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ヨーロピアン2006でも『地底旅行』『宇宙の音楽』で大盛り上がり

2006年4月28-29日、北アイルランド、ベルファストのウォーターフロント・ホールで開催された2006年ヨーロピアン・ブラス・バンド選手権(2006 European Brass Band Championships)チャンピオンシップ部門は、各国からノミネートされた合計10バンドによって競われた。同部門のセット・ワーク(テスト・ピース/課題)は、イアン・ウィルスン(Ian Wilson)の『シースケープ・ウィズ・ハイ・クリフズ(Seascape with High Cliffs)』。

選手権は2日にわたって行われ、初日(4/28)、まずセット・ワークだけの演奏で首位にたったのが、100点満点中96点をゲットしたベルギーのブラス・バンド・ヴィレブルーク(指揮:フランス・ヴィオレット)。以下、2位は95点を獲得したスイスのブラス・バンド・フリブール(指揮:アルセーヌ・デュク)、3位は94点を獲得したウェールズのバイ・アズ・ユー・ヴュー・バンド(指揮:ドクター・ロバート・チャイルズ)、4位は93点を獲得したかつての王者、イングランドのYBSバンド(プロフェッサー・デーヴィッド・キング)、5位は92点にとどまったディフェンディング・チャンピオン、イングランドのブラック・ダイク・バンド(指揮:ドクター・ニコラス・チャイルズ)、6位は91点をあげたイングランドのレイランド・バンド(指揮:ラッセル・グレイ)という順位となった。

2日目(4/29)は、各バンドが自由に選んだオウン・チョイス(自由選択)曲の演奏日。上位バンドは前日の結果を覆さんと白熱のデッドヒートを繰り広げ、この日のトップはケネス・ダウニー(Kenneth Downie)の『ザ・プロミスド・ランド(The Promised Land)』で今大会最高の97点というハイスコアをたたきだしたバイ・アズ・ユー・ヴュー・バンド、2位はフィリップ・スパーク(Philip Sparke)の『宇宙の音楽(Music of the Spheres)』で96点をあげたブラス・バンド・フリブール、3位はピーター・グレイアム(Peter Graham)の『地底旅行(Journey of the Centre of the Earth)』で95点をあげたブラス・バンド・ヴィレブルーク、4位はヨハン・デメイ(Johan de Meij)の『エクストリーム・メイクオーバー(Extreme Makeover)』で94点をあげたブラック・ダイク・バンド、5位はジョン・ピッカード(John Pickard)の『エデン(Eden)』で91点をあげたレイランド・バンド、6位は同じく『エデン』を演奏しながら90点という結果に終わったYBSバンドだった。

以上の結果、セット・ワークとオウン・チョイスの合計ポイントが、上位3バンドが揃って191点という結果となったが、規定により、セット・ワークのポイントがもっとも上位だったブラス・バンド・ヴィレブルークが新しいヨーロッパ・チャンピオンに、ついでセット・ワークのポイントが高かったブラス・バンド・フリブールが2位に、セット・ワークのポイントが最も低かったバイ・アズ・ユー・ヴュー・バンドが3位となった。また、ディフェンディング・チャンピオンを含めて3バンドがノミネートされていたイングランド勢は揃って振るわず、この結果、2007年、イングランドのバーミンガムで開催される次回のヨーロッパ選手権には、今年7月に新しく開催されることになった全イングランド選手権(English National Brass Band Championships)の優勝バンドだけが唯一駒を進めることが可能となり、ブラス・バンド王国イングランドの関係者に少なからぬショックを与えることとなった。

その他、演奏レパートリーでは、10バンド中、スパークの『宇宙の音楽』、グレイアムの『地底旅行』をそれぞれ2バンドがオウン・チョイスに選曲しており、これら作品のヨーロッパでの人気の高さをうかがわせた。

『地底旅行 – Journey to the Centre of the Earth』  

 フランスの作家 ジュール・ヴェルヌ(1828-1905)は、『驚異の旅』として知られる小説シリーズを発表する中で、科学と冒険を融合する、独自の作風を確立した。1864年に刊行された『地底旅行』も、表面上は冒険物語の様を呈しているが、教育研究家のダイアナ・ミッチェルは、この小説に隠されたもう一つの主題を「“自分自身の深部に潜んでいるものと相対しそれを知ることで成長していく、人間の心の内面への旅物語”と読み取れる」と述べている。

