英国ブラスバンド通信:速報~Brass Band H.B.B. REGULAR CONCERT 2012のために~「ポール・ロヴァット=クーパー氏が来日中」

▲昨日(5/18)のBrass Band H.B.Bとポール・ロヴァット=クーパー氏のリハーサルの様子

 2012年5月20日(日)に豊中市立アクア文化ホールで行われる「Brass Band H.B.B. REGULAR CONCERT 2012」のためにポール・ロヴァット=クーパー氏が17日にイギリスから来日し、コンサートに向けてリハーサルを行っている。

 現在は英国国営放送BBCや、ディズニーとの作曲契約を結ぶポール・ロヴァット=クーパー氏。なんと、今年は今まで書いたブラスバンド作品を吹奏楽版で出版する!(クーパー氏談)ということで、吹奏楽関係者にも、お勧めのコンサートになりそうだ。
特に今回日本初演となる「When Thunder Calls」は、すでに吹奏楽版が完成し、出版準備段階。ステージ・パフォーマンスについても作曲者本人の指導による、まさに本場さながらのステージになりそうだ。

▲昨日(5/18)のBrass Band H.B.Bとポール・ロヴァット=クーパー氏のリハーサルの様子

 リハーサル1日目。クーパー氏の持つ明るいキャラクターがリハーサルの雰囲気を和ませ、昨日初めて組んだとは思えないほどバンドとの息もぴったり。作曲者本人の曲解説はとても興味深いものがあり、バンド・メンバーは「リハーサルの時間が楽しくアッという間でした」「これまでより、さらにこの曲が好きになりました」との声も聞かれた。
イギリスでは作曲者として有名ですが、同時に指揮者としても大活躍しているクーパー氏の指揮! 目が離せません。

▲Brass Band H.B.Bと指揮者川口尚氏とポール・ロヴァット=クーパー氏

 練習中にはこんなひとコマもありました。作曲者、指揮者、さらにはパーカッション奏者という顔を持つクーパー氏。今回は指揮者がメインですが、パーカッション奏者の姿も皆さんにお見せできますでしょうか? 詳しくはぜひ会場で!!

■BrassBand H.B.B.
REGULAR CONCERT 2012 【with Paul Lovatt-Cooper】

【日時】2012年5月20日(日) 開場 13:30 、開演 14:00
【会場】豊中市立アクア文化ホール
【交通】阪急宝塚線「曽根」駅から東へ約300メートル
【料金】1000円(小学生以下無料)
【曲目】

 ◎第Ⅰ部 指揮 : 川口 尚
・A Pittsburgh Overture (Philip Sparke)
・In Perfect Peace (Kenneth Downie)
・Hungarian Rhapsody No.2 (Franz Liszt)

 ◎第Ⅱ部
ゲスト指揮 &作曲:ポール・ロヴァット=クーパー
・When Thunder Calls(日本初演)
・Starburst and Canyons
・Song for the Skies Eb Bass Solo (Eb Bass Solo 峰雪 健吾)
・On the Castle Green
・The Dark Side of the Moon

【問い合わせ】担当者:BrassBand H.B.B.
E-Mail hbbwebmail@yahoo.co.jp
HomePage http://music.geocities.jp/brassbandhbb/

レポート:多田宏江(BP特派員)

【ポール・ロヴァット=クーパー関連のCD】

■ブラック・ダイク・バンド~ポール・ロヴァット=クーパー作品集 Vol.1
ウォーキング・ウィズ・ヒーローズ

ブラスバンドの新世代を担う作曲家ポール・ロヴァット=クーパーの作品集、第1弾。世界中のブラスバンド・プレイヤーを熱狂させた『鷲が歌うところ』や『ヴィタエ・エテルヌム』など、初期の大ヒットを収録! BP特選盤★★★★★
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-2301/

■ブラック・ダイク・バンド~ポール・ロヴァット=クーパー作品集 Vol.2
オンリー・フォー・ユー

ブラスバンドの新世代を担う作曲家ポール・ロヴァット=クーパーの作品集「第2弾」は、家にいながら、すばらしいブラスバンド・コンサートが堪能できるコンセプト・アルバム。エネルギッシュでスピード感覚溢れる作風は、ますます魅力を増し、大満足の内容! BP特選盤★★★★★
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-2302/

(2012.05.19)

■英国赤十字社日本津波アピール、チャリティー・ブラスバンド・コンサート

British Red Cross Tsunami Appeal Brass
日時:2011年4月3日(日)19:00~
会場:サルフォード大学
BPレポーター:多田宏江

▲指揮者リチャード・エバンス氏とBritish Red Cross Tsunami Appeal Brass

 

英国ブラスバンド通信第9回目は、2011年4月3日(日)にサルフォード大学(マンチェスター)で行われました「チャリティー・ブラスバンド・コンサート」のレポートをお届け致します。

イギリスのバンズマン達も、被災地&日本を応援!
British Red Cross Tsunami Appeal Brass(英国赤十字社津波アピールブラス)のメンバーは、このコンサートのために集まった有志の奏者達です。演奏会の入場料にあたる£5、また会場で集められたお金は、全てこの「Japan Tsunami Appeal」に寄付されました。

※「Japan Tsunami Appeal」(日本津波アピール)は、英国赤十字社が東日本大震災に向けて寄付金を募る活動で、集められた寄付金は英国赤十字社から日本赤十字社に送られ、被災者の皆さまへの義援金として使われる予定です。

指揮はブラスバンド界を代表するビックネーム
日本にゆかり深いブラスバンド界のビックネーム、リチャード・エバンス氏とロイ・ニューサム氏が指揮者として、イギリスから日本を応援してくれました。

▲指揮者リチャード・エバンス氏

1980年のレイランドバンド初来日に同バンドの指揮者として日本を訪れて以来、日本を訪れ続けているリチャード・エバンス氏。2008年にはナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・スコットランド指揮者として、同バンド日本ツアーにユーフォニアム奏者スティーブン・ミード氏と共に日本全国を回りました。指揮者、教育者、審査員として世界中から引っ張りだこ、大人気のリチャード・エバンス氏は、東京シティ・コンサート・ブラス(TCCB)の指揮者として毎年来日され、同時に洗足学園音楽大学ブリティッシュブラスの指揮をするなど、イギリスのブラスバンド界、また日本のブラスバンドに大きな影響を与えてきた名指揮者です。

▲指揮者ロイ・ニューサム氏

どこから紹介していいか戸惑ってしまうほど、ブラスバンド界の偉大なパイオニア、世界で初めて大学にブラスバンドコースを作ったロイ・ニューサム氏。その世界初のブラスバンドコースがあるサルフォード大学で、多くの優れた指揮者・作曲者・プレイヤーを輩出しながら、今も後進指導・研究活動を続けられています。大人気DVD「ブラス・イン・コンサート」の大会を作られた一人であり、ブラスバンド・サマー・スクールも創設から今も関わり続けていらっしゃいます。ブラック・ダイク・バンドを指揮していた1990年には、ブラック・ダイク・バンド日本来日ツアーで指揮され、世界中で指導者・指揮者・審査員として活躍されています。

日本を応援するために集まってくれたメンバー達
このイベントを中心となって進めたのは、フォーデンス・バンドの日本人プレイヤー、稲葉奈摘さん、木村文香さんと、サルフォード大学スタッフでこれまで多くのサルフォード大学日本人学生のサポートをしてきたマリアン・ガーバットさんです。

プレイヤーの中には、1990年のブラック・ダイク・バンドの日本ツアー参加奏者であり、現在グライムソープ・コリアリー・バンドの首席コルネット奏者であるロバート・ウェスタコットさんや、2008年のナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・スコットランドの日本ツアーで首席コルネット奏者を務め、現在フェアリーバンドの首席コルネット奏者であるイアン・カルロスさんも参加しました。

同じくフェアリーバンドからは、BBC Radio2ヤングブラスソロイスト2010の優勝者であり、フェアリー・バンド首席ユーフォニアム奏者のマシュー・ホワイトさんも参加しました。(http://www.bandpower.net/soundpark/03_bbn/bbn05-1.htm)

フェアリーバンドは今月29、30日にスイスで行われるヨーロピアン・ブラスバンド・チャンピオンシップスのイギリス代表バンドです。日本を応援してくれたフェアリー・バンドのヨーロピアン・ブラスバンド・チャンピオンシップスの活躍を応援したいですね。

▲有名バンドで活躍する奏者達が日本を応援するために集まった

メンバーは次の13団体から集まってくれました。フォーデンスバンド/Fodens Band、フェアリー(ジェニーバ)バンド/Fairey (Geneva) Band、ハマンズソルテアバンド/Hammonds Saltaire Band、ウィンゲーツバンド/Wingates Band、ティルズリーバンド/Tyldesley Band、レイランドバンド/Leyland Band、グライムソープ・コリアリーバンド/Grimethorpe Colliery Band、Fairfield Band、ブラックバーン&ダーウェンバンド/Blackburn & Darwen Band、ヘップワース・クックソン・ホームバンド/Hepworth Cookson Homes Band、マーズデン・シルバー・プライズバンド/Marsden Silver Prize Band、ペンバトン・オールド・ウィガンバンド/Pemberton Old Wigan (DW) Band、Fulham Band

中には遠くロンドンから、フルハムバンドの日本人プレイヤー望月朝子さんも参加されました。演奏者38名のうち日本人は3人。日本人以外の奏者35人と、指揮者の2人は、スタッフそのほとんどがイギリス人でした。

▲有名バンドで活躍する奏者達が日本を応援するために集まった

作曲家たちの大きな協力も!
チャリティーコンサートに必要な楽曲を提供してくれた、作曲家達の大きな協力もありました。日本でも大人気の作曲家ピーター・グレイアム氏やフィリップ・スパーク氏をはじめ、ブラスバンド界で活躍する14名が協力してくれました。リハーサル時間が短い関係もあり、この日のコンサートで全員の曲を演奏することはできなかったそうですが、主催者側は協力してくれた作曲家の曲を出来るだけ多く演奏曲目に盛り込んで、今後もチャリティー・コンサートを開いていきたいそうです。

協力をしてくれた14名の作曲家(プログラム掲載順)
ピーター・グレイアム/Peter Graham、フィリップ・スパーク/ Philip Sparke、アンディー・スコット/ Andy Scott、ピート・ミーチャン/Pete Meechan、ルーシー・パンクハースト/Lucy Pankhurst、ベンジャミン・タブ/Benjamin Tubb、サチ・ウチダ‐ウィッチェリー/Sachi Uchida-Wycherley、ジェイムス・マクファディン/James McFadyen、リチャード・ロック/Richard Rock、アンドリュー・マイヤース/Andrew Myers、ダニエル・プライス/Daniel Price、アンドレア・プライス/Andrea Price、イアン・マックナイト/Iain McKnight、木村文香

温かい雰囲気の中
会場には手作りのお寿司やお菓子などが販売され、売り上げは全て寄付金とされました。さらにラッフルと呼ばれる福引の景品には、カンカシャー・クリケット観戦チケット、マンチェスター・シティ・スタジアムとミュージアム見学ツアー・チケットなど、企業からチャリティーのために提供され景品もありました。演奏会の企画運営・楽曲提供・演奏者・指揮者・カメラマンやスタッフ・景品を提供してくれた企業・会場を提供してくれた大学など、多くの人たちの協力があったチャリティー・コンサート。会場は温かい雰囲気に包まれ、このコンサートだけで£600を「Japan Tsunami Appeal」に寄付できたそうです。

その他、フォーデンス・バンドのホームページでは讃美歌「クリモンド/Crimond」を、今回の東日本大震災で犠牲になった方々に捧げる曲として、ダウンロード料£3を「Japan Tsunami Appeal」に寄付するそうです。

▲指揮者ロイ・ニューサム氏とBritish Red Cross Tsunami Appeal Brass

世界中から応援のニュースが届く中、イギリスのバンズマンたちも日本を思って音楽を奏でてくれました。そんな彼らの思いが少しでも多くの方々に届きますように。

東日本大震災にて被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。

<当日演奏された曲目>
March by McKnight
Fujiko by Scott
Bandology by Osterling
Hope by Tubb
Hometown – Furusato arr. by Kimura
Riverdance by Whelan arr by Farr

