikings
(Doyen、DOYCD023、1993年)

・European Brass Band Championships 1996
(Doyen、DOYCD057、1996年)

リリース当時、オリジナル原盤のいくつかは既に完売で、このコンピレーションは、熱狂的なスパーク人気も手伝って大歓迎された。プロデューサーには、ニコラス・チャイルズ、アリスン・チャイルズの名がクレジットされている。

演奏者は、ハワード・スネル指揮のブリタニア・ビルディング・ソサエティおよびエイカンゲル=ビョルスヴィク・ムシックラーグ(ノルウェー)、ビョルン・N・サグスタッド指揮、マンゲル・ムシックラーグ(ノルウェー)と、当時ヨーロッパを席巻していたベスト・バンドが勢揃い! ニコラス・チャイルズがソロをとった『パントマイム』は、出身バンドのトレデガー・バンドの伴奏だ。

『パルティータ』『ハーモニー・ミュージック』『ヴァイキング』『エニグマ変奏曲』という収録曲を聴いていくと、1990年代のスパークがいかにブラスバンドのために質の高い作品を書いていたかが実感できる。何よりも、演奏者が高揚感を感じつつ、愉しそうに演奏しているのがいい!

また、『ロンドン序曲』と『ハーモニー・ミュージック』は、今となっては超貴重な1991年と1996年のヨーロピアン・ブラスバンド選手権の興奮ライヴだ!!

もちろん、オリジナル盤もこのコンピレーション盤もすべて廃盤で、このようなリリース当時の新品が出土することは、今後ともまずあり得ない! 愛用のピアノ前に座る若い頃のスパークの写真も超レアだ!!

■スパーク
演奏:ブリタニア・ビルディング・ソサエティほか
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4645/

【データ】

・演奏団体:ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・バンド (Britannia Building Society Band) 1~2 / トレデガー・バンド(Tredegar Band)3 / マンゲル・ムシックラーグ(Manger Musikklag)4 / エイカンゲル=ビョルスヴィク・ムシックラーグ(Eikanger-Bjorvik Musikklag)5、6 
・指揮者:ハワード・スネル(Howard Snell) 1~2、5、6 / ビョルン・N・サグスタッド(Bjorn N. Sagstad)4
・発売元:ドイエン (Doyen)
・発売年:1997年
・収録::1990年、Dewsbury Town Hall、Manchester、UK – 1/ 1991年4月27日、De Doelen、 Rotterdam、Holland – 2 / 1993年、Barry Town Hall, UK – 3 / 1996年5月4日、Grieghalle, Bergen、Norway – 4 / 1993年、Assembly Hall at Nordhordland Folkehogskule、Norway – 5~6

【収録曲】

【作曲(全曲):フィリップ・スパーク(Philip Sparke)】

  1. パルティータ 【15:76】
    Partita
    I) アレグロ・リトミーコ・エ・デチーゾ Allegro ritmico e deciso【4:32】
    II)アダージェット / ヴィーヴォ Adagietto / Vivo【19:44】
  2. ロンドン序曲 【12:41】
    A London Overture
  3. パントマイム 【5:02】
    Pantomime
    ユーフォニアム(Euphonium):ニコラス・チャイルズ(Nicholas Childs)
  4. ハーモニー・ミュージック 【14:06】
    Harmony Music
  5. ヴァイキング 【9:34】
    The Vikings
  6. エニグマ変奏曲 【13:35】
    Variations on an Enigma

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■フサ/コープランド/ヴォーン=ウィリアムズ/ヒンデミット(演奏:イーストマン・ウィンド・アンサンブル)

1988年3月28~30日、アメリカ・ニューヨーク州ロチェスターのイーストマン劇場でレコーディングされたドナルド・ハンスバーガー指揮、イーストマン・ウィンド・アンサンブルのシリアスな1枚。プロデューサーは、スティーヴン・エプスタイン、エンジニアは、アーウィン・カッツが担っている。

オリジナルは、翌年、米CBSからCDとしてリリースされたが、その完売後、クラシックCDの復刻を手がけるアメリカのアーキィブ・ミュージックがライセンスを得てオリジナルどおり復刻したのがこのCD-R盤だ。従って、ブックレットもレーベル面もほぼオリジナルどおりきちんと印刷され、製品番号もオリジナルと同じだ。(MK 44916)

収録曲は、ヴォーン=ウィリアムズの『トッカータ・マルツィアーレ』と『吹奏楽のための変奏曲』、ヒンデミットの『協奏音楽(作品41)』、コープランドの『クワイエット・シティ』、フサの『プラハのための音楽1968』と聴き応え満点のレパートリーがズラリ!

『クワイエット・シティ』では、ウィントン・マルサリスのトランペットとフィリップ・コックのイングリッシュホルンのソロがアルバムに華を添えている。

イーストマン劇場の音響の良さと、ウィンド・アンサンブルの面白さが際立つ1枚だ!!

