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【コラム】富樫鉄火のグル新 第308回 映画評『ブータン 山の教室』

 現在、岩波ホールで公開中の映画『ブータン 山の教室』は、普段知る機会が少ないブータン王国の映画だ。
 ただ、監督はブータン人だが国際的に活躍する写真家で、その夫人であるプロデューサーも台湾出身なので、厳密にいうと〈純ブータン産〉の映画とはいい難いかもしれない。台湾資本も入っているようだし、クレジットも英語表記で、明らかに国際市場を狙って製作された映画である。
 それでも、おそらく、ここに描かれた出来事は、あらゆる国の文化に共通する普遍的な問題でもあるはずで、誰が見ても感動し、考えさせられる、素晴らしい映画に仕上がっている。

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■樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言 第146話 ウィンド・オーケストラのための交響曲《第2弾》

▲CD – ウィンド・オーケストラのための交響曲[2](東芝EMI、TOCZ-9253、1995年)

▲ TOCZ-9253、インレーカード

1994年(平成6年)、東芝EMIが、大阪市音楽団(市音:現Osaka Shion Wind Orchestra)の演奏で録音を開始。都合5枚のアルバムが世に送り出された「ウィンド・オーケストラのための交響曲」シリーズは、ウィンド・オーケストラ(吹奏楽)のために作曲されたシンフォニーだけにスポットをあてた画期的な交響曲シリーズだ。未完に終わったとはいえ、世界中のどの商業レコード会社にも類例を見ない超アグレッシブな企画となった。

プロジェクトの原案は、前々話《第144話:ウィンド・オーケストラのための交響曲》でお話ししたとおり、その前年の1993年(平成5年)5月に市音のオリジナル自主制作シリーズとして企画を立ち上げた“全集”プロジェクトで、発案者である筆者は、当時の市音団長で常任指揮者の木村吉宏さん(1939~2021)からシリーズ監修を委ねられていた。

とても名誉なことだった。

意気投合した木村さんとはすぐに中身の大筋で合意。氏の指示によって直ちに市音プログラム編成委員(当時のリーターは、竹原 明さん)による所蔵楽譜のチェックが始まり、その結果をもとに最初の企画会議が、6月24日(木)に市音練習場2階奥のアンサンブル室で行なわれた。

出席者は、木村さんのほか、プログラム編成委員とマネージャーの各位、そして言い出しっぺの筆者。当時の市音は、大阪市という行政の一組織だっただけに、やや場違いの筆者を除けば、さすがにみなさん会議というものに馴れている。テーブル上にはプログラム委まとめの楽器編成表付きの交響曲のリストが配られ、企画意図の説明、リストを通して課題の洗い出しなど、粛々と質疑が進められた。

しかし、なにしろ世界初企画である。制作費の予算請求という現実的課題だけでなく、マーケットの構築も課題のひとつになるかも知れなかった。分かりやすく言うと、狭い国内マーケットだけをたよりにするようなものであってはならず、あらゆるコンセプトに“大阪から世界に向けて発信”という基本理念が貫かれていた。国際交流事業は、役所の中でもコンセンサスを得やすい話であり、創作を掌る海外の作曲家と緊密なネットワーク作りなど、同時進行的あるいは双方向の協力関係を得ることが必要不可欠だと思えた。

当然、海外通販も視野に入れていたのである。

幸い、この直後、筆者は、東芝EMIによる「吹奏楽マスターピース・シリーズ」のオランダ録音ほかの目的の渡欧があり、現地では、アルフレッド・リード(Alfred Reed)の最新作『交響曲第4番(Forth Symphony)』がセット・テストピース(指定課題)として使われる“世界音楽コンクール1993(Wereld Muziek Concours 1993)”の会場も訪れることにしていたので、現地で出会う作曲家や演奏家、出版社と情報交換するので、帰国後の7月8日(木)の次回会議では成果を報告すると約し、この日の会議は終わった。(参照:《第54話 ハインツ・フリーセンとの出会い》)

そして、オランダ到着初日の6月26日(土)の夜、交響曲第1番『指輪物語(The Lord of the Rings)』の作曲家ヨハン・デメイ(Johan de Meij)らに誘われるままついていったオランダ王国陸軍バンド(Koninklijke Militaire Kapel / KMK)のコンサートではじめて聴いたユリアーン・アンドリーセン(Jurriaan Andriessen、1925~1996)の『交響曲第2番(Symphonie No.2)』から、渡欧最初の音楽的衝撃を受けた。演奏も凄かったが、作品も凄かった!(参照:《第70話 オランダKMK(カーエムカー)の誇り》)

なぜこんないい曲が普通に演奏されているのだ!

