■ベルト・アッペルモント(Bert Appermont)

1973年12月27日、ベルギ-のビルゼに生まれる。ル-ヴェンのレマンス音楽院で、エドモンド・サ-ヴェニ-ルスとヤン・ヴァンデルロ-ストのクラスに学び、2つの音楽修士号を得て1998年に修了。専攻は音楽教育とウィンド・バンド指揮法。その後 “映画とテレビのための音楽デザイン” の修士号を取得すべく、イギリスのボ-ンマス・メディア・スク-ルに留学。帰国後、キンドシ-ルド・イエス音楽学校(中等学校)で和声と音楽理論を教える傍ら、ベルギ-内外のウィンド・バンド(吹奏楽団)や合唱団、管弦楽団から客演指揮者として招かれている。吹奏楽のジャンルにおいて、『ノアの箱舟』、『ガリバー旅行記』、『アイヴァンホー』、交響曲第1番『ギルガメッシュ』など、立て続きに世界的ヒット作品を発表。2008年12月に初来日し、東京佼成ウインドオーケストラを指揮して自作自演CD「エグモント」(佼成出版社)を収録。日欧同時発売されたこのアルバムは、「レコード芸術誌」準特選盤に選ばれるなど、内外で高い評価を得た。現在、ベルギーで最も注目を集める作曲家のひとりであり、近年では、BBC放送のドキュメンタリー番組のための管弦楽作品も手掛けている。

ホルン協奏曲<ピアノ伴奏版>(作曲:ベルト・アッぺルモント)

この『ホルン協奏曲』は、スペインのホルン奏者ミゲル・マルティネス・メヒアスとセントロ・インストルクティヴォ・ムシカ・ラ・アルモニカ・デ・ブニョール交響吹奏楽団の委嘱で書かれ、2011年11月19日、ブニョールで行われた同楽団のコンサートで作曲者自身の指揮で初演された。これは、そのピアノ伴奏バージョン。

“サラバンド”~“トッカータ”~“ロマンス”~“フィナーレ”の4つの楽章で構成され、全体は休みなく一気に演奏される。

■Concerto for Horn and Band
Bert Appermont

・グレード:
・作曲:ベルト・アッペルモント (Bert Appermont)
・TIME:約21分00秒
・出版:ベリアト・ミュージック(Beriato Music)
・分類:販売譜 (ユーフォニアム&ピアノ譜セット)

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【吹奏楽伴奏版をBPショップでチェックする】
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■オリヴァー・ヴェースピ:アウディヴィ・メディア・ノクテ
http://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-2983/

▼演奏は吹奏楽伴奏版

■グリーン・ヒル(作曲:ベルト・アッぺルモント)

“リヴァーダンス”に代表されるアイリッシュ・ダンスのスタイルを使って書かれたユーフォ二アム独奏曲。

まるでダンサーがタップを踏むようなリズミカルな展開と哀愁を帯びたリリカルな旋律線がとても魅力的で、このピアノ伴奏版のほかに、ブラスバンド伴奏版、ウィンド・バンド(吹奏楽)版もあり、ソロピースとして大いに注目したい。

■The Green Hill
Celtic Fantasy for baritone/Euphonium and Piano
Bert Appermont

・グレード:
・作曲:ベルト・アッペルモント(Bert Appermont)
・TIME:7分22秒

・出版:ベリアト・ミュージック(Beriato Music)
・分類:販売譜 (ユーフォニアム&ピアノ譜セット)

【楽器編成】
Solo Euphonium
Piano

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■ポンペイ/グリーン・ヒル(吹奏楽伴奏版)
ライプツィヒ放送吹奏楽団
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■カンティレーナ(“陽はまた昇る”原曲)/グリーン・ヒル 
ブラスバンド・デ・バズアン・ウンケルク
(ブラスバンド伴奏版)
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■交響曲第1番「ギルガメッシュ」(作曲:ベルト・アッペルモント)

交響曲第1番『ギルガメッシュ』は、紀元前2600年頃に実在したといわれるメソポタミアの王ギルガメシュを描き、世界最古の英雄物語といわれる「ギルガメシュ叙事詩」をもとに作曲された交響曲で、“ギルガメッシュとエンキドゥ”、“巨人たちの戦い”、“森の中の冒険”、“ウトナビシュティムへの道のり”の4楽章からなる。そのドラマチックな展開は、聴く側だけでなく、演奏する側も大興奮!

・グレード:6
・作曲:ベルト・アッペルモント(Bert Appermont)
・TIME:27分43秒
・出版:ベリアト・ミュージック
・BP品番:SET-8154

【この曲の詳細をBPショップでチェックする】
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【収録CD】 
■交響曲第1番「ギルガメッシュ」
演奏:スイス陸軍バンド
http://item.rakuten.co.jp/bandpower-bp/cd-0452/

ベルト・アッペルモント作品集Vol.4 宝島/ビッグ・バン…ヒット作を連発するベルギーの作曲家ベルト・アッぺルモントの作品集第4集!

