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■圧倒的な輝き!作曲者チェザリーニも大感銘のTADウインドシンフォニー、交響曲第1番「アークエンジェルズ」日本初演!

音楽監督・鈴木孝佳(タッド鈴木)のリーダーシップのもと、ウィンドのドライビング・フォースとして大活躍が続くプロ軍団“タッド・ウインドシンフォニー”!!

その第23回定期演奏会が、2016年6月10日(金)、東京・ティアラこうとう大ホールで開催された!

第1部にアダム・ゴーブ『大西洋を渡る鐘』、フィリップ・スパーク『風のスケッチ』、アルフレッド・リード『イーブンタイド~日暮れの歌~』、ピーター・グレイアム『シャイン・アズ・ザ・ライト』、第2部に日本初演となったフランコ・チェザリーニの交響曲第1番『アークエンジェルズ』(作品50)を配したプログラミングは、色合いがまったく違う作品を見事にリンクさせ、有機的に組み上げたもので、もはや他の追従を許さない宇宙的独壇場!

加えて、演奏される曲全てがウィンドのオリジナル作品なのがなんともすばらしい!

会場には、そのモチベーションの高いパフォーマンスを愉しもうと、北海道から九州まで数多くの聴衆が詰めかけた!中には、神奈川県からバスを連ねてやってきたアツい人々もいたというから、タッド人気は今や半端ではないレベルだ!!

今演奏会でもっとも注目を集めたのは、もちろんフランコ・チェザリーニの交響曲第1番『アークエンジェルズ』だった!!

委嘱作ではなく、相当前から構想をもちながらも、書き始めては断念、書き始めては断念を何度も何度も繰り返し、“今度ダメだったら、もうこのテーマは廃棄しよう”と考えていたチェザリーニが、今回は“何かが天から降りてきて…”、昨年秋に遂に完成したという渾身の大作だ!

世界初演は、2016年2月にスペインで行なわれたが、作品を管理する出版社の力の入れようも半端ではなく、その後、短期間にベルギー、スイス、オランダ、オーストリア、イタリアでの初演が企画され、いずれも大成功!!ある意味、今ヨーロッパで最もアツい作品というわけだ。

日本初演は、ヤン・ヴァンデルローストの「いにしえの時から」や「オスティナーティ」、フィリッフ・スパークの交響曲第2番「サヴァンナ・シンフォニー」や同第3番「カラー・シンフォニー」の世界初演や日本初演など、数々の初演を成功させてきたタッド氏にまずスコアが送られ、スコアを一見したタッド氏が惚れ込んで“ぜひにも定期でとりあげたい”と返答したことから、この日の日本初演が決定!!

シンフォニーは、演奏時間30分超えの4楽章構成。各楽章には、“ガブリエル”、“ラファエル”、“ミカエル”、“ウリエル”という4人のアークエンジェル(大天使)たちの名前が小題として与えられ、6曲のグレゴリオ聖歌のメロディーが採りこまれた荘厳華麗な作品だ!

タッドWSとのコラボのために初来日した作曲者を客席に招いた演奏も実にアツかった!!

第1楽章冒頭のティンパニ・ソロが会場に鳴り響いた瞬間から、聴衆はそのパフォーマンスに釘づけ!4人のアークエンジェルズたちのキャラクターがまるでモザイク画のように音楽として語られていく。

華麗なるエンディングの響きが消え去った後、ステージに招かれた作曲者とタッド氏は、カーテン・コールを繰り返し、日本初演は大成功!

正式出版前のため、限定数用意されたスコアも完売する騒ぎに!

アンコールには、タッド氏が“同年兵だった”とスピーチし、若すぎる逝去を惜しんだ真島俊夫『コーラル・ブルー』を追悼としてとりあげ、タッドのエンディング・テーマとしてすっかり定着した『ツール・ド・フォース』を演奏したところで、コンサートは大団円!

終演後も、会場周辺は、大きな興奮に包まれていた!!