早速、ヨハンからこのシンフォニーの版権をもつ出版社モレナール(Molenaar)の社長、ヤン・モレナール(Jan Molenaar)を紹介されたが、氏に質問を投げると、『この曲は、高度なためあまり演奏されないと思うので出版予定はない。リクエストがあればレンタルするが…。』とそっけない回答に正直失望。手続きも面倒そうなので、残念ながら構想上の優先順位を下げざるを得なかった。モレナールと言えば、かつてヨハンが売り込みのために持ち込んだ『指輪物語』のスコアを見て、『こんな長い曲はゼッタイ売れないので…』といって曲のサイズだけで自社での出版を断った人物だ。ひょっとして、他にも優れた作品が眠っているのでは、と思わせる残念な出会いとなった。

一方、世界音楽コンクール(WMC)で聴いたお目当てのリードの『交響曲第4番』もまた、充実したすばらしい作品だった。たまたま聴いたバンドは、すべてオプションのチェロを入れた演奏だったが、楽譜を見ると仮にそれを省いても支障ないように書かれていたので、これは収録すべき作品だと直感し、帰国後もそのように報告させてもらった。

話はどんどん前に進む。

残るはマネージメント部門、大阪市教育振興公社の予算化の報を待つばかりだ。

しかし、ちょうどこの頃、公社では市音初の自主制作CD「大阪市音楽団 NHKライヴ 指輪物語 ─ 本邦初演 At the Symphpny Hall」(大阪市教育振興公社、OMSB-2801、1994年2月27日頒布開始)の制作にゴーサインが出たばかりで、その結果が出ない内からいきなり次の新企画の稟議を上げるのはかなり難しそうだった。(参照:《第64話 デメイ「指輪物語」日本初CD制作秘話》)

ここでしばし、予算上のペンディングとなった訳だ。

そこへ白馬の騎士のように現れたのが、東芝EMIだった。

当時の市音は、東芝EMIの様々な部門から依頼録音を受けていたが、その中から“ぜひ、ウチでやらせてください”と手を挙げたのは、ヒット街道驀進中だった「大栗裕作品集」(東芝EMI、TOCZ-9195、1993年)の録音を手がけたチームだった。

早く企画を始めたかった市音が、申し出を喜んで受けたことから、シリーズは、市音の自主制作盤から、東芝EMIのカタログ商品(商業CD)へと立ち位置が変った。マーケットの反応がまったく読めない中、商業レコード会社としてはかなり勇気ある決断だった。

一方の市音側としても予算面の心配をしなくてもよくなった反面、企画の自由度は後退せざる得ない局面もあることが予想された。

例えば、第1弾には、市音が最近手がけ、手の内にあるものから選ぶのがベストという点と話題性から、ヨハン・デメイの交響曲第1番『指輪物語』と同2番『ビッグ・アップル』のカップリング盤(2枚組)を当初提案したが、東芝は『録るんだったらどちらか一方ですね。』と提案を持ち帰り、森田一浩さんをはじめ、東芝関係者の意見を集約し、『ビッグ・アップル』にもう1曲をカップリングしたものにしたい、と返してきた。白馬の騎士のクライアントの意向には逆らえない。その結果、第1弾は、テーマをニューヨークに装いを改め、フランスのセルジュ・ランセン(Serge Lansen)が作曲し、デジレ・ドンデイヌ(Desire Dondeyne)がオーケストレーションを施した『マンハッタン交響曲(Manhattan Symphony)』をカップリングした「ウィンド・オーケストラのための交響曲[1]」(東芝EMI、TOCZ-9242、1994年)となった。

『指輪物語』については、前記の自主制作CD「大阪市音楽団 NHKライヴ 指輪物語 ─ 本邦初演 At the Symphpny Hall」(大阪市教育振興公社、OMSB-2801)が市音事務所からの通販だけでアッという間に1500枚を売り切ったというニュースも伝わっていたので、東芝の関心度は薄かったのかも知れない。

また、この結果を受け、大阪方は、東芝EMIとタッグをくむシリーズの今後は、在京の専門筋をも納得させる選曲でないと企画が通らないということを学習した。

そんな訳で、『つぎ(第2弾)はどうすんのや?(どうするんだ?)』という木村さんの問いに対し、筆者は、ややオーソドックスながら、アメリカのバンド界の顔というべきアルフレッド・リード(Alfred Reed)の『交響曲第3番(Third Symphony)』に、ロバート・E・ジェイガー(Robert E. Jager)の『交響曲第1番(Symphony for Band No.1)』、ジェームズ・バーンズ(James Bernes)の『交響曲第2番、作品44(Second Symphony, Opus 44)』を加えた3曲を提案。