Olympic Fanfare & Theme by Williams
Meiso by Golland
Reflections in Nature by Redhead
…then followed The Silence by Pankhurst
The Day Thou Gavest by Scholefield arr by Wilby
Pines of Rome by Respighi arr. by Snell

Many thanks for British Red Cross Tsunami Appeal Brass!!
Conductor: Richard Evans & Roy Newsome

※以下、ポジション/名前/バンド名の順

【Principal Cornet】Iain CulrossFairey (Geneva) Band
【Soprano】Richard Poole/Fodens Band

【Cornets】
Tim Hewitt/Hammonds Saltaire Band
Anna Hughes-Williams/Blackburn & Darwen Band
Fumika Kimura/Fodens Band
Rachael Marriott
Dhani Miller/Tyldesley Band
Andy Power/Leyland Band
Steve Taylor/Hammonds Saltaire Band
Jessica Tredrea/Wingates Band
Claire Westacott/Hammonds Saltaire Band
Robert Westacott/Grimethorpe Colliery Band
Trudie Burton/Fairfield Band

【Flugel Horn】
Charlotte Ankers/Blackburn & Darwen Band
Mike Eccles/Fairey (Geneva) Band

【Tenor Horn】
Lynne Campbell/Pemberton Old Wigan (DW) Band
Hannah Drage/Hepworth Cookson Homes Band
Chris Haigh/Fodens Band
Anita Milde/Leyland Band
Helen Varley/Hammonds Saltaire Band

【Euphonium】
Emily Braverman/Marsden Silver Prize Band
James Emberley/Fairey (Geneva) Band
Matthew White/Fairey (Geneva) Band

【Baritone】
Hayley Bain
Natsumi Inaba McDonald/Fodens Band
Matthew Taylor/Fairey (Geneva) Band

【Trombones】
Beth Calderbank
Ian Drayton/Hammonds Saltaire band
Becky Maglone/Hammonds Saltaire Band
Ben Knowles/Fodens Band
Paul Warder/Fairey (Geneva) Band

【EEb Bass】
Matthew Hindle/Fodens Band
Iain McKnight/Leyland Band

【BBb Bass】
Owen Garbutt/Marsden Silver Prize Band
Jonny Shaw

【Percussion】
Asako Mochizuki/Fulham Band
Eve Moulsdale/Fairey (Geneva) Band
Simon Oliver/Wingates Band
Matt Whitfield/Wingates Band

Thanks also to Peter Graham, Philip Sparke, Andy Scott, Pete Meechan, Lucy Pankhurst, Benjamin Tubb, Sachi Uchida-Wycherley, James McFadyen, Richard Rock, Andrew Myers, Daniel Price, Andrea Price, Iain McKnight and Fumika Kimura for writing so much music for us.
Many thanks for Richard Evans & Roy Newsome, Tim and Marrianne!!

■ポール・ロヴァット=クーパー(Paul Lovatt-Cooper) /作曲家、ブラックダイクバンド打楽器奏者

◎インタビュー&文:多田宏江
2010年8月ブラスバンドサマースクールinフラムリンガム

▲Paul Lovatt-Cooper
【ホームページ】http://www.plcmusic.com/(英語)
ビデオのページ(http://www.plcmusic.com/video/)から作品と演奏の様子が鑑賞できます。

 今回のゲストは、今や世界中のブラスバンド・シーンに欠かせない作曲家の一人となったポール・ロヴァット=クーパー 氏です。ブラックダイクバンドの打楽器奏者でありながら、ワードルハイスクールの音楽教員、また音楽教育責任者も務められ、プレイヤーとしても教育者としても忙しく活躍されています。

 日本には2009年6月東京シティ・コンサート・ブラス(TCCB)の招待で来日され、TCCB第19回定期演奏会にて「南極大陸」の日本初演に立ち会った他、自身もソロ・パーカッション奏者としてゲスト演奏されました。同年6月末には「ウィズイン・ブルー・エンパイヤーズ」がイングリッシュナショナルズ(※)課題曲として各バンドにより演奏され、8月にはブラック・ダイク・バンド、オーストラリア・ツアーにて、有名なシドニー・オペラハウスで演奏される忙しさ。いったいいつ作曲する時間があるのか?? 作曲家ポール・ロヴァット=クーパー氏の日常に迫ります!!

※イングリッシュ・ナショナルズ・ブラスバンド・チャンピオンシップス、レポート
http://www.bandpower.net/news/2009/07/02_bb/01.htm

■いつからブラスバンドで演奏をはじめたのですか?

ポール:12歳からです。両親がサルベーションアーミーのオフィサーだったので、私も幼い時、サルベーションアーミーに通っていました。初めはそこでコルネットを渡されたのですが、自分には合わず、パーカッションに移りました。その後、 “私がパーカッションを演奏していること” を、友人が学校の先生に話し、その先生から「学校のバンドでドラマーを探しているんだ。もし君がロックのリズムを演奏できるなら学校のバンドで演奏できるよ」と言われ、独学でドラムを叩けるようにしました。それからブラスバンドでの演奏がスタートしました。

■影響を受けた作曲家はいますか?

ポール:フィリップ・ウィルビー氏、フィリップ・スパーク氏、ピーター・グレイアム氏ですね。学生の頃から演奏したり、聴いたりして、この方々の作品に特に影響を受けました。一番大きな影響を受けたのは、ピーター・グレイアム氏です。

サルフォード大学に進学後、大学でピーター・グレイアム氏に作曲を習い始め、作曲を専攻して卒業しました。その時から、ピーター・グレイアム氏とは家族ぐるみで、今でもとてもよいお付き合いをさせていただいています。数年前、家族とホリデーでフロリダに出かけたのですが、その時同じ道を向こうからピーター・グレイアム氏が歩いてきたことがありました。偶然のことで信じられませんでした。同じ時間に同じ場所にいるんですから、不思議な縁です。

■ポール・ロヴァト・クーパー作品集CD「ウォーキング・ウィズ・ヒーローズ」のジャケットにも、影響を受けた3人の作曲家と、ニコラス・チャイルズ氏が写っていますね。

ポール:そうです。私の人生に大きな影響を与えた4人のヒーロー達と私が写っています。4人とも写真の使用を快く了承してくれて、とても嬉しかったですね。CDのタイトルは、このCDのオープニング曲「ウォーキング・ウィズ・ヒーローズ」から取っています。

▲ポール・ロヴァト・クーパー作品集CD「ウォーキング・ウィズ・ヒーローズ」、
演奏ブラックダイクバンド、指揮ニコラス・チャイルズ

BPショップにて間もなく発売予定 >>>
http://www.rakuten.ne.jp/gold/bandpower/index.html

■日本ではどんな体験をしましたか?

ポール:とても素晴らしい時間を過ごすことができました。日本へは、リチャード・エヴァンス氏の紹介によりTCCBのゲストとして来日しました。一週間の滞在中、宇都宮ブラスソサエティでも合奏指揮の他、マスタークラスも行い、私の作品も演奏しました。TCCBの演奏会では私の作品「南極大陸」を日本初演し、ソロイストとして演奏もしました。日本はとにかく素晴らしいところでした。

滞在中は、どんなものが食べたいかと聞かれて、みなさんが普段食べているものと同じものが食べたいと、なんでも食べました。食文化からも日本の文化に触れたかったためです。日本での食事は、私が普段イギリスで食べるものと全然違いましたが、全ておいしかった。また、日本酒もたくさん飲みました。

■今年1月のバトリンズ()課題曲「スリープレス・シティズ」のスコアにも、この曲は世界の国々を回ったその雰囲気を織り込んだと書かれていましたね。

ポール:スリープレス・シティズは、音楽のポストカードのような作品にしようと思いました。私が訪れた国々の、様々な文化や、街の雰囲気を音楽で表現しました。来日した際は、まだこの作品が完成していなかったので、日本の雰囲気も取り入れたつもりです。

英国ブラスバンド通信vol.4「バトリンズ・マインワーカーズ・ナショナル・オープン・ブラスバンド・フェスティバル」
http://www.bandpower.net/soundpark/03_bbn/bbn04-1.htm

■2008年3月ナショナルズ地区大会3rdセクション課題曲「ザ・ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」、2009年の6月のイングリッシュナショナルズ課題曲「ウィズイン・ブルー・エンパイヤーズ」、2010年1月のボトリンズ課題曲「スリープレス・シティズ」と連続で、課題曲にあなたの作品が選ばれていることについてどう思われますか?

ポール:とても嬉しいことですよ。課題曲を作曲することはとても難しいことです。ただ書きたい曲を書くだけではなく、課題曲として奏者に課題を出し、指揮者への課題も作品に盛り込んでいます。それでいて、奏者の方々にも、観客の皆さんにも楽しんで頂ける曲を目指しています。

国内の大会の他、2009年7月のワールド・ブラスバンド・チャンピオンシップス1stセクション課題曲に「イーコィリブリアム(Equilibrium)」を作曲し、2008年のオランダのナショナルズ課題曲にも「ザ・ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」が使用されました。

■作曲するときに、何か意識していることはありますか?

ポール:私が作曲する時は、自分も聴きたい音楽を書きたいと思っています。私は映画音楽のファンでもあり、ジョン・ウィリアムス、ハンス・ジマー、クラウト・バデルト、アラン・シルヴェストリ等の映画音楽作曲家が好きです。そのため映画音楽のスタイルで作曲することが多くあります。ですので、私の作品を聴いたときには、空を飛ぶシーンや、水の中に飛び込むアクション的なものをイメージしやすいのではないかと思います。

そして、私が聴きたい音楽、チューンフルな音楽を書きたいです。作曲活動をするなかで、私の作品に対してのいろいろな意見も聞きます。それは、コマーシャルな音楽だというような意見ですが、そういうことを言う人に限って難しい音楽を書く人が多く、では私はどうかというと、そういう音楽はあまり聴きたいとは思わないのです。私が作曲するときは、演奏しても楽しい、聴いていても楽しい、そういう音楽を目指しています。

■作曲のアイディアはどのようにうまれるのですか?

ポール:正直に言って、私もどこから曲のアイディアが来るのか良くわかりません。私の作曲の流れを大きく二つに分けると、最初は音楽がインスピレーションとして頭に流れて、次にそこから、机の前に座ってコードやメロディーを調整していきます。

その最初の段階、インスピレーションとして頭に流れる(=作曲する)のは、普段の生活の中。たとえばシャワー中や、ドライブ中、歩いているときに、メロディーが頭の中を流れます。それでそのメロディーがいいなと思ったら、そこからその音楽を膨らましていきます。

通常、携帯電話のボイスメモを使い、メロディーのメモを記録しておきます。浮かんだメロディーはすぐに消えてしまうので、メモをとっておかないとそのアイディアを失ってしまうのです。これまで使ってないメロディーのメモは約50あります。そして、依頼が来たら、その中からもう一度使うアイディアを選んで膨らまし、作品にしていきます。大体これが上手くいく方法ですね。

私は先ほど述べたように、毎日普段の生活の中で作曲し続けているので、そのアイディアをいつもためておくようにしています。そして頭の中に聴こえてきた音楽を、素晴らしい奏者たちがステージ上で演奏することを想像します。たとえば、リチャード・マーシャルや、デヴィッド・チャイルズが、その音楽を素晴らしい演奏でお客さんに届けているところを想像し、私はその舞台のテンションや、観客からの空気を感じながら、作品を完成させていきます。

■ワードルハイスクールでは、音楽教育責任者も務められていますよね。

ポール:はい、学校では重要な役職についています。私は音楽の授業を担当する他に、学校の全ての音楽活動の責任者でもあります。ワードルハイスクールでは、トレーニングバンド、ジュニアバンド、スクールバンド、ユースバンドの4つのブラスバンドが活動しているほか、ウィンドバンド(吹奏楽)、ビッグバンド、クワイヤー(合唱)、パーカッションアンサンブル、フォークグループの合計9つの団体が活動しています。

私は常に全ての活動が、問題なく円滑に進んでいるか、生徒の近くで活動を見て、必要な時はアドバイスを出します。音楽教員&音楽教育責任者を務め、その他、作曲活動&演奏活動の毎日、とても忙しいですね。

■サルフォード大学在学中は「ロイ・ニューサム指揮者賞(Roy Newsome Conductors Award)」を受賞され、ワードルハイスクールでもビックバンドの指揮をされていますよね。

ポール:はい、指揮も大好きです。今は演奏と作曲をメインに忙しく活動していますが、フリーランスの指揮者として、世界中で指揮しています。この夏は、リチャード・エヴァンス氏が指揮するナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・スコットランド(NYBBS)にエヴァンス氏が招待してくださり、彼とともにNYBBSを今後3年間指揮する契約を結びました。

▲ブラックダイクバンドで演奏するポール・ロヴァト・クーパー氏

■ブラックダイクバンドでの演奏活動について聞かせてください。

ポール:とても楽しいです。ブラックダイクバンドで演奏することは、プロ・フットボール(サッカー)でプレーすることと似ていると思います。フットボール・チームのメンバーは多くの時間を共に過ごします。同じくブラスバンドも、私は多くの時間をよい仲間と共有しながら、楽しい時を一緒に過ごしています。

私のモットーは「熱心に仕事し、熱心に演奏する」です。ブラックダイクバンドは年間60以上のコンサートで演奏し、その他たくさんのコンテスト、ツアーも行っています。いつも私たちのできる最高の演奏を目指し、コンサートではエンターティメントと共に音楽性の高さを大切にしています。同時に、演奏が終わればメンバーとともにたくさん笑い、ジョークを飛ばしたりしています。いい時間をいい仲間と過ごし、演奏も楽しんでいます。

■今後はどんな活動をする予定ですか?

