「ダイクの前にダイクなし、ダイクの後にダイクなし」と謳われるイングランドのブラスバンド“ブラック・ダイク”!
歴史的名門バンドだけに、ターンテーブルに載せられたディスクの回転数が1分間に78回転が主流だった(ディスクの一面に3~4分程度の曲しか収録不可能だった)SPレコードの時代から、45回転のEPレコードやシングル、約33回転のLPレコードの時代を経て、現代のCDやDVDに至る各種商業レーベルに、350タイトルを超えるレコーディングを残してきた!
世界中に“ブラック・ダイク”アイテムをコツコツと蒐集する熱心なコレクターやサポーターが存在する、そんな超人気バンドなのだ!!
このアルバムは、ドイエン・レーベルが、1990年代初頭から、デスフォード・コリアリー・キャタピラー・バンド、ウィリアムズ・フェアリー・バンド、ハレ・ブラス、ロイヤル・ノーザン・カレッジ・オブ・ミュージック・ウィンド・オーケストラなど、英国内のさまざまなアーティストとレコーディングを重ね、今もシリーズ継続中のイギリスの作曲家エドワード・グレッグスン(1945~)の“ブラスバンド作品集”第2弾だ。
録音&リリースは、1995年!! とっくの昔の“絶版”アイテムだ!!!
今回、それが奇跡的に少数出土した!!
当時の音楽監督は、1992~2000年の間その任にあった故ジェームズ・ワトソン(1951~2011)。
ワトソンは、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団、ロンドン・シンフォニエッタの首席トランペット奏者をつとめ、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのメンバーでもあったイギリスの伝説的プレイヤーだ。
少年時代からコルネットに親しみ、わずか11才で、名門炭鉱バンド、デスフォード・コリアリー・バンドのプリンシパル・コルネット奏者に就任。1966年には“全英ソロ・チャンピオン”に輝いたが、そのとき、まだ14才。並み居る大人たちを押しのけての見事な栄冠だった。トランペットは、ロンドンのロイヤル音楽アカデミー(RAM)に学び、22才のとき、名指揮者ルドルフ・ケンぺに選ばれ、ロイヤル・フィル史上最年少の首席トランペット奏者になった。
グレッグスンが主に1970年代に書いた名品を集めたこのCDでも、『プレリュードとカプリッチオ』(1972)と『コンチェルト・グロッソ』(1972)の2曲で、指揮棒をコルネットに持ち替え、さすが名手という、安定感のあるフィンガリングの伸びやかなソロを聴かせてくれる。
この盤では、ワトソンがソロをとるとき、グレッグスン自身が指揮をつとめている。
ソロピース以外でも、『プレリュード・フォー・アン・オケージョン』(1968)、『エッセイ』(1971)、『プランタジネット朝』(1973)、『パルティータ』(1971)、『ラウダーテ・ドミヌム変奏曲』(1976)という、20世紀イギリスの人気オリジナルとして人気を博した5曲が愉しめる。
『プレリュード・フォー・アン・オケージョン』は、プラック・ダイクのレコーディングのために書かれたグレッグスン初のブラスバンド曲で、発表後、大ヒット作となった。
余談ながら、フィリップ・スパークがロンドンの王立音楽カレッジ(RCM)在学中、出版社R・スミスのブラスバンドのための新作募集の告知を見て興味を覚え、同社の社長でトランペット奏者、指揮者のジェフリー・ブランドを訪ねて、どういうものを求めているのか質問したところ、一例としてこの曲のレコードを聴かされ、帰宅後、スパークが一晩で書き上げたのが「コンサート・プレリュード」だったというエピソードがある。
『エッセイ』は、老舗煙草メーカー“W.O. & H.O ウィルズ”が毎年行っていたブラスバンド選手権の1971年決勝のテストピース(課題)として委嘱された作品で、3楽章構成の簡潔なシンフォニーのスコープとスケールを意識して作曲された。若々しいグレッグスンのアイデアが凝縮された作品だ。
“ブラスバンドのためのシンフォニック・スタディー”との副題をもつ『プランタジネット朝』(1973)は、1973年の全英選手権の地区予選のためのテストピース(課題)として委嘱された。中世イングランドの王朝を題材に書かれた野心的香り漂う本格オリジナルとして人気を博し、その後もしばしば演奏される。
『パルティータ』(1971)と『ラウダーテ・ドミヌム変奏曲』(1976)は、グレッグスンがブラスバンドのために書いた代表的作品で、イングランドでは不動の人気を誇る。