リードの“3番”については、最新の“4番”もありと話したが、木村さんからは『“4番”やと、チェロをどうするかで、アレコレ言い出しよるかも知れんしな(言いだされるかもわからんしな)、ここは“3番”にするわ(決めるわ)。』と返って来た。

もちろん異存はなかった。

その後、この曲案は市音からそのまま東芝に提示され、今度はすんなりOKとなった。

しかし、好事魔多し。運命の1995年(平成7年)1月17日(火)午前5時46分52秒、京阪神地方を激しい揺れが襲った。阪神・淡路大震災の発生である。

筆者も、その直前に“バチッ”という電気がショートするような音がして眼が覚め、立ち上がったところにズドーンときた。近所でも教会の塔が倒れたり家屋損壊があり、淀川の堤防が崩れるような大地震だったので、正直何がどうなっているのかさっぱりわからなかった。何日かたってやっとのことで市音に行くと、木村さんが大きなジェスチャーで『ええとこ(いいところ)に来た。録音、どうする?』と声がかかる。話を聞くと、第2弾の録音に予定したホール(尼崎のアルカイックホール)の舞台装置が落ちて立ち入り禁止となり、他のホールも被害点検中で代わりが見つからないのだという。

木村さんからはまた、脳味噌を含め身体全体が強烈に揺さぶられたせいか、プレイヤーの音にも潤いがなくなって、音楽感を取り戻すにはかなりの時間が必要だという見立ても聞いた。大きな余震も続き、楽団のスケジュール上も、ほぼ1ヵ月後の録音予定だけに、仮に代わりの録音会場が見つからなかった場合、早急にバラシ(キャンセル)を考えないといけないという状況だった。

ここでも大変なことが起こっていた。

ところが、そんなふたりの大騒ぎに割り込むように、元市音クラリネット奏者でマネージャーの小梶善一さんの『ここ、どうです?』というやたら落ち着いた声が響いた。『ちょうど2ヵ月前(1994年11月)にオープンしたばかりの真新しいホールで、連絡したら、被害は無く、今やったら、偶然、録音予定日と同じ日が空いているそうです。』

ふたりで小梶さんのPCを覗き込むと、ホールは、大阪狭山市のSAYAKAホール。映し出された大ホールは1200名のキャパ。大きさは申し分ないが、新装開店というのが気になった。ホールの各部材が完全に乾く前は、設計上の音響が発揮されないというケースに遭遇した過去の苦い経験があったからだ。周囲に確認しても、誰もホールの音を知らない。

“苦労するかも知れない”と思いながらも、その場は『東芝さんに現状を話し、当初予定したホールが地震で使用禁止になって、新装のSAYAKAホールだけが同じ日程で録音を組めるが、一旦バラすか、予定どおり進めるか判断を仰ぎましょう。』と言うしかなかった。

東芝と市音の協議の結果、録音はゴーサイン。1995年(平成7年)3月1日(水)~3日(金)、SAYAKAホールでの第2弾のセッションでは、初日ジェイガー、2日目リード、3日目バーンズの順の録音が決まった。

しかし、いざ始まってみると、これが想像を絶するたいへんな現場となった。いつものと同じステージ配置なのに音が自然に流れ出さないのである。なぜかプレイヤー間の連携も取りづらく、マイク乗りもよく無かった。

ステージ上では、録音ディレクターの佐藤浩士さん、エンジニアの小貝俊一さん、アシスタントの本間 篤さんだけでなく、市音スタッフやプレイヤーまで、関係者総出で楽器や椅子を何度も移動、オケピットを動かし、その高さを調整してはまたポジション移動と、なんとか良好なプレゼンスを得ようと懸命の試行錯誤が繰り広げられた。

結果的に、CD「ウィンド・オーケストラのための交響曲[2]」(東芝EMI、TOCZ-9253)は、1995年6月21日(水)にリリースされ、斯界の高い評価を得た。

しかし、それはこの現場で注がれた全員の情熱があったればこその成果だった。

今あらためて、関係者すべてに大きなブラボーを贈りたい!!

ブラボー!ブラボー!ブラビッシモ!!

大地震のニュースのたびに想い出す、遠い記憶の1ページである!