ポール:これからは特に作曲活動において大事な時期を迎える予定です。最近、自分の会社「PLCミュージック」をスタートし、自分の作品を、自分の会社から出版、宣伝する活動を始めました。テレビや映画音楽の仕事も予定していて、これから12か月はとても大きなチャンスが待っていると思います。契約の関係もあり、今はまだこれ以上詳しくは話をすることができませんが、とても楽しみで、少し違う一年になると思います。

■バンドパワー読者に、メッセージ、アドバイス等お願いします。

ポール:みなさんにこの言葉を贈りたいと思います。

「老いたから遊ばなくなるのではない、遊ばなくなるから老いるのだ」
(We don’t stop playing because we grow old. We grow old because we stop playing)
byジョージ・バーナード・ショー

この言葉は「若い心を持ち続けていれば、いくつになっても遊び楽しむことができる」ということを思い出させてくれる、素晴らしい言葉です。(playは遊びと演奏と両方の意味を含んでいる)

また、私の曲を演奏してくださる皆さんへのアドバイスは、とにかく楽しんで演奏してください。私が作曲する時は、演奏者もお客さんも、みなさんがこの音楽を楽しんでほしいという願いを込めて作曲しています。だから、みなさんが私の曲を演奏する時は、演奏を楽しんで素晴らしい時間を過ごしてほしい。音楽とは楽しむこと、素晴らしい時間を過ごすこと、それが全てだと思います。


【ポール・ロヴァト・クーパー&ブラックダイクバンドのCD、DVD】

「ウォーキング・ウィズ・ヒーローズ」が収録されているCD
全英ブラスバンド選手権2007/The National Brass Band Championships of Great Britain 2007
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1538/

「永遠の生命/Vitae Aeternum」が収録されているCD
エッセンシャル・ダイク Vol.8/Essential Dyke Vol.VIII/ブラック・ダイク・バンド
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1593/

「鷲が歌うところ/Where Eagles Sing」が収録されているDVD
ヨーロピアン・ブラスバンド選手権2008/
Highlights from the European Brass Band Championships 2008【DVD2枚組】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9328/

【youtube動画 ポール・ロヴァト・クーパー作品】

「永遠の生命/Vitae Aeternum」byブラックダイクバンド
http://www.youtube.com/watch?v=woH-rHaRlP4&feature=related

☆小学校の金管バンドにおすすめ☆
ナショナル・チルドレン・バンドのために作曲された「ドリームキャッチャーズ」byNCBB
http://www.youtube.com/watch?v=77qZEn1RQzM&feature=related

(「ドリームキャッチャーズ」byブラックダイクバンド)
http://www.youtube.com/watch?v=ORJ8kX6dvg4&feature=related 

「エンター・ザ・ギャラクシー」byコーリーバンド
http://www.youtube.com/watch?v=32K9xwE00G0&feature=related

■オーウェン・ファー(Owen Farr) /コーリー・バンド、ソロ・テナーホーン奏者

◎インタビュー&文:多田宏江
2010年8月ブラスバンド・サマースクールinフラムリンガム

▲Owen Farr(オーウェン・ファー)
【ホームページ】http://www.coryband.com/farr/

 今回のゲストは、ヨーロピアン・ブラスバンド・チャンピオンシップスで見事3年連続優勝のハットトリックを決めた絶好調のコーリー・バンドから、ソロ・テナーホーン奏者オーウェン・ファー氏です。とにかく、どこにいても人気者。指導熱心で飾らない人柄の彼を、サマースクールの参加者たちは逃がしません。練習熱心と噂のオーウェン氏ですが、様々な楽器奏者やその練習法を研究し、インタビュー中もインタビュー以外でも様々な人の名前が飛び出し、練習だけでなく大変研究熱心な方でした。

 日本には、2007年に東京シティコンサートブラス(TCCB)のゲスト奏者として来日され、関東でワークショップも行なったそうです。バンド&ソロで世界中を飛び回りながらも、ローカル・バンドでの指揮者、エミネンス・ブラス(金管4重奏)など、幅広く活動されているオーウェン・ファー氏。テナーホーンってどんな楽器? オーウェン・ファーってどんな人?

■どのようにテナーホーンを吹き始めましたか?

オーウェン:私の出身地、ポンティプール(Pontypool)のローカルバンド、ポンティプールバンドで吹き始めました。私が5才の時に兄がポンティプール・ビギナーズ・バンドで楽器を吹き始め、私も翌年6才でジョインし、初めはコルネットを吹きました。その時、一緒に通っていた仲の良い友人は、今もポンティプール・バンドでプリンシパル・トロンボーンを吹いていて、私はコーリーで演奏するとともにポンティプール・バンドの指揮者も務めています。

テナーホーンに移ったのはそれから半年後(7才になる直前ぐらい)、バンドでテナーホーン奏者が足りないから、誰か吹かないかと言われたのがきっかけです。近所の友人がテナーホーンを吹いていて、さらに彼はとても上手だったので、彼の隣に座ったら楽しそうだと思い、自分からテナーホーンに移ることにしました。

■お兄さんが先にバンドに入っていたということですが、ご家族は音楽一家だったのですか?

オーウェン:結局、楽器を続けたのは家族の中で私だけです。小さな頃は、兄と弟と私、3人そろって同じバンドで吹いていました。その後、2人とも別々の道に進み楽器は辞めてしまい、兄弟の中で私だけが音楽家の道に進みました。

■ポンティプール・バンドで吹きながら、ゴウェント・カゥンティ・ユース・ブラスバンド(Gwent County Youth Brass Band)、ナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・ウェールズにも参加されたそうですね。

オーウェン:はい、どちらも参加しました。ゴウェントは大きく5つのエリアに分かれていて、そのエリアの1つがポンティプールでした。毎年クリスマスの時期に、ゴウェント中から子どもたちが集まってゴウェント・カゥンティ・ユース・ブラスバンドのコースが開かれています。演奏会にはゲスト指揮者や、ゲスト・ソロ奏者を招いて行われ、仕組みはナショナル・ユース・ブラスバンドに似ています。

ナショナル・ユースは年に2回、イースター・ホリーデーとサマー・ホリデーにコースが開催されています。スコットランド人はNYBBS(ナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・スコットランド)、ウェールズ人はNYBBW(ナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・ウェールズ)、イングランド人はNYBB(ナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・グレードブリテン)に参加できて、ウェールズ人や、スコットランド人もNYBBに参加することができ、両方に所属することもできます。だいたい自分の国のナショナル・ユースに所属するのが一般的ですね。

■さらに学校のバンドでも演奏されていたのですか?

オーウェン:はい、学校でも仲の良い友人とともに演奏していました。

■小中学生の頃から、既にブラスバンドで大忙しだったのですね。

オーウェン:幼い頃の私たちにとって、ブラスバンドはとても楽しいものでした。それは非常に大切なことだと思います。演奏レベルも高かったけれど、何より楽しかった。子どもたちはブラスバンドをエンジョイしていました。この体験があったからこそ今の私がいると思います。

楽しくなかったら長続きしませんよね。もし、子どもの頃にサッカーをして、楽しくないと思ったら、きっとあなたは今サッカーをしたいとは思わない。子どもたちはシンプルです。もし、親が何かを子どもに押し付ければ、子どもたちはその時はやるにしても、最終的にはやめてしまいます。何か続けるのは彼らがそれを好きだから、続かないのは義務的にやらされたからではないでしょうか。

私の両親は一度も練習しなさいとは言いませんでした。私の先生も、やる気を出させるような工夫はしても、義務的に押し付けることはありませんでした。いつも、それいいね、うまくできたねと言った感じで、子どもにとってはそれが大切だと思います。

今、私はいつも練習しています。それは義務ではありません、人に押し付けられることもありません。うまくなりたいから、私が自分で選んで練習しています。それはロジャー・フェデラーがテニスをすることと同じです。彼も誰かに押し付けられることなく、世界一のテニス・プレイヤーになりたかったから練習した、それと一緒です。

■その頃、影響を受けた人がいたら教えてください。

オーウェン:私が最初に影響を受けたのは、私の最初の楽器の先生、アラン・ウィリアムス(Alum Williams)先生です。先ほども言いましたが、彼は「それじゃダメだ」とか、「もっと練習しなさい」とは一度も言いませんでした。彼は幼い私に音楽の楽しさを教えてくれました。

次に大きく影響を受けたプレイヤーは、私が11才か、12才の頃にゴウェント・ユース・ブラスバンドのゲスト奏者として演奏したロバート・チャイルズ氏です。彼の演奏は、私がそれまで聴いたことの無い衝撃的なものでした。とても高い音、とても低い音、凄く速い音の動きも、音量の幅も、それまで体験したことのない演奏でした。

ポンティプール・バンドでも、学校のバンドでも、私はいつも楽しく演奏していましたが、その時、初めて「私もこんな風に演奏してみたい、演奏できるようになりたい!」と思い、家で練習をしました。その時は、どんな練習をすればあんな演奏できるのかわからなかったけれど、自分の出来る限り考えて練習したのを覚えています。

■オーウェン・ファーさんと言えばコーリー・バンド!ですが、コーリーで演奏する感想を聞かせていただけますか?

オーウェン:世界的な名プレイヤーが揃ったコーリーで演奏できることは、本当に光栄なことです。首席奏者たちは、みな素晴らしいプレイヤーですし、私はそのような奏者に囲まれて、バンドの真ん中(※)に座っていますから、演奏している時はもちろん、自分が吹いていない時も、聴きながら楽しんでいます。(※ブラスバンドにおけるテナーホーンの座席位置)

現在、私はウェールズに住んでいます。家からバンドルームへは車で片道1時間半。1998年大学進学のためマンチェスターに移り、その間、ウィリアムズ・フェアリー・バンドに所属しました。その時も本当に幸せな時間を過ごすことが出来ましたが、大学を卒業し、ウェールズに帰る機会を得て、結婚もし、今はコーリーで演奏しています。素晴らしいバンドで、素晴らしい奏者たちに囲まれて演奏できることを、心から幸せに思います。

■コーリー・バンドで特に思い出深い出来事があったら教えてください。

オーウェン:バンドでの一つ一つの体験はどれも素晴らしいものです。特に昨年は、今まで過ごしたことがないと思うほど、素晴らしい1年でした。ウェリッシュ・オープン、ヨーロピアン・ブラスバンド・チャンピオンシップス、ブリティッシュ・オープン、ワールド・ブラスバンド・チャンピオンシップス、出場したコンテストのほとんどで優勝できたのです。

それはランキングの問題だけではなく、一度バンドが最高地点に達した時(コーリーがそうだったように)、その先バンドはどこへ向かうのか?ということです。頂上まで達すれば、後は下り坂が待っているはずですが、コーリーはそうではなく、頂点を維持し続けました。そこには、演奏面だけではなく精神的な努力がたくさんありました。

丸1年間もその状態を維持し続けるということは、バンド・メンバー全員にとって、とても体力のいることですし、それをやり遂げたということは、とにかく信じられないくらい凄いことです。本当に素晴らしい1年を過ごし、今年はヨーロピアン・チャンピオンシップスで、3年連続優勝のハットトリックも決めました。このまま3週間後のブリティッシュ・オープンでも優勝したいですね。

■今年のブリティッシュ・オープンの課題曲、ピーター・グレイアムの「巨人の肩にのって(On the Shoulders of Giants)」は、2009年のヨーロピアン・ブラスバンド・チャンピオンシップスでコーリーが自由曲として演奏するために委託された作品ですよね。その曲をブリティッシュ・オープンで演奏するのは楽しみですか?