■タッド・ウインドシンフォニー第23回定期演奏会【曲目】

【TAD公式ホームページ】http://tadwind.sakura.ne.jp/


■タッド・ウィンド・コンサート(27) フィリップ・スパーク/鐘の歌
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-4029/

◎絶好調「タッド・ウィンド・コンサート」シリーズのCDをチェックする

http://item.rakuten.co.jp/bandpower/c/0000000823/

■九州管楽合奏団演奏会2016レポート

Text:BP特派員

オランダ出身の作曲家で指揮者のヨハン・デメイが、福岡県を本拠地に九州各地で演奏活動を行っているプロの吹奏楽団「九州管楽合奏団」の創立10周年の記念演奏会に客演指揮者として登場したのが2014年5月のこと。その後首席客演指揮者に就いて国内外でのコンサートを指揮してきましたが、その集大成といえる「九州管楽合奏団演奏会2016」が5月8日に福岡シンフォニーホールで開催されました。

開場時間を繰り上げ、使用しない予定だった席を開放し(カメラマン用の場所まで!)、用意していたプログラムが途中でなくなってしまうほど多くの聴衆を迎え、県知事も臨席して華々しく開催された今回の演奏会のキーワードは“ヴェネツィア”。前半にチェロと吹奏楽のための協奏曲「カサノヴァ」を、後半に四部作「ヴェネツィアン・コレクション」を配し、そこにプッチーニにオペラからの編曲を散りばめたプログラムでした。

「カサノヴァ」のチェロ独奏は若手実力派の宮田大。デメイとは2012年11月にシエナ・ウインド・オーケストラの定期演奏会でこの曲を共演しています。その後、佐渡裕の指揮で日本各地で、さらにこの1週間前にも東京佼成ウインドオーケストラの定期演奏会で演奏しており、満を持してデメイとの再共演となりました。

独奏チェロのバックはフル編成の吹奏楽、しかもデメイの分厚いオーケストレーションのためにバランスがとりにくく、リハーサルでも音量の調整が念入りに行われたものの、どうしてもソロの音が聴き取りにくい場面があったのが残念。それでも、その華々しい経歴に恥じないテクニックでスマートさと情感を兼ね備えたチェロの演奏に魅了されました。会場には「宮田大さんを見に来ましたの」とおっしゃるご婦人も少なくなく、終演後のサイン会の人気ぶりを見ても、さわやかな笑顔のまさに「カサノヴァ」だったかも。

デメイはプッチーニのオペラの中でも吹奏楽ではあまり演奏されない曲を編曲しており、この日は3曲がプログラムに入れられていましたが、中でも宮田大のソロをフィーチャーした「天上の天使」では、我が子の死を嘆く母の想いが切々と歌われ、心に染み入るようでした。

メインの「ヴェネツィアン・コレクション」は、2000年から2001年に仏伊米の4つのバンドから委嘱されて作曲されたもので、それぞれ個別に演奏されることもあります。いずれも技術とスタミナが必要なかなりの難曲な上に、テーマになった絵画同様抽象的な印象があるせいか、日本では演奏機会に恵まれず、4曲まとめて聴けるこの演奏会は貴重な機会でした。メンバーも最後まで高い集中力を保ち、オーケストラの力量が問われる四部作を見事に演奏し切りました。

アンコールには宮田大も再び登場し、チェロのための作品を数多く残したダーヴィト・ポッパーの「妖精の踊り」を披露。リサイタルなどでもたびたびアンコールピースとして演奏されるピアノ伴奏の小品ですが、ここではデメイの編曲による吹奏楽伴奏版で。「熊蜂の飛行」のようにひたすら16分音符が並ぶ技巧的なソロのパートを、妖精のように軽やかに弾き大喝采を浴びていました。

吹奏楽を聴きに来た人にチェロの魅力を、チェロを聴きに来た人に吹奏楽の魅力を、それぞれ届けることができたコンサートになったのではないかと思います。

このコンサートで九州管楽合奏団とデ・メイとの関係はひとまず区切りを迎えることになるようですが、2016年~2017年の文化協力プログラム「オランダ&九州」の関連行事についてのトップセールスなどもあり、両者の関係とこれからの活躍から目が離せません。

■九州管楽合奏団演奏会2016

【日時】2016年5月8日(日)14:00開演
【会場】福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)
【指揮】ヨハン・デ・メイ(首席客演指揮者)
【チェロ独奏】宮田大(※)

【プログラム】

アンコール

■保科 洋「交響曲第2番」初演!大盛会の広島ウインドオーケストラ第45回定期演奏会!

2016年4月28日(木)、広島・西区民文化センターホールで、《80歳記念 保科洋プロジェクト》と銘打った広島ウインドオーケストラ第45回定期演奏会が開催された。指揮は、音楽監督の下野達也。

いうまでもなく、1月に80歳を迎えた今も旺盛な創作と指揮活動をつづける作曲家、保科 洋をトリビュートするコンサートだ!