▲▼セッション風景(1995年3月3日、SAYAKAホール)

「BPラジオ 吹奏楽の世界へようこそ」4月の放送予定

毎週(土)23時…FMカオン(厚木・海老名)
http://www.fmkaon.com/

毎週(日)正午…調布FM
http://www.chofu-fm.com/
もちろん、どちらもネット経由で、全国どこででも聴けます!

◆第167回 新年度はコーリー・バンドで気分一新!
4月3日(土)23:00/FMカオン【再放送】4月17日(土)23:00
4月4日(日)正午/調布FM【再放送】4月18日(日)正午

◆第168回 生誕100年 アルフレッド・リードとの1年!
(その4)春を告げるリードの響き
4月10日(土)23:00/FMカオン【再放送】4月24日(土)23:00
4月11日(日)正午/調布FM【再放送】4月25日(日)正午

【制作・提供】バンドパワー
【ご案内】富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)

【BPラジオの視聴方法】

◆第167回 新年度はコーリー・バンドで気分一新!
4月3日(土)23:00/FMカオン【再放送】4月17日(土)23:00
4月4日(日)正午/調布FM【再放送】4月18日(日)正午

一応は「非常事態宣言」も解除となり、まだまだ気は抜けないものの、いよいよ新年度のスタートとなりました。今月は、気持ちを新たにするべく、ブラスバンドをたっぷりお楽しみいただきます。登場するのは、ヨーロピアン選手権で3年連続チャンピオンとなった、コーリー・バンド! 「世界一のブラスバンド」の華麗な響きをどうぞ!
※演奏は、すべて、フィリップ・ハーパー指揮、コーリー・バンドです。

【1】輝く雲にうち乗りて~賛美歌“ヘルムズリー”による幻想曲/フィリップ・スパーク作曲【約6分半】

【2】タイム・マシーン/トーマス・ドス作曲【約14分】

【3】ファンファーレ・フォー・フェンウェイ/ジョン・ウィリアムズ作曲、スティーブン・ブラ編曲【約3分半】

【4】交響組曲「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」/ジョン・ウィリアムズ作曲、スティーブン・ブラ編曲【約8分半】

【5】「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」から“X-ウイングのスケルツォ”、“レジスタンスのマーチ”/ジョン・ウィリアムズ作曲、フィリップ・スパーク編曲【約4分半】

【6】「スター・ウォーズ」メイン・テーマ/ジョン・ウィリアムズ作曲、フィリップ・ハーパー編曲【約4分】

◆第168回 生誕100年 アルフレッド・リードとの1年!
(その4)春を告げるリードの響き

4月10日(土)23:00/FMカオン 【再放送】4月24日(土)23:00
4月11日(日)正午/調布FM 【再放送】4月25日(日)正午

1年間をかけておおくりしているリード特集。今月は「春」を題材にした名曲です。おなじみのあの名曲をはじめ、コンサートなどではなかなか演奏されない隠れた名曲まで。リードの華やかな響きで、春の訪れを味わってください。

【1】 カーテン・アップ!/アルフレッド・リード指揮、東京佼成ウインドオーケストラ【約7分】

【2】 春の猟犬/鈴木孝佳指揮、タッド・ウインドシンフォニー【約9分】

【3】 春のよろこび/アルフレッド・リード指揮、東京佼成ウインドオーケストラ【約8分】

【4】 第5交響曲《さくら》(全3楽章)/ヤン・コベル指揮、ブラバント音楽院吹奏楽団【約22分】

■ガレア・エト・ベルム/兜と戦い(演奏:オランダ王国陸軍バンド)

2018年、蘭フリースラントのオランダ王国陸軍バンド“ヨハン・ヴィレム・フジョー”の合奏場で録音されたコンサート・アルバム。ディレクターをロナルド・スラガーとベン・ハームホウトス、エンジニアをレクス・ヴァンディーペンがつとめている。

アルバム・タイトルとなっているヤン・デハーンの『ガレア・エト・ベルム(兜と戦い)』は、フリースラントのエクセルシオール・スフラールト音楽協会の委嘱作で、2015年に同地方のスハッテンス村の教会で発見された珍しい兜とそれが使われたであろう戦いに思いを馳せたドラマチックな作品となっている。ライト・モチーフとして「ああ、なんてつかの間、なんて取るに足らない」という賛美歌の旋律が使われている。

ヤン・ヴァンデルローストの『アイ・シャル・ラブ・バット・ズィー(汝を愛さずにはいられない)』は、作曲者の下の息子の結婚式のために、ソプラノ独唱をまじえた美しい吹奏楽曲として作曲された。タイトルは、シェイクスピアの”I love thee I love but thee With a love that shall not die Till the sun grows cold And the stars grow old….(私はあなたを愛しています、あなたが死ぬことのない愛を持って太陽が冷たくなり星が古くなるまで)”から採られている。

