「楽譜」カテゴリーアーカイブ

『ハリスンの夢』『レッド・マシーン』の作曲者ピーター・グレイアム、日本で、イギリスで大忙し!!

今月(2006年3月)、イギリス各地では、10月に開催されるベッソン全英ブラスバンド選手権2006(2006 Besson National Brass Band Championships of Great Britain)の地区予選が花盛り。ランク別に5つの部門で競われる”全英”の中でも最も注目されるのは、もちろん最高部門である”チャンピオンシップ・セクション”の行方だ!!

今年は、チャンピオンシップ・セクション各地区予選のテストピースに先日来日したばかりのピーター・グレイアムの『地底旅行(Journey to the Centre of the Earth)』が選ばれているので、作曲者は、アドバイスを求められたり、実際の演奏を愉しむために、今日はこちら、明日はあちら、と大忙し。

『地底旅行』は、ジュール・ベルヌの同名小説を題材として書かれた作品で、2005年のヨーロッパ・ブラス・バンド・コンテスト(European Brass Band Contest 2005)でチャンピオンとなったイングランド代表ブラック・ダイク・バンドが”フリー・チョイス(自由選択曲)”として初演して聴衆の度肝を抜いたばかりの超注目作品。2月には、日本からの委嘱でオーケストレーションされたウィンドオーケストラのための新しいバージョンが、秋山和慶指揮、大阪市音楽団の演奏で収録されたばかり。この前の来日はレコーディング・セッションにおけるコラボレーションのためだった。

滞在中、バンドパワーでは、作曲者ピーター・グレイアムに直撃インタビューを行った。その模様は4月中旬、このページを通じて配信の予定。この春一番の話題。乞うご期待!!


セッション終了後に指揮の秋山和慶さんと市音メンバーから拍手で迎えられる作曲者 『地底旅行』収録中(右はディレクターの森田一浩氏) 八幡市文化センター大ホールにて

オランダの作曲家ヨハン・デメイの新作・交響曲第3番『プラネット・アース(惑星地球)』が世界初演される

『指輪物語』『ビッグ・アップル』でおなじみのオランダの作曲家ヨハン・デメイの新作・交響曲第3番『プラネット・アース(惑星地球)』が、3月2日、オランダ・ロッテルダムのコンサート・ホール、デ・ドゥーレンにおいて、オットー・タウスク指揮、北オランダ管弦楽団の演奏で世界初演された。

初演はスタンディング・オーベーションの起こる大成功で、新聞2紙にも大きく取り上げられ、翌3日にはホーヘフェーン、4日にはフロニンヘンと続いた3日連続の演奏は、いずれも熱狂的に迎えられた。

『プラネット・アース』は、吹奏楽オリジナルから管弦楽版が作られた第1番、第2番とは異なり、最初から管弦楽のために作曲された交響曲で、近く、初演者によるレコーディングも計画されている。

宇宙の音楽/フィリップ・スパーク Music of the Spheres/Philip Sparke

Text:Philip Sparke(フィリップ・スパーク)

 曲名は、「万物の根源は数である」とする古代ギリシャの数学者ピタゴラスによって唱えられた“宇宙は、振動数比率が単純に整数倍である音程によって形成される純正な音階と同じ法則によって、その調和が保たれている”という理論から、導かれている。ピタゴラスは、また、その音程比率は、太陽系内の六つの惑星(当時は、肉眼で観測できた水星・金星・地球・月・火星・木星をもって6個と考えられていた)が太陽から隔てる距離に一致すると信じており、さらに、「それぞれの惑星は固有の音を発し、絶えまなく“天上の音楽”を紡ぎ奏でている(ただし普通の人間には一切聞こえず、ピタゴラスだけがその調べを聴くことができた)」と論じた。加えて、古代ギリシャには“ハルモニア”という言葉があり、これは現代の“ハーモニー/和声”とは異なる、“音階”や“協和音程”を表わすものであって、さらには、その完成美を極めたものとして宇宙の本質そのものを体現する言葉と考えられていた(当時、紀元前500年頃は、歴史上最古の音楽形態である単旋律音楽しか存在していなかった)。このピタゴラスの理論による“六つの音”は、本作品後半の『宇宙の音楽』および『ハルモニア』のセクションで、その土台を構築する主題として使われている。

 作品は、切れ目なく続く3つのセクションからなるが、まず冒頭は、『t=0』を喚起するホルンのソロで幕を開ける。“t=0”とは、「宇宙の誕生(ビッグバン)の瞬間tには、時間・熱量・素粒子・重力・磁力・元素などすべてのものが無(ゼロ)であった」という、いま最も多くの科学者達がほぼ確信している考えを表わしている。そしてこのソロのあとに、時間が生まれ宇宙が拡がってゆく“ビッグバンその後”の描写が続く・・・あまねく森羅万象は、たった一つの“点”の爆発から生まれたのである!

 次の緩やかなセクションは、『孤独な惑星』—地球についての黙想録である。太陽系内の他のどの星にも起こらなかった奇蹟とも言える偶然が、地球の進化を“命を育む惑星”として導いてきた。そして今や我々は、遥かなる銀河に向かって毎日のように、他の知的生命体を探す調査を続けているのである。

宇宙空間のいたるところに出現する『小惑星帯と流星群』は、危険性があるものも無いものも選択の余地なく、地球へ頻繁に迫ってくる・・・その情景を描写した後、この曲は、『未知』への問いを内に秘めながら、壮大なエンディングへと向かう。我々が開発を推し進めてきた大宇宙への飽くなき探究は、我々の将来にさらなる文明の発展をもたらすのか、それとも破滅の時を暗示するものか・・・。

(原文/P.スパーク 訳/黒沢ひろみ)

■宇宙の音楽<吹奏楽版世界初演>は、山下一史指揮、大阪市音楽団の演奏で、2005年6月3日、大阪・シンフォニーホールにて行われた。

「この世界初演のリハーサルと本番に立会うため、“お忍び”で来日していた作曲者本人による、感動の後日談!」を、ここに紹介しよう。

Spending a week in Osaka in the run up to the world premiere of
Music of the Spheres was one of the most remarkable musical experiences
of my life.

