「グル新」カテゴリーアーカイブ

【コラム】富樫鉄火のグル新 第8回大河ドラマ入門

 第3回、第4回でNHK大河ドラマのことを書いたら、ドンピシャのタイミングで、『大河ドラマ入門』(小谷野敦、光文社新書)なる本が出た。

 さすがに博覧強記の文芸評論家・作家で、しかも自称「大河マニア」が書いただけあって、面白い。

 著者ならではの記述も続出で、「翌〇九年の『天地人』は驚きの原作である。いったい火坂雅志などという、直木賞候補になったこともない群小歴史作家の一人の著作が、なぜまた原作に指定されたのかと思う。これもどうやら、直江兼続をやると決めてから火坂に書かせたようだが、まるで重みのない、軽い小説である」と、痛快なまでに手厳しい。

 ドラマ内容だけでなく、音楽のほうもちゃんとおさえてあって、サントラ盤のない時代には、ラジカセでテーマ音楽を録音していたというほどのマニアだったそうだ。第三章として「大河ドラマの音楽」なる項もちゃんと設けられている。

 ところが、同章中に掲げられた「大河ドラマ主題曲 作曲者一覧」なる表(P135)は、間違いだらけ。作曲者名と作品名が、途中から一段ずれてしまっているし、人名のルビの位置もメチャクチャだ。

 小谷野氏ほどの書き手が、このような間違った表を作成するとは考えられないので、おそらく編集部によるDTP作業上の責任だと思われるが、よくこれほどのミスが気づかれずに校了になったものだ。せっかくの面白い本が、これでは台なしで残念だ(もしかしたら、ほかにもこの種のミスがあるかもしれない)。

 ただ、こういったミスを除けば、実に面白い本なので、大河ドラマのファンは、ぜひご一読いただきたい(これほど間違いだらけの表が堂々と掲載された本も珍しいので、その意味でも、初版で入手してご覧になることをお薦めします)。

※本稿は、同書の初版(2010年1月20日初版)に基づいています。

■大河ドラマ入門(小谷野敦、光文社新書)
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334035464

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。

【コラム】富樫鉄火のグル新 第7回スピード演奏

 1月11日(月・祝)、東京・渋谷のオーチャードホールで「渋谷ブラスフェスタ」なるコンサートが開催された。東京フィルの管打楽器奏者によって結成された「東フィル・ウインド・オーケストラ」のお披露目公演でもあった。最後は、真島俊夫作曲の新作≪ニュー・イヤー・マーチ≫を、楽器持参の来場者と合同演奏し、たいへんな盛り上がりだった。

 ところで、この日は、いくつか、吹奏楽オリジナルの名曲も演奏されたのだが、最初の2曲、≪アルヴァマー序曲≫(バーンズ)と、≪エル・カミーノ・レアル≫(リード)が、ものすごいスピード演奏で驚いた(渡辺一正指揮)。しかし、まったく乱れることなくキッチリ演奏していたのは、さすがでした。

 最近、プロ・バンドによる、この種のオリジナル名曲の演奏、どこもスピード演奏が多くなっていると思いませんか。佐渡裕指揮=シエナ・ウインド・オーケストラの≪高度な技術への指標≫(河辺公一)なんか、まるでF1なみの快速テンポだった。

 「スピード演奏」で忘れられないのは、1978年、イーストマン・ウインド・アンサンブルの来日公演における≪秋空に≫(上岡洋一)。当時私は大学生だったが、それまで耳にしていたより、ずっと速いテンポで演奏され、「なるほど、同じ曲でもテンポを変えると、ずいぶんちがった印象になるもんだな」と思った記憶がある。以後、この曲は速めに演奏されることが多くなったものだ。

 こういったスピード演奏を聴くたびに、昔ながらのじっくり・どっしり演奏を懐かしく感じるのは、私がオジサンだからでしょうか。

 ちなみに「渋谷ブラスフェスタ」のプログラムに、天野正道氏(作曲家)が寄稿した解説によれば、かつて来日したバーンズ氏は、自作の≪アルヴァマー序曲≫を聴いて、「皆、なんでこんなに速く演奏するのだ? これでは後半のシカケがわからなくなる」と言っていたそうだ。