吹奏楽マガジン バンドパワー

「ノアの箱舟」に始まり、「ガリバー旅行記」、トロンボーン協奏曲「カラーズ」、交響曲第1番「ギルガメッシュ」など、ヒット作を連発! 一躍、人気作曲家の仲間入りを果たしたベルギーの作曲家ベルト・アッぺルモントの作品集第4集!

 CDには、合計9つの作品が収録されている。

 オープナーは、ラテン語で“ゴールド(金)”の意味のタイトルをもつ『アウルム』。ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州のヴォルファッハ市民吹奏楽団の指揮者が50才(ゴールデン・ジュビリー)を迎えるに際し委嘱されたコンサート・マーチで、勇壮というより、その人物の人柄を映し出す親しみやすいメロディー・ラインがとても印象的だ!

 次の『宝島』は、間違いなくこのアルバムの要注目作品!

 スコットランドのロバート・スティーヴンソンの有名な冒険小説「宝島」(1883年)にインスパイアーされた作品で、主人公の少年ジム・ホーキンスが偶然、宝のありかを示す地図を見つけたときの様子を描く“黒い点”、航海の末に仲間とともに宝島に到着し、冒険や戦いの末に宝物の持ち出しに成功するシーンを描く“探検”、一行が乗った船が凱旋するシーンを描く“イングランドへの帰国”、まるで映画のようにこれまでのシーンを回想し、さまざまなテーマが再現される終結部“エンド・クレジット”の4つの部分で構成される。

 音楽の中から情景が浮かび上がってくるのは、やはりアッペルモント!!

 「ノアの箱舟」や「ガリバー旅行記」「アイヴァンホー」などにつづく作品の登場だ!

 つづく『祈り』は、メロディーラインがとても美しいコラール。重厚すぎず、心が浄化されていくようだ。

 トランペット独奏曲『エル・シド』は、一般にその名で親しまれ、英雄叙事詩の主人公にもなっている11世紀スペインに実在したカスティーリャ王国の貴族ロドリーゴ・ディアス・デ・ビバールの活躍からインスパイアーされたソロ曲だ。スペイン・ムード漂うイントロにつづき、馬を駆って戦場を駆け巡るシーンのような溌剌とした主部~哀愁漂う劇的な中間楽章~再現部というスタイルで書かれ、ソロはほぼ全編で活躍する。トランペットのほか、フリューゲルホーン、コルネット、アルト・サクソフォンのソロも可能のように書かれている!

 『ラグナローク(アルマゲドン)』は、巨人と神々の戦いを描いた北欧神話を題材にするが、このCDの他のアッペルモント作品にくらべ、ややコンテンポラリー色が強い作品かも知れない。

 つづく『ビッグ・バン』のスケール感は、やはり凄い!

 1つの大きな爆発から加速度的に膨張をつづけているとされる“宇宙”の誕生ストーリーをテーマとする作品で、不協和音に始まるイントロにつづき、ホルンのユニゾンがリードするめざましい主部やハーモニーの色彩感の変化などが、旅の始まりと新しいものの創造を表しながらエキサイティングに進行する。

 つぎつぎと場面を変える展開の自在さやパワー、スピード感は、アッペルモント作品の中にあって久々に聴くものだ。随所に聴かせどころがある理屈抜きに愉しめる作品。演奏者だけでなく、聴衆も瞬時に惹きこまれること間違いなし!

 ユーフォニアム独奏曲『グリーン・ヒル』は、スイスの名手エイヒ・シュミットの委嘱作。有名な“リヴァーダンス”に代表されるケルティック・ダンスのリズムとフィーリングを盛り込んだ作品で、演奏者も聴衆も間違いなく盛り上がるすばらしい作品だ!

 このCDのソリストは、聴く者を酔わせる美しい歌ごころと確かなテクニックで世界中から引っ張りだこのベルギーの人気奏者グレン・ヴァンローイ!そのすばらしいソロにも注目したい!

 『ミュンヒハウゼン男爵の冒険』と『十字と王冠』は、アッぺルモント自身の指揮だ!

 『ミュンヒハウゼン男爵の冒険』は、18世紀ドイツに実在した貴族、ミュンヒハウゼン男爵カール・フリードリヒ・ヒエロニュムスが冒険話として周囲に語った奇想天外なほら話からインスパイアーされた組曲。元が“ほら話”だけに、絶版本も含め、それを元にした小説にもさまざまなバリエーションがあり、「ほら男爵の冒険」(1943)や「バロン」(1989)などの映画化や、ゲーム化もされている。

 曲は、トルコ軍の猛攻と貧困に苦しむドイツの町に現れた男爵が“ほら男爵”と笑われながらも町を救うと宣言する冒険談らしく、愛馬とともに吹雪に見舞われた男爵が雪の中倒れるが、目覚めたら雪は完全に解け、馬は教会の尖塔にぶら下がっていたという第1楽章「馬」、包囲下の町をスパイするため飛び交う砲弾の上に飛び乗って行き来し、ついには町に降り立って門を開ける第2楽章「キャノンボール(砲弾)」、町で知り合った旅芸人の少女サリーとともに飛行船で月に行き多くの不思議な生物と遭遇する第3楽章「月への飛行」、エトナ火山の噴火口から飛び込んで地球の中心に向かって旅をする第4楽章「地底旅行」という、変化にとんだ4つの楽章で構成されている。

