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Q:自分以外の楽器の音を聴こうとすると、音が小さいと先生に言われてしまいます。また、表情をつけようとすると「音の中で強弱をつけるな」と言われてしまったり… どうすればよいのでしょうか?(中学生・男)

A7:音を合わせる時は、誰(どの楽器)の音を聴きますか?

 前期の活動が終わって、幹部も交替したところも多いかと思います。今まで部を献身的にまとめてくれた学年の人、ありがとう。そしてお疲れさま。これから新しくまとめていく学年の人、あせらずゆっくりと前に進んで下さい。

 さて、お答えですが、自分以外の楽器の音を聴こうとすることは、とても良いことです。相手の音を聴こうとすると、一番近くで聴こえる音、そう自分の音が少し大きく感じますよね。ですから少し小さく吹いてしまうのだと思います。先生の位置できちんと聴こえるように、指示にしたがって音量を調整してみてください。

音を合わせる時は、誰(どの楽器)の音を聴きますか?
1) 隣の人、前の人、横の人をまず聴く
2) ユニゾンを合わせる。必ず「音程、音色、音量」の3つのことを統一する
3) 自分の音のオクターブ下の音に合わせる。音量は自分の方が小さく
4) ハーモニーの時は、基音なのか第5音なのか第3音なのかにより、音量を調節して「響き」の中で合わせる。

 楽器のベルの向きなどによっても違ってきますので、指揮者の指示のより音量を調整し、自分でこのくらいの息の量を楽器に入れるとOKか経験を積んで下さい。

 もう1つの質問。こちらも「表情をつけようとすること」は素晴らしいことです。
1つの音には「アタック、コア、リリース」と3つの部分があります。ですから、あまり一音の中で強弱はつけないほうがいいでしょう。この3つのニュアンスにより、その音1つ1つの表現ができます。しかし、3つは必ず関連性がありますので、テンポ、音符の長さ、アティキュレーションがどの様についているかにより、その時のベストで演奏します。また、フレーズがどの様になっているかにより、音と音の推移を考えてみるとよいと思います。
では、息を充分支えて1つ1つの音を演奏してください。

回答:五十嵐 清

Q: 活動を楽しくするために、レベルの向上指導についてどこから始めたらよいか?(女子高の顧問の先生・女性から)

A: どんな小さな演奏会でもいいので、開催してみてください。

 一所懸命活動していると、誰かに聞いて欲しくなる。「発表したい」という気持ちが先ずレベルの向上になると思います。ですから、どんな小さな演奏会でもいいので、開催してみてください。

 技術的には、1人ひとりがきちんと楽器が吹けると良いのですが、個人差があると思います。そこできちんと吹ける生徒さんを各パートで養成してみて下さい。やる気のある人なら今技術的にできていなくてもOKです。パートのリーダー的存在の生徒を養成し、先生と話す機会を増やしてみて下さい。
先生は会議や生徒指導など部活の面倒をみることができない時が多いと思います。きっとこのリーダー達がプラスになると思います。

 もう1つは、合奏を楽しくする。 好きな曲をただ演奏するのでなく、響きやメロディーの歌い方などを深く探ってみる。先生の学校は賛美歌で響きは養われていると思うので、歌で探って楽器で奏でる様にしてみてはどうでしょうか?
今の先生のご自分の学校をどうにかしたいという気持がとても大切ですし、素晴らしいことと思います。

回答:五十嵐 清

Q: 管楽器の音が濁って響かない。力んでしまって音が汚い。必死で頑張っている、良く練習しているのはわかるのですが…

A: 大切なのは「息」です。

●音が濁る→
原因は「音程の違い」「息のスピードの違い」「発音の違い」などが考えられます。声やハミングで歌ってから演奏してみて下さい。また、口の中の広げ容量を増やして、倍音をより多くして下さい。そして、オクターブ関係の音程感をきちんと合わせて下さい。