前者は、“イントラーダ”、“コラールとヴァリエーション”、“マーチ”の3楽章構成。13世紀のレクイエムからとられたディエス・イレ“(怒りの日)”をテーマとするが、ユース・バンドからの委嘱曲でもあり、宗教的な重々しさに終始せず、ときにはライトに展開し、最終楽章の終結部に近づくにつれ、明るく楽天的なムードさえ醸し出しながら、圧倒的な輝きの内に曲を終える。
後者は、作曲者の実の兄弟であるプラムウェル・グレッグスンがバンドマスターをつとめるカナダの救世軍ロンドン・シタデル・バンドのイギリス演奏旅行のために委嘱され、1976年6月、ロイヤル・アルバート・ホール(英ロンドン)で初演された。曲名のラウダーテ・ドミヌムは“主を崇めよ”と訳され、ヒューバート・パリー(1848~1918)の同じ意の賛美歌“O Worship The King”をテーマとする変奏曲として書かれている。当初、救世軍のバンド以外の演奏が禁じられていたが、1990年代にそれが解除されると、瞬く間に世界中で演奏される人気曲となった。
エドワード・グレッグスンも、かつて救世軍の音楽家だったことを記憶の片隅に留めておきたい。
ソプラノ・コルネットのケヴィン・クロックフォード、フリューゲルのレス・マコーマック、ユーフォニアムのロバート・チャイルズ、トロンボーンのクリス・ジーンズらがプレイするワトソン時代のブラック・ダイクは、セクション密度の高いアンサンブルと輝かしいサウンドで知られた。
切れ味鋭いすばらしい音響を誇るマンチェスターのザイオン・インスティチュート(ザイオン・アート・センター)で、後にBBCの録音エンジニアに転身するハワード・バーンズによってレコーディングされたブラスバンド史に残るCDだ!
■【数量限定】
ブラック・ダイク~グレッグスン:ブラス・ミュージック Vol.2
(エドワード・グレッグスン作品集 第2集)
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4239/
・演奏団体: ブラック・ダイク・ミルズ・バンド(Black Dyke Mills Band)
・指揮者: ジェームズ・ワトソン (James Watson) 1、2、4、6、7
エドワード・グレッグスン (Edward Gregson) 3、5
・録音:1995年、Zion Institute, Manchester (U.K.)
・発売元:ドイエン(Doyen)
・発売年:1995年
【作曲(全曲):エドワード・グレッグスン (Edward Gregson)】
- プレリュード・フォー・アン・オケージョン(1968) 【3:35】
Prelude for an Occasion -
エッセイ(1971) 【12:38】
Essay
I) ダイアログ Dialogue【4:02】
II)ソリロキー Soliloquy【5:17】
III)エピグラム Epigram【3:17】 -
プレリュードとカプリッチオ(1972) 【8:36】
Prelude and Capriccio
コルネット(Cornet):ジェームズ・ワトソン(James Watson)
4. プランタジネット朝 – ブラスバンドのためのシンフォニック・スタディー (1973)【12:14】
The Plantagenets – Symphonic Study for Brass Band
- コンチェルト・グロッソ(1972) 【8:55】
Concerto Grosso
コルネット(Cornet):ジェームズ・ワトソン(James Watson)
テナーホーン(Tenor Horn):レス・マコーマック(Les McCormack)
ユーフォニアム(Euphonium):ロバート・チャイルズ(Robert Childs)
トロンボーン(Trombone):クリス・ジーンズ(Chris Jeans)
- パルティータ(1971) 【10:54】
Partita
I) イントラーダ Intrada 【2:36】
II)コラールとヴァリエーション Chorale and Variations【4:31】
III)マーチ March【3:38】 -
ラウダーテ・ドミヌム変奏曲(1976) 【11:41】
Variations on “Laudate Dominum”
【このCDをBPショップでチェックする】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4239/