オーウェン:それはもう楽しみですよ。ブリティッシュ・オープンの会場、シンフォニーホールは最も優れたコンサートホールの1つですから、さらに楽しみです。

■奏者として、演奏するにあたって大事にしていることはありますか?

オーウェン:私の普段の練習は90パーセントが基礎練習、10パーセントが曲の練習です。しかし本番の時はどうか。テューバ奏者アーノルド・ジェイコブス氏の本「ソング・アンド・ウィンド」に、私が実践していることを表す言葉があります。

「演奏する時は、音楽のことを考え、息に仕事をさせる」
(When performing, you think about music and let wind do the work)

演奏に必要な要素を含む正しい練習をしていれば、それが習慣として演奏時に働きます。とても速いパッセージの曲など、フィガリング、舌の状態、その一つ一つを全てコントロールしようとしても、演奏中にそんな暇はありません。しかし、正しい基礎練習を積んでいれば“習慣が演奏を可能に”してくれます。演奏する時は、ただ、自分が出来る最高の演奏を目指して集中。深くしっかりと息を吸い、息を吐き出す。そして自分の描きたい音楽を描き出すのです。

それは、赤ちゃんの歩く練習と似ています。赤ちゃんは何度も転んだり立ったりを繰り返しながら、少しずつ歩くことを身につけます。今、大人の私たちが歩く時、歩くことを考えるでしょうか? 考えなくても自然に歩けるはずです。それは既に私たちの習慣として、体に身についているからです。私の練習はそれと同じなのです。全てが“考えなくても、習慣として出来るように”正しい習慣を練習中に身につけることを考えて練習しています。

私は自分のレベルをキープするためではなく、さらに上達するために練習しています。今、31才ですが、32才になった時には今より成長していたい。明日は今日よりも上手くなりたい。トランペット奏者のウィントン・マルサリスは世界的プレイヤーですが、彼もいつも成長を目指して練習しています。これは音楽の一つの特徴ですよね。練習に終わりはなく、はい!今、凄い奏者になった!というようなものではないと思います。音楽にゴールはない、終わりなく続いていくもので、だから楽しい。

▲オーウェン・ファーも参加する金管四重奏「エミネンス・ブラス」のCD
エミネンス・ブラスHP http://www.eminencebrass.com/(英語)

オーウェンとともに、コーリー・バンド、プリンシパル・ユーフォニアム奏者デヴィット・チャイルズ、
ロンドン交響楽団首席トランペット奏者フィリップ・コブ、
ブラックダイク、プリンシパル・コルネット奏者リチャード・マーシャルという豪華メンバー

※このCDは、BPショップでも間もなく発売予定です!

■2007年にはTCCBに招待されて来日されましたね。その時の日本の印象を教えていただけますか?

オーウェン:来日した時は、TCCB定期演奏会のゲスト演奏の他にも、個人レッスンや、バンド指導、学校や大学での指導など、様々なところでたくさんのプレイヤーに会うことができました。音楽的な視点で特に印象的だったのは、皆さんが、ただ音楽を楽しむだけではなく、上手くなりたいという熱心な気持を強く持っていることです。指導の時、私は英語で話しますので、言葉の問題もあるとは思いますが、それ以上に、皆さんとても慎重に私の話しを聞いていました。そして、たくさん質問をしてくれました。

音楽を楽しむこと。これはブラスバンドの特徴の一つでもあります。他の音楽形態と比べても、奏者も観客も音楽を楽しむ、この要素はブラスバンドにおいて、とても強いものです。日本でお会いした人たちからは、楽しむ他に「出来る限りベストを尽くすこと」、その気持ちをとても強く感じました。お会いした皆さんは受け身ではなく、強い気持ちを持っていましたので、素晴らしい姿勢だと思いました。

私はテナーホーン奏者として日本に行きましたが、私が日本に行く前に知っていたテナーホーン奏者はTCCBのひろこさんだけでした(ひろこさんはサマースクールの参加者の一人)。今は日本で多くのテナーホーン奏者にお会いできましたが、日本へ行く前は、テナーホーン奏者やブラスバンドはそんなに多くないだろうから、あまり興味を持ってもらえないのでは?と心配もしました。しかし日本に行ってみると、皆さんはテナーホーン奏者ということよりも音楽家としてとらえ、私は、どの楽器にも通用するアドバイスができたと思います。

間違いなく言えることは、10年後の日本のブラスバンドは大きく成長するだろうということです。昨日ひろこさんにも言いましたが、彼女は会うたびに、さら上達しています。初めてお会いしたのは約6年前ですが、彼女は今、素晴らしい音楽家です。たった6年という、この短い期間で彼女はとっても上達しました。

彼女のように、もし本当にうまくなろうと集中すれば、それは“ただ吹く”と“練習する”という二つの違いを生み出します。ただバンドに行って吹いてくるのと、上手くなるためにバンドに行く、上手くなるために練習する。そこから多くの違いが生れます。

また、リチャード・エヴァンズ(Richard Evans)氏がイギリスから東京に年に2回も指導に行っていること、これも大きな違いを生み出すことになるでしょう。彼は指揮・指導を通して“音楽の楽しみや喜び”と教育とのバランスを操るイギリスでもヨーロッパでも大人気の天才指揮者です。ただ楽しむ、もしくは、ただ厳しくする、のではなく、両方のバランスが絶対必要だと思います。そのような面で、彼はバンドの力を伸ばすための指導と同時に、バンドや音楽の楽しさを伝える世界的指揮者の一人です。

■今後はどんな活動をする予定ですか? またバンドパワーを読んでいるプレイヤーたちにアドバイスがあったら教えてください。

オーウェン:これからも自分の技術を磨きながら、世界中の人々にテナーホーンという楽器を紹介していきたいです。また、作曲家の人たちと連携しながら、テナーホーンのレパートリーを増やしていく活動も、今後とも続けていく予定です。テナーホーンはコルネットよりも大きく、高い音も低い音もコルネットより吹きやすい。またユーフォニアムより小さく、ユーフォニアムよりクリアな音が出ます。ソロ楽器として充分魅力ある楽器なのに、残念ながら知名度はまだ低い。世界中に、テナーホーンのソロ楽器としての魅力を伝えていきたいです。

バンドパワー読者の皆さんへのアドバイスは、今やっていることを続けてください。若い時の私もそうでしたが、たくさんの人たちの意見を聞きすぎると混乱し、自分のスタイルを見失うことがあります。音楽を楽しんで、練習も楽しんで、身になる練習を心がけましょう(たとえば、休憩をちゃんと取って口の筋肉を休める=つけることだとか)。練習は質より量、理論より実践! 心配しすぎずに、間違ってないか考えることよりも、まずは音楽を楽しんでください。

■オーウェン・ファー&コーリー・バンドのCD、DVD
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1237/

■今年のブリティッシュ・オープン課題曲、ピーター・グライアム作曲「On the Shoulders of Giants」ウィニングパフォーマンスが収録されていDVD
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9378/

■コーリー、歴史的ハットトリックの始まり!
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9328/

■コーリー・バンドのCD
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/c/0000000868/

■「ナショナル・ユース・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレードブリテン

BPレポーター:多田宏江

▲プログラム表紙

 

 英国ブラスバンド通信第8回目は、4月18日(日)にマンチェスターにある北王立音楽院行われたユースのためのコンテスト「ナショナル・ユース・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレードブリテン」のレポートをお届け致します。

 この日は、北王立音楽院内にあるRNCMコンサートホールと、RNCMシアターの2つの会場が使われました。部門は、トレーニングバンド・セクション、ジュニア・セクション、中級(Intermediate)セクション、上級(Advanced)セクション、プレミア・セクションの5部門です。

 もともと、この大会はロンドンで行われるナショナルズの週末にロイヤル・アルバートホールで開催されていたそうです。当時は5つの部門にわかれることなく、ユース・ブラスバンド部門として行われ、その後、ユース・ブラスバンドの大会だけを、マンチェスターにあるサルフォード大学に会場を移しました。数年前に北王立音楽院に移って、現在の5部門に分かれたそうです。

 この大会には地区大会がなく、グレードブリテン全体のユース・ブラスバンドを対象として開催されています。また、5つの部門には年齢制限が設定されていますが、どの部門に出場するかは、参加団体の判断にゆだねられています。

<トレーニングバンド・セクション/Training Band Section>
~発足したてのバンドや、楽器を始めたばかりのプレイヤーの音楽への取り組みを
励ます目的~

開演:午前9時30分 結果発表:午前12時10分
会場:RNCMコンサートホール/The Royal Northern College of Music Concert Hall
内容:各バンド15分以内、自由曲
年齢制限:16歳以下(2010年8月31日を基準とする)、年齢外演奏者は4人まで可
審査員 :Simone Rebello、Mark Peacock
賞:金・銀・銅の他、「バンド・オブ・ザ・デイ/Band of the Day」が1団体選ばれる

▲取材協力をしてくれたBolton Music Service所属のBolton Intermediate

<ジュニア・セクション/Junior Section>
~楽器を始めたばかりのプレイヤーや、若いプレイヤーによって構成されるバンド部門~

開演:午後12時30分 結果発表:午後1時40分
会場:RNCMコンサートホール/The Royal Northern College of Music Concert Hall
内容:各バンド15分以内、自由曲(ただしブラスバンドのために作曲された曲を1曲含むこと)
年齢制限:16歳以下(2010年8月31日を基準とする)
審査員 :Simone Rebello、Mark Peacock
賞:金・銀・銅の他、優勝団体は賞金£350と優勝カップ&バナー、準優勝団体は賞金

£200とグラス・トロフィー、3位は賞金£100とグラス・トロフィー。
ベスト奏者賞に奨学金£100とトロフィー。
「モスト・インプルーブド・バンド/Most Improved Band」が1団体選ばれる

<中級セクション/Intermediate Section>
~初心者から中級者向けの部門~

開演:午前9時15分 結果発表:午後4時50分
会場:RNCMシアター/The Royal Northern College of Music Theatre
内容:各バンド20分以内、自由曲と課題曲
課題曲 :Ray Farr作曲「Adventures in Brass」
年齢制限:18歳以下(2010年8月31日を基準とする)
審 査 員 :Malcolm Brownbill、Dr Peter Meechan
賞 :金・銀・銅の他、優勝団体は賞金£350と優勝カップ&バナー、準優勝団体は賞金
£200とグラス・トロフィー、3位は賞金£100とグラス・トロフィー。
ベスト奏者賞に奨学金£100とトロフィー。
「モスト・ポテンシャル・バンド/Most Improved Band」が1団体選ばれる

▲Wardle High School conducted by Lee Rigg

<上級セクション/Advanced Section>
~さらに上へと音楽への挑戦を追求するバンドのための部門~

開演:午前1時55分 結果発表:午後6時55分
会場:RNCMコンサートホール/The Royal Northern College of Music Concert Hall
内容:各バンド20分以内、自由曲と課題曲
課題曲 :Edward Gregson作曲「Variations on Laudate Dominum」
年齢制限:19歳以下(2010年8月31日を基準とする)
審査員 :Derek Broadbent、Mark Wilkinson
賞:金・銀・銅の他、優勝団体は賞金£350と優勝カップ&バナー、準優勝団体は賞金
£200とグラス・トロフィー、3位は賞金£100とグラス・トロフィー。
ベスト奏者賞に奨学金£100とトロフィー。