●メロディーが聴こえない→
今ここのフレーズで一番大切なの誰(どの楽器)? 一度に大勢が大声で話してしまったら、どうでしょうか?ということを奏者にも考えさせてみて下さい。同じメロディーでも、ここはFlを出したい!など、はっきりした考えを奏者に伝えて下さい。また、アーティキュレーションをより明確にして下さい。

●力んでしまう→
「f」は遠くに広がっていくイメージで、自分の演奏している音も他のメンバーの音も、どちらも聴こえるようにする。「p」は一本の糸が遠くの一点に届くようなイメージで、連続して息を出していく。自分の音とメンバーのどちらも息の支えとスピードを注意しなければなりません。

 大切なのは「息」です。
(芸能人は「歯が命」、私達(吹奏楽人?)は「息が命」 ちょっと古い!)

 息をどの様に支え、どの様なスピードで吹き込むかということが大切です。テクニックを駆使して曲を演奏するのではなく、こういう演奏(音楽)を奏でたいので、こういうテクニックを使う、ということが大切です。

回答:五十嵐 清

Q: ホール練習をしたところ、とてもバランスが悪く、聞き苦しいものでした。打楽器が出すぎているのですが、抑えると管楽器が不安になってしまい、一概に「おとせ」とは言えない。(質問:三重県の中学校の先生)

A: 打楽器はどの管楽器と一緒に演奏しているかを把握してみて下さい。そして、同じリズムを演奏していたら、その楽器より大きく出さないことです。
 常に、誰かと一緒に演奏させてもらっている。支えに徹する (人間体で「骨」の役割です。体を支えるため、強く太くしかし<見えない!>。もし事故で骨が露出してしまったら、気持ちが悪い!)。
 叩くというより、リズムやビートをはっきりとさせる。腕の重みを感じられるようにテクニックを使う。という考えにして欲しいと思います。

回答:五十嵐 清

Q3: 母校のパート練習や分奏を指導することになりました。初めてのことなので、ポイントを教えて下さい。

A3: 合奏は音楽作りをする場であり、その前に個人練習・パート練習や分奏を通して、合奏への準備を怠らないようにしなければなりません。

 奏者としては、経験があるのですが、指導となると不安があるようですね。
では、次にある項目をチェックしてみて下さい。一度に多くのことは出来ません。今回の指導は、「音」と「リズム」を中心に指導するなど、余り欲張りすぎずに確実に指導してみて下さい。しかし、「基礎」は毎回チェックして下さい。
合奏の日程を早く把握して、逆算して個人、パート、分奏のスケジュールを一週間単位で設定してみて下さい。

【個人練習・パート練習・分奏でのチェック・ポイント】

0.基礎
姿勢は良いか?
息を充分使っているか?
アンブッシャーは正しいか?
楽器の調子はよいか?
体の調子はよいか?

1.音
音色は良いか?
音程は正しいか?
音符の読み違いはないか?
音符の形・長さ(アタック コア リリース)は正しいか?
タンギング・アタック(発音)は正しいか?
音量は正しいか?

2.リズム
テンポは指揮者の指示どおりか?
リズムは正しいか?
拍子感があるか?

3.技術
譜面に指示されているダイナミックスがつけられているか?
アーティキュレーションは正しいか?
ブレッシングとフレージングは正しいか?

基本をしっかり身につけることは大変ですが、このことが上達の一番の早道です。そして、合奏を短時間で仕上げていくポイントでもあります。

そのために、
1)あきらめない(とにかく根気強く。自分との戦い)
2)あせらない(ゆっくり丁寧に確実に)
3)音楽のための練習であると自覚する
ことを後輩に教えてあげて下さい。

きっと素晴らしい音楽が奏でられるでしょう。

回答:五十嵐 清

Q2: 学生指揮者に必要なことは何ですか?

