A:楽曲の冒頭や休符の後など音を出す瞬間は緊張しますね。楽器の管中の停まっている空気を振動させてエネルギーを伝えて音にする。自転車に例えて言えば、漕ぎ出すときが一番「全身の使い方や力が必要かつ大切」ということ。ですから実行されている、息の量をフォルテと同じ量で吹奏しているかと思います。
特に音出しのpは繊細な響きを要求されるのでプレッシャーもかかり、なかなか良い音を出すことが難しいですね。そこで、pの音作りについてレッスンしましょう。
先ずは以下を常にチェックしてください。
1.姿勢、楽器の構えが音を出すためにベストであるか?
2.下顎が張った状態になっているか?
レッスン開始!
(1)自然に出す音のダイナミックイメージをmfとして、ロングトーンしながら徐々に音量感を下げていきpにする。
→この時お腹辺りの息の支えをしっかりしてください。
(2)pのイメージの音まで到達したら、その音をキープしてロングトーンを続ける。
→この時の、息のスピード、量、楽器に吹き込む角度、口の中の容積、アンブシュア、アパーチャー、身体のバランス、緊張感などを頭の中にインプットしながらp音のイメージを持つまで繰り返し行ってください。
注意点として、
a)音量を落とし過ぎて響きがなくならない。
b)音のエネルギー感が失われない。
ようにしてください。
(3)p音のイメージを会得したら、今度はそのイメージで初めからp音をロングトーンで出す。
→ブレスはダイナミックに関係なく、しっかり瞬時に奥深く吸い込み楽器に吹奏する。そして立ち上がりのタンギングの舌の動きやタイミングや息のスピードを会得していく。
(4)指揮者やバンドメンバーとのタイミングを自身で工夫して会得していく。
弱奏での豊かな響きで全体を包み込む音を常に目指してください。
また、バンドとしてtubaが複数人いると思います。ppだからといって1本(人)で演奏するとバンド全体の響きがなくなってしまうこともありますので注意が必要です。もし1本の時は、(前にもお話ししましたが)ダイナミックは単に音量の大小ではないことを理解して曲想にマッチした「音」で演奏してください。
演奏会で弱奏が奏でる、お客様の心に寄り添うような音楽が聞こえくるようでとても楽しみです。
回答:五十嵐 清