▲取材協力をしてくれたBolton Music Service所属のBolton Youth

<プレミア・セクション/Premier Section>
~実力を必要とする課題曲と、レベルの高い自由曲が求められる部門~

開演:午前5時15分 結果発表:午後8時10分
会場:RNCMシアター/The Royal Northern College of Music Theatre
内容:各バンド25分以内、自由曲と課題曲
課題曲 :Philip Wilby作曲「Partita」
年齢制限:20歳以下(2010年8月31日を基準とする)
審査員 :Peter Parkes、Sheona White
賞:金・銀・銅の他、優勝団体は賞金£350と優勝カップ&バナー、準優勝団体は賞金
£200とグラス・トロフィー、3位は賞金£100とグラス・トロフィー。
ベスト奏者賞に奨学金£100とトロフィー。

▲St Helens Youth conducted by Mark Bousie

中級セクションからは、大人のバンド顔負けの演奏でした。特に上級&プレミア・セクションは、大人のサード・セクションからファースト・セクションに匹敵するような演奏で、ここから大人のチャンピオンシップ・セクションにすぐ通用する演奏者が出ることを予想させるようなパフォーマンスでした。実際に過去のロー・セクション(フォースからファーストまでのセクション)課題曲を演奏するバンドもありました。

 日本の小学校の金管バンドで毎年、曲選びに苦戦している先生方も多いかと思います。中には「ドラゴンの年」のような、チャンピオンシップ・セクションの課題曲をコンクール等で演奏する小学校もありますが、今回のようなユース・ブラスバンドのコンテストの課題曲や、ロー・セクションの課題曲にも名曲は多くあります。イギリスのコンテストの課題曲として選ばれている時点で、日本のコンテストにも使用できるような1つの目安となると思います。今後はチャンピオンシップ・セクション以外のセクションやユースバンドが演奏する曲にも注目してみると、選曲のヒントがみつかるかもしれません。

 その他ユース・ブラスバンド向けの大きな大会は、この大会の他に2月のブラックプールで行われるエンターテイメント・フェスティバルと、1月のバトリンズのユースバンド部門などがあります。また、ブラスバンドに限らず、様々な種類の音楽でエントリーできる「Music for Youth」も、ユースバンドにとって大きな行事の1つです。

Music for YouthのHP
http://www.mfy.org.uk/show-reel.aspx

■トレーニングバンド・セクション/Training Band Section参加団体
Coleshill Youth Brass (Stephen Fagg) 「バンド・オブ・ザ・デイ/Band of the Day」受賞
Warren Wood Primary School (Peter Christian)
Macclesfield Youth Training (Liz Hudson)
Stockport Schools Junior (Rachel Pavey)
Bolton Intermediate Brass (Toby Hobson)
Poynton Youth Junior (Joyce Hall)
Lions Junior/Beginners (Ian Raisbeck)

■ジュニア・セクション/Junior Section参加団体
Astley Youth (Helen Minshall) 優勝
Chalford Youth (Steve Tubb) 準優勝
Stockport Schools Intermediate (James Holt) 3位

■中級セクション/Intermediate Section参加団体
Elland Silver Youth (Samantha Harrison) 優勝
Rochdale Borough Youth (Eric Landon) 準優勝
Wardle High School (Lee Rigg) 3位
Lions Youth Brass (Nigel Birch)
Poynton Youth (Andy Hirst)
Enderby Youth (Trevor Hounsome)
Macclesfield Youth (Louise Renshaw)
Tewit Youth (Craig Ratcliffe)
Egglescliffe School (Matthew Haworth)
Great Western Youth (Paul Collis-Smith)
Lydbrook Youth (Robert Morgan)
Worcestershire Youth Brass (Nicky Daw)
Cumnock Academy Brass (Craig Anderson)
Fred Longworth High School (Helen Robinson)
M.K. Youth Brass (David Rose)

■上級セクション/Advanced Section参加団体
Carnoustie & District Youth (Michael Robertson) 優勝
Youth Brass 2000 (Chris Jeans) 準優勝
Greater Gwent Schools (Sean O’Neill) 3位
Bolton Youth Brass (Helen Minshall)
Bare Trees Community (John Collins)
Gloucestershire Youth (Ian Porthouse)
Hampshire County Youth (Jock McKenzie)
Tees Valley Youth (Stuart Gray)
Dawsons Berkshire Maestros Youth (John Watts)
Stockport Schools Senior (Philip Pavey)

■プレミア・セクション/Premier Section参加団体
Gwynedd & Mon County Youth (Gwyn M Evans) 優勝
West Lothian Schools (Nigel Boddice MBE) 準優勝
Northamptonshire County Youth (Brad Turnbull) 3位
St Helens Youth Band (Mark Bousie) – Silver Certificate

■ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレードブリテン地区大会

BPレポーター:多田宏江

▲ヨークシャー地区大会と、ノースウェスト地区大会のプログラム表紙

 

 英国ブラスバンド通信第7回目は、3月に行われました「ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレードブリテン地区大会」のレポートをお届け致します。

 イギリスでは、毎月、時には毎週のようにブラスバンドのコンテストがあちこちで開催されていますが、この地区大会は、その結果によって、そのバンドの “セクション”が決定される、どのバンドにとっても大事なコンテストです。この大会で悪い成績が続けば下のセクションに降格し、上位2位+全国大会でも好成績を取れば上のセクションに昇格できます。年に一度、毎年3月頃(来年のノースウェストエリアは2月)グレードブリテンを8つの地区にわけて開催されている大会です。

<今年の課題曲>

■チャンピオンシップ・セクション
「イングリッシュ・へリテージ/English Heritage」
作曲者ジョージ・ロイド/George Lloyd

1990年のナショナル・ファイナルズのために作曲された曲。チャンピオンシップ・セクションのプレイヤーの中にはその時に演奏したプレイヤーもいたようです。

■1stセクション
「ムーアサイド組曲/A Moorside Suite」
作曲者グスターヴ・ホルスト/Gustav Holst

組曲「惑星」で有名なホルストが、生涯に1つだけ残したブラスバンド作品。1972年にBBCとナショナル・ブラスバンド・フェスティバルの委託を受けて作曲され、1928年クリスタルパレスで行われたナショナル・チャンピオンシップスで課題曲として使われました。

■2ndセクション
「キングダム・オブ・ドラゴンズ/Kingdom of Dragons」
作曲者フィリップ・ハーパー/Philip Harper

ゲスト・インタビューvol.5に出演してくださったフィリップ・ハーパー氏の作品。今年50周年を迎える、グウェント(Gwentウェールズ南東部)・ミュージックサービスの50周年を記念にグウェント・ユースバンドが演奏するために作曲されました。

■3rdセクション
「レイバー・アンド・ラブ/Labour and Love」
作曲者パーシー・フレッチャー/Percy Fletcher

1913年クリスタルパレスで行われたナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップスの課題曲。それまで、オーケストラの曲をブラスバンド版に編曲してコンテストで演奏されていましたが、この曲はコンテスト課題曲として「初めてブラスバンドのために書かれた曲」とされています。

■4thセクション
「サン・サーンス・バリエーションズ/Saint-Saens Variations」
作曲者フィリップ・スパーク/Philip Sparke

サン・サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」の主題を元に変奏曲として、2007年に吹奏楽のために作曲されました。今回、このコンテストのためにブラスバンド版として出版されることになり再構成され、4thセクションのバンドでもサン・サーンスの名曲のパワーを楽しめるように新しく作られました。

▲今年の課題曲参考演奏CD

 この大会では各バンドが、セクションごとに与えられた課題曲だけを演奏します。その参考演奏CDとして毎年発売されているのが「Regionals(地区大会)」と題したCDです。日本では普段どうしても、チャンピオンシップ・セクションのバンドが演奏する曲に注目が集まりやすいですが、このようなCDを通して、他のセクション向けの曲も注目されるといいですね。

▲ヨークシャーエリアの開催地ブラッドフォード。
会場セント・ジョージ・ホール前の街並み

今年の地区大会、最初の開催はヨークシャーでした。ヨークシャーといえば、強豪バンドが揃う地区。チャンピオンシップ・セクションの参加バンドリストを見ると、まるでここが全国大会かと思ってしまうほどです。

<ヨークシャーエリア> チャンピオンシップ・セクションの順位
(後ろの数字は演奏順)

1. Brighouse and Rastrick (Professor David King), 5
2. Carlton Main Frickley Colliery (Philip McCann), 11
3. Rothwell Temperance (David Roberts), 9
4. Black Dyke (Dr Nicholas J. Childs), 3
5. Grimethorpe Colliery (Allan Withington), 6
6. Marsden Silver Prize (Glyn Williams), 4
7. Hepworth (Cookson Homes) (Ian Porthouse), 10
8. Skelmanthorpe (John Roberts), 7
9. Wakefield Metropolitan (Norman Law), 1
10. Powerfuel Hatfield Colliery (John Berryman), 2
11. Stannington (Derek Renshaw), 13
12. Drighlington (Jim Davies), 8
13. Old Silkstone (Chris Hirst), 12

 チャンピオンシップ・セクションは、2日目の3月7日午後6時頃からスタートしました。 ヨークシャーの地区大会の会場、セント・ジョージ・ホールには使用できるホールが1つのみで、他セクションのコンテストの並行は行えず、チャンピオンシップ・セクションの前に行われた3rd、4thセクションの終演が遅れれば、そのままチャンピオンシップ・セクションの開演も遅れます。6時から20分近い課題曲を13団体が演奏するとなれば、終演は単純計算でも10時半。結局、この日の終演は午後11時を過ぎ、結果発表は午後11時半頃となりました。

▲1日目の結果発表の様子

 その他、今回のヨークシャー地区大会の注目バンドは、4thセクションのディニントン・バンド(Dinnington Colliery)です。BBC2で3月に3週に渡って放送された「A Band for Britain」。ディニントン・バンドがスー・パーキンス(Sue Perkins)の協力によってバンド再生へ取り組む様子を追った番組が放送されました。実際にその復活が形となり、ディニントン・バンドは地区大会で4thセクション2位になり、今年9月の全国大会進出が決まりました。

BBCで放送された番組「Maestro」(20088年8月~9月)の優勝者。「Maestro」…指揮は素人の有名人の中からマエストロを発掘しようという企画

▲Hammonds Saltaire Band conducted by Morgan Griffiths

 日本の吹奏楽コンクールでは、オーケストラ奏者の方を審査員として呼ぶことがありますが、イギリスのブラスバンドのコンテストでは、審査員もブラスバンド奏者(もしくは過去にブラスバンド奏者だった人)や指揮者から選ばれます。この地区大会の時期は、審査員と奏者を掛け持ちしたり、指揮と演奏を掛け持ちしたりする方が多くいます。自分のバンドの毎日の練習だけでも労力がいるのに、他のバンドの指揮、審査を同じ時期に並行して行う、そのブラスバンド魂には尊敬です。また一日中、審査員として同じ課題曲を何曲も聴き続けながら、翌週も審査員をつとめている審査員の方々もいます。地区大会を支える裏方の方々の中にも奏者や、元奏者の方々が多くいて、大会の裏には大会&ブラスバンドを支えるたくさんのバンズマンたちの姿がありました。

地区大会8地区のコンテスト詳細

<ヨークシャー> 
会場St George’s Hall, Bradford

◆1日目 3月6日(土)
・1stセクション 演奏順発表: 1.00pm 開演: 2.30pm
審査員: Lynda Nicholson、Kevin Wadsworth

・2ndセクション 演奏順発表: 9.00am 開演: 10.30am
審査員C. Brian Buckley、Steve Pritchard-Jones

◆2日目 3月7日(日)
・3rdセクション 演奏順発表: 8.00am 開演: 9.30am
審査員: Lynda Nicholson、Alan Morrison