Q2: 学生指揮者に必要なことは何ですか? うちの学校は中高一貫で、部活もそれに伴って中高男女がすべて一緒に活動しています。人数も多く、今では130人ぐらいの大所帯になっています。
実は、今年度から僕が学生指揮者をやる事になりました。学生指揮者は入部した時からのあこがれの役職で、それに就けるというのはとても嬉しくやる気もあるのですが、今、とても悩んでいるんです。
僕は音楽というのは、指揮者と演奏者の関係がうまく行ってこそ成り立つと思うんですが、みんなから好かれる指揮者というのは、どういうモノなのでしょうか。
学生であり一部員である以上、他の部員との仲も険悪になりたくない。
しかし、指揮者としての多少の威厳も保ちたい。僕は部員に「先輩の合奏は楽しいし、やる気が出ます!」なんて言われるような学生指揮者になりたいんです。
そうするためには合奏の時の態度や日ごろの態度などは、どんな事に気をつけたらいいのですか? ぜひ何か良いアドバイスをください。


A2: 音楽面ではしっかりした基礎と準備。精神面では相手の立場も考えた言葉選びと自分自身のしっかりした考え方が大切です。

音楽は、指揮者と奏者との信頼関係が大切ですね。

■まず、テクニック面

楽曲を充分研究しよう。
表題、作者、時代、テーマ、テンポ、拍子、フレーズなど楽譜を充分読みとって研究してから、奏者の前に立とう。
初めは、テンポ、アインザッツ、ブレス、ピッチなど基礎的なことを統一していく、トレーナー的な存在になろう。
一拍目をしっかり、わかりやすく振ろう。
曲全体の構成をしっかり把握して、部分の練習をしよう。
チューニングは合奏体型では手短に。
パートのリーダーに各々のパートのチューニングを任せて合奏の前に合わせてもらっておこう。合奏体型で一人20秒かけたとして、全体では2600秒(43分)もかかってしまう。そうなると、初めに合わせた人は音程がきっと合わなくなっているし、なによりあき時間が多くなると退屈で集中力がなくなるからです。
指示ははっきりと、具体的に。
曲を止めたときは、それなりの理由があるはず。それをきちんとコメントをすることが大切です。
歌ってみよう。
歌うことでフレーズやピッチなどが確認できる。
楽器を吹く前に、自分(奏者)はどのように感じて、楽器に息を吹き込んでいるかを確認する。
スコアに目を向けるのでなく、奏者(バンド)をみて。
目線は指揮者にとって大切な意志伝達方法と信頼関係を結ぶ手法なのです。

■次にメンタル面

あくまで自分の範囲でコメントする。先生より背伸びをしない。
(研究は怠らないように。知ったかぶりは禁物)
言葉を選ぶ。相手を傷つけるような言葉は禁物。
「そんなのが出来ないの? 君には無理かな」…これはダメ 。
<3回やっても出来ないのなら、10回やってみよう。君は絶対にできるよ>…これがマル。
「ピッチ悪い!」→<ピッチ気をつけて、もうちょっとこうすれば良くなるよ>
合奏中は指揮者と奏者の関係で、立場上いろいろ言うけれど、より良い音楽を一緒に創りたいので、よろしくね。などと初めに言っておく。
たまに、指揮者としての悩み(テクニック面でなくメンタル面で)を皆に言う。あまり肩を張らずに、近い存在であること(テクニック面をしっかり押えれば威厳はあるよ)

回答:五十嵐 清

Q1: 曲の最後における指揮のきり方はどうやればいいの?

A1: 曲の終わり方には色々なパターンがあるので、その代表的な終わり方を紹介しましょう。

まず、1つ目は Cresc. して終わる。

 左手を上向きにして ニュートラルの位置より胸~肩~目 の高さまで、ひじより先を自分の身体より離していく。
その後、曲により肩より動かす(腕(うで)全体を始めから動かすと力感がなくなる)。
このとき 右手は自分の身体の中央で胸ぐらいの高さで小さくテンポを振るか、打点を指してから裏拍の位置で緊張させてから力を抜く。
終わりは左、右、両手で示し、左手は握ると良いと思います。
上半身も伸びていくと良いと思います。

