■ソナチナ(演奏:リチャード・マーシャル)

ブラック・ダイク・バンドのプリンシパル・コルネット奏者として、度重なる日本公演ですっかりおなじみとなったリチャード・マーシャルがブラック・ダイクの“プリンシパル”として過ごした15周年を記念してリリースされたソロ・アルバム。

アルバムは、2014年から2016年にかけて録音された既リリース音源に新録音のデニス・ライトの『コルネット協奏曲』を加えた構成。だが、すべてブラック・ダイクが準本拠としている英ウェストヨークシャー州モーリーのランドマーク、モーリー・タウン・ホールで録音されたものだけにトラックごとの音場の違和感はほとんどない。プロデュースとエンジニアリングも、ブラスバンド録音のスペシャリスト、リチャード・スコットが担っている。

冒頭を彩る新録音のデニス・ライトの『コルネット協奏曲』は、リバプール・フィルの首席トランペット奏者で伝説的コルネット奏者のハリー・モーティマー(1902~1992)のために書かれた初のコンチェルトだ。オリジナルはウィンド・バンド(吹奏楽)伴奏で、モーティマー独奏、ウォルトン・オードンヌル指揮、BBC放送吹奏楽団の伴奏で初演された。その後、ブラスバンド伴奏版とオーケストラ伴奏版が作られている。古典的協奏曲の様式で書かれた作品で、今でもしばしば演奏される。

2曲目のエルガー・ハワースの『ソナチナ』は、2007年秋、マーシャルのために書かれた。作曲当時は、ピアノ伴奏の作品で、マーシャルの来日リサイタルでも演奏された。ブラック・ダイクの委嘱でブラスバンド伴奏版が作られたが、コンテンポラリー・タッチとハードなテクニックを必要とし、この演奏のセッションでこの曲を客演指揮したハワースをリスペクトするブラック・ダイクの伴奏も、ひじょうに繊細、そして緻密だ!

マーティン・エレビーの『コルネット協奏曲』は、米ノースカロライナ州のトライアングル・ブラス・バンドの委嘱作で、2012年3月18日、同州ローリのメイマンディ・コンサート・ホールで、ジェンス・アンダーマン独奏、トニー・グラナドス指揮の同バンドの演奏で初演された。イギリス初演奏は、2014年1月、マーシャル独奏、ブラック・ダイクの演奏で行われ、BBC放送がそのライヴをオン・エアした。急-緩-急の3楽章構成で、第1楽章・第3楽章のリズミカルな展開の間に叙情的にうたいあげられる第2楽章を挟んだ古典的な協奏曲スタイルをとっている、メロディーラインの親しみやすさ、美しさは、近年発表されたブラスバンドのためのコンチェルトの中でもグンを抜く。

エドワード・グレッグスン『コルネット協奏曲』は、2016年、マーシャルのために書かれた作品で、小題のある急-緩-急の3つの楽章で構成される。2016年4月30日、フランスのリールのコンサート・ホール“ル・ヌーボー・シエークル”で開催された“ヨーロピアン・ブラスバンド選手権2016”のガラ・コンサートで、マーシャルの独奏、ニコラス・チャイルズ指揮、ブラック・ダイクの伴奏で初演された。コルネットとブラスバンド、双方のキャラクターや音楽的魅力を知り尽くしている作曲家だからこそ書くことができた作品であり、独奏者、伴奏者、聴く者のすぺてを音楽の中に惹きこんでいく!

現代を代表するコルネッティスト、リチャード・マーシャルの記念碑的ソロ・アルバムだ!

【リチャード・マーシャル】
イングランドのヨークシャー地方の生まれ。父は同地方の実力バンド、ブロッズワース・コリアリー・バンドのフリューゲルホーン奏者。9才のときにコルネットを始め、1996年、19才の若さでグライムソープ・コリアリー・バンドのプリンシパル・コルネット奏者に就任。フリーランスのトランペット奏者としても活躍。2006年1月、ブラック・ダイク・バンドのプリンシパル・コルネット奏者に就任した。2008年、フィリップ・コップ、オーウェン・ファー、デヴィッド・チャイルズとブラス・カルテット“エミネンス・ブラス”を結成。ロイヤル・ノーザン音楽カレッジ、バーミンガム音楽院のコルネット・チューターもつとめている。

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■ソナチナ
演奏:リチャード・マーシャル

Sonatina

【データ】
・コルネット:リチャード・マーシャル(Richard Marshall)
・演奏:ブラック・ダイク・バンド(Black Dyke Band)
・指揮:ニコラス・チャイルズ(Professor Nicholas Childs)1、3、4
 エルガー・ハワース(Elgar Howarth)2
・発売元:ドイエン(Doyen)
・発売年:2020年
・収録:Morley Town Hall (U.K.)