 フィナーレを颯爽と彩るコンサート・マーチ『十字と王冠』は、スパークの「ベートーヴェンの表敬」や「セント・ローレンス川のこだま」を委嘱したことで知られるカナダ、ケベック州のミリタリー・バンド“ケベック選抜軽歩兵軍楽隊((La Musique des Voltigeurs de Quebec)”の150周年記念委嘱作で、タイトルは、このバンドが属する連隊のエンブレムに使われている十字と王冠からとられている。

 今回のコンピレーション時のリマスタリングで、全般的にかなりクリアなサウンドに仕上がり、スコアのすみずみまで明瞭に読み取れるようになったのが印象的!これはいい!

 アッペルモント・ファンには見逃せないアルバムだ!

【このCDをBPショップでチェックする】
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【他の“アッペルモント”作品集CDをチェックする】
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■ミュンヒハウゼン男爵の冒険(作曲:ベルト・アッペルモント)

「ノアの箱舟」に始まり、「ガリバー旅行記」、トロンボーン協奏曲「カラーズ」、交響曲第1番「ギルガメッシュ」などで、一躍人気作曲家の仲間入りを果たしたベルギーのベルト・アッぺルモントの作品です。

 『ミュンヒハウゼン男爵の冒険』は、18世紀ドイツに実在し、“ほら男爵”とも呼ばれた貴族、ミュンヒハウゼン男爵カール・フリードリヒ・ヒエロニュムス(1720~1797)が、冒険話として周囲に語ったとされる奇想天外なほら話のエピソードからインスパイアーされた組曲です。

 元々の“ほら話”があまりの面白さのために尾ひれがついてどんどん広まったと言われているだけに、その後、他人によってまとめられた原作本には、本人以外の話も混じっているようで、絶版本も含め、さまざまな異本やバリエーションがあります。また、「ほら男爵の冒険」(1943)や「バロン」(1989)のいうタイトルで映画化されたり、ゲーム化もされています。

 曲は、トルコ軍の猛攻と貧困に苦しむドイツの町に現れた男爵が、人々から“ほら男爵”と笑われながらも町を救うために活躍したという“ほら話”のエピソードに因む4つの楽章で構成されています。

 第1楽章「馬」は、愛馬とともに吹雪に見舞われた男爵が、雪の中、倒れてしまいますが、目覚めたら雪は完全に解け、馬は教会の尖塔にぶら下がっていたというストーリーを表します。

 第2楽章「キャノンボール(砲弾)」は、敵軍に包囲されている町の状況をスパイするために、飛び交う砲弾の上に飛び乗って行き来し、ついには町に降り立って門を開けるという話が描かれています。

 (スコアには、この楽章を演奏する際、視覚的な効果も狙って、砲弾が行ったり来たりするのを表すためにステージの上手、下手の両サイドにドラムセットもしくはトムを配置して演奏する、などの作曲者のアイデアが書かれています。)

 第3楽章「月への飛行」では、町で知り合った旅芸人の少女サリーとともに飛行船に乗って月に行き、多くの不思議な生物と遭遇するという話が描かれます。

 第4楽章「地底旅行」は、ジュール・ベルヌなんかと同じ種類の話で、エトナ火山の噴火口から飛び込んで地球の中心に向かって旅をしたというエピソードで、エンディングを華々しく飾ります。

 もともとの奇想天外なストーリーが下敷きになっているだけに、組曲も変化に富み、そこから先の表現は指揮者の腕次第!もちろん、アッペルモント節は、随所にちりばめられています。

 演奏前に原作を読むもよし、映画を見るもよし!

 聴衆を巻き込んだ多彩な演奏が愉しめる冒険大活劇です!

・出版社グレード:4
・作曲:ベルト・アッペルモント(Bert Appermont)
・TIME:13分48秒(CD-2631参照)
I) 馬 The Horse【3:23】
II)キャノンボール(砲弾) Canonball【3:20】
III)月への飛行 Flight to the Moon【3:38】
IV)地底旅行 Journey through the Earth【3:14】

・出版:べリアート・ミュージック (Beriato Music)
・分類:販売譜(フルスコア&パート譜セット)

【編成など詳細をBPショップで確認する】
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■ベルト・アッペルモント関連のCD、楽譜をチェックする
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話題沸騰!アッペルモント:交響曲第2番「黄金時代」の初演者によるプロモーション映像がYouTubeで見れるゾ!