次は、スパッと切って終わる。

 この場合は、あまり余韻をつけないということですね。
左手より 右手を使い、切りたいタイミングで小さくはね上げをする。
f のときはdownを深くはね上げ小(原本は○の中に小の字)。
pのときはdownを浅くはね上げ小(原本は○の中に小の字)。
その後 右手をすぐ止める。
このとき、左手、身体も止め 緊張させる。
右手は 何かを すばやく「つまむ」という イメージです。

次は、余韻を残して終わる。

 「スパッと切って終わる」場合とは逆に、はね上げを大きくする。
そしてやや円を描くように右手をまわして止める。
このとき、左手も身体もリラックスしてバネのようにして肩からひじ、手首と重心を移動させて最後は棒の先に伝わるようにする。
上体は胸を張って、顔はあまり下向きにならないようにして下さい。 ひじは身体から離れることになると思います。

そして、消えるように終わるパターン。

 左手も右手も胸より下の位置にし、手のひらを下向き(完全に下ではなく)自分の胸に「引き寄せる」ように腕を移動させる。
最後に「両手を合わせる」イメージにし、指先だけで音を切る。
身体はやや丸め 肩を張らない(しかし、肩を落とすことはしない)自然体で!
フィニッシュは口元に軽く手を運ぶと、気持ちを奏者にうまく語りかけられるでしょう
静止後しばらく動かないようにしてみて下さい。

「文字」にして 説明することは とても難しいですね。イメージが伝わるか? 内容が理解できるか 不安です。

回答:五十嵐 清

東京佼成ウインドオーケストラのクラリネット・パートに、松生知子(まついけともこ)が新団員として加入

東京佼成ウインドオーケストラのクラリネット・パートに、松生知子(まついけともこ)が新団員として加わりました! 担当はE♭クラリネット。

昭和音楽大学、同大学専攻科卒業。
大学卒業時に特別賞、
専攻科卒業時に学長賞 受賞
第73回読売新人演奏会出演
第21回ヤマハ新人演奏会出演
第1回東京音楽コンクール入選

これまでに小倉真澄、関口仁、Walter Boeykens の各氏に師事。

応援よろしくです!

詳細は公式ホームページを>>>>http://www.tkwo.jp/

「天野正道 meets SEGA」 レコーディング終了 発売は4月23日

同じアルバムの中に吹奏楽ヴァージョンと
オリジナル・オケ・ヴァージョンを同時収録

 3月30、31日の2日間にわたって「天野正道 meets SEGA」(発売元:ウェーブマスター)のレコーディングが尚美バリオホールで行われた。

 このアルバムは、これまで天野正道氏が参加した「セガ」のゲームおよび映画音楽の中からベスト曲をチョイス、天野氏自身が吹奏楽ヴァージョンとして新アレンジをほどこしたもので、制作発表と同時に、吹奏楽ファンとゲーム・ファンの両方から熱い視線を浴びている注目作だ。

 今回、演奏を担当したのは尚美ウインドオーケストラ。収録された4曲は、いずれも演奏会用のレパートリーとしてはもちろん、コンクール自由曲としても大活躍できるよう、絶妙のアレンジが施されているので、お楽しみに!

 収録された吹奏楽ヴァージョンは、以下の通り。
指揮は1と4が佐藤正人、2と3が天野正道。

1. セイブ・ディス・ワールド
SAVE THIS WORLD (ファンタシースター ユニバースより)

2. 交響組曲「MK2」より/作曲:天野正道
(劇場版 甲虫王者ムシキング スーパーバトルムービー~闇の改造甲虫~より)

3. 「ファンタシースター ユニバース」より3つの断章 (小編成対応)
(ファンタシースター ユニバースより)

4. 「MK」セレクション
(劇場版 甲虫王者ムシキング グレイテストチャンピオンへの道 より)
~ロード・トゥー・グレイティスト・チャンピオン~

 なお、このアルバムには、ポーランド国立ワルシャワフィルをはじめ、ハリウッドの超一流アーティストが演奏した上記4曲のオリジナル音源(オーケストラ)も同時収録。吹奏楽とオーケストラ、それぞれの魅力がたっぷりと楽しめるようになっている。発売は4月23日。