【収録曲】

  1. コルネット協奏曲/デニス・ライト【12:53】
    Cornet Concerto/Denis Wright
    第1楽章:アレグロ Allegro【6:48】
    第2楽章:カンツォネッタ Canzonetta【3:45】
    第3楽章:ロンド Rondo【2:20】
  2. ソナチナ/エルガー・ハワース【17:29】
    Sonatina/Elgar Howarth
    第1楽章 【4:45】
    第2楽章 【5:07】
    第3楽章 【7:37】
  3. コルネット協奏曲/マーティン・エレビー【11:59】
    Cornet Concerto/Martin Ellerby
    第1楽章:ブリランテ Brilliante【4:31】
    第2楽章:アリエッタ Arietta【4:42】
    第3楽章:ロンディーノ Rondino【2:46】
  4. コルネット協奏曲/エドワード・グレッグスン【20:58】
    Cornet Concerto/Edward Gregson
    第1楽章:ソナタ Sonata【7:32】
    第2楽章:インテルメッツォ(さらに遠い記憶の…) 
    Intermezzo (…of more distant memories)【6:43】
    第3楽章:ロンド Rondo【6:43】

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■コントラスツ(演奏:ブレット・ベイカー with ブラック・ダイク・バンド)

英ウェストヨークシャー州モーリーのランドマーク、モーリー・タウン・ホールで2017年から2018年の間にかけて録音されたブラック・ダイク・バンド首席トロンボーン奏者ブレット・ベイカーのソロ・アルバム。プロデュースとエンジニアリングは、ブラスバンド録音のスペシャリスト、リチャード・スコットが担っている。

ブレット・ベイカーのソロ・パフォーマンスは、度重なるブラック・ダイク・バンドの来日ツアーですっかりおなじみとなっているが、ナマ演奏で聞く最大の魅力は、ストレスをまるで感じさせない美しいサウンドだろう。

ケネス・ダウニーの『トロンボーン・タイム』の心地よいパフォーマンスで幕あけるこのアルバムでも、ゴードン・ラングフォードの『トロンボーンのためのラプソディ』、ピーター・グレイアムの『ガーディアン』、ジョン・ゴーランドの『トロンボーンのためのセレナーデ』、ギャレス・ウッドの『ダンス・シークエンス』、スティーブン・ロバーツの『トロンバンゴ』という、イギリスのブラスバンドの王道を行く作曲家たちのソロピースをその魅力ある音色と歌ごころでたっぷりと愉しませてくれる。

ラストを飾るヤン・ヴァンデルローストの『コントラスツ』は、“サウンズ”“カプリス”という異なる個性の2楽章からなる唯一コンテンポラリー・タッチが感じられる作品だが、ソロ・フレーズの端々にヴァンデルロースト節が聞かれるたび思わずニンマリさせられる。

収録曲中、4曲が《世界初録音》というのも、大きなウリとなっている!!

【ブレット・ベイカー】
英グロースターシャー州フォレスト・オブ・ディーンに生まれる。全英ユース・ブラス・バンド奏者をへて、1992年にBBC放送の“ヤング・ミュージシャン・オブ・ジ・イヤー”のファイナリストとなる。その後、ソルフォード大学に学び、フェアリー・バンドに参加し、1993-4年と2年連続で全英オープン・ソロ・チャンピオンとなる。デニス・ウィックのアドバイスを得たほか、マンチェスターのロイヤル・ノーザン音楽カレッジで、クリス・ホウルディング、ジョン・アイヴスン、ジョン・ミラーに師事。2000年に、ブラック・ダイク・バンドに参加し、首席トロンボーン奏者に就任。2006年、ブリティッシュ・トロンボーン・ソサエティのチェアマンおよびバイス・プレジデント(副会長)となる。

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■コントラスツ
演奏:ブレット・ベイカー with ブラック・ダイク・バンド

