Text:五十嵐 清(東京清和吹奏楽団常任指揮者/元東京消防庁音楽隊長)
第8回うちトレ 体調ケア 「ストレス対策、リラックスの方法」
うぅぅ・・・ある程度覚悟はしていたけれど、緊急事態宣言が5月末日まで延長されてしまい、今までの努力は何だったの、まだまだ自粛しなければならないの? 仕事は? 学校は?そして部活やサークルはどうなってしまうのか?・・・などなどなど。
目に見えないウイルスへの恐怖がある中で不満と不安が再び押し寄せてきてしまい、溜まっていたストレスが一気に行動や言葉や体調に出てきてしまったという人もいるかと思います。
そこで、今回のうちトレは体調のケアのお話。
1.ストレス対策
第1回新型コロナウイルスなんかに感染しないぞ!で免疫力アップの3つのポイントをお話ししました。しかしこんなに長く影響が出るとは思わなかった。ストレスを溜めないように努力はしていたけれど・・・
人はストレスを受けると、それを防御しようと交感神経が身体を戦闘状態にします。この状態を鎮め治まらせるために副交感神経が働き、身体や心をリラックスさせます。この二つの神経のバランスや副交感神経の命令実行する順番が崩れるとストレス反応として体調の異変や不安悩み、攻撃や無気力などが現れます。
そこで先ず身体の状態を把握し、次に心に目を向ける「身心」(敢えて心身としていません)を整える方法、セルフコントロールの方法の一例を紹介しますので、うちトレしてみてください。
1)楽しく食事をする。
食事は身心を整えるのに大切なことわかっていると思いますが、ついつい適当にまた短時間でとなってしまいます。部活動中心の生活の時は、朝練のために朝食はコンビニおにぎりやゼリー飲料、3時間目後に間食、昼食は急いでお弁当を食べる、部活後はコンビニでお腹を満たし、帰宅して味も噛み締めず短時間で食べる夕食。ちょっと大袈裟に言っていますが似通った生活をしていた人がいたのでは。そして、ステイホームの今、炭水化物メインの食事になっていませんか?
ここで、食事で気を付けて補給するべき栄養素を並べてみます。
・タンパク質:ホルモンの生成を促す→肉、魚介、卵、大豆製品など
・ビタミンC:ホルモンの生成を促す→ジャガイモ、サツマイモ、レモン、キウイフルーツなど
・ビタミンB群:精神を安定させる→豚肉、レバー、牛乳など
・カルシウム:神経の興奮を抑える→乳製品、大豆製品、小松菜、魚類など
・マグネシウム:神経の興奮を抑える→大豆製品、海藻、魚介など
・ビタミンE:自律神経を調整に役立つ→ナッツ類、魚介類、大豆製品、穀類、緑黄色野菜など
・ビタミンD:カルシウムの吸収を促す→魚介、卵、キノコなど。
えー こんなに沢山!一度の食事に全部なんてとても無理無理。
そうですよね。大切なことは、色々な栄養素を偏りのないように食事で摂ることように心がけてほしいという事。
そして「楽しくリラックスしてゆっくりと味わって」食べてほしいということです。
忙しい余裕がないからといって、食事と睡眠を適当にすることはやめましょう!時短することができることは他にあります。(だからと言って勉強や課題を時短しようと思っていませんよね)
2)ストレスは吐き出す。
ストレスを軽減するのに、口から出す、吐き出すことも一つの方法とされています。
心の中のモヤモヤを、誰かに聞いてもらう。話しをすることで解き放すと、きっとスッキリ、ホッとして楽になります。そして、解き放すと今の状態から少し距離が離れて余裕が出てきて、周りを見られて、こんなことするといいかも!と気づき、前向きになるきっかけになるかと思います。
このサイクル 「話す」→「放す」→「離す」を実行しましょう。
今戦っているウイルスは息苦しくなることが特徴なのに、違う意味で息切れしてしまわないよう、完全な問題解決にはならなくても、少し誰かとたわいもない話でもいいので話をしてみませんか?今は直接会って会話ができませんのでLINEやメールなどでの文字でのやり取りの目から情報が主ですが、たまには電話で話しをして声に出して会話をしてみてはどうですか?スッキリ、ホッとできると思いますよ。