 ベルギーの人気作曲家ベルト・アッペルモントが、古代ギリシアの叙事詩人ヘシオドスの叙事詩をテーマとして作曲し、自身の指揮で初演した交響曲第2番「黄金時代」のプロモーション映像が、初演者であるスイスのアウロス交響吹奏楽団によってYouTubeに公開されている。

 映像は、練習時や本番の初演のシーンなどで構成され、バックにライヴ演奏が流れる。

 大ヒットとなった交響曲第1番「ギルガメッシュ」以来の注目大作で、聴きこめば聴きこむほど、音楽からさまざまな情景や繊細な感情表現が浮かびあがってくる。

【ベルト・アッペルモント】
1973年12月27日、ベルギ-のビルゼに生まれる。ル-ヴェンのレマンス音楽院で、エドモンド・サ-ヴェニ-ルスとヤン・ヴァンデルロ-ストのクラスに学び、2つの音楽修士号を得て1998年に修了。専攻は音楽教育とウィンド・バンド指揮法。その後 “映画とテレビのための音楽デザイン” の修士号を取得すべく、イギリスのボ-ンマス・メディア・スク-ルに留学。帰国後、キンドシ-ルド・イエス音楽学校(中等学校)で和声と音楽理論を教える傍ら、ベルギ-内外のウィンド・バンド(吹奏楽団)や合唱団、管弦楽団から客演指揮者として招かれている。吹奏楽のジャンルにおいて、『ノアの箱舟』、『ガリバー旅行記』、『アイヴァンホー』、交響曲第1番『ギルガメッシュ』など、立て続きに世界的ヒット作品を発表。2008年12月に初来日し、東京佼成ウインドオーケストラを指揮して自作自演CD「エグモント」(佼成出版社)を収録。日欧同時発売されたこのアルバムは、「レコード芸術誌」準特選盤に選ばれるなど、内外で高い評価を得た。現在、ベルギーで最も注目を集める作曲家のひとりであり、近年では、BBC放送のドキュメンタリー番組のための管弦楽作品も手掛けている。

◎初演ライヴの収録CDをチェックする

■ベルト・アッぺルモント:交響曲第2番「黄金時代」
~アッぺルモント・コンダクツ・アッぺルモント~

http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-2631/

◎アッペルモント作品集CDをチェックする
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(2012.10.09)

アッペルモント初のミュージカル「サタンの種」のフルスコアが遂にBPショップ初登場!

 2002年8月15日、ベルギーで、ウィンド・オーケストラをバックに演じられるという、なんとも型破りなミュージカルの上演が始まりました。それが、ミュージカル『サタンの種』です。

 物語は、ヨーロッパでは宗教的な理由である意味もっとも恐れられ、嫌われる“サタン”の子をめぐる騒動を描き、台本をイェフ・メレマンスが、音楽を我らがベルト・アッベルモントが担当。8日間の上演期間中、このミュージカルは、10000人をはるかに超える観客を集め、大きな成功を収めました。ただ、7人の主役級歌手を含む総出演者70名、プロ・ウィンド・オーケストラ45名がかかわった公演には莫大な経費がかかり、必ずしも経済的に潤うところまではいかなかったようです。

 しかし、アッぺルモントが書いた音楽のすぱらしさは、評論家、聴衆のすべてが異口同音に認めるところで、上演5ヶ月前にオリジナル・キャストでレコーディングされたCD『サタンの種』(CD-0270 – もちろんバンドパワーでも売ってます!)も大ヒット。これに気をよくした興行主の希望を受けて、その後、コンサート形式のバージョンも新たに作られ、演奏もたびたび行なわれています。(そのハイライトは、オランダの名指揮者ヤン・コベルの指揮でDVDで楽しむことができます。(DVD-9068))

 その後、ミュージカル自体も、2006年にオランダで、2008年にはドイツでも上演が行なわれています。

 また、オリジナルの歌詞は我々にはなじみの薄い“フラマン語”でしたが、ドイツ公演用に“ドイツ語”テキストも作られましたので、ひょっとしてそれを使えば日本人にも上演可能かも知れませんね。(このスコアでは、フラマン語のみ。)

 しかし、日本で吹奏楽を演奏する人々にとっては、『サタンの種』は、むしろ『サガ・キャンディダ』(SET-8155)や『サガ・マリグナ』(SET-8540)の原曲としておなじみかも知れません。

 この全曲フルスコアは、そういった意味でも長らく出版が待たれていたもので、『サガ・キャンディダ』や『サガ・マリグナ』をこれから演奏しようというバンドにとっては、原曲の姿を知る上で、まさに必携アイテムとなっています!

 また、オリジナル・キャストCDと同じデザインのフル・カラーの表紙が付いた、A3サイズ、1センチ以上の厚みがある重厚なスコアは、木製の譜面台などに載せてインテリアとしてお部屋に飾って置いているだけでも迫力満点!!

 『ノアの箱舟』以来、ずっと応援を続けているBPとしては、アッぺルモントの代表作のひとつとして、強く強く、超ストロングにお勧めしたいアイテムです!!