 なお、このCDに関しての詳細などは、下記、「天野正道 meets SEGA 制作ブログ」で読むことができる。

天野正道 meets SEGA 制作ブログ http://ameblo.jp/blogams/


■天野正道 meets SEGA
~ベスト&吹奏楽ヴァージョン~【管弦楽、吹奏楽】

メーカー品番:WWCE-31178
価格 2,500円(税込)

http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1482/


第100回定期演奏会を迎えた佼成ウインド!その舞台裏を探る。~秋山和慶氏と北爪道夫氏に聞く~

 

 1960年創団以来、常に我が国の吹奏楽界をリードしてきた東京佼成ウインド・オーケストラ。新しい響きを求め続け第100回定期演奏会を迎えた。

“from one to infinity”と名打った記念すべき100回目を迎えるTKWO定期演奏会。この演奏会では、佼成ウインドがこれまでに委嘱してきた作品群から、選りすぐりの曲を再演することで、これまでの足跡を振り返ると共に、北爪道夫の新作「雲の変容」を世界初演し、無限に広がるであろう吹奏楽の未来を展望した。満員の聴衆で埋まったホールは、過去にコンビを組んで多くの名演[注1]を残した秋山和慶。秋山の知的かつ精緻な音楽性がTKWOと融合して、壮大で新しい世界を切り開いた。

記念コンサートということで、リハーサルからゲネプロ、さらに終演後の打ち上げまでお付き合いをし、このジャンルのトップを走るプロ・バンドを余すところなく堪能させていただいたが、とくに今回の指揮者”秋山効果”がいたるところで発揮されており、ライブとして超一流の技を見せつけられた感がある。
指揮者、作曲者のおふたりにお話を伺った。

[注1]=記念コンサートに起用された秋山の佼成との付き合いは意外に古く、初期の定期演奏会(早くも第4回定期に登場)、また1979年から84年にかけて都合8枚の「東京佼成ウインド・オーケストラ・オリジナル・シリーズ」と名を打ったLPを制作している(これは後に6枚のCDとして再発売)。

■指揮者、秋山和慶氏に聞く

▲熱く語る秋山和慶氏(09.2.17)

-佼成との記念定期について

 「25年位前にはずっとお付き合いがありましたが、僕が外国に行っていた期間ご無沙汰でした。しかし、どういう訳か今回100回ということで声がかかりまして、何か古巣に帰ったようで嬉しいですね。東京佼成ウインド・オーケストラの熱心で、真摯な音楽創りには敬意を表します。また100回を数える定期演奏会の指揮者に選ばれたことはとても光栄に思います」

-記念コンサートの選曲について

「これは、佼成さんの方が新作を含む委嘱作品を構成したようです。この団体の歴史を知るという意味でも大変興味深いプログラムですね」

-佼成ウインドについて

「前の時とは時間が経ちましたからずいぶん若返っているように感じました。しかし、全員で音楽を創るという前向きさは今も昔も変わりません。ともするとプロ・オケなどでは”練習、早く終わろう”ということや演奏が出来ていないのに”なんで何度も繰り返し演奏させるんだ”みたいな意見がでることもあります。佼成さんは30年前と変わらず、上手くいかなければ”もう1度やってください”といった良い意識が継承されています。

-コンサートの聴きどころは?