Contrasts

【データ】
・トロンボーン:ブレット・ベイカー(Brett Baker)
・演奏:ブラック・ダイク・バンド (Black Dyke Band)
・指揮:ニコラス・チャイルズ (Profesor Nicholas Childs)
・発売元:ドイエン (Doyen)
・発売年:2018年
・収録:2017~2018年、Morley Town Hall, UK

【収録曲】

  1. トロンボーン・タイム/ケネス・ダウニー【7:00】
    Trombone Time/Kenneth Downie
  2. トロンボーンのためのラプソディ/ゴードン・ラングフォード【12:34】
    Rhapsody for Trombone/Gordon Langford
  3. ガーディアン/ピーター・グレイアム【6:37】
    The Guardian/Peter Graham
  4. トロンボーンのためのセレナーデ/ジョン・ゴーランド【6:06】
    Serenade for Trombone/John Golland
  5. ダンス・シークエンス/ギャレス・ウッド【10:07】
    Dance Sequence/Gareth Wood
  6. トロンバンゴ/スティーブン・ロバーツ【7:14】
    Trombango/Stephen Roberts
  7. 7.コントラスツ /ヤン・ヴァンデルロースト【16:35】
    Contrasts/Jan Van der Roost
    I)サウンズ Sounds【10:21】
    II)カプリス Caprice【6:14】

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第293回 ヴィヴァルディを聴く映画

 1979年、ヴィヴァルディの音楽を使用したアメリカ映画が3本公開された。しかも、どれもたいへんな名作だった。

『リトル・ロマンス』(ジョージ・ロイ・ヒル監督/1979/米) 
 名優ローレンス・オリヴィエが出演。ダイアン・レインの映画デビュー作でもある(撮影時13歳、かわいい!←いま55歳)。音楽担当はジョルジュ・ドルリューで(本作で、アカデミー作曲賞受賞)、《室内協奏曲》ニ長調RV93をアレンジして流していた。

『クレイマー、クレイマー』(ロバート・ベントン監督/1979/米)  
 アカデミー賞5部門受賞の名作。妻に家出されたダスティン・ホフマンが、男手ひとつで5歳の息子を育てる奮闘記。《マンドリン協奏曲》ハ長調RV425が上品に、うまく使われていた。

『オール・ザット・ジャズ』(ボブ・フォッシー監督/1979/米) 
 カンヌ映画祭最高賞受賞。ブロードウェイの名振付師による自伝的作品。毎朝、シャワーを浴びながら《協奏曲》ト長調〈アラ・ルスティカ〉RV 151を流しては、「さあみなさん、ショータイムです!」と疲れきった自らを鼓舞する(わたしは、この曲を大学のオンデマンド授業のテーマ曲に使用した)。

 ほかにも、たとえば『八月の狂詩曲』(黒澤明監督/1991/日本)では、《スターバト・マーテル》RV 621が流れた。さほど有名な曲ではなかったのだが、この映画が契機で注目を浴びた。使用された音源は、クリストファー・ホグウッド指揮/エンシェント室内管弦楽団/ジェイムズ・ボウマン(カウンター・テナー)のDecca盤(1975年録音)で、いまでも名盤として知られている。

 かようにヴィヴァルディが流れる映画は多いのだが、ひさびさに決定打が登場したのでご紹介したい。
 『燃ゆる女の肖像』(セリーヌ・シアマ監督/2019/仏)だ。

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■樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言 第139話 我が国最高の管楽器奏者による《ブラスの饗宴》

▲LP – 我が国最高の管楽器奏者による《ブラスの饗宴》(トリオ、RSP-7016)

▲RSP-7016、A面レーベル(テスト盤)

▲RSP-7016、B面レーベル(テスト盤)

▲RSP-7016、A面レーベル

▲RSP-7016、B面レーベル

1970年(昭和45年)1月30日(金)午後3時から、トリオは、東京・丸の内の大手町サンケイ国際ホールにおいて、“ケンウッド・シンフォニック・ブラス・アンサンブル”の演奏で、後に「我が国最高の管楽器奏者による《ブラスの饗宴》」(LP:トリオ、RSP-7016 / 19cm/sステレオ・オープンリール・テープ:トリオ、TSP-7013)というタイトルでリリースされる新録音のセッションを行なった。