■フルスコア
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/sc-5256/

■サタンの種/Zaad van Satan(CD-0270)
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0270/

■ポートレイト・オブ・ヤン・コベル/
A Portrait of Jan Cober【DVD(NTSC版)】(DVD-9068) 

http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9068/


【ベルト・アッペルモント】
1973年12月27日、ベルギ-のビルゼに生まれる。ル-ヴェンのレマンス音楽院で、エドモンド・サ-ヴェニ-ルスとヤン・ヴァンデルロ-ストのクラスに学び、2つの音楽修士号を得て1998年に修了。専攻は音楽教育とウィンド・バンド指揮法。その後 “映画とテレビのための音楽デザイン” の修士号を取得すべく、イギリスのボ-ンマス・メディア・スク-ルに留学。帰国後、キンドシ-ルド・イエス音楽学校(中等学校)で和声と音楽理論を教える傍ら、ベルギ-内外のウィンド・バンド(吹奏楽団)や合唱団、管弦楽団から客演指揮者として招かれている。吹奏楽のジャンルにおいて、『ノアの箱舟』、『ガリバー旅行記』、『アイヴァンホー』、交響曲第1番『ギルガメッシュ』など、立て続きに世界的ヒット作品を発表し、ベルギーで最も注目を集める作曲家のひとりである。2009年、東京佼成ウインドオーケストラとのコラボで録音された自作自演CD「エグモント」(CD-1843)が佼成出版社からリリースされ、 このCDはヨーロッパでも大きな成功を収めた。


・グレード:
・作曲:ベルト・アッペルモント(Bert Appermont)
・TIME:54分01秒(CD-0270参照)
・出版:ベリアート・ミュージック(Beriato Music)
・分類:販売譜(フルスコアのみ)

I. Overture
II. Beschuldigingen (Elisabeth de Heks – Ciske’s Lied – De Heksen zijn op Reis)
III. Idylle (Dromen van Liefde – Hou alleen van Mij(1) – Hou alleen van Mij (2))
IV. Feest
(Ochtend – Feest – Ik ben de Heks – Regen)
V. De tijd vliegt snel
VI. Trouwfeest & Terugkeer (Fanfare – Dans – Achter een Heuvel)
VII. Aanklacht (Laat haar gaanl – ’t Is Zij!)
VIII. De Vierschaar (Fanfare – Hij is mijn Vader – Miserere Mei)
IX. De Brandstapel (Ik ben de Heks – Ik draag in mijn Armen -Ik ben de Heks (2))
X. Nacht Van Bevrijding (Mijn lieve Mama – Wat is er moorier dan een Wijf)
XI. Persoonsverwisseling (Waar ben Jij, Mama? – God in de Hemel)
XII. Terechtstelling (Ochtend (2) – Dies Irea)

【編成】

<声楽キャスト>

Elizabeth
Anna
Kathelijne
Thomas
Pastoor
Ciske
Meier

Chior

<バンド>

Piccolo
Flutes (I、II)
Oboe
English Horn
Bassoons (I、II)
E♭ Clarinet
B♭ Clarinets (I <div.>、II <div.>、III <div.>)
B♭ Bass Clarinet
E♭ Alto Saxophones (I、II)
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone
B♭ Trumpets (I、II、III、IV)
F Horns (I、II、III、IV)
Trombones (I、II、III)
Euphonium <div.>
Basses <div.>
String Bass

Piano

Timpani
Mallet Percussion (Xylophone、Glocken Spiel、Vibraphone、Marimba、Chime)

Percussion (Snare Drum、Bass Drum、Toms<High、Medium、Low>、Hi-hat、Clash Cymbals、Suspended Cymbal、Ride Cymbal、Tam-tam、Tambourine、Triangle、Cabasa、Castagnets、Templeblocks、Bongos、Congas、Claves、Wind Chimes、Vibraslap)

■吹奏楽曲でたどる世界史【第24回】オランダ独立80年戦争(1567頃~1648) ~交響詩≪エグモント≫ (アッペルモント)

Text:富樫鉄火

●作曲:ベルト・アッペルモント Bert Appermont(1973~)
●原題:EGMONT~Symphonic Poem~
●発表:2004年初演
●出版:Beriato(ベルギー)
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/set-8300/
●参考音源:
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1843/
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0624/
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0981/
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3674/

●演奏時間:約18分半(約3分+約4分半+約5分半+約5分半)
●編成上の特徴:イングリッシュホーンあり。スパニッシュギターあり(代用可)。
●グレード:5

「エグモント」と聞けば、ほとんどの音楽ファンが、ベートーヴェンの名曲≪エグモント序曲≫を思い出すだろう。

実は、この「エグモント」とは、オランダ独立戦争に名を残す、史実の英雄の名前なのである。

1500年代のネーデルラント(オランダ)は、スペインに支配されていた。当時のスペインといえば、カトリック・パワーを背景に、絶大な権力を誇示する超大国だった。

だが、その頃のオランダでは、同じキリスト教でも、カトリックではなく、新派であるプロテスタントが広まっていた。

それを抑え込み、オランダに対して圧制を強いたのが、スペイン選出の神聖ローマ帝国皇帝カール五世である。

このカール五世に仕えるオランダ貴族の中に、「エグモント伯ラモラル」(1522~1568)なる人がいた。これが、今回の主役、通称エグモント氏である。

(近年、都内にベルギー・ビールの呑めるバーが増えているが、そこによく「エグモント」とか「ラモラル」なる銘柄のビールがある。これ、みんな「エグモント伯ラモラル」にちなんだビールなのだ。ベルギーは、当時、オランダ南部の一部の州だった)