【イーストマン・ウィンド・アンサンブル】
米ニューヨーク州ロチェスターにあるロチェスター大学イーストマン音楽学校に学ぶ学生からオーディション選抜されたメンバーによって編成されるウィンド・アンサンブル(管楽アンサンブル)。1952年、指揮者フレデリック・フェネルの提唱により創設された。作曲家の書いた各パートを必要最低限の奏者で音楽表現するという基本理念にたち、クラリネット以外は各1人のプレイヤーで編成される。創設から1962年までフェネルが指揮をつとめ、1962年からクライド・ローラー、1965~2001年までドナルド・ハンスバーガー、2002年以降、マーク・スキャッタデイが指揮にあたっている。

■フサ/コープランド/ヴォーン=ウィリアムズ/ヒンデミット
演奏:イーストマン・ウィンド・アンサンブル
https://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-4628/

【データ】

・演奏団体:イーストマン・ウィンド・アンサンブル(Eastman Wind Ensemble)
・指揮者:ドナルド・ハンスバーガー(Donald Hunsberger)
・発売元:CBS Masterworks(ArkivMusic)
・発売年:(初出)1989年
・収録:1988年3月28~30日、Eastman Theater at Eastman School of Music、University of Rochester、Rochester、New York、U.S.A.

【収録曲】

  1. トッカータ・マルツィアーレ/レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ【4:32】
    Toccata Marziale/Ralph Vaughan Williams
  2. 吹奏楽のための変奏曲/レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ 【14:00】
    Variations for Wind Band/Ralph Vaughan Williams
  3. 協奏音楽、作品41 /パウル・ヒンデミット 【13:50】
    Konzertmusik fur Blasorchester, Op. 41/Paul Hindemith
    I) 協奏的序曲 Konzertante Ouverture: Maestoso; Lebhafte Viertel 【5:10】
    II)歌曲「高貴な騎士オイゲン公」による6つの変奏 Sechs Variationen uber das Lied: “Prinz Eugen, der Edle Ritter”【6:18】
    III)行進曲 Marsch 【2:22】
  4. クワイエット・シティ(静かな都市)/アーロン・コープランド【10:52】
    Quiet City/Aaron Copland
    トランペット(Trumpet):ウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)
    イングリッシュホルン(English Horn):フィリップ・コック(Phillip Koch)
  5. プラハのための音楽1968/カレル・フサ 【23:41】
    Music For Prague 1968/Karel Husa
    I)序奏とファンファーレ Introduction and Fanfare: Adagio 【6:17】
    II)アリア Aria: Moderato Molto 【5:52】
    III)間奏曲 Interlude: Misterioso 【3:50】
    IV)トッカータとコラール Toccata and Chorale: Vivace 【7:42】

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第286回 書評『教養として学んでおきたい能・狂言』

仕事柄、エンタメ系の入門書やガイドブックには興味があるほうだが、なかなか、これといった本には、お目にかかれない。
 特に代わり映えしないのが、歌舞伎、文楽、能・狂言といった邦楽舞台に関する入門書で、ヴィジュアルが写真かイラストか漫画かのちがい程度で、内容は、ほとんど同じだ。
 ……と思っていたところ、コンパクトながら、まことにユニークな能・狂言のガイドブックが出た。『教養として学んでおきたい能・狂言』(葛西聖司著、マイナビ新書)である。

 著者は元NHKアナウンサーで、現役時代から邦楽番組の名司会者として知られていた。定年退職後は、大学やカルチャーセンターで教鞭をとる「古典芸能解説者」として大活躍だ。わたしも、国立劇場などのトークに何度か接しているが、たいへんな詳しさとわかりやすさに加え、さすがの美しい滑舌・口跡で、これほど聴いて心地よい解説者は、まずいない。

 そんな葛西さんだが、すでに歌舞伎や文楽、能・狂言の解説書は何冊か上梓している。だが今回は「教養として学んでおきたい」と付いているところがミソである。読者層は社会に出て活躍している“大人”だ。若者や初心者に媚びるような筆致は一切ない。「本書を手に取る方なら、ある程度の基礎教養はおありでしょう」と言いたげである。しかし、その筆致に品格があるので、読んでいて嫌味を感じない。こういう文章で入門書を書けるひとは少ない。さすがに、全国放送で不特定多数の視聴者を相手にしてきただけのことはある。

 本書は、まず冒頭で、一般人が触れやすいと思われている「薪能」や「ホール能」(一般ホール公演)にダメ出しする。とにかく「能楽堂へ行け」と説く。

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第285回 無料配信でいいのか。

 今年度は中止になったが、毎年、春が過ぎ、吹奏楽コンクールの季節が迫ってくると、SNS上に、中高生たちの似たような投稿が増える。
「うちの学校は、今年のコンクール自由曲が〇〇〇〇という曲に決まったのですが、どこで聴けますか」
 これはYOUTUBEなどのネット上で、「無料」で聴ける音源がどこにあるか、教えてくれと言っているのである。「収録されたCDがあるか」「どこから発売されているのか」といった問いは、まずない。

 いまや、音楽も映像もニュースも会話も、すべてはデジタルで済むようになり、しかも、かなりのものが(違法も含めて)無料でネット上にあふれかえっている。よって人々は(特に若い子たちが)「著作物」に対価を支払う感覚を失いつつある。本も、たとえ半年待ちでもいいから、絶対に書店では購入せず、図書館で借りようとするひとがいる。
 その傾向は、昨今のコロナによる自粛在宅で、一挙に強まったような気がする。

 いま(特にGW期間中は)、ネット上は無料配信の天国である。検索で「無料配信」と入力すると、いかに多いか、わかると思う。映画、ドラマ、アニメ、スポーツ、舞台、能、落語、クラシック音楽、ポップス、オペラ、バレエ、美術展、小説、漫画……およそ、わたしたちの周囲にあるエンタテインメントの大半に、いま、「無料」で接することができる。
 これが、自粛で在宅している人々へのサービスであり、かつ、在宅解除後もファンになってもらうための下地づくりだったことはわかる。しかし、わたしは、やりすぎだと思う。

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