フィリップ・スパークの『3つのシティー・スケッチ』は、オランダ北ホラント州アルクマールの吹奏楽団“ソーリ・デーオ・グローリア・アルクマール”の委嘱作。3つの楽章には、アルクマールの町がもつさまざまな側面が表されている。初期の大ヒット作“オリエント急行”を思わせる箇所もあり、とても愉しい作品となっている。

八木澤教司の『ポンテ・ヴェッキオ』は、大阪教育大学ウィンドオーケストラの委嘱作で、2016年9月、神代 修のトランペット独奏、作曲者の客演指揮で初演された。曲名はイタリアのフィレンツェの“ヴェッキオ橋”をさし、同地を訪れた際のさまざまな印象が描かれている。

オットー・M・シュヴァルツの『聖シュテファンのコラール』は、ウィーンの聖シュテファン大聖堂をテーマに描いた美しいコラールだ。

アルバムをしめくくるディルク・ブロッセの『ナポレオン最後の友』は、オランダの史実に基づいたドラマチックな作品だ。ナポレオンのロシア遠征の失敗後、フランス軍はオランダから撤退し、オランダのほとんどが開放されるが、デルフセイルだけはフランス軍の占領が続いており、政治的にも軍事的にも堅固に守られていた。曲はその頃のいろいろな状況を描写的に描き、「序曲」「優美なフランス」「浅薄なフランス」「甘美な愛」「紛争」「低地帯諸国」「メイフロイの脱出」の変化に富んだ各楽章からなっている。ヨーロッパの歴史絵巻を感じさせるスケール感溢れる作品だ。

■ガレア・エト・ベルム(兜と戦い)
演奏:オランダ王国陸軍バンド

http://www.bandpower.shop/shopdetail/000000001021/

【データ】

・演奏:オランダ王国陸軍バンド“ヨハン・ヴィレム・フジョー”
(The Royal Netherlands Army Band ‘Johan Willem Friso’)
・指揮:テイメン・ボトマ(Tijmen Botma)
・発売元:デハスケ(de haske)
・発売年:2018年
・収録:2018年、Rehearsal Room of The Royal Netherlands Army Band ‘Johan Willem Friso’, Friesland.
・メーカー品番:

【収録曲】

1. ガレア・エト・ベルム(兜と戦い)/ヤン・デハーン【14:57】
Galea et Bellum/Jan de Haan

2. アイ・シャル・ラブ・バット・ズィー/ヤン・ヴァンデルロースト【10:33】
I Shall Love But Thee/Jan Van der Roost
ソプラノ(Soprano):アンネケ・ラウテン (Anneke Luyten)

3. 3つのシティー・スケッチ/フィリップ・スパーク【13:03】
Three City Sketches/Philip Sparke

4. ポンテ・ヴェッキオ/八木澤教司【6:03】
Ponte Vecchio/Satoshi Yagisawa
トランペット(Trumpet):ルーラント・ヘンケンス(Roeland Henkens)

5. 聖シュテファンのコラール/オットー・M・シュヴァルツ【6:54】
St. Stephen’s Chorale/Otto M. Schwarz

6. ナポレオン最後の友/ディルク・ブロッセ【20:05】
The Last Friend of Napoleon/Dirk Brosse
序曲 Overture【6:26】
優美なフランス Sweet France【1:40】
浅薄なフランス Frivolous France【1:54】
甘美な愛 Erotic Love【2:13】
紛争 The Conflict【1:41】
低地帯諸国 The Low Countries【1:54】
メイフロイの脱出 Mayfroy’s Exodus【4:17】

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第307回 書評『大河ドラマの黄金時代』

 新書による大河ドラマ解説書では、文芸評論家・小谷野敦による『大河ドラマ入門』(光文社新書、2010年1月刊)があった。第1作『花の生涯』(1963年)から、刊行時点での最新・第48作『天地人』(2009年)までが取り上げられていた。一介の大河ファンの視点で、キャスティングの良し悪しや、原作・史実との関係などを、歯に衣を着せぬタッチで述べるエッセイ風の解説書だった。

 今回出た『大河ドラマの黄金時代』(春日太一著、NHK出版新書)は、いま大人気の映画史・時代劇研究家によるドキュメントである。第1作『花の生涯』から、第29作『太平記』(1991年)までを「黄金時代」と区切って、制作と演出にあたったNHKスタッフへのインタビューで構成されている。あまり表沙汰にしたくないはずのトラブルも率直に語られており、大河ファン垂涎のエピソードが続出する(なぜ、第30作以降を取り上げないのかは、巻末に、説得力抜群の解説がある)。