スペインでカール五世が退位し、その息子フェリペ二世が王位を継いだあとも、エグモントは引き続き仕えた。特に、フェリペ二世とイギリスのメアリー一世との結婚交渉に際しては、かなり尽力した。さらに、スペインの対フランス戦争でも活躍し、フランドルなどの総督を命じられている。絵に描いたような立身出世コースではないか。

ところが、先述のとおり、当時のオランダでは、プロテスタントが大流行だった。カトリック政治で抑え込みにかかるスペインに対して、市民階級の中に、不満の声が沸き上がる。

今までスペインに仕えてきたエグモントだったが、次第に心はプロテスタントに傾くようになり、ついには、ほかの貴族たちとともに反乱運動に参加するようになる。

しかし、すでに運動の主導役は一般市民に移っており、エグモントたち貴族は、市民たちから相手にされなくなっていた。

そんな様子を見てとった支配国スペインは、この反乱運動を一気に鎮圧すべく、1567年、アルバ公爵を送り込んだ。そして「血の法廷」と呼ばれる大粛清が展開され、数千人の反乱者が処刑された。その中に、エグモントも含まれていた。皮肉なことに、かつて懸命に仕えた君主サイドに処刑されたのだ。

オランダは、これをきっかけに、通称「80年戦争」と称される、本格的な独立戦争に突入するのである。

よって、よく、エグモントのことを「オランダ独立の英雄」と称している資料があるが、正確に言うと「独立戦争のきっかけとなった、悲劇の貴族」と呼んだ方がいいのかもしれない。

このエグモントの物語を戯曲(悲劇)『エグモント』に仕立てたのが、文豪ゲーテである。恋人クレールヒェンとの悲恋をからめながら、処刑されるまでを描いている。そのゲーテの戯曲に音楽を付けたのが、ベートーヴェン。いわば劇判音楽で、計10曲が作曲されたが、いまでは、ほとんど、有名な序曲のみが演奏されている。

そして幾星霜、21世紀になって、再びエグモントを音楽(吹奏楽曲)にしたのが、地元ベルギーのアッペルモントというわけ。本書では、すでに≪ジェリコ≫【第7回】の項で紹介している若手人気作曲家だ。彼の作品は、どれも映画音楽風で親しみやすい。しかも、まるで眼前で、その場面が現実に起きているような、抜群の描写力を示す。今回も、その例にもれず、素晴らしい吹奏楽曲になっている。

全体は4部構成で、<結婚><フェリペ二世とエグモント(対立)><処刑><スペインに立ち向かう(独立戦争)>から成っている。全曲通すと20分弱だから、吹奏楽曲としては大曲である。

曲は、なんとも、凄まじいド迫力だ。吹奏楽とは、文字通り管打楽器で構成されているものだが、その特徴を知り尽くし、かつ、最後の一瞬まで飽きさせないようなつくりになっている。

構成上、エグモント処刑後のオランダ独立戦争(第4部)に重点が置かれているところが、何ともうまい。つまり、エグモントの死が、決して無駄ではなく、以後の独立戦争に多大な影響を与えたことが、音楽で強調されているのだ。

4部構成ながら、各部はアタッカ(切れ目なし)でつながっており、全曲演奏するには、相当な体力が必要だが、かなり明確に分かれているので、抜粋演奏も不可能ではないだろう。

編成上、イングリッシュホーンがあるが、ほとんどオプション的な扱いなので、ナシでも演奏できる。また、第2部でスパニッシュ・ギターが登場するが、前半ヴィブラフォン、後半ユーフォニアムで代用できるように書かれている。ただ、打楽器類が、人数も楽器も多めなので、バンドによってはたいへんかもしれない。

なお、参考までに、例のベートーヴェンが作曲した≪エグモント序曲≫も、そう頻繁に演奏されるわけではないが、吹奏楽版の楽譜が数種類、発売されている。演奏し(聴き)比べてみるのも、一興であろう。
【おまけ解説】
このエグモントの物語を読んで、オペラ・ファンだったら、「あれ? どこかで聞いたことある話だな」と感じた人がいるかもしれない。

そう、ヴェルディの名作オペラ≪ドン・カルロ≫(1867年初演)が、このエグモントの悲劇の時代を、スペイン側から描いた物語なのである。正確に言うと、エグモント処刑後の、スペインとオランダの関係が物語の背景になっている。

つまり、主人公「ドン・カルロ」とは、エグモントが仕えたフェリペ二世の息子なのである。

オペラの中で、ドン・カルロが、父フェリペ二世に対して「フランドルから来た使者の訴えを聞いてやってください」と歌う場面があるが、これは、エグモント処刑後の反乱運動のことを指している。ドン・カルロは、オランダに対して同情的だったのだ。