Of course, I have known for many years that the
Osaka Municipal Symphonic Band is a world-class outfit –
I have enjoyed hearing them both live and on CD and
the grace and energy of their performances has thrilled me many times.

But I was truly amazed by being able to witness the preparation for
this concert; during the three rehearsals I attended, I could see
how the band was coming to terms with this difficult piece.

I could see and hear the players adjusting their playing on each
run through to improve sound, ensemble and balance.
Each run through was better than the last and the preparation was
planned so that the concert performance saw the band reach its peak.

Only a few times have I heard performances that truly combine control
with flair – usually we get one or the other.
But this was one of those performances;
it had ice-cool technique combines with real excitment.

It was absolutely extraordinary and will remain in my memory for all time.

Philip Sparke


「宇宙の音楽」の世界初演までに過ごした大阪での1週間は、
私の人生において最も貴重な音楽体験の一つとなりました。

勿論、大阪市音楽団が世界でもトップクラスの実力を持った
音楽団体である事は、以前から私も知っておりました。
私は彼らの演奏をライブやCDで楽しんでおり、その気品と
エネルギーに満ちた演奏には、これまで何度も鳥肌が立ちました。

しかし今回、彼らのこの演奏会に賭ける熱意を目の当たりにし、
大変驚かされました。
私はリハーサルに3回立会いましたが、バンドがこの難曲の
辿り着くべき所へと近づいていく様子を、詳しく見る事ができました。

曲を通す毎に、団員が音色やバランス、アンサンブルを調整して、
演奏を高めていく様子を、目と耳で実感しました。
この様に、練習を重ねる毎に前回よりも優れた音楽が生まれていき、
又、演奏会がその到達点となる様、練習も大変良く計画されていました。

私はこれまで、正確な技術と音楽的表現とが完全に一致した演奏を
数える程しか聴いた事がありません
(普通は、そのどちらか一方のみの演奏が多いと思います)。
しかし、今回の初演の演奏は違いました。
冷静で完全無欠な技術と本物の興奮とが、見事に一致した演奏でした。

今回の演奏は文字通り最上級の演奏で、私の心の中に長く留まることでしょう。

(本文:フィリップ・スパーク/訳:広瀬勇人)

 

■宇宙の音楽/フィリップ・スパーク
Music of the Spheres/Philip Sparke

【CD】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0831/

【楽譜】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/set-8378/
【 宇宙の音楽」関連記事】

○ フィリップ・スパーク作曲『宇宙の音楽』世界初演
http://www.bandpower.net/report01/2005/07/07_omsb/07.htm

○フィリップ・スパーク『宇宙の音楽』がNBAレヴェリ作曲コンテスト
(NBA/Revelli Composition Contest)最優秀作品を受賞
http://www.bandpower.net/news/2005/12/02_sparke/01.htm


広瀬勇人「ブレーメンの音楽隊」がノルトライン・ヴェストファーレン州吹奏楽コンクール2006の課題曲に!

現在、ベルギーに留学中の作曲家・広瀬勇人の「ブレーメンの音楽隊」が2006年、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州吹奏楽コンクール(Wertungsspiel Sundern 2006, Nordrheinwestfalen)の課題曲に選ばれた。

広瀬氏の吹奏楽作品がドイツの吹奏楽コンクール課題曲に選ばれるのは、昨年の「アメリカン・オーバーチャー」(バイエルン州)に続き、これが2回目。
日本人作曲家が海外で評価されるのって、なんかメチャうれしいですよね。今後の活躍がますます楽しみ!

2006年ノルトライン・ヴェストファーレン州吹奏楽コンクール
Wertungsspiel Sundern 2006, Nordrheinwestfalen HP>>>

その他の主な課題曲:
ヨハン・デ・メイ「ザ・ウィンド・イン・ザ・ウィロー」
トーマス・ドス「パワー・プレイ」
広瀬勇人「ブレーメンの音楽隊」、他

◎ノルトライン・ヴェストファーレン州(ドイツ):ドイツ北西部の州。デュッセルドルフ、ケルン、ボン等がその主な都市。

フィリップ・スパーク『宇宙の音楽』がNBAレヴェリ作曲コンテストで最優秀作品を受賞

アメリカのシカゴで開催されているミッドウェスト・クリニックからの速報。
現地時間15日夜(日本時間16日昼)、フィリップ・スパークの『宇宙の音楽』が、NBAレヴェリ作曲コンテスト(NBA/Revelli Composition Contest)において最優秀作品に選ばれたと発表された。スパークの作品がアメリカの作曲賞を受賞するのは、ABAオストウォルド賞を受賞した『ダンス・ムーブメント』以来。

■宇宙の音楽/フィリップ・スパーク
Music of the Spheres/Philip Sparke

【CD】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0831/

【楽譜】
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457699/656682/

【 宇宙の音楽」関連記事】

○ フィリップ・スパーク作曲『宇宙の音楽』世界初演
http://www.bandpower.net/report01/2005/07/07_omsb/07.htm