プログラムは、マーチをのぞいて保科初の吹奏楽オリジナル作品となった『交響的断章』(1972/1999)に始まり、盟友だった兼田 敏との約束で兼田が保科のために書いた『嗚呼!』(1985)、その答礼として保科が兼田に贈った『Lamentation To – (Theme and Variations)』(1999)の3曲で構成された第1部。広島ウインドオーケストラの委嘱で作曲した『交響曲第2番』(2016/初演)の第2部という、とてもアグレッシブで意欲的な内容。

そのことを知ってか、会場は最前列から最後列までビッシリ!!

音楽監督自ら聴衆に話しかけた説明によると、注目の『交響曲第2番』は、広島ウインド20周年を祝う会の席上、作曲を快諾してもらった作品だということ。2015年に着手され、2016年2月に完成された。

“アレグロ・モデラート・エ・マエストーゾ – ヴィヴァーチェ”、“レント・ミステリオーゾ”、“アレグロ・コン・ブリオ”の3つの楽章による、全体では急-緩-急の構成で書かれたシンフォニーで、演奏時間は約30分。

冒頭ホルンによる勇壮なファンファーレで始まり、自由なソナタ形式で書かれた第1楽章、コラールと各楽器のソロが交錯する三部形式の第2楽章、激しく力感を伴った推進力のある終曲の第3楽章と、聴く者はグイグイと音楽の中に惹きこまれていく。随所に現れる“保科節”もファンを魅了する!!

新作に真正面から向き合った広島ウインドも好演を聴かせ、《初演》は大成功! 演奏後ステージに呼ばれた作曲者も興奮気味に指揮者と握手を交わしている!

そして、万雷の拍手に応えて演奏されたアンコールは『風紋』!!

その演奏後、聴衆がハッピーな気分に包まれたところで、再度ステージに上がるよう促された作曲者は、指揮者から“無茶ぶり”されて、今演奏を終えたばかりの『風紋』をもう一度サプライズで指揮することに!!

そのダイナミックで高揚感のある音楽が、会場を感激させたところで、コンサートは大団円!!

「これはいいものを聴いた!」

会場を後にする聴衆が口々に興奮を語り合う、とてもすばらしい音楽会だった。
■広島ウインドオーケストラ第45回定期演奏会
《80歳記念 保科洋プロジェクト》   

【日時】2016年4月28日
【会場】広島市西区民文化センター ホール
【指揮】下野竜也
【プログラム】

  • 交響的断章(改訂版)(保科 洋)
  • 嗚呼!(兼田 敏)
  • Lamentation To – (Theme and Variations)(保科 洋)
  • 交響曲第2番(保科 洋) - 世界初演 –
    第1楽章:アレグロ・モデラート・エ・マエストーゾ – ヴィヴァーチェ
    第2楽章:レント・ミステリオーゾ
    第3楽章:アレグロ・コン・ブリオ

本邦初演、スパークの交響曲第3番『カラー・シンフォニー』に大反響!日本中から聴衆が押しかけた“タッドWS・ニュー・イヤー・コンサート2016”

世界をリードするプログラミングとモチベーションの高いパフォーマンスでファンを沸かせるタッド・ウインドシンフォニー。

その“ニュー・イヤー・コンサート2016”が、1月23日(土)、東京・江東区の《ティアラこうとう》大ホールで開催された!

この日も、北は北海道から、南は鹿児島まで、全国各地から熱心なファンがつめかけ、会場は開演前から熱気ムンムン。聞けば、近年最高の入りで、最前列かぶりつきのお客さんまでいる!

コンサートは、本プロの前に、音楽監督タッド鈴木(鈴木孝佳)氏のおしゃべりとともに“お年玉”として当日発表の1曲を演奏する、ニュー・イヤー恒例の《プログラム・ゼロ》からスタート!!

これはファンの密かなお愉しみとなっているが、今回タッド氏がここへ持ってきたのは、1963年発表のエリック・オスターリングの『バンドロジー』。50年以上も前の作品だが、ショーの幕開けにふさわしい高揚感のあるすばらしいコンサート・マーチで、ホールは一気に華やいだムードに包まれる!!

客席では、こんな素敵な曲をどこから見つけてくるんだ、との声も!