そして、オペラのラストシーンに登場する「亡霊」こそ、エグモントが最初に仕えたカール五世である。

≪エグモント≫に対する≪ドン・カルロ≫…同一題材が、支配側(スペイン)と、被支配側(オランダ)から、それぞれ別の視点で描かれているわけで、エグモントの物語を理解する上で、必携の“副題材”といえよう。
<敬称略>

■吹奏楽曲でたどる世界史【第7回】ジェリコの戦い(紀元前14~13世紀)~ジェリコ(アッペルモント)

Text:富樫鉄火

●原題:Jericho
●作曲:ベルト・アッペルモント Bert Appermont(1973~)
●初出:2003年、ラナケン(ベルギー)にて初演(ラナケン音楽院吹奏楽団20周年記念委嘱作品)
●出版:Beriato(ベルギー)
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/set-8176/
●参考音源:
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0572/
●編成上の特徴:イングリッシュホーンあり
●グレード:4~5

まず、この曲のタイトルの日本語表記(発音)について。

訳によっては≪イェリコ≫だったり≪エリコ≫もある。アルファベットで書くと≪Jericho≫だが、英語で読むか、ヨーロッパ系言語で読むかによって違う。今回は出版元がベルギーなので、現地風に≪イェリコ≫とした方がいいのだろうが、日本人には英語読みの方がなじみがあるので≪ジェリコ≫とした。

そもそも「ジェリコ」とは「地名」であり、ここで、壮絶な戦闘が繰り広げられたのだ。そして同時に、欧米人にとって「ジェリコ」とは、「簡単に乗り越えられない、大きな障壁」の代名詞でもあるようだ。

時代は紀元前14~13世紀頃の話。『旧約聖書』の「ヨシュア記」に記録された物語だが、実際に遺跡らしきものも見つかっているので、ほぼ実話らしい。

さて、その物語とは…(話としては前々回から続いているので、今回が初めての方は、第5回から読んでいただくと分りやすいと思う)。

エジプトの圧政からイスラエルの民を脱出させたモーセは、約束の地カナンを目指し、多くの民を率いて旅を続けていた。

しかし、モーセは志半ばで死んでしまう。そのあとを継いでリーダーになったのが、ジョシュアである(この人名も、ヨーロッパ系だと「ヨシュア」と発音する)。ジョシュアは、約束の地を目指して40年間にわたる放浪の旅を続けたが、その最後の難関が「ジェリコの戦い」だった。

その町「ジェリコ」は、ヨルダン川を越えたところにあった。ジョシュア率いるイスラエル軍は、このパレスチナの町を攻略しようとする。

だが、ジェリコの町は、高い堅固な城壁に囲まれていて、そう簡単には攻略できそうもなかった。そこでまず、2人の斥候(スパイ)が送り込まれる。

この2人は、一般市民を装って城壁内の町に忍び込み、娼婦ラハブの家に潜り込んだ(彼女の家は、城壁の内側にピッタリくっついて建てられていた)。
だが、すでに2人の存在はバレていて、さっそく警備兵がラハブの家に捜索にやってくる。この時ラハブは考えた。「ジョシュアが率いるイスラエル軍に攻められたら、助かるわけないわ…」

そこでラハブは「あなたたちを匿いますから、攻撃の際には、自分の家族だけは救って下さい」と懇願する。斥候は、彼女の提案を受け入れ、窓の外(=城壁の外)にロープを垂らし、城壁の外側で、そのロープにぶら下がって、警備兵の目をくらます。のちにジョシュアの軍勢がジェリコを攻める際、この“ロープが下がっている家”が、“攻めてはいけない家”として、目印になるのだった。

やがてジョシュアの軍勢は、川を渡ってジェリコの街を包囲する。だが、なにぶん、高い城壁に囲まれた要塞都市だ。なかなか攻め込むことはできない。ジェリコの王も、臨戦体制で街を守っている。にらみ合いがつづいた。

そのうちジョシュアは、神の言葉に従って、ある奇策に出た。先頭部隊にラッパ(羊の角笛と言われている)を吹かせ、神の栄光を叫ばせながら、城壁の周囲を走り回らせた。朝も昼も夜も、とにかく24時間、ラッパの音が鳴り響いた(1日1回、一周したとの説もあり)。

最初は「うるせえなあ」程度に思っていたジェリコ軍と市民たちだったが、次第にいらついてきた。ラッパがうるさくて眠れない。いつ、あのラッパが鳴り止んで攻め込んでくるかと思うと、一時として気が休まらない。

このラッパ作戦は、まるまる1週間つづいた。「ラッパばかり吹いていて、いっこうに攻めて来ないじゃないか」…ジェリコ軍に油断が生じた。

その一瞬の隙を突いて、数千のジョシュア軍が、雄叫びを上げた。すると、いっせいに城壁が崩れ始めた。

なぜ城壁が崩れたのか…神の言葉に従ったからだ、ということになっているが、おそらく、ジェリコの軍勢を1週間もラッパの音に引きつけている間に、城壁の数箇所を、こっそり崩しかけておいたのだろうと言われている。