物語は、オットー・リーデンブロック教授の甥であるアクセルが書き綴った日記、という形を取っている。二人は古文書の暗号に従ってアイスランドに渡り、そこで出会ったガイドのハンスと共に、死火山スネッフェルスの火口へ入り、地底への道を辿っていく。危険に満ちた冒険と間一髪の命拾いを繰り返し、ついにこの大胆不敵な探検家たちは、途方も無い地底世界に遭遇するのである。

本作品では、その小説に描かれているいくつかの場面が、ほぼ時系列に添って表現されている。曲は、闇夜のスネッフェルス山の頂きで物思いにふけるシーンから始まり、次に、探検家たちが大地の底へ向かって降下していく様子を描写する。旅の途中で彼らは、様々な地球深部の神秘(電気的に彩られた大空洞など)や、アクセルの悪夢(有り得るはずもない前史時代の怪物が争い合う様子を夢にみる)など、最後に地底から吹き上げられ地上への生還を果すまでの間、想像を絶する出来事に遭遇し続ける。

この小説及び音楽双方の中で、一番の見せ場となるシーンは、仲間とはぐれ独り地底で迷子になったアクセルの絶望の描写である。
そして彼は、音を伝えるという特殊な音響効果を持つ岩盤に囲まれた“ささやきの回廊”で、自分を呼ぶ仲間の声を聞いて、救出されるのである。

この『地底旅行』は、その物語を愛するリャンとメーガンの二人に捧げる。

Text:ピーター・グレイアム/訳:黒沢ひろみ

新しいブラスバンド選手権のテストピースは、フィリップ・スパークの 『ダンスとアレルヤ』に決定!

英国ブラス・バンド連盟(The British Federation of Brass Bands)は、今年(2006年)7月1日にソルフォードのザ・ロウリィ(The Lowry)に14バンドを集めて開催する新しいブラス・バンド選手権”全イングランド選手権(English National Championships”)のテストピースを、フィリップ・スパークの新作『ダンスとアレルヤ(Dances and Alleluias)』に決定したと発表した。

作品は、演奏時間およそ14分の単一楽章構成の音楽で、作曲者は『人の筋肉のようなデリカシーが試される』作品であると述べている。なお、選手権の優勝バンドは、来年(2007年)、バーミンガムのシンフォニーホールで行われるヨーロッパ選手権(2007 European Championships)への出場資格を得ることになる。

ヒートアップ!! ピーター・グレイアム : 『地底旅行』

ジュール・ベルヌの同名小説をもとに作曲されたピーター・グレイアムの注目作『地底旅行(Journey to the Centre of the Earth)』をテストピース(課題)として、現在(2006年3月)、イギリス各地で開催されているベッソン全英ブラス・バンド選手権(2006 Besson National Brass Band Championships of Great Britain)の”チャンピオンシップ部門”地区予選で、今年もっとも注目を集めたのが、3月5日、ブラッドフォードのセント・ジョージズ・ホールで開催されたヨークシャー地区予選だ。

 これは、ある音楽企業の買収をめぐってブラック・ダイク・バンドのプリンシパル・コルネット奏者ロジャー・ウェブスター(Roger Webster)がバンドを去り、それを受けてブラック・ダイクがグライムソープ・コリアリー・UKコール・バンドのリチャード・マーシャル(Richard Marshall)をプリンシパルに引き抜き、逆にプリンシパルが空席となってしまったグライムソープ(ウェブスターの弟がマネージャーをつとめる)ではなんとロジャー・ウェブスターに参加を求めるという、稀に見る電撃移籍劇が行われて以来はじめて両者がコンテストの場で相まみえる”全英”予選だったからで、加えて今年の地区予選テストピースが、昨年オランダで開催されたヨーロッパ・ブラス・バンド・コンテスト(2005 European Brass Band Contest)でブラック・ダイク(まだウェブスターがプリンシパルだった)がフリー・チョイス(自由選択曲)として初演して度肝をぬき、優勝をかっさらう結果となったグレイアムの『地底旅行』だった偶然も重なって人気も上々。

