2010年3月19日から21日までドイツ国立ミュンヘン音楽大学で開催された「フルートフェスティバル・ミュンヘン」で、田中久美子作曲のフルート4重奏曲「クスコの月」(Les lunes de Cuzco)が、世界初演された。
このフェスティバルは、国際的なソリストによるコンサートや、参加者たちによるコンサート、公開レッスン、コンクール、楽譜や楽器の展示など、3日間、朝から夜まで、フルートに関する様々なイベントがぎっしり詰まった国際的な催しである。今回「クスコの月」は、その中のコンサートで、ミュンヘン音楽大学の学生たちのカルテットにより演奏され、好評を博した。
「クスコの月」は、インカ帝国の古都だったペルーのクスコをイメージして、もとはフルートとピアノのために書かれた作品である。2001年、フランスのロベール・マルタン出版社より、CD付き曲集(Le voyage du petit Flute!)とピース版の両方で出版された。
出版直後にフランス連盟主催のフルート・コンクール課題曲に選定され、1年目には約3,400部を売り上げた。その後も数年間、課題曲に選定され続けたため、2年目以後も1,500部から2,000部ほどが毎年コンスタントに売れ続けていて、その勢いはまだ止まりそうにない。クラシック音楽の分野において、単独の管楽器のための作品としては異例の大ヒット作となっている。この曲は、少なくともフランスで、フルートのレパートリーとして定着したと言えるだろう。
この状況を見た出版社側が、今年1月、作曲家本人にフルート4重奏曲への編曲を依頼。田中は伴奏のピアノ・パートの雰囲気を保ちつつフルート4重奏に書き換えるという難題を上手く解決し、カルテットを見事に完成させた。
作品の演奏難度を控え、各パートにメロディーを振り分けるなどの配慮がなされているので、アマチュアでも十分に演奏を楽しめる編曲になっている。このたびのミュンヘンでの演奏を機に、この作品がドイツでも頻繁に演奏されるようになる事を出版社は期待している。
なお、この4重奏曲は、同出版社から近々出版される予定で、楽譜は、フランス全国の音楽学校・音楽院に配置されることが計画中である。バンドパワーでも販売予定。全国のフルート付記の皆さんは楽しみに待ってくださいね。
■ 「クスコの月」をYouTubeで聴いてみる
http://www.youtube.com/watch?v=BawrHvWw4n8
http://www.youtube.com/watch?v=3MmhiA7TkVU&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=NCQ2Bwc5Z2I&NR=1
【田中久美子 楽譜】
■吹奏楽のための組曲「青銅のイノシシ」/田中久美子

http://item.rakuten.co.jp/bandpower/set-8420/
■アンダルシア/田中久美子

http://item.rakuten.co.jp/bandpower/toset-0257/
■虹(ラルク・アン・シエル)/田中久美子

http://item.rakuten.co.jp/bandpower/set-8651/