演奏者の“ケンウッド・シンフォニック・ブラス・アンサンブル”は、NHK交響楽団や日本フィルハーモニー交響楽団のほか、在京のオケマンたちによって編成されたレコーディングのための管楽アンサンブルで、この日の録音は、前年このグループによって録音、リリースされて大きな反響を巻き起こした「我が国最高の管楽器奏者による《マーチの極致》」LP:トリオ、RSP-7004 / 19cm/sステレオ・オープンリール・テープ:TSP-7008)の続篇企画のためのものだった。(参照:第135話 我が国最高の管楽器奏者による《マーチの極致》

セッションのディレクターは草刈津三さん、ミキサー(バランス・エンジニア)は若林駿介さんと、録音スタッフは前録音盤とまったく同じで、録音会場、フロア・セッティング、使用マイクやレコーダー、ミキシング・アンプ等の使用機材など、基本的な録音方式もすべて前回を踏襲していた。

前録音の成果が、それほどまでに、制作側、演奏側の双方を納得させる出来映えだったからだ。

ただし、今回はレパートリーの曲種だけは違っていた。前がすべてマーチだけの録音だったのに対し、今回は、アメリカのコンサート・バンドのレパートリーを録ろうとする企画だったからだ。そこで、演奏人数は、フルート x 2(ピッコロ兼)、オーボエ x 2、クラリネット x 8、ファゴット x 2、サクソフォン x 3、ホルン x 4、トランペット x 4、トロンボーン x 4、ユーフォニアム x 2、テューバ x 1、打楽器4と、より一般的な吹奏楽編成に近い規模に拡充されている。

そして、各セクションのリーダーは、フルートが峰岸荘一さん、小出信也さん、クラリネットが千葉国夫さん、浅井俊雄さん、ファゴットが戸沢宗雄さん、サクソフォンが阪口 新さん、ホルンが千葉 馨さん、田中正大さん、トランペットが北村源三さん、戸部 豊さん、トロンボーンが福田日出彦さん、打楽器が岩城宏之さんが担い、全体をアンサンブルのセンター近くに位置するファゴットの戸沢さんが仕切るスタイルをとったのも前回と同じだった。

唯一違ったのは、今度の録音には、NHK交響楽団の指揮者、岩城宏之さんが、指揮者ではなく、打楽器奏者として参加したことだった。

この岩城さんの参加に関しては、ディレクターの草刈さんがジャケットに寄せた一文「ケンウッド・ブラス第2弾」に、つぎのようなエピソードが記されている。

『第1回の録音以来しばらくは、大げさに云えば、東京のオーケストラの管楽器界は、その録音の話しでもち切りであった。……(中略)……。私は、メンバーたちに会うたび毎に、あの録音の話しが出、「又、やろうよ」。といって別れる日々が続いたが、忙しい人達ばかりだから、まあ出来て一年に一回位だと思っていた。しかし、そのチャンスは以外に早くやって来た。昨年の暮れに近い頃だったが、オーケストラ仲間がよく集る千葉馨氏宅でのパーティ、その日は何で集まったのかは良く覚えてないが、N響終身指揮者の岩城宏之氏など10数名の中に、千葉、戸沢両氏をはじめ管楽器のメンバーが何人か居た。そのための酒の肴の音楽は、自然あのブラス・バンドのマーチ集となったが、録音の思い出話しがはずむうち、岩城氏が「俺も一緒にやりたいな」と云い出したことが第2回目の録音のきっかけとなったのである。……(後略)……。』(原文ママ)

文中の“昨年の暮れ”とは、1969年の年末のことだ。

そして、このパーティーの場で、草刈さんは、機は熟したと感じとり早速トリオに連絡。アレよアレよという間に日程調整が進んで、岩城さんの渡欧直前のこの日、1月30日に録音が行なわれる運びとなった訳である。

こうして、レジェンドたちは再び同じホールに参集した!

この日、録音されたレパートリーは、以下のようにものだった。

古いアメリカン・ダンスによる組曲
Suite of Old American Dances(Robert Russell Bennette)

ビギン・フォー・バンド
Beguine for Band(Glenn Osser)

コラールとアレルヤ
Chorale and Alleluia(Howard Hanson)

トランペット・オーレ!
Trumpet Ole!(Frank D. Cofield)

トロンボナンザ
Trombonanza(Frank D. Cofield)

クラリネット・ポルカ
Clarinet Polka(Arr. David Bennett)

クラリネット・キャンデ
Clarinet Candy(Leroy Anderson)

オリジナル・デキシーランド・ワンステップ
Original Dixieland Onestep(John Warrington)