疲れきっていたジェリコ軍はパニック状態に陥り、乱れた。いっせいに城壁内になだれ込んだジョシュア軍は、すべての軍勢、市民を皆殺しにした。子供も女も老人も、一人も生き残らなかった。あの、娼婦ラハブの一家を除いては…。

アッペルモントは、この物語を、たいへん分りやすい、かつ迫力満点の、音のスペクタクルに仕立て上げた。

冒頭は、ヨルダン川のほとりを思わせる、静かな描写で始まる。次第に緊張感が増してきて、ジョシュア率いるイスラエル軍が、ジェリコの町を包囲し、激しい戦闘に…。時折、ド派手な音楽が一瞬静まる瞬間などもある。娼婦ラハブの一家を逃がしている場面なのだろうか。

やがて、戦闘が終わると、おそらく神への感謝を捧げていると思われる、カッコイイ、コラール風の部分になる。ついにジェリコ陥落だ。

…と、普通だったら、ここでクライマックス、曲も終盤…となるのだが、これで終わらないのが、アッペルモントのうまいところ。実はこのあとがまだあって、ラストに、饗宴のダンス音楽が付いているのだ。おそらく、ジェリコを陥落したイスラエル人たちの、お祝いの大宴会といったところであろう。

ここで繰り広げられる舞曲は、徹底的なユダヤ風。作曲者の師匠、ヴァンデルローストの名曲≪リクディム~4つのイスラエル舞曲≫の、有名な第4楽章の興奮が再現されると思えば、ほぼ間違いない。ラストでは、冒頭部が再現され、平和を祈るようなイメージで静かに終わる。

特に特殊楽器も使用されておらず(イングリッシュホーンの指定があるが、ほとんどオプション的な書かれ方なので、ナシでも何とかなるはず)、グレードも超絶技巧一歩手前のレベルなので、比較的演奏しやすいと思われる。

が、全体は4部構成、約11分間をかけて描かれる大河ドラマのような曲である。それなりの構成力と体力のあるバンドでないと、なかなか立派な演奏にはならない。じっくりと時間をかけ、題材となった物語の背景などをよく理解した上でチャレンジされることを望みたい。

なお、本稿執筆にあたって、バンドパワー編集部と、作曲家・広瀬勇人氏の尽力により、アッペルモント自身から、初演にまつわるコメントが届いたのでご紹介しておく。演奏の際の参考になるかもしれない(両者のご協力に深く感謝します)。

「初演の際には、バンドの前にダンボール製の大型の壁が作られ、曲中の壁が崩される場面では、この壁も崩されました。また、物語に沿ってラナケン音楽院の演劇専攻学生と子供たちによる演出も加えました。最終部分では子供たちがダンスをし、最後の16小節間、子供たちが美しいテキストを読み上げました」(アッペルモント)

実は、第2回でご紹介した≪ノアの方舟≫もそうなのだが、アッペルモントは、朗読や、ちょっとしたパフォーマンスが加わることを想定して曲を書くことが多いようなのだ。だから、堅苦しいコンサート演奏ばかりでなく、こういう楽しいアイディアを加味して演奏しても、まったくかまわないのである。ちなみに、彼が言う「美しいテキスト」とは、おそらく『旧約聖書/ヨシュア記』の文言と思われる。また、この曲は「2005年にオランダのケルクラーデで開催された、WMC世界音楽コンクールにおいて、第3部の課題曲に選出されました」(アッペルモント)とのことだ。

作曲者アッペルモントは、第2回で紹介したとおり、1973年生まれ。ベルギーのレメンス音楽院を卒業し、ハデルマンやヴァンデルローストに師事した、いま人気急上昇中の作曲家である。歴史上の出来事や人物、あるいは名作文学などを吹奏楽曲化すると、抜群の能力を発揮する。
【おまけ解説】

アメリカの黒人霊歌に≪ジェリコの戦い≫なる曲がある。

吹奏楽では、金管アンサンブルでよく演奏されている。ジャズ・ファンなら、往年のコールマン・ホーキンスのSaxによる名演でご存知の方も多いだろう。「われらは忘れずジェリコ~」という日本語歌詞もついている。この曲も、本項で紹介したのと同じエピソードを歌ったものだ。

しかし、なぜ、イスラエル(ユダヤ)人の戦いの物語が、アメリカで黒人霊歌になったのか…?

それは、かつてアフリカから奴隷として買われて、アメリカ大陸に連れて来られた黒人たちが、「いつか、故郷へ帰りたい。自由の身になりたい」と願った、その思いを、「神のご加護でジェリコを攻略したジョシュア」に託して歌ったのが起源だそうだ。

だから、歌詞の中には「ジョシュアは、あの朝、ジェリコで勝った。ラッパを吹いて、壁を崩した。ジョシュアは素晴らしい」と、大絶賛する部分があるのだ。

この黒人霊歌のメロディを取り入れ、同じ「ジェリコの戦い」を描いた吹奏楽曲を、次回紹介する。<敬称略>