「やはりウインド・オーケストラなので、管楽器の色彩豊かな響きを存分に楽しんで欲しいと思います。また北爪道夫先生の新作も非常に複雑なからみで書かれています。そのサウンドがどのようにホールに響くかということも聴きどころと言えるでしょう」

-吹奏楽を指揮して

「僕はもともとピアノ弾きでしたが、学生時代はホルンを演奏してもちろん吹奏楽も経験していますから、あの響きがやはり好きなんですよね。ということでチャンスがあれば吹奏楽は指揮したいと思っています。最近ではオーケストラでも吹奏楽の曲を演奏する機会が増えました。これからはそういった企画もどんどんやっていきたいと思っています」

-オケと吹奏楽の音楽作りについて

「オケも吹奏楽も作曲ではなく演奏面だとほとんど同じだと思っています。もちろん弦楽器がないということは大きいと思いますが…。例えば演奏する時のバランスですが、それはオーケストラでも難しいことです。リムスキー=コルサコフやR.シュトラウスのようにオーケストレーションが上手い作曲家のものはそのままやれば良いのですが、ベートーヴェン、ブラームス、シューマンなどは細かくバランスを作ってあげなければなりません。つまり指揮者・指導者は演奏をして今響いている音に対して常に理想的なバランスをとるということです。そういった練習、本番の積み重ね、長い経験を通してプレーヤーも育っていかなければいけませんね。これは時間のかかることです」

-先生からみた吹奏楽とは?

「コンクールはとても大切な要素があるのですが、それが最終目的になってしまうといけませんね。音楽とは幅の広いものですから練習した通りを演奏するのではなく、本番でどう動けるか、ということが非常に大切だと思います。ステージで鳴っている音は常に生きているのですから。また、吹奏楽の良い作品を増やすためには、作曲家の人たちが興味をもってくれる演奏を、そして誠意をもってくれる演奏とは何なのか、ということをもう一度考えなければいけません」

-指揮者、秋山和慶の今後の目標は?

「とくに今までと変わりはありませんが東京交響楽団と40年間やってきて、今は広島、九州とも同時にやっています。近年は地方のオケも大変力をつけて非常に面白い状態になっています。聴衆も大変増えています。今後はこれらを主体に日本の音楽をしっかりと育てていきたいと思っています」

-ありがとうございました。先生の今後の活躍を楽しみにしています


■委嘱作品「雲の変容」(世界初演)について      作曲家:北爪道夫

▲委嘱作について熱く語る北爪道夫氏

-完成おめでとうございます。

「いつもながら仕上がりが遅くってね(笑)。目に少々異常がおきて、五線が十本に見えていました。バンド維新から続いたのでストレスでしょうか。さて、今回の作品を書いていて感じたのは”バンドって難しい”ということでしょうか。難しいことはプロの佼成さんがやっても難しいっていうか、シンプルなことがまた難しいんですよね」

-今回の委嘱作「雲の変容」の狙い

「これからの”吹奏楽のありかた”についてでしょうか。これは言葉にするのは簡単ですが、それを音にするのは至難の業です」

-合奏の後、奏者と熱心に話し合っていますね

「いろいろバランスのとり方とか大変で、曲の形が見えてくると少し楽になります。吹奏楽は狙いを絞って演奏しないと、オーケストラよりも種々雑多なものになってしまう。しっかりとコントロールしていかないと放し飼いでは飽和状態になるでしょう。ライオンやトラを放牧しているようでは困ります。そうなるとネズミなんかは逃げまくるしかないし、ネズミの存在もわからないみたいになりやすいから。しかし、佼成ウインドさんなら大丈夫だと思っていたんですが、練習の初日ではやはり吹奏楽の体質は難しいっていうことを感じました」

-吹奏楽は、オケの管楽器の感覚とは違いますか

「弦楽器的な感性というのが音楽にどれだけ重要な位置を占めということを痛感しました。ウインドの人たちも言っていますね。でも、次の作品は吹奏楽のもっと不得意なことばかりで書いてやろうと思っているんです。最高メッゾ・ピアノくらいまでで、フォルテ以上のエリアは2割くらいしかない、みたいなね。テュッティであえてピアニッシモでちゃんと溶ける音を研究して。今回の作品のおまけに続編を書こうと思っています。ただ、演奏者や現場的には”なんだよう!”みたいなことになると思うけれど。そういった曲をもっと増やさないとこなれないでしょう。コンクール向けのひとつのパターンばかりではなくね。そういった作品を選らばざるをえないような世の中にしたいですね。そのような曲の良さは作品数が少ないとなかなか理解できないんです。現在の状況は”必要性、可能性があるのはわかるんだけど”このあたりまではいっていますよね。だからこういった曲が増えていけば、そのような作品の造り方、演奏テクニックも進化していくと思います。だから今後は曲の体質のパーセンテージを少し変化させていきたい。まぁ、吹き鳴らすことが悪いとは言わないのですが…」

