「グル新」カテゴリーアーカイブ

【コラム】富樫鉄火のグル新 第177回 映画『東京ウィンドオーケストラ』

最近は吹奏楽を題材にした映画や漫画、小説が目白押しで、いささか辟易としているのだが、この『東京ウィンドオーケストラ』(坂下雄一郎監督・脚本)は、少々変わった味わいの映画なので、ご紹介しておきたい。

鹿児島・屋久島の役場につとめる樋口詩織(中西美帆)は、地味な島の生活しにしらけきっている。
そんな彼女が、東京から、一流の吹奏楽団「東京ウインドオーケストラ」を招聘するコンサートを担当させられる。
だが彼女が呼んだのは、下町のカルチャーセンターで結成されたばかりの、10人の初級バンド「東京ウィンドオーケストラ」だった(「イ」が拗音)。
10人は半ば観光気分で島に着くが、やがて自分たちが一流バンドと間違えられていることに気づく。
もちろん詩織も気づくのだが、なんとか、このまま本物だとだまして公演を乗り切ろうとし……。
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【コラム】富樫鉄火のグル新 第176回 紅白雑感

「そんなに面白くないなら、観なけりゃいいじゃないか」といわれそうだが、書くこと自体は面白いので、今年も、紅白歌合戦の雑感を書く。

いまや紅白は「歌合戦」ではなく、低級なヴァラエティ番組に堕している事はいうまでもないが、それにしても、なぜ、ああまで「組み合わせ」にこだわるのだろうか。

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第175回 カレル・フサ死去

作曲家、カレル・フサが亡くなった(12月15日、行年95)。
思いつくままに、周縁をつづってみる。

カレル・フサは、1921年、旧チェコスロバキアのプラハに生まれ、プラハ音楽院やパリ音楽院に学び、1950年代にアメリカにわたった。
以後、ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学教授などをつとめながら、作曲活動をつづけた。

わたしが好きだったのはバレエ音楽《トロイアの女たち》(1980)で、ステージは観ていないのだが、物語の流れが目に浮かぶような構成だった。
エウリピデスの原案戯曲を知っていると、何倍も楽しめる音楽だった。
また、ピュリッツァー賞を受賞し、アメリカで作曲家としての地位を確立した弦楽四重奏曲第3番(1969)や、交響曲第2番《リフレクションズ》(1982~83)なども面白く聴ていた。

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第174回 《イギリス民謡組曲》

11月23日の、東京佼成ウインドオーケストラ、第131回定期演奏会(藤岡幸夫指揮、東京芸術劇場。翌24日には同一内容で第1回大阪定期演奏会)のプログラムに楽曲解説を書かせていただいた。
その中で、ヴォーン・ウィリアムズの《イギリス民謡組曲》の第2楽章について、こう書いた。

第2楽章 間奏曲<私の素敵な人> 表題曲と<グリーン・ブッシュ>の2曲で構成されている。前半のソロは、スコアでは「コルネットかオーボエで」と記されており、自由に選択できるようになっている(フェネルはオーボエを使用した。本日は?)。

これについて、「選択ではなく、2本のユニゾンではないのか」とのご指摘をいただいた。
なぜこんな解説を書いたかというと、フレデリック・フェネルの著書『ベーシック・バンド・レパートリー フレデリック・フェネルの実践的アナリューゼ』(フレデリック・フェネル著、秋山紀夫訳/佼成出版社、1985年9月初版)の中に、こういう記述があったからだ。

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第173回 書評『クレージーマンガ』(クリ・ヨウジ)

驚くべき「漫画」本が出た。88歳のアニメーター、久里洋二(本書では「クリ・ヨウジ」)が、500頁を描き下ろしたのだ。

久里といえば、たった十数枚の原画による『人間動物園』が海外の映画祭で11冠を獲得している、日本の「アニメ神」である(いま見ても、これが昭和37年の作とは信じられない!)。

久里の全盛期の作品には、武満徹、一柳慧、林光、冨田勲、オノ・ヨーコなど、錚々たる顔ぶれが音楽を寄せている。

冨田などは、名盤『月の光』発表の2年前に、すでに久里のアニメにシンセサイザー音楽を付けている。

そのほか、TV「ひょっこりひょうたん島」オープニングや、NHK「みんなのうた」でも大量の音楽アニメを発表しており、「アニメは音楽で決まる」と早くから公言していた。

森高千里≪ザ・ミーハー≫のPVアニメも、久里である。

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