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。

【コラム】富樫鉄火のグル新 第6回お尻の痛みを軽減する方法

 コンクールやアンコンでは、普門館や府中の森芸術劇場に、まる一日座りっぱなしになる。文京シビックでなくとも、どうしたって、お尻が痛くなる。

 まる一日座ってそれらを聴くようなひとは、あまりいないだろうけど、2時間も座っていると、ほとんどのひとは、お尻が痛くなるはずだ。ワーグナーの長いオペラなんか決死の覚悟だ。昨年秋の新国立劇場、シェイクスピアの『ヘンリー六世』なんか、全三部通し上演は10時間! みなさん、大丈夫だったんでしょうか(さすがに私は分割上演で観た)。

 この、お尻が痛くなるのを軽減する方法、ご存知ですか。

 足のつま先を、手前に引くようにして、ふくらはぎを伸ばすのだ。たとえば、靴を脱いで、その上に、つま先部分を乗せる。そうすると、ふくらはぎが伸びて、血行がよくなり、下半身全体に血がめぐる。お尻が痛くなるのは、押しつぶされて血行が悪くなるからで、ほんの少しでも血がかよえば、お尻の痛みも少なくなる。

 どれくらいいるのか不明だが、コンクールやアンコンをまる一日聴くような方は、ぜひお試しあれ!

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。

【コラム】富樫鉄火のグル新 第5回文京シビックの椅子

 今年の吹奏楽聴き初めは、1月9日(土)、東京・文京シビックホールにおける、東京隆生吹奏楽団と豊島区吹奏楽団のジョイント・コンサートだった。私は豊島区民なので、昔から豊島区吹のファンなのだ。なかなか楽しいコンサートだった(畠田先生の歌声も聴けたし!)。

 ところで、文京シビックの客席の椅子、あれ、みなさん、座りやすいですか?

 あの椅子は、お尻を乗せる部分が、真ん中から折れて、2枚の割れた板でできているような感じだ。ちょうど、割れ目の部分に、お尻をはめこむようにして座る。たぶん、人間工学か何かで、このほうがラクだとの判断で、ああいう形になったのだと思うけど、私など、どうにもおさまわりが悪くて、次第に、お尻が痛くなってくる。再春館製薬に電話して「痛散湯」を注文したくなる。

 これ、私の年齢のせいなんでしょうか。それとも、若い方々は、あのほうがラクなんでしょうか。

 日本管楽合奏コンテストのときなど、朝から10時間近く座りっぱなしだが、夕方になると、なんとも耐え難くなってくる。

 まあ、それほど長い時間、座ることは想定されていないだろうけど、もしかしたら、あの椅子は、海外で開発された、ヒップの巨大な欧米人向けなんじゃないだろうか。

 そういえば、あのホールは、私の子供のころは「文京公会堂」で、毎週土曜日夜、「8時だョ!全員集合」が公開ナマ中継される会場だった。いま、そのホールで、お尻をモジモジさせながら吹奏楽を聴くことになるとは、夢にも思いませんでしたよ。

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。

【コラム】富樫鉄火のグル新 第4回大河ドラマ『龍馬伝』余話

 前回、『龍馬伝』の音楽について書いたので、余話を。

『龍馬伝』のタイトル・ロゴの筆文字
http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/image/090827ryo01.jpg 
を「カッコいい」と感じている若いひとが多いらしい。

 あの文字を書いたのは書家・紫舟(ししゅう)。スズキ「アルト」のTVCFでご存じ、たいへんな美女である。私は観たことないのだが、浜崎あゆみのミュージック・フィルムのタイトル文字なども書いているそうだ。単なる「書家」というよりは、「文字」を、「絵画」の感覚で表現するといった作家だ。

 紫舟のサイト http://www.e-sisyu.com/ へ行って、その作風を知ってほしい。彼女だったら、以下の曲名をどんなふうに書くだろうか。想像すると、けっこう、楽しいよ。

   海

   風紋

   萬歳楽

   おほなゐ

   深層の祭

   饗応夫人

   躍動する魂

   科戸の鵲巣

   紅蓮の斜陽

   鳳凰が舞う

   うちなーのてぃだ

   中国の不思議な役人

   大阪俗謡による幻想曲

   この地球を神と崇める

   ……そしてどこにも山の姿はない

   春になって王たちが戦いに出るにおよんで

 どこかのレコード会社さん、CDジャケで実現させてくれませんか(それにしても吹奏楽の曲名は凝ってるねえ)。

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。