 結果は、当日の抽選の結果、ノミネート14バンド中、7番目にステージに上がったアラン・ウィズィントン指揮、グライムソープ・コリアリー・UKコール・バンドが200点満点中196ポイントをあげてトップ。この作品をもっともよく知るはずのニコラス・チャイルズ(博士)指揮、ブラック・ダイク・バンドは、わずか1ポイント及ばぬ195ポイントで第2位に終わった。以下、デーヴィッド・キング(教授)指揮、YBSバンドが193ポイントで第3位、デーヴィッド・ロバーツ指揮、ロスウェル・テンペランス・バンドが192ポイントで第4位となり、以上、4つのバンドが10月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催される決勝へと駒を進めることになった。ちなみに、ロンドンの決勝用テストピース(課題)は、今年夏に発表される。

 なお、ヨークシャー地区予選の<ベスト奏者(Best Instrumentalist)>には、ブラック・ダイクのユーフォニアム奏者デーヴィッド・ソーントン(David Thornton)が選ばれ、同じく<ソロイスト賞(Soloist Award)>は、グライムソープ・コリアリー・UKコールのロジャー・ウェブスターに贈られた。


【デーヴィッド・ソーントン関連のCD】David Thornton

■ユーフォニアム協奏曲「3つのストーリー、3つのワールド」
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0599/

【ロジャー・ウェブスター関連のCD】Roger Webster

■ウェブスター・チョイス
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457776/554952/
■パスポート~ミュージカル・ジャーニー
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457776/547783/
■ピーシズ~ロジャー・ウェブスター
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457776/562498/
■ブラック・ダイク・バンド150周年記念コンサート [DVD]
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9090/

広瀬勇人「ブレーメンの音楽隊」がノルトライン・ヴェストファーレン州吹奏楽コンクール2006の課題曲に!

現在、ベルギーに留学中の作曲家・広瀬勇人の「ブレーメンの音楽隊」が2006年、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州吹奏楽コンクール(Wertungsspiel Sundern 2006, Nordrheinwestfalen)の課題曲に選ばれた。

広瀬氏の吹奏楽作品がドイツの吹奏楽コンクール課題曲に選ばれるのは、昨年の「アメリカン・オーバーチャー」(バイエルン州)に続き、これが2回目。
日本人作曲家が海外で評価されるのって、なんかメチャうれしいですよね。今後の活躍がますます楽しみ!

2006年ノルトライン・ヴェストファーレン州吹奏楽コンクール
Wertungsspiel Sundern 2006, Nordrheinwestfalen HP>>>

その他の主な課題曲:
ヨハン・デ・メイ「ザ・ウィンド・イン・ザ・ウィロー」
トーマス・ドス「パワー・プレイ」
広瀬勇人「ブレーメンの音楽隊」、他

◎ノルトライン・ヴェストファーレン州(ドイツ):ドイツ北西部の州。デュッセルドルフ、ケルン、ボン等がその主な都市。

フィリップ・スパーク『宇宙の音楽』がNBAレヴェリ作曲コンテストで最優秀作品を受賞

アメリカのシカゴで開催されているミッドウェスト・クリニックからの速報。
現地時間15日夜(日本時間16日昼)、フィリップ・スパークの『宇宙の音楽』が、NBAレヴェリ作曲コンテスト(NBA/Revelli Composition Contest)において最優秀作品に選ばれたと発表された。スパークの作品がアメリカの作曲賞を受賞するのは、ABAオストウォルド賞を受賞した『ダンス・ムーブメント』以来。

■宇宙の音楽/フィリップ・スパーク
Music of the Spheres/Philip Sparke

【CD】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0831/

【楽譜】
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457699/656682/

【 宇宙の音楽」関連記事】

○ フィリップ・スパーク作曲『宇宙の音楽』世界初演
http://www.bandpower.net/report01/2005/07/07_omsb/07.htm