・4thセクション 演奏順発表: 12.00noon 開演: 1.30pm
審査員: Steve Pritchard-Jones、Philip Sparke

・チャンピオンシップ・セクション 演奏順発表: 3.30pm 開演: 5.30pm
審査員: Derek Broadbent、C Brian

<ミッドランド>
会場Civic Hall、Nicholas Chamberlaine Technology College, Bedworth

◆1日目 3月13日(土)
・1stセクション 会場: The Civic Hall
演奏順発表: 10.00am & 12.00noon開演: 11.00am
審査員: Philip Harper、Kevin Wadsworth

・3rdセクション 会場: Nicholas Chamberlaine Technology College
演奏順発表: 10.00am & 12.00noon開演: 11.00am
審査員: Paul Norley、Malcolm Brownbill

◆2日目 3月14日(日)
・4thセクション 会場: Nicholas Chamberlaine Technology College
演奏順発表: 9.30am & 11.30a 開演: 10.30am
審査員: Kevin Wadsworth、Chris Davis OBE

・2ndセクション 会場: The Civic Hall
演奏順発表: 9.00am 開演: 10.00am
審査員: Malcolm Brownbill、Paul Norley

・チャンピオンシップ・セクション 会場: The Civic Hall
演奏順発表: 12.00noon 開演: 2ndセクション終演後
審査員: David Read MBE、Dr Robert Childs

<スコットランド> 
会場Rothes Halls, Glenrothes

◆1日目 3月13日(土)
・4thセクション 演奏順発表: 08.30 開演: 10.00
審査員: Nigel Seaman、David Thornton

・3rdセクション 演奏順発表: 11.00 開演: 12.30
審査員: Brett Baker、Dave Barringer
・2ndセクション 演奏順発表: 14.40 開演: 16.10
審査員: Nigel Seaman、Chris Wormald

◆2日目 3月14日(日)
・1stセクション 演奏順発表: 09.00 開演: 10.30
審査員: Dave Barringer、David Thornton

・チャンピオンシップ・セクション 演奏順発表: 13.35 開演: 15.05
審査員: Brett Baker、Chris Wormald

<ウェスト・オブ・イングランド>
会場Riviera International Centre内, Torquay

◆1日目 3月13日(土)
・4thセクション
会場: The Arena 演奏順発表: 10.45am 開演: 12 noon
審査員: Stan Lippeatt、Jappie Dijkstra

・3rdセクション
会場: The Forum 演奏順発表: 8.45am 開演: 10.00am
審査員: David Horsfield、Peter Bassano

・1stセクション
会場: The Forum 演奏順発表: 12.30pm 開演: 3.30pm
審査員: David Horsfield、Peter Bassano

◆2日目 3月14日(日)
・2ndセクション
会場: The Forum 演奏順発表: 8.45am 開演: 10.00am
審査員: Jappie Dijkstra、Peter Bassano

・チャンピオンシップ・セクション
会場: The Forum 演奏順発表: 1pm 開演: 3.30pm
審査員: David Horsfield、Stan Lippeatt

<ノースウェスト> 
会場Winter Gardens内, Blackpool

3月14日(日) 全セクション
・3rdセクション
会場: Empress Ballroom 演奏順発表: 9.00am and 11.15am 開演: 10.00am
審査員: Ian Brownbill

・2ndセクション
会場: Opera House 演奏順発表: 9.30am 開演: 10.30am
審査員: Roy Roe

・4thセクション
会場: Spanish Hall 演奏順発表: 10.30am and 1.15pm 開演: 11.30am
審査員: Steve Pritchard-Jones

・1stセクション
会場:Empress Ballroom 演奏順発表: 1.30pm 開演: 3.00pm
審査員: Barry Thompson

・チャンピオンシップ・セクション
会場: Opera House 演奏順発表: 1.45pm 開演: 2.45pm
審査員: C. Brian Buckley

<ロンドン&南>
会場Arts & Leisure Centre内, Stevenage

◆1日目 3月20日(土)
・3rdセクション
会場: Main Concert Hall 演奏順発表: 9.00am 開演: 10.00am
審査員: Derek Broadbent

・4thセクション
会場: Main Concert Hall 演奏順発表: 1.30pm 開演: 3rdセクション終演後
審査員: C. Brian Buckley

◆2日目 3月21日(日)
・2ndセクション
会場: Gordon Craig Theatre 演奏順発表: 9.00am  開演: 10.00am
審査員: Simone Rebello

・1stセクション
会場: Main Concert Hall 演奏順発表: 10.00am 開演: 11.00am
審査員: C. Brian Buckley

・チャンピオンシップ・セクション
会場: Gordon Craig Theatre 演奏順発表: 2.30pm 開演: 2ndセクション終演後
審査員: Derek Broadbent

<ノース・オブ・イングランド> 
会場Dolphin Centre, Darlington

◆1日目 3月20日(土)
・2ndセクション 演奏順発表: 11.00am 開演: 12.30pm
審査員: Kevin Wadsworth

・1stセクション 演奏順発表: 1.30pm 開演:2ndセクション終演後
審査員: Kevin Wadsworth

◆2日目 3月21日(日)
・4thセクション 演奏順発表: 8.30am 開演: 9.30am
審査員: John Berryman

・3rdセクション 演奏順発表: 11.00am 開演: 4thセクション終演後
審査員: Kevin Wadsworth

・チャンピオンシップ・セクション演奏順発表: 2.00pm開演: 3rdセクション終演後
審査員: John Berryman

<ウェールズ>
会場Brangwyn Hall, Swansea

◆1日目 3月20日(土)
・3rdセクション 演奏順発表: 10.30am 開演: 11.30am
審査員: Colin Hardy

・2ndセクション 演奏順発表: 12.15pm 開演:3rdセクション終演後
審査員: Malcolm Brownbill

・1stセクション 演奏順発表: 4.15pm 開演:2ndセクション終演後
審査員: Colin Hardy

◆2日目 3月21日(日)
・4thセクション 演奏順発表: 10.00am 開演: 11.00am
審査員: Colin Hardy

・チャンピオンシップ・セクション
演奏順発表: 12.00pm 開演:4thセクション終演後
審査員: Malcolm Brownbill

◇今年の全国大会の日程

◎チャンピオンシップ・セクション 
日時:10月9日
会場:ロイヤルアルバートホール(ロンドン)

◎1st~4thセクション 
日時:9月25日、26日
会場:ハロゲイト・インターナショナル・カンファレンス・センター(ハロゲイト)

■ベンジャミン・リシェトン(Benjamin Richeton) /グライムソープ・コリアリーバンド、コルネット奏者

◎インタビュー&文:多田宏江
2010年3月 Salford大学にて

▲Benjamin Richeton(ベンジャミン・リシェトン)

 今回のゲストは、今年のBBCラジオ2 ヤング・ブラス・ソロイスト2010の(BBC Radio2 Young Brass Soloist 2010)ファイナリストであり、グライムソープ・コリアリーバンド、コルネット奏者のベンジャミン・リシェトンです。

 フランス人であるベンジャミンは、現在サルフォード大学に在学中です。大学のサブバンド「アデルフィ・バンド」で指揮者を務め、大学バンドではプリンシパル(首席)奏者を務めています。学外のグライムソープ・コリアリーバンド以外にも、フランスのナショナル・ユース・吹奏楽団(ONHJ/選抜ユースバンド)で首席トランペット奏者、ヨーロピアン・ユース・ブラスバンド(EYBB)2007プリンシパル・コルネット、ヨーロピアン・ユース・ブラスバンド2008、2009ソプラノ・コルネット、ナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・スイス(NJBBS)のゲスト・ソプラノ・プレイヤーとして参加するなど、母国フランス、在学中のイギリスにだけにとどまらず幅広く活躍しています。

 今回はフランスのブラスバンド事情や、ヨーロピアン・ユース・ブラスバンドでの体験、そしてヤング・ブラス・ソロイスト2010出場について聞いてみました。

■日本にもパリ・ギャルド吹奏楽団が来日するなど、フランスではオーケストラや吹奏楽が盛んなイメージがありますが、ブラスバンドも盛んですか?

ベンジャミン:フランスのブラスバンドの数は40団体ぐらいだと思います。フランスでもブラスバンドが流行り始めてきて、バンド数も増え、最近ではイギリスのブラスバンドで活躍する指揮者を招待してのマスタークラスも開催されるようになりました。

■イギリスのバンドが「フレンチ・オープン・ブラスバンド・チャンピオンシップス」に参加した話しをよく聞きます。どんな大会ですか? またフランスのブラスバンドの大会について教えてください。

ベンジャミン:フレンチ・オープンに参加するバンドは、課題曲、20分のエンターテインメント・コンサート、野外でのマーチ演奏の3部門に出場します。フレンチ・オープンの他に、ヨーロピアン・ブラスバンド・チャンピオンシップスの予選大会にあたる「ナショナル・フレンチ・ブラスバンド・チャンピオンシップス」という大会もあります。この大会と比べると、フレンチ・オープンはフェスティバルの要素が強いコンテストですね。

ナショナルズ(ナショナル・フレンチ・ブラスバンド・チャンピオンシップス)は、ここ2年「Brass Band Nord-pas-de-Calais」が優勝し、指揮者もイギリスからフランク・レントンを呼ぶなど、よりブラスバンドらしい音になってきたと思います。それまでは「Aeolus」というプロ奏者によるバンドが優勝していましたが、コルネットもトランペットのような音だったり、ブラスバンドではなく、金管アンサンブルのような音色でした。フランスでもブラスバンドの形態が活きるブラスバンドのサウンドを出せるバンドが出てきていることはとても良い傾向だと思います。

■吹奏楽が盛んなフランスで、なぜブラスバンドで楽器を吹き始めたのですか?

ベンジャミン:自分で選んだというわけではなく、通っていた地元グレー(Gray)のミュージック・スクールでコルネットを習い始め、そのままミュージック・スクールのブラスバンドに参加しました。ブラスバンドを始める前には想像もつかない楽しさで大好きになりました。サルフォード大学に来る前の1年間、グレーの近くの都市、ディジョン(Dijon)で音楽を学んでいましたが、ディジョンはオーケストラ楽器の傾向が強く、グレーとは対照的でした。

ミュージック・スクールにはブラスバンドの他に、吹奏楽もありましたが金管楽器を習っている生徒が多くいたのでブラスバンドをつくったようです。グレーのミュージック・スクールで金管楽器を習っている人は、楽器をはじめて2年ぐらいでほとんどの生徒がブラスバンドに参加します。私は、ヨーロピアン・ユース・ブラスバンドに参加した初めてのフランス人プレイヤーだと思うのですが、その時もう一人、同じくグレー出身の女の子もフランス代表として一緒に参加しました。

■ヨーロピアン・ユース・ブラスバンドには2007年から3年連続参加されていますね。初参加からプリンシパル(首席)だったのですか?

ベンジャミン:はい。オーディション後「プリンシパル」と言われ、思ってもいなかったのでびっくりしました。2007年はイングランドのバーミンガムが会場で、指揮者はイアン・ポートハウスでした。ヨーロピアン・ユース・ブラスバンドは、事前に席が決まっているわけではなく、ヨーロッパ各地からプレイヤーが集まって、全員が揃う初日に、指揮者によるオーディションが行われ、そこで席が決まります。2008年はノルウェーのスタバンガー(Stavanger)、2009年はベルギーが開催地で、2008年と2009年はソプラノ(E♭コルネット)を担当しました。

■フランス人初参加者にして、初回からプリンシパルとは凄いですね。日本にはヨーロピアン・ユース・ブラスバンド参加のシステムがないのですが、フランスのファデレーション(フランスの吹連)から代表に選ばれて参加したのですか?

ベンジャミン: 参加した3回とも、フランスのファデレーションから、フランス代表として選ばれ、全費用(食費、宿泊滞在費、飛行機代など)をファデレーションが負担してくれました。

■ファデレーションのサポート体制も整っていて素晴らしいですね。3回連続で参加してみてどうでしたか?