この選曲を誰が担ったかについては、何も情報を持たないが、選曲のコンセプトそのものは、1967年(昭和42年)に日本コロムビアがリリースした「楽しいバンド・コンサート」シリーズ(EP:日本コロムビア、EES-176、EES-177、EES-178)とほぼ同じ傾向のもので、アメリカのオリジナル曲および、このグループに参加するレジェンドたちのプレイを際立たせるトランペットやトロンボーン、クラリネットのセクション・フィーチャーやソロ・フィーチャーからなっていた。ただし、そんな中に、ロバート・ラッセル・ベネットの『古いアメリカン・ダンスによる組曲』やハワード・ハンソンの『コラールとアレルヤ』という、アメリカのコンサート・バンドの定番レパートリーが含まれていたことは大きな話題となった。(参照:《第18話 楽しいバンドコンサート》

また、全体を俯瞰するなら、シリアスからエンターテイメントまでの少し欲張ったコンセプトにも映るが、それらの多彩な演目をわずか1日のセッションで録り終えてしまったレジェンドたちに対しては、正直“リスペクト”という以外、適当な言葉が見つからない。

月刊誌「バンドジャーナル」1970年3月号(管楽研究会編、音楽之友社)も、当日のセッションを取材。アンサンブル全体、パーカッション・セクション、モニタールームの模様を撮影したモノクロ写真3枚を配したグラビア頁のリポート“国内レコーディング・ニュース”(24頁)を入れた。記事には『とくに岩城宏之が打楽器を担当したのが注目される』(原文ママ)との記述もあり、掲載写真にも、バス・ドラムを叩いたり、プレイバックを聴く岩城さんの姿が大きく映りこんでいた。それは、岩城さん本人にとっては恐らくは15年ぶりの打楽器プレイだと思われるレアなシーンだったが、それもあってか、この第2弾のレコードやテープは、吹奏楽ファンだけでなく、再びオケマンたちの関心を呼びさますことになった。

ひとつの伝説の誕生である!

結果として、「我が国最高の管楽器奏者による《マーチの極致》」と「我が国最高の管楽器奏者による《ブラスの饗宴》」の2タイトルが揃うことになった両アルバムは、普段は別々のオーケストラで活躍するオケマンたちが、楽団の垣根を超えて参集し、指揮者不在という自分たちだけのアンサンブル・プレイを愉しみながら、真摯に吹奏楽曲と向き合った貴重なアーカイヴ、オーディオ・ファイルとなった。

これらは、間違いなく、今後とも長く記憶に留められることになるだろう。

筆者が初めてこれらを聴いたときの個人的印象も強烈なものだった!

そして、両盤は、吹奏楽のレパートリーがそれまでのマーチ一色に変わって、吹奏楽固有のレパートリーを温め始めるようになったそんな時代に、我々に新しい風を吹き込んでくれた鮮烈なメッセージとなった!

いろいろなものが変わり始めていた!

だから音楽はおもしろい!!

▲ LP(再発売見本盤) – 我が国最高の管楽器奏者による《ブラスの饗宴》(トリオ、PA-5026)

▲PA-5026、A面レーベル(見本盤)

▲ PA-5026、B面レーベル(見本盤)

▲「バンドジャーナル」1970年3月号(管楽研究会編、音楽之友社)

■アルコバレーノウインドオーケストラ 第7回定期演奏会(1月30日)

今年のテーマは「再始動」。

2020年2月に行われた、第6回シンフォニックジャズ&ポップスコンテスト全国大会において金賞を受賞した当団。以降、新型コロナウイルスにより活動を休止しておりましたが、一年ぶりの演奏会となります。

こうした時代だからこそ、ご来場の皆様に笑顔になって頂けるように、クラシック曲からポップス曲まで幅広い曲目をご用意しました!

皆様のご来場を団員一同お待ちしております。

※新型コロナ感染予防として、事前申し込みが必要になります。
下記フォームにご記載の上、当日お越しください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdwo4Vf52OojzT-fUKAT-8wxdQ5_UlJ1h-bzo_gXamHDLPE-w/viewform

・館内入り口での検温、アルコール消毒にご協力ください。
・マスク着用でご来場ください。
・37.5℃以上の発熱や体調が優れない場合は、ご来場はご遠慮ください。
・出演者への差し入れ等はご遠慮ください。