 わたしは“音楽ライター”として、大河ドラマのテーマ音楽では、特に以下の3作に興味をもってきた。
①第2作『赤穂浪士』テーマ(1964年、芥川也寸志作曲)
②第18作『獅子の時代』テーマ(1980年、宇崎竜童作曲)
③第42作『武蔵 MUSAHI』テーマ(2003年、エンニオ・モリコーネ作曲)

 ①は、おそらく大河ドラマ史上、もっとも知られたテーマ曲で、いまでもバラエティや歴史番組で「赤穂浪士」「忠臣蔵」の話題になると、流れることがある。

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【コラム】富樫鉄火のグル新 第306回 アニメーション映画『ジョセップ』~よみがえる童謡《はるかな青空》

 恒例の「東京アニメアワードフェスティバル2021」(TAAF2021)が終わった(3月12~15日、東京・池袋の新文芸坐ほかにて)。
 わたしは、いつも国際コンペ部門(長編4本、短編30本前後)を楽しみにしている。アニメーションに、これほど多彩な題材、テーマ、表現方法、音楽があるのかと、毎年、感動するばかりだ。

 今年の長編コンペ部門グランプリには、『ジョセップ』(原題:JOSEP/フランス・スペイン他合作/2020年/監督:オーレル)が選出された。
 内容は――
「1939年2月、スペイン共和派の人々は、フランコの独裁政権からフランスに逃れてきていた。フランス政府は収容所を建設して難民たちをそこに閉じ込め、劣悪な衛生環境のうえ、水や食料がほとんど手に入らない状況に追い込んだ。収容所の中で、有刺鉄線で隔てられながらも、二人の男が友達になる。一人はフランス側の看守、もう一人はフランコ政権と戦うイラストレーターのジョセップ・バルトリ(1910年バルセロナ生~1995年ニューヨーク没)だった」(TAAFのオフィシャル紹介文)

 映画は、現代のフランスで、年老いて余命いくばくもない上記の看守が、病床で、孫にジョセップの思い出を語る構成になっている。
 現代部分は2Dのフル・アニメだが、回想部分は色数や動きを抑えたイラスト絵物語のようなタッチで描かれる(消えゆく老人の記憶のようだ)。
 しかし、「フランコ独裁政権を逃れてフランスに流入したスペイン難民」の話は、ヨーロッパの近現代史に詳しくないと、そう誰でも知っていることではないと思う。
 それをこの映画は、現代と結んだ構成で描いているのだが、肝心の若者(看守の孫)のキャラクターが十分に描き込まれていないので、アイディア抜群のラストシーンが生きていないように感じた。

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■樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言 第145話 リード「メキシコの祭り」初録音

▲19CD Box – Frederick Fennell The Collection(Venias、VN032、2017年)

▲ 同、収録曲一覧

▲ LP – La Fiesta Mexicana(米Mercury、MG 40011、1954年)

▲MG 40011 – A面レーベル

▲MG 40011 – B面レーベル

1954年5月12日(水)、アメリカ合衆国ニューヨーク州ロチェスターのイーストマン劇場(Eastman Theater)で、マーキュリー・レコードによるフレデリック・フェネル(Frederick Fennell、1914~2004)指揮、イーストマン・ウィンド・アンサンブル(Eastman Wind Ensenble)演奏のあるLPレコードのレコーディング・セッションが行なわれた。

録音会場となったイーストマン劇場は、私学のロチェスター大学イーストマン音楽学校(The Eastman School of Music of the Rochester University)のパフォーマンスの中核施設で、オープンは1922年。コダックの創業者ジョージ・イーストマン(George Eastman、1854~1932)の寄付で建築費が賄われ、同じくイーストマンが1921年に私財で創立した同音楽学校と同様、“イーストマン”の名が冠されている。オープン当初は、3,352席を持っていたが、21世紀の大改修で、より快適な2,260席のホールに作り変えられた。その際、イーストマン・コダック社が再び10万ドルの寄付を行なったことから、新装なった劇場内のコンサート・ホールは、“イーストマン劇場コダック・ホール(Kodack Hall at Eastman Theater)”と名がつけられている。