ベンジャミン:素晴らしい体験でした。面白いのは、毎回バンドのメンバーの輪が、とても早く強くつながっていくことです。はじめはみんな吹くだけ。そこから話し始めてうちとけて、最後には離れたくない、みんなずっと一緒にいたい、このメンバーでこのバンドをずっと続けたいと思うようになるまで仲良くなるんです。

3回とも別々の開催地で、開催地がイギリス以外の国でもイギリスでも、みんな英語で会話しました。16カ国からの参加者は、イギリス人には母国語だけれど、頑張って英語を使ってコミュニケーションする。それがさらに音楽のつながりを強くしたと思います。イングランドに来て、大きな大会で一緒に参加したメンバーに再会できたのもうれしかったですね。

▲Benjamin Richeton(ベンジャミン・リシェトン)

■BBC ラジオ2ヤング・ブラス・ソロイスト2010には、どのようなきっかけで出場したのですか? また、出場してみての感想を教えてください。

ベンジャミン:父が参加者募集の知らせを見つけてすすめてくれました。同じ時期に大学でリサイタルをしていたので、その録音をBBCに送ってみました。

正直に言うと、私自身はあまりコンペティション(competition/競争・コンテスト)が好きではありません。コンペティションはスポーツのイメージで、音楽はアート。私の考えでは、アートは感情表現や叙情的なものであって、それを競争することはできないと思うのです。

初めからそんな姿勢だったので、予選通過も想像していませんでした。1次予選通過の知らせから3週間後に、フォーデンス・バンドとの録音が待っていました。出場はしましたが、毎回の演奏時には、音楽会だと思って、コンテストとは思わずに演奏しました。二次予選通過も全く予想していませんでした。

■二次予選はフォーデンス・バンドをバックに、決勝戦ではブラック・ダイク・バンドをバックに演奏されましたが、トップ・バンドと一緒にソロで演奏してみてどうでしたか?

ベンジャミン:レコーディングの前に、事前にフォーデンスとブラック・ダイク・バンドのバンド・ルームへ行ってバンドと一緒にリハーサルしました。どちらのバンドのバンド・ルームも、そのバンドの歴史や、イングランドのブラスバンドの歴史を感じました。

ブラック・ダイクのバンドルームに行った時は、知り合いのメンバーの方が、木製の譜面台に刻まれた、歴代のプリンシパル・コルネット奏者のサインを見せてくれて、フィリップ・マッキャンやロジャー・ウェブスターのサインを見つけたりしました。

トップ・バンドと吹くとなると、戦うような、張りあうようなイメージがあるかもしれないですが、そんなことは全くなく、雰囲気良くサポートしてくれて、リラックスして楽しんで演奏することが出来ました。

■現在グライムソープ・コリアリーバンドに所属されていますが、どんなバンドですか?

ベンジャミン:素晴らしいバンドです。全てのコンサートをいつも楽しんで演奏することが出来て、いつも演奏会が楽しみです。そんな思いになるバンドは人生で初めて所属しました。指揮者のジェームズ・ガーレイの指揮も司会も、演奏も姿勢も素晴らしいです。演奏も全然緊張することはないですね。なぜなら、失敗するわけがない、楽しくないわけがない、そんな夢みたいな環境だからです。メンバーもとても仲が良いです。

■グライムソープ・コリアーリーバンドのメンバーとして、1月は「アラン・ティッチマーシュ・ショー/Alan Titchmarsh Show」、3月は「ア・バンド・フォー・ブリテン/A Band for Britain」 と、コンテスト、コンサートの他に、今年に入ってテレビの出演も多いですよね。他にも出演しましたか?

ベンジャミン:CD「The Music Lives On Now The Mines Have Gone」の宣伝にTVのニュースにも出演しました。 毎週末は土日どちらか、もしくは両方本番があって、大学の課題も、リサイタルもコンダクティングも、とっても忙しい日々ですが、どれも逃したくないぐらい充実しています。

■今年もナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・スイス(NJBBS)のゲスト・ソプラノ・プレイヤーとして招待されているそうですが、前回参加してみてどうでしたか?

ベンジャミン:よく飲んで(笑)、一日平均3・4時間ぐらいしか睡眠をとらずにリハーサル&本番と、10日間があっと言う間に過ぎてしまうイベントでした。期間が終わる頃には、また来年も行きたくなります。毎年7月の上旬に開催され、講師陣もヨーロッパのトップ・バンドが集まる充実したナショナル・ユースです。一例をあげると、今年の講師陣はコルネットが、クリストファー・ターナー(コーリー・バンド)、ユーフォニアムがスティーブン・ミード、ベースがレズ・ニーシュ(フォーデンス)などです。指揮者は、去年はギャリー・カット、今年はジェームズ・ガーレイです。

■尊敬するプレイヤーや音楽家がいたら教えてください。また、大学を卒業後はどんな活動をする予定ですか?

ベンジャミン:モーリス・アンドレはヒーローですよね。人柄も、音楽・音色も最高で、彼の演奏を聴くだけで夢を見ているような気持ちにさせてくれます。彼の出身地は、フランス北部でその地域はフランスでも特に吹奏楽が盛んな地域です。それは、イングランド北部でブラスバンドが盛んなのと似ているようにも思います。指揮者はディビット・キング、アラン・ウィズィントン(Alan Withington)の2人ですね。2人ともサルフォード大学出身です。コルネット奏者はロジャー・ウェブスターとディビット・キングです。

今後は、もう少しイングランドで活動を続けて行きたいと思っています。フランスの家族や友達にも会いたいですが、楽器指導のトレーニングをイングランドで受けたいです。また、いつか日本にも行ってみたいです。今までいろんな国の人に会ってきましたが、今まで出会った日本人の人たちはとても親切な人たちばかりでした。

■グライムソープ・コリアリーバンド
http://www.grimethorpeband.com/

■「アラン・ティッチマーシュ・ショー/Alan Titchmarsh Show」の動画(Youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=_T3z-OGAESY

■「ア・バンド・フォー・ブリテン/A Band for Britain」の動画(Youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=TJcc4dh3qI4&feature=related

■CD「The Music Lives On Now The Mines Have Gone」のCM(Youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=yKBwHuCLUGU&feature=related

■BBCラジオ3 フェスティバル・オブ・ブラス、ハイライト演奏の放送

BPレポーター:多田宏江

 3月1日から1週間、イギリスBBCラジオ3で、今年1月の「フェスティバル・オブ・ブラス/RNCM Festival of Brass」のハイライト演奏が放送されます。番組名は「Afternoon on 3」で、今週の特集BBCスコットランド交響楽団/BBC Scottish Symphony Orchestraの演奏と共に放送されます。

 聴きどころは、イギリスを代表する3人のユーフォニアム奏者のソロと、ブリティッシュオープン優勝バンド、コーリーによる「タイタンズ・プログレス」です。

※「タイタンズ・プログレス」、ブリティッシュオープンについての詳しい記事はコチラhttp://www.bandpower.net/soundpark/03_bbn/bbn02-1.htm

 特に、日本でユーフォニアムを演奏されている方に聴いていただきたいのは、イギリスのユーフォニアムのスタイルをひとくくりにするのはもったいない3人それぞれの個性、スタイルの違いです。彼らに共通するのは、ブラスバンドという演奏形態をベースにしていることだけ。いざ、ソロになってみるとデイビット・ソントン、グリン・ウイリアムス、デイビット・チャイルズそれぞれの良さが聴こえてくると思います。

「フェスティバル・オブ・ブラス」は今年20周年。新しいブラスバンドのレパートリーを発信し続けるイベントは、これからもさらなる名曲を生み出していくでしょう。日本でも有名な作曲家、フィリップ・スパークやピーター・グレイアムがブラスバンド作品を吹奏楽に編曲し、それを日本の吹奏楽団体が演奏しているように、それはまた、新しい吹奏楽のレパートリーを生むことにもつながることもあるでしょう。そんな注目のイベントの「今」を聴けるチャンス。

■番組名:「Afternoon on 3」
放送時間:1日月曜日、2日火曜日、4日木曜日、5日金曜日は4.15 – 5.00pm、
3日水曜日3.20 – 4.00pm.
(ネットラジオは「一週間」と聴ける期間が限られていますのでご注意ください。)

■「Afternoon on 3」のホームページ
http://www.bbc.co.uk/programmes/b006x3cd

Listen now をクリックして聴けます
http://www.bbc.co.uk/programmes/b00qzw5k

<放送予定日時と放送予定曲目>
3月1日 月曜日 以下の曲が流れる時間帯は午後4:15~5:00
(日本時間2日午前1時15分~2時放送。放送後、一週間聴けます)

・Euphonium Concerto No. 2 (Torstein Aagaard-Nilsen)
演奏:デイビット・ソントン/David Thornton (euphonium)
演奏:ブラック・ダイク・バンド/Black Dyke Band
・Journey into Freedom (Eric Ball)
演奏:フォーデンス・バンド/Foden’s Band

3月2日 火曜日 以下の曲が流れる時間帯は午後4:15~5:00
(日本時間3日午前1時15分~2時放送。放送後一週間聴けます)

・The Maunsell Forts (Nocturne for Brass Band) (John McCabe)
・「タイタンズ・プログレス」Titan’s Progress (on a theme of Mahler) (Hermann Pallhuber)
演奏:コーリー・バンド/Cory Band

3月3日 水曜日 以下の曲が流れる時間帯は午後3:20~4:00
(日本時間4日午前0時20分~1時放送。放送後一週間聴けます)

・In Memoriam RK (Elgar Howarth)
・Suite for Brass Band: Scherzo (Wilfred Heaton, adapted Paul Hindmarsh)
・Chant (Torstein Aagaard-Nilsen)
演奏:フォーデンス・バンド/Foden’s Band

3月4日 木曜日 以下の曲が流れる時間帯は午後4:15~5:00
(日本時間5日午前1時15分~2時放送。放送後一週間聴けます)

・Brass Triumphant (Gareth Wood)
・Circius (Torstein Aagaard-Nilsen)
演奏:コーリー・バンド/Cory Band
・Song of the Brother (Eric Leizden)
演奏:グリン・ウイリアムス/Glyn Williams (euphonium)
フォーデンス・バンド/Foden’s Band

3月5日 金曜日 以下の曲が流れる時間帯は午後4:15~5:00
(日本時間6日午前1時15分~2時放送。放送後一週間聴けます)

・Euphonium Concerto (Karl Jenkins)
演奏:デイビット・チャイルズ/David Childs (euphonium)
演奏:コーリー・バンド/Cory Band
・Battle of Barossa (Andy Scott)
・Ivor Stevenson (narrator)
演奏:フォーデンス・バンド/Foden’s Band

■BBCラジオ2 ヤング・ブラス・ソロイスト2010決勝戦

BBC Radio2 Young Brass Soloist 2010
BPレポーター:多田宏江

▲プログラムに掲載されている、ファイナリストの4人の写真

 

 英国ブラスバンド通信第5回目は、2月20日(土)にマンチェスターにある北王立音楽院行われた「BBCラジオ2 ヤング・ブラス・ソロイスト2010決勝戦(BBC Radio2 Young Brass Soloist 2010)」のレポートをお届け致します。

 この大会は、イギリスの国営放送BBCのラジオ2の主催による大会で、毎週金曜21:30~22:00(イギリス時間)放送のBBCラジオ2ブラスバンド番組「リッスン・トゥー・ザ・バンド/Listen to the Band」のラジオ収録を兼ねたものでした。ブラック・ダイク・バンドも決勝進出の4人も、やり直しのできない一発録音が簡単かのようなほぼ完ぺきな演奏。26日のラジオ放送も楽しみな、素晴らしいパフォーマンス満載の大会でした。

<BBCラジオ2 ヤング・ブラス・ソロイスト2010決勝戦>
【日時】2010年2月20日(土) 開演19時30分
【会場】北王立音楽院/The Royal Northern College of Music
【司会】フランク・レントン/Frank Renton
【バンド】ブラック・ダイク・バンド/The Black Dyke Band
【指揮】ニコラス・チャイルズ/Nicholas Childs
【審査員】リチャード・エバンス/Richard Evans、フィリップ・コブ/Philip Cobb