日時 : 2021年1月30日(土) 開場 13:30 、開演 14:00
会場 : 大和市文化創造拠点シリウス 芸術文化ホール
交通手段 : 小田急江ノ島線・相鉄本線 大和駅から徒歩3分
料金 : 入場無料 全席自由 ※要申し込み
曲目 : 1部「クラシカル」
♪ナヴァル・ブルー(真島俊夫)
♪ラシーヌ賛歌(編曲:鈴木英史)

2部「アルコバレーノ・ポップス・セレクション

♪イン・ザ・ムード
♪ジョイフル・ジョイフル


問合せ :

担当者山根
TEL09063071837
E-Mailarcobaleno.w.o@gmil.com
HomePagehttps://arcobalenowindorchestra.jimdofree.com/

■陸上自衛隊中央音楽隊 第162回定期演奏会(1月31日)

陸上自衛隊中央音楽隊は、令和3年1月31日(日)14時より東京芸術劇場コンサートホールにて第162回定期演奏会を行います。

第1部は隊長の指揮の下、2021年が生誕100周年記念にあたるアルフレッド・リードの作品を演奏します。世界の吹奏楽シーンに大きな影響を与え、数多くの人気作品を遺されたアルフレッド・リード。その中から、軍隊ラッパの旋律を組み込んだ《セレモニー・オブ・フローリッシュ》、シェイクスピアの戯曲にインスパイアされて作られた美しい小品《アーデンの森のロザリンド》、能登空港開港を記念し“飛躍の世紀”と副題が付けられているリードが遺した最後の組曲《第7組曲》、そして福島のジュニア吹奏楽団の委嘱で作られたリード遺作のファンファーレをお送りします。

第2部は、フィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者としても長くご活躍され、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど、世界中のオーケストラへ客演を続けられている篠﨑靖男氏を客演指揮にお迎えし、ストラヴィンスキーが遺した貴重な管楽器のためのオリジナル曲《管楽器のための交響曲》、ラヴェルの代表作でもあり吹奏楽でも大変人気のある《ダフニスとクロエ第2組曲》をお送りします。

なお、新型コロナウイルスの影響により、入場人数・入場方法・鑑賞時のマスク着用等、通常の演奏会と異なる場合がございます。最新の状況を中央音楽隊HP・Twitterにてご確認いただきますようお願いいたします。

日時 : 2021年1月31日(日) 開場 13:00 、開演 14:00
会場 : 東京芸術劇場コンサートホール
交通手段 : JR・東武東上線・西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分
料金 : 無料(ホームページより応募が必要です)
曲目 : アルフレッド・リード生誕100周年
■ファンファーレ~ゆめはっとジュニア・オーケストラのための(遺作)
■セレモニー・オブ・フローリッシュ
■アーデンの森のロザリンド
■吹奏楽のための第7組曲

■管楽器のための交響曲(ストラヴィンスキー)
■《ダフニスとクロエ》第2組曲(ラヴェル)
問合せ :

担当者中央音楽隊演奏科広報班
E-Mailregular_concert_cband@inet.gsdf.mod.go.jp
HomePagehttps://www.mod.go.jp/gsdf/central/162concert.html

■テンピースブラス ワンライン 第12回コンサート(2月27日)

入れ替え制による12:00開演、15:00開演の2回公演です。
第12回コンサートのテーマは、なんと『猫』。
愛くるしい猫たちの魅力を、10人のブラスプレイヤーが表現します。
どうぞお楽しみください。

日時 : 2021年2月27日(土) 開場 13:15 、開演 12:00
会場 : 府中の森芸術劇場 ウィーンホール
交通手段 : ■京王線利用の場合
東府中駅(新宿駅から約25分、京王八王子駅から約20分)北口 下車 徒歩7分

■JR中央線利用の場合
武蔵小金井駅 下車
武蔵小金井駅南口(5番乗り場)より東府中駅行きバス約20分、東府中駅下車徒歩約7分
武蔵小金井駅南口(1番乗り場)より府中駅行き(一本木経由)バス約20分、第二小学校下車徒歩約10分
武蔵小金井駅南口よりタクシーで約15分 1400円程度
料金 : 入場無料
曲目 : 【入れ替え制による2回公演です】

■Program A 11:15開場/12:00開演
♪ 組曲「3匹の猫」(ヘイゼル)
♪ 2匹の猫のためのデュエット(ロッシーニ)
♪ トムとジェリー(ブラッドリー)
♪ ハイライト・フロム・キャッツ(ウェバー)