この日のレコーディングは、マーキュリーがイーストマン音楽学校の演奏家を起用した「アメリカン・ミュージック・フェスティウァル・シリーズ(American Music Festival Series)」と呼ばれる現代のアメリカ音楽を追う野心的なシリーズの第12集で、イーストマン・ウィンド・アンサンブルが演奏した盤としては、「American Concert Band Masterpieces」(Mercury、MG 40006、1953年)、「Marches」(Mercury、MG 40007、1954年)につぐ3枚目のアルバムとなった。

現代アメリカを追うシリーズらしく、レパートリーは、以下のようにすべてアメリカの作曲家の手になる作品だった。

メキシコ民謡による交響曲「メキシコの祭り」
La Fiesta Mexicana – A Mexican Folk-Song Symphony
(H. Owen Reed)

カンツォーナ
Canzona
(Peter Mennin)

詩篇
Psalm
(Vincent Persichetti)

荘厳な音楽
A Solemn Music
(Virgil Thomson)

コラールとアレルヤ
Chorale and Alleluia
(Howard Hanson)

録音スタッフは、スーパーバイザー(日本流だとディレクター)およびエンジニアがデヴィッド・ホール(David Hall)、テープ・トランスファーがジョージ・ピロス(George Piros)だった。

当時のマーキュリーは、伝説的エンジニアのC・ロバート・ファイン(C, Robert Fine、1922~1982)が始めたシングル・マイク(1本の無指向性マイク)によるひじょうに明瞭で定位感のあるフルレンジ・モノラル録音が評者から“リビング・プレゼンス”と呼ばれて人気を集め、1954年のこの録音も、指揮者の少し後方の上方およそ15フィート(5メートル近く)にアレンジしたノイマン(アメリカでは、“テレフンケン”と呼ばれた)のU-47というマイク1本で録音された。

音楽史的な視点で捉えると、複数のマイクでバランスをとって録音する他社の方式とは異なる手法をとるマーキュリーと、“ウィンド・アンサンブル”という新しいコンセプトを押し出したいフェネルとがタッグを組むことになったことは、偶然の産物とは言え、正しく運命的な出会いだったような気がする。

また、マーキュリーは、セッション・テープをコピーしてマスタリングを行なった他社とは違い、セッション・テープをそのままマスター・テープとして使っていた。アナログ・テープで録音を行なった時代だけに、サウンドの鮮度と言う点でこれも見逃せない。

ステレオ録音の始まる以前のモノラル録音だが、今もフェネルのイーストマン・ウィンド・アンサンブルの録音が評価されるのは、こうした制作側の姿勢という側面もあったのではないだろうか。

さて、こうして録音された演奏は、3ヶ月後の1954年8月、「La Fiesta Mexicana」(Mercury、MG 40011)としてリリースされた。前述のように、これは当時のアメリカの作曲家たちのオリジナル作品だけで構成されたアルバムであり、全曲が“初録音”だったが、その中でも、“メキシコの祭り”というメキシコ民謡をベースに書かれた色彩感豊かなシンフォニーがこのアルバムを通じて世界に向けて発信された意義はひじょうに大きい。曲名がアルバム・タイトルに選ばれたのも当然だろう。

1950年2月26日(日)、ウィリアム・F・サンテルマン少佐(1902~1984)指揮、アメリカ海兵隊バンド(“The President’s Own” United States Marine Band)による初演の4年後の出来事である。(参照:《第46話 H・オーウェン・リードを追って》)

ここで少し時代は飛ぶが、《第52話 ウィンド・アンサンブルの原点》でお話したように、1991年10月、東京佼成ウインドオーケストラのレコーディングのために宿泊した京王プラザホテル多摩でフェネル夫妻との朝食の際、イーストマン時代のことを伺ったことがある。そのとき、このアルバムについても少し話題をふると、マエストロは悪戯っぽい目をしながら、こう応じてくれた。

『あの録音は、その日ハワード・ハンソン(イーストマンの校長)がやるはずだった別の録音が彼のお母さんが亡くなったためにキャンセルになって、その代わりに急遽やることになったものなんだ。本当はもっと後にやるはずだったんだが、マーキュリーのスケジュールが一杯で延期不能となって….。5曲を2時間半のセッションで録ったんだ。“メキシコ”のコントラバス・クラリネットの音が魅力的だろう?』

これは、いろいろなところで、彼が話しているので特に目新しい話題でもないが、本人の口から直接聞くと、答え合わせをしているようでなんだか嬉しい。

その後、このアルバムは、マーキュリーがシリーズの規格を変更して、ゴールデン・ライアー・シリーズ(Golden Lyre Series)として発売していた16枚のアルバムをカタログからすべて削除し、“リビング・プレゼンス”を謳うオリンピアン・シリーズ(Olympian Series)に組み込んだことから、1956年10月、「Mercury、MG 50084」という新たな規格番号で再リリースされた。その際、音量の増大によりレコード溝のピッチ(間隔)を調整するマージン・コントロールを改良した新たなカッティングが行なわれている。