-新作について

「この作品はしっかりと鳴らすところも多いのだけれども、不協和状態が突然に協和状態になる、とかが強調されないと意味がない。またカノンの部分では金管がバリバリとカノンを吹くんだけれども、バランスがオケと違うのか難しい。演奏面でも少し考えて欲しいところもあります」

-この曲の聴きどころは?

「ずばり、この作品は音質(トーンカラー)でしょうか。タイトル通り”雲”なんですね。つまり多層ですよね、今あったはずの雲がもう変化していく、といったものが欲しかったのです。和音みたいに見えるけれどそれは違っていて、次に響きの塊が奥にいる、また手前のものがいなくなるとその塊が見えてくるとか。そんなことばかり考えていました。響きの一番薄い部分、快晴ではなくて薄曇りの雲の層を打楽器とハープが帯のようにもっているんだけれど、そこに日が差してくるといった表現なんかは、ウインドで表現するってのがいかに難しいか、思い知っています」

-本番を前に今の心境は?

「先ほども言いましたが、徹底した曲をまたもう1曲書こうと思っています。定番ではないものがもっとあって良いでしょう。しかし、今の作曲家はみんな上手いですよね。人気のある作品は美味しいところと辛いところの組み合わせがしっかりしている。そういったパターン、役割を意識しない作曲家は、この世界を勉強しないしね。それで「バンド維新」っていうのをはじめたんですよ。名をなした作曲家に書いてもらって洗礼を受けてもらいたいのです。著名な作曲家ほどバンドについての捉え方に固定観念があると思いますよ。それは良くない、どんどん書いて欲しいですね」

-吹奏楽の可能性について

「広い音域でピアニッシモの表現が欲しいですよね。テュッティの合間に残っている弱音などが出来ると面白くなると思います。変わった楽器を使用すれば良いという人もいますが、あまりに大がかりな打楽器群、数台のマリンバなどを多様するのはどうかと思います。だったらオケを持ってきなさいということです。まぁ、今後は実験的に偏らず、音楽で」

-最後に練習現場の雰囲気は?

「秋山先生はとても信頼しています。作曲家のことをよく聞いてくださいますし、現場的ではニュートラルでとても良いですよ。作曲家が熱くなって騒ぐより冷静に本番に向かって仕上げる、これはプロの仕事です。演奏者も大変に良くやってくれます。個々の質問も大変多いですし、嬉しいですよ」

-長い間ありがとうございました。次回作も期待しています。


■佼成メンバーから一言

★須川展也(コンマス-サクソフォン)
「100回という節目を迎えられるということは多くの人の支えがあってのこと、それに応えるべく全身全霊を込めて演奏をしました。今日のプログラムは、いままで我々が吹奏楽の芸術性を高めたい、という想いをこめて委嘱した作品群で、これらを多くの方々に聴いていただき再認識してもらえたとことと、お客さんたちがその演奏に対して温かく答えてくれたこととが嬉しかったですね。今後とも佼成ウインドをよろしくお願いいたします」

★奥山泰三(トランペット)
「100回という記念すべき節目の今、現場にいられたことが嬉しいですね。この100回というのは佼成ウインドにとって歴史でもあり、また若い人に伝えていかなければいけないという積み重ねであったわけです。佼成ウインドはこんなにも素晴らしい作品を持っているということを若い団員に知って欲しかった」