■Program B 14:15開場/15:00開演
♪ 組曲「もう3匹の猫」(ヘイゼル)
♪ ワルツィング・キャット(アンダーソン)
♪ トムとジェリー(ブラッドリー)
♪ ハイライト・フロム・キャッツ(ウェバー)
問合せ :

担当者高木
TEL090-5440-7468
E-Mailtenpiece.brassband.oneline@gmail.com
HomePagehttps://oneline.tokyo/

■Osaka Shion Wind Orchestra 住友生命いずみホール特別演奏会 MARCH!MARCH!MARCH!(3月26日)

Osaka Shion Wind Orchestraと齊藤一郎がタッグを組んだ全曲マーチの演奏会として注目を集めながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために中止となった「いずみホール特別演奏会 MARCH!MARCH!MARCH!」。同じプログラム、同じ会場での振替公演が決定しました! この演奏会でしか味わえない珠玉のマーチの聴き比べをぜひご堪能ください。

日時 : 2021年3月26日(金) 開場 18:00 、開演 19:00
会場 : 住友生命いずみホール
交通手段 :
●JR大阪環状線「大阪城公園駅」徒歩5分
●JR東西線/大阪環状線「京橋駅」徒歩10分
●京阪本線「京橋駅」徒歩15分
●OsakaMetro長堀鶴見緑地線「大阪ビジネスパーク駅」徒歩10分
料金 : S席3500円、A席3000円、B席2500円 ※学生割引(500円引き)
曲目 :
第1部 世界の名行進曲
■古関 裕而:オリンピック・マーチ
■J.P.スーザ(F.フェネル 校訂):雷神
■L.V.ベートーヴェン(P.フランソワ 編曲):トルコ行進曲
■J.F.ワーグナー(W.ヴェスナー 編曲):双頭の鷲の旗の下に
■J.F.ラウスキー(J.S.セレディ 編曲/F.フェネル 校訂):サンブル・エ・ミューズ連隊
■J.シュトラウス2世(R.パーカー 編曲):ペルシャ行進曲
■J.シベリウス(N.リチャードソン 編曲):組曲「カレリア」から 行進曲風に
■J.フチーク(M.L.レイク 編曲/F.フェネル 校訂):フローレンティナー行進曲

第2部 大作曲家の行進曲
■R.ワーグナー(M.L.レイク 編曲):歌劇「タンホイザー」から 大行進曲
■P.ヒンデミット(K.ウィルソン 編曲):「ウェーバーの主題による交響的変容」から 行進曲
■R.ワーグナー(M.ヴォッタ 編曲/J.ボイド 校訂):ウェーバー「オイリアンテ」の動機による葬送音楽
■W.ウォルトン(W.J.デュソイト 編曲):クラウン・インペリアル
※やむを得ぬ事情により、出演者、演目等に変更になる場合がございます。予めご了承ください。
問合せ :

担当者Shionチケットセンター
TEL0800-919-5508 (土・日・祝を除く10:00~17:30)
E-Mailinfo@shion.jp
HomePagehttps://shion.jp

■「BPラジオ 吹奏楽の世界へようこそ」1月の放送予定

毎週(土)23時…FMカオン(厚木・海老名)
http://www.fmkaon.com/

毎週(日)正午…調布FM
http://www.chofu-fm.com/
もちろん、どちらもネット経由で、全国どこででも聴けます!

第161回 タッド・ニュー・イヤー・コンサー
1月2日(土)特番のため休止/FMカオン 【放送】1月16日(土)23:00
1月3日(日)正午/調布FM 【再放送】1月17日(日)正午

第162回 生誕100年、アルフレッド・リードとの1年
(1)初期名作群をたずねて

1月9日(土)23:00/FMカオン 【再放送】1月23日(土)23:00
1月10日(日)正午/調布FM 【再放送】1月24日(日)正午

ノンストップ、ウインド・ミュージック
1月30日(土)23:00/FMカオン
1月31日(日)正午/調布FM

【制作・提供】バンドパワー
【ご案内】富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)

【BPラジオの視聴方法】

第161回 タッド・ニュー・イヤー・コンサート
1月2日(土)特番のため休止/FMカオン 【放送】1月16日(土)23:00
1月3日(日)正午/調布FM 【再放送】1月17日(日)正午