ファイナリスト(決勝進出者)
・ジョナサン・ベイツ/Jonathan Bates (14)  テナーホーン
・ベンジャミン・リシェトン/Benjamin Richeton (20)  コルネット
・ゾーイ・ハンコック /Zoe Hancock (18)   フリューゲルホーン
・マシュー・ホワイト/Matthew White (19)   ユーフォニアム

▲ファイナリストの伴奏を務めるブラック・ダイク・バンド

 ファイナリストの演奏はテナーホーン奏者、ジョナサン・ベイツからスタートしました。ウェストヨークシャー出身の14歳。イギリスの名門バンド「ブリッグハウス&ラストリック・バンド」にプレイヤーとして在籍しているだけではなく、14歳でプリンシパル(首席)ホーン・プレイヤーというのですから、演奏は年齢の概念を超えた素晴らしいパフォーマンスでした。
また彼は、ナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・グレードブリテン(グレードブリテン選抜ユースバンド)に2007年史上最年少プレイヤーとして、イギリスのブラスバンド界に歴史を残している若きプレイヤーでもあります。

 ファイナリスト2人目はコルネット奏者のベンジャミン・リシェトン。フランス人のベンジャミンは、フランスのナショナル・ユース・吹奏楽団(ONHJ/選抜ユースバンド)で首席トランペットを務め、ヨーロピアン・ユース・ブラスバンド(EYBB)2007でもプリンシパル(首席)コルネットを務めました。2年前にSalford大学に転入後、YBSに在籍しソプラノ・コルネットを担当、現在はグライムソープ・コリアリー・バンドでソロ・コルネットを吹いています。ヨーロピアン・ユース・ブラスバンド2008でもソプラノ・コルネットを担当した他、ナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・スイス(NJBBS)のゲスト・ソプラノ・プレイヤーとして参加するなど、母国フランス、在学中のイギリスだけにとどまらず活躍しています。

▲唯一の外国人参加者、フランス人のベン・リシェトン

 ファイナリスト3人目はフリューゲルホーン奏者のゾーイ・ハンコック。ウェールズ王立音楽院(Royal Welsh College of Music)に在学中の彼女は、1月に行われた「フェスティバル・オブ・ブラス」でもブリッグハウス&ラストリック・バンドをバックにソロを、ここ北王立音楽院で演奏しました。英国ブラスバンド通信の第一号で紹介した「グレート・ノーザン・ブラス・アーツ・フェスティバル」でも、レイランドをバックにソロを吹くなど既にソロイストとしてひっぱりだこ。いつもミニスカートで登場するので、ミュートを取るしぐさに女性の私でもドキッとします(笑)。暗譜で目を閉じながら演奏するその姿にもうっとりしてしまう演奏でした。

 ラストを飾るのは、ユーフォニアム奏者マシュー・ホワイト。彼は3年連続ファイナル進出です。数年間レイランド・バンドでセカンド・ユーフォのポジションにいましたが、現在はペンバトン・オールド・バンド/Pemberton Old Bandでプリンシパル(首席)ユーフォニアム奏者としても大活躍。ナショナル・ユース・ブラスバンド・オブ・グレートブリテンでもプリンシパル・ユーフォニアムを務めています。
また2008年のBBCテレビ主催のヤング・ミュージッシャン・オブ・ザ・イヤーでも金管部門のファイナリストになりました。日本でスティーブン・ミードと大阪市音楽団よって初演された、ピーター・グレイアム作曲のユーフォニアム協奏曲『称うべき紳士たちの列伝に』から2楽章と3楽章を暗譜で、また2楽章ではエコーを足で操作しながら堂々と演奏していました。

 4人のファイナリストの演奏が終わった後は、審査結果発表まで、ブラック・ダイク・バンドが演奏しました。2曲目の「Only for you」では、ブラック・ダイク・バンドでソプラノ・コルネットを担当する21歳のポール・ダフィー/Paul Duffyがバンドをバックにソロを披露。審査員で、結果発表を担当した22歳のロンドン交響楽団首席トランペット奏者フィリップ・コブ/Philip Cobbとともに、ファイナリストを支える大人たちの中にも若い力が光る大会でした。

 結果は3度目の正直。ユーフォニアム奏者のマシュー・ホワイトの優勝でした。

▲昨年の優勝者から、今年の優勝者へ、トロフィーの授与式の様子

 この大会の録音は2010年2月26日21:30~(日本時間2月27日6:30)BBCラジオ2で放送予定です。日本でもインターネットでBBCラジオ2を聴くことができます。ただし、ネットラジオは次回番組放送までの”一週間”と聴ける期間が限られていますのでご注意ください。

■「Listen to the band」ホームページ
http://www.bbc.co.uk/iplayer/episode/b00qyk7n/Radio_2_Young_Brass_Soloist_Final/

http://www.bbc.co.uk/programmes/b00qyk7n

<BBCラジオ2 ヤング・ブラス・ソロイスト2010決勝戦演奏曲(プログラムから)>
オープニング演奏/Introduction
ブラック・ダイク・バンド/The Black Dyke Band
・Fanfare in Jubilo (Thomas Doss)

決勝戦/The Four Finalists
ジョナサン・ベイツ/Jonathan Bates テナーホーン
・Concert Etude (Alexander Goedicke arr. Steve Pullin)
・Rainforest from ‘Windows of the World'(Peter Graham)
・Capriccio Brillante (Herman Bellstedt arr. Sandy Smith)

ベンジャミン・リシェトン/Benjamin Richeton コルネット
・Jubilance (William Himes)

ゾーイ・ハンコック /Zoe Hancock フリューゲルホーン
・Somewhere Over The Rainbow (Harold Arlen & Yip Harburg arr. Ray Farr)
・Song and Dance (Philip Sparke)

マシュー・ホワイト/Matthew White ユーフォニアム
・Movements: II – The Final Problem & III – The Great Race
from ‘In League With Extraordinary Gentlemen (Concert for Euphonium)'(Peter Graham)

審査結果までの間/During the adjudication
ブラック・ダイク・バンド/The Black Dyke Band
・Russian and Ludmilla (Glinka)
・Only for You (Paul Lovatt-Cooper)  ソプラノソロ:ポール・ダフィー/Paul Duffy
・Scat (Peter Graham)
・America & Somewhere from ‘West Side Story’ (Leonard Bernstein)

審査発表&トロフィーの授与式/Results and trophy presentations
優勝者による演奏
マシュー・ホワイト/Matthew White ユーフォニアム
・III – The Great Race from ‘In League With Extraordinary Gentlemen
(Concert for Euphonium)'(Peter Graham)

■バトリンズ・マインワーカーズ・ナショナル・オープン・ブラスバンド・フェスティバル

BPレポーター:多田宏江

▲プログラム表紙

 

 英国ブラスバンド通信第4回目は、1月23日、24日に行われました「バトリンズ・マインワーカーズ・ナショナル・オープン・ブラスバンド・フェスティバル(Butlins Mineworkers National Open Brass Band Festival)」のレポートをお届け致します。

 会場は、イギリス東岸の海に面した街「スケグネス」にある「バトリンズ」です。バトリンズはイギリスで有名なホリデービレッジ(休暇村)。コンテスト・リハーサル会場、宿泊所、レストラン、パブ等、全て揃った施設で、今年は約5千人が宿泊し、宿泊施設を利用しなかったお客様・プレイヤー等も含め合計約6千人が会場に集まったそうです。同じ週末にはマンチェスターにある、北王立音楽院で「Festival of Brass」が開催されました。ブラスバンドの大きな行事がダブルブッキングしても、約6千人集まるのですから、イギリスのブラスバンド強し!

▲昨年のエンターテイメントコンテスト写真が使われた、来年の宿泊予約のポスター

 コンテストの内容は23日が課題曲によるコンテスト(チャンピオンシップ・1st・2nd・3rd・4thセクション)、24日がエンターテイメント(チャンピオンシップ・セクションのみ)、ユース・セクションのコンテストでした。エンターテイメント・コンテストの司会は、BBCラジオ2の「リッスン・トゥ・ザ・バンド」のパーソナリティーとして有名なフランク・レントン氏が行いました。
各セクション上位4位までに賞金、トロフィー等が贈呈されます。チャンピオンシップ・セクションは2日間の合計点数で順位が決まるため、課題曲もエンターテイメントも手が抜けません。またコンテスト名に「マインワーカーズ」とあるように、炭鉱出身のバンドでセクションの最高位のバンドにもトロフィーが贈呈されます。

▲指揮者と演奏順の間にあるMの欄にXとあるのが炭鉱出身バンドの印

 夜はコンテストに参加していない、招待を受けたチャンピオンシップ・セクション・バンドのコンサートや、シークレット・ライブのようなものも行われます。例年、北王立音楽院で開催される「Festival of Brass」はバトリンズの1週間後から2週間後に行われることが多く、普段はさらに多くのブラスバンド・プレイヤーがバトリンズに集結します。2年前に現役を引退した世界的に有名なソプラノ奏者「ピーター・ロバーツ」も、ここバトリンズのシークレット・ライブで現役に幕を閉じました。

▲宿泊者に配られるリストバンド
期間中のコンテスト・コンサートはこのリストバンドをつけていれば全て無料で聴ける

 バトリンズのようなホリデービレッジ(休暇村)で行われる代表的なコンテストは、他に10月に行われる今年35周年記念のコンテスト「ポンティンズ」があります。観光業界側からすれば、閑散期をうまく利用した行事ですし、演奏者にしてみれば、コンテストの後、帰りを心配せずに飲んで聴いて楽しめるコンテストと、聴きに来た演奏者の家族も含めみんなが楽しめる行事です。また、イギリスでブラスバンドを聴きに行きたい!と思っている日本の皆さんにも飛行機代+宿泊代ともに賢いブラスバンド旅行が出来るイベントと言えるかもしれません。

▲出店店舗数がもの凄い。楽譜も楽器もDVDもCDも、
ブラスバンドの欲しいものはすべてここで揃うと言っても過言ではない

<バトリンズ・チャンピオンシップ・セクション演奏団体 プログラム順> ( )指揮者
課題曲:ポール・ロヴァト・クーパー作曲「スリープレス・シティズ/SLEEPLESS CITES」

Co-operative Milnrow  (John Ward)
Desford (Russell Gray)
EYMS (Alan Morrison)
Flowers (Paul Holland)
Hatfield Powerfuel (Graham O’Connor)
Hepworth Cookson Homes (Ian Porthouse)
Redbridge (Jeremy Wise)
Virtuosi GUS (John Berryman)
Thoresby Colliery (Melvin White)
Wingates (Philip Harper)
Woodfalls (Gareth Pritchard)

◎イギリスの休暇村って何?と思われる方へ
(英国政府観光庁公式ホームページ日本語) >>> クリック

※バトリンズと表記しましたが、実際の発音は’ボ’トリンズに近く聞こえます。

■北王立音楽院(マンチェスター)で行われた「Festival of Brass」
毎年ブラスバンドの新しいレパートリーを生み出す世界初演曲が多く披露されるフェスティバル

<今年の主な演奏団体>

1月22日(金)

スケルツォ・ブラス(金管4重奏)
ブラック・ダイク・バンド

1月23日(土)

デイビット・チャイルズ・リサイタル
レイランド・バンド
コーリー・バンド
フォーデンス・バンド

1月24日(日)

北王立音楽院ブラスバンド、ブラスアンサンブル
ディビット・ソントンとグローブブラス(金管5重奏)
ブリッグハウス&ラストリックバンド
グライムソープ・コリアリー・バンド

■エンターテイメントのコンテストと言えば「ブラス・イン・コンサート」

ブラス・イン・コンサート2009は、2009年11月15日(日)に行われました。
プロモーションDVDトレイラー(50秒)をYoutubeで見ることが出来ます。


http://www.youtube.com/watch?v=0rJXDGta-8Y&feature=player_embedded

今バンドパワーで買える最新のブラス・イン・コンサートDVDは「ブラス・イン・コンサート2008」
レポーターもYBSで出場しています。是非ご覧ください!

http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9388/

ハイライトで3枚組。3枚に収まりきらないようなコンサート&コンテストを濃縮したお得なDVDです。