★前田綾子(フルート)
「私自身は2001年に入団し8年目ということで、以前のことは想像するしかなかったのですが、こういうことがあった、あんなことがあったと先輩からお話を聞くといろいろな思いにはなりました。そういった経験豊かな人たちと一緒に演奏をして、団で暖め、育ててこられたレパートリーを音にしたときは”あぁこうなんだ”ということを実感できました。また、秋山先生の力は素晴らしく、本番の気迫は4日間の練習の時とは全く違いました」

★萩谷克己(トロンボーン)
「僕は以前にレコーディングをお願いしていた頃から秋山先生にはずっとコンサートをといい続けて、今回それが実現して本当に幸せでした。やはりライブは熱かったですね」

★松生知子(E♭ クラリネット)
「100回ということで、みんな凄い思い入れがあり、それに答えないといけないというプレッシャーがありました。私はまだ4年目ですが、北爪さんの委嘱作品などは、しっかりとベルアップして気持ち良く吹けました」

★パーカッション奏者(エキストラ)
「長くやってきたので、どの曲も想いがありますね。ホロヴィッツの”舞踏組曲”ではフェネルさんの指揮姿が想い出され演奏中にジーンときてしまいました。多くの偉大な先生方と音楽を創ってこれたことに今は感謝いたします。」

■身近な人たちの声

☆小貝俊一(レコーディング・エンジニア)
「秋山先生はもっと上品な指揮をする方だったと思っていたのですが、今日はねぇ、最初からアクションが大きく全然違いました。佼成のみなさんもテンションが高くなっているのが良く伝わってきました。僕は長い付き合いで、佼成の良いところも悪いところも知っているから、でもちゃんと良いところを引き出していましたね。指揮者って凄いと思いました」

☆秋山紀夫氏(吹奏楽研究家-プレ・トークを担当)
「大変おめでたいことですね。くしくも第50回の定期演奏会もここ東京芸術劇場でした。来年は創団50周年を迎え、また新しい指揮者(ポール・メイエ氏)も就任ということでますますのご発展をお祈りいたします。本日はおめでとうございました」

【プログラム】

セレブレーション/フィリップ・スパーク
Celebration/Philip Sparke

舞踏組曲/ジョセフ・ホロヴィッツ
Dance Suite/Joseph Horovitz

法華経からの三つの啓示/アルフレッド・リード
Three Revelations from Lotus Sutra/Alfred Reed

TKWO委嘱作品「雲の変容」(世界初演)/北爪道夫
Matamorphosis for the Clouds -TKWO commissioned Work(World Premiere)/Michio Kitazume

舞楽/ドナルド・グランサム
Court Music/Donald Grantham

 演奏を聴いた後、84年以来その死まで常任指揮者を務めたフレデリック・フェネルが「オーケストラは、400年かけて現在の位置を築いて来ました。私たちはとても若くどのようにしていけば良いのか、いま道を探し、今後開拓していかねばならないのです」と語った言葉を思い出し、その歩みは着実で間違っていなかったと確信できた。

次の200回定期までの時間で《吹奏楽》という分野はどのように変貌を遂げていくのであろうか。それは決して明るい前途ばかりではないと思うが、この100回記念を弾みに、他団体には真似のできないこれまでの方向性(多彩なプロのコンダクター起用、内外の著名な作曲家への委嘱・作品コンク-ル、また幅広い意味での後進の育成など、常にわが国の吹奏楽界のためを考えている姿勢。)をもって、ひたすら走り続けていって欲しい。
積み重ねてきた素敵なコンサートのひとつひとつに大きな拍手をおくりたい!

▲秋山和慶氏と須川展也氏によるサイン会は大人気
▲プレトーク担当の秋山紀夫氏とコンマスの須川展也氏
▲作曲者北爪氏の指示を聞く(リハーサルで)
▲委嘱作品「雲の変容」を聴く作曲者(北爪道夫氏)
▲秘密兵器!(ミュートが間に合わない部分に使用)
▲本日の練習予定!(ボード)

(2009.03.07)