毎年話題の、タッド・ウインドシンフォニーによる、ニュー・イヤー・コンサート。2021年は、残念ながら中止となりました。お年玉(プログラムにない隠し名曲)を聴けないのは残念ですが、その分、過去の名ライヴ音源でお楽しみください!
演奏は、すべて、鈴木孝佳(タッド鈴木)指揮、タッド・ウインドシンフォニーです。

【1】スパルタキアード行進曲/プロコフィエフ (ゴールドマン編曲)【約5分】

【2】イーストコーストの風景/ナイジェル・ヘス
I)シェルター島、II)キャッツキル山地、Ⅲ)ニューヨーク【計約18分】

【3】バンドロジー(オリジナル版)/オスターリング【約3分半】

【4】映画『11人のカウボーイ』序曲(The Cowboys)/ジョン・ウィリアムズ(ボコック編曲)【約11分】※作曲者公認、プロフェッショナル・ヴァージョン

【5】セント・アンソニー・ヴァリエーションズ(天理ヴァージョン)/ヒル【約8分】

第162回 生誕100年、アルフレッド・リードとの1年
(1) 初期名作群をたずねて

1月9日(土)23:00/FMカオン 【再放送】1月23日(土)23:00
1月10日(日)正午/調布FM 【再放送】1月24日(日)正午

本年は、「吹奏楽の神様」アルフレッド・リードの生誕100年です。そこで当番組は、毎月1回、1年間12回にわたって、リードの特集を放送することになりました。その第1回は、1950~60年代の、初期名作群です。リードは最初からすごかった! ぜひ1年間、つづけてお聴きください!

【1】フェスティヴァル(音楽祭の)・プレリュード(1957年→1970年度コンクール課題曲)
A.リード指揮、東京佼成ウインドオーケストラ【約4分半】

【2】シンフォニック・プレリュード~「黒はわが恋人の髪の毛の色」による(1963→1965年度コンクール課題曲)
A.リード指揮、東京佼成ウインドオーケストラ【約7分半】

【3】ワパウェッカ(サスカッチアンの山)(1967)
A.リード指揮、東京佼成ウインドオーケストラ【後半部抜粋、約3分】

【4】ジュビラント序曲(1969)
A.リード指揮、東京佼成ウインドオーケストラ【約6分半】

【5】グリーンスリーヴズ~吹奏楽のための幻想曲(1961)
木村吉宏指揮、広島ウインドオーケストラ【約5分】

【6】パッサカリア(1967)
鈴木孝佳指揮、タッド・ウインドシンフォニー【約16分半】

ノンストップ、ウインド・ミュージック
1月30日(土)23:00/FMカオン
1月31日(日)正午/調布FM

第5(土)(日)のお楽しみ! ノーナレで、ひたすら流れる、吹奏楽とブラスバンドの響き! 何が飛び出だすかは、その日次第!

【コラム】富樫鉄火のグル新 第292回 筒美京平、半歩立ち止まる。

 初秋に、さほど深刻ではなかったものの、少々、体調を崩した。
 わたしは、10余年前に受けた食道(噴門)癌手術の後遺症のようなものを抱えている。普段はクスリでおさえており、何ということもないのだが、数年に一度、調子が悪くなる。そのたびに、短期入院もした(今回は、そこまでには、至らなかったが)。
 昨年秋には、再発と思われる腎臓腫瘍の切除手術も受けた(悪性ではなかったが)。

 そんなせいで、力が入らない日々を過ごしていると、ただでさえコロナ禍で、多くの仕事がうまく進まないところへ、著名人の逝去のニュースがつづき、気が滅入ってきた。
 その後、体調もほぼ回復したので、当コラムを再開しようと考えていた矢先でもあったので、出鼻をくじかれたような気分だった。

桑田二郎(漫画家)、エンニオ・モリコーネ(映画音楽作曲家)、弘田三枝子(歌手)、外山滋比古(言語学者)、濱野彰親(挿絵画家)、須藤甚一郎(目黒区議、元芸能レポーター)、渡哲也(俳優)、豊竹嶋太夫(義太夫)、かぜ耕士(作詞家)、井出孫六(作家)、近藤等則(ジャズ・トランぺッター)、大城立裕(作家)……かつて仕事でお世話になったり、敬愛してきたひとの訃報は、つらい。

 なかでも、作曲家・筒美京平の逝去には、特にガックリ来た。
 (その後、中村泰士、なかにし礼の訃報までがつづいた)

 筒美作品の魅力は「半歩立ち止まる旋律」にあると、わたしは、むかしから思っていた。

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