「1曲もうけ!」という、そんなムードの中、ジョン・ウィリアムズの『カウボーイ』、マーク・キャンプハウスの『ヨセミテの秋』、ウィリアム・H・ヒルの『セント・アンソニー・ヴァリエ―ション』という、アメリカ色満開の第1部に突入する!

この内、『カウボーイ』は、作曲者のジョン・ウィリアムズ本人がアメリカ海兵隊バンドをコンサートで指揮するために、ジェイ・ボコックがトランスした新しい楽譜での演奏だ!

ボストン・ポップスのようなオケっぽいサウンドがとにかくカッコいい!

有名な国立公園の秋を表した情感あふれる『ヨセミテの秋』もいい曲だ!

第2部は、ホールに響き渡る岡本 謙の美しいフルート・ソロが聴衆を魅了したナイジェル・ヘスの『ラヴェンダーの咲く庭で』でスタート!

その美しい余韻の中、この日の超目玉である話題作、フィリップ・スパークの交響曲第3番『カラー・シンフォニー』日本初演へとステージは進む!

2014年11月、ドイツのプレーマーハーフェンでの世界初演後、タッド氏が作曲者からスコアを贈られ、演奏を託されたスパークの最新シンフォニーで、楽譜はもちろん未出版。初演後ドイツで1回再演されただけで、この日の日本初演を入れても地球上でまだ3回しか演奏されていない、ステージ上も含めて、ホール内のすべての人が耳にしたことのない作品だ。当然ながら、CDもない。

ハープ、ピアノ、チェロも含め、およそウィンドオーケストラに使われるすべての楽器の可能性を追い求めた作品で、医学的に“色聴”とよばれる音楽から色を感じる感覚からイメージを脹らませた色彩をテーマとするシンフォニーで、5つの楽章には“ホワイト”“イエロー”“ブルー”“レッド”“グリーン”と小題がつく。

それにしても、タッドWSのシンフォニー演奏は説得力がある!!

演奏が始まると、ステージ上のモチベーションに共鳴するように、客席も日本初演の瞬間瞬間に訪れる色合いの変化や音楽のうねりを聴きもらすまいと、身じろぎもせず、聴き入っている。

エンディングにつづくブラボーの叫び!この日最高のパフォーマンスがここで飛び出した!!

スパークは、やっぱりすごい!

カーテンコールにつづき、アンコールとして、オリジナルにはないチェロまで加えた矢部政男『ドルフィン・イン・ザ・スカイ』ほかを演奏して、コンサートは、大団円!

すばらしい作品に加え、アツい演奏!

これぞ、ライヴの醍醐味だ!

次なるタッドのステージは、2016年6月10日(金)、同じ会場で開かれる第23回定期演奏会。聞けば、ここでも、大いなる未知との遭遇があるらしい。

ウィンドのウェーブにのって驀進するタッドWS!!

その2016年シーズンは、すばらしいスタートを切った!
■タッド・ウインドシンフォニー「ニュー・イヤー・コンサート2016」

《プログラム・ゼロ》
○バンドロジー (エリック・オスターリング)

《第1部》
○カウボーイ (ジョン・ウィリアムズ / ジェイ・ボコック編)
○ヨセミテの秋 (マーク・キャンプハウス)
○セント・アンソニー・ヴァリエ―ション (ウィリアム・H・ヒル)

《第2部》
○ラヴェンダーの咲く庭で (ナイジェル・ヘス)
○交響曲第3番「カラー・シンフォニー」(フィリップ・スパーク) <本邦初演>
第1楽章:ホワイト
第2楽章:イエロー
第3楽章:ブルー
第4楽章:レッド
第5楽章:グリーン

~ アンコール ~
○ドルフィン・イン・ザ・スカイ (矢部政男)
○ツール・ド・フォース(ロバート・E・ジェイガー)


 

◎タッド・ウインドシンフォニーの近作CDをチェックする

■タッド・ウィンド・コンサート(26)
H・オーウェン・リード/メキシコの祭り
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3947/

■タッド・ウィンド・コンサート(25)
フィリップ・スパーク/神話とモンスター
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3673/

■タッド・ウィンド・コンサート(24)
ピーター・グレイアム/巨人の肩にのって
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3362/

■タッド・ウィンド・コンサート(23)
ヨハン・デメイ/交響曲第1番「指輪物語」
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3338/

■タッド・ウィンド・コンサート(22)
フィリップ・スパーク/ダンス・ムーブメント
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3191/

 

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http://item.rakuten.co.jp/bandpower/c/0000000823/