3)リラックス方法(エクササイズ)
リラックスは、緊張し酷使した身体と心をほぐして緩めて快適さを取り戻していきます。
自分自身で心の活性を高める筋肉と心の安定を妨げる筋肉を弛緩していく方法。相談カウンセリングを通して緩和していく方法などがあります。
では、リラックスをするために、心の活性を高める筋肉と心の安定を妨げる筋肉についてお話します。
・心の活性を高める筋は、抗重力筋(コウジュウリョクキン・姿勢を保つ筋肉)です。
地球の重力に対して姿勢を保つために働く筋で、下腿、大腿、腹部、胸部、首に張り巡らされ、前後互いに伸縮をしながらバランスを取っている。常に緊張をしていて最も疲労しやすい筋肉です。
・心の安定を妨げる筋は、僧帽筋(ゾウボウキン・首や肩周辺の筋肉)と皺眉筋(シュウビキン・顔の眉間の筋肉)です。
頭から首や肩、背中まで伸びた頭を支えたり腕を動かしたり上半身の動きに関係する筋肉で、凝りの原因となる筋肉と眉間にしわを寄せたり、しかめ面をしたりするなど不快感を表す時に力を入れる筋肉です。
この二つの要素の筋肉を快適に緩めることによりリラックスをしていきます。
ではエクササイズです。
・筋肉を弛緩する(緩め方)
ポイントは筋に力を入れて、その感覚を保ち、一度に力を抜き緩める。
①腕を前に上げ出し、指を握る。
②指先、腕、肩に力を入れる。
③肘を横に張り、後ろに引く。
④肩を上げる
⑤歯を食いしばり、眉間にシワを寄せ、顔を上に首を曲げる。
⑥15秒キープ
⑦一度に力を抜く、緩める。
このルーチンをゆっくり2?3回繰り返す。
・呼吸によるエネルギー変換(リラックス)
ポイントは、酸素と取り込み、二酸化炭素をだしてエネルギー交換をする。
①背筋を伸ばす
②両肩を上げながら、目を見開いて、息を吸う。→良いエネルギー酸素を取り込む
③両肩をストンと落とし下げて息を吐く。
→悪いエネルギー二酸化炭素を出す。
④身体の力が抜けた感じを味わう。
このルーチンをゆっくり2?3回繰り返す。
どうですか?身体の力が抜けた感じを掴めましたか?
出来れば毎日の生活パターンに組み込んでください。
落ち着こうと頑張ると、なぜか身体が興奮し緊張が出てくる。そうすると焦ってドキドキしてくる。だから落ち着こうとする。そしてまた・・・これでは交感神経が働いていつまでたっても緊張がほぐれずストレスがたまります。そこで、身体を支える基幹の抗重力筋を正しい姿勢から悪い癖を作らないようにして、深呼吸をして肩や顔の筋肉をほぐして心を緩めていきましょう。
先ず身体を緩める。これから心の緊張を緩めて徐々に落ち着いていく副交感神経の働きを促すパターンを身に着けられるとようにしていきましょう。
はい!わかりました。でも・・・今、毎日ソファーでダラーっとリラックスしていますから、大丈夫だと思います。
あれ、ソファーでダラーっと…?
残念ながら、この状態は「だらけ」でリラックスとは違います。
だらけは、ソファーなどで姿勢を悪く寝転んだり、ただ何となく時間を経過させたりして無意味に過ごしている状態です。そのため身体にだるさを感じたり頭が痛くなったりとかえって疲れが出るなんてこともありますね。今学校がお休みなので「だらけ」が続くと、学校が再開されたとき「これではいけない」「きちんとしなくては…」と思い、無意識にのうちに自分に緊張感をかけてストレスになっていて、家に帰ると疲れがどっとでてしまう…という悪循環を生んでしまいますから気を付けてください。
身心のコントロールをして「本来の自分」を見つけるセルフコントロールをしていくと、「いつもどおりにやればいい」と感じてリラックスすることができ、自信を持って様々な場面に挑めるようになります。緊張することなく能力をフルに発揮できるので、楽器の演奏でも、練習してきた成果を本番のステージで存分に出せて最高の演奏に繋がります。