また、マーキュリーの各アルバムは、イギリスでも1956~1958年にパイ(Pye)が、1958年以降はEMIがライセンス製造したことから、このアルバムもパイ盤の「Mercury、MRL 2535」とEMI盤の「Mercury、MMA 11084」という2種類のイギリス・プレスが存在する。日本でも、1975年に日本フォノグラムから「Mercury、PC-1622(M)」としてリリースされた。

プレスが違えば音も違う。

マエストロとの会話中、“当然イギリスの初回盤(パイ盤)も日本盤も持っていますよ”と話すと、さすがの彼も目を丸くしていた。

“なんてヤツだ!”という顔をしながら…。

若き日の愉快な想い出である!

▲LP – La Fiesta Mexicana(米Mercury、MG 50084、1956年)

▲MG 50084 – A面レーベル

▲MG 50084 – B面レーベル

▲LP – La Fiesta Mexicana(英Mercury(Pye)、MRL 2535、1950年代)

▲MRL 2535 – A面レーベル

▲MRL 2535 – B面レーベル

▲LP – ラ・フィエスタ・メヒカーナ(La Fiesta Mexicana(Mercury(日本フォノグラム)、PC-1622(M)、1975年)

▲PC-1622(M) – A面レーベル

▲PC-1622(M) – B面レーベル

【コラム】富樫鉄火のグル新 第305回 ほんとうだった「名作の誕生」~文学座公演『昭和虞美人草』

 わたしは、一応”音楽ライター”なんて名乗っているが、芝居も好きだ。だが、たいした数は観ていないし、見巧者でもないので、劇評みたいなことは、あまり書かないようにしている。
 しかし、先日の文学座公演『昭和虞美人草』(マキノノゾミ作、西川信廣演出/文学座アトリエにて)は、ぜひ多くの方に知っていただきたく(29日まで、配信で鑑賞可能)、以下、ご紹介したい。
 特に、現在60歳代以上の方には、たまらないものがあるはずだ。

 これは、夏目漱石『虞美人草』の昭和版である。
 この小説は、漱石が朝日新聞社に入社して(つまりプロ作家となって)最初に書いた連載小説だ。漢文調が混じる、いまとなっては実に読みにくい小説である。一般の本好きで、本作を最後まで読み通したひとに、わたしは会ったことがない。これ以前の最初期2作が『吾輩は猫である』『坊っちゃん』だったことを思うと、なぜこんな小説を書いたのか、不思議ですらある。やはり連載媒体が「朝日新聞」だったからか。
 内容は――明治時代、漱石お得意のモラトリアム男たちと、(当時としては)異例なまでに活発な女性などが入り乱れ、グズグズいいながら恋愛関係になったり離れたりする物語である。明治維新後、旧時代を脱し、変わり始めた若者たちの姿を描いている――そんな小説だと思う。

 この青春群像劇を、マキノノゾミが、1973(昭和48)年に舞台を移して翻案した。

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■吹奏楽ベスト・セレクションズ:ゾディアック

2010年にデハスケから発売されたコンピレーションCD。収録されているのは、ヤコブ・デハーンの「メモリアル組曲」をはじめ、シュヴァルツの「キリル」、ラヴェンダー編曲によるジョン・ウィリアムズの「スーパーマン・マーチ」など、全30曲。詳細などは以下の通り。

■吹奏楽ベスト・セレクションズ:ゾディアック
Zodiac:Best Selections for Concert Band
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【データ】

・演奏:
・指揮:
・発売元:デハスケ (de haske)
・発売年:2010年
・収録:
・メーカー品番:

【収録曲】

CD1

1. スーパーマン・マーチ/ジョン・ウィリアムズ(arr.ポール・ラヴェンダー)【4:24】
Superman March/John Williams(arr.Paul Lavender)

2. アルジェのイタリア女/ロッシーニ【8:26】
L’ltaliana in Algeri/Gioachino Rossini(arr. Wil van der Beek)

3. 目覚めよ/メンデルスゾーン【3:42】
Wachet auf! (Sleepers Wake!)/Felix Mendelssohn Bartholdy(arr.Robert van Beringen)

4. ゾディアック/ヤン・デハーン【7:04】
Zodiac/Jan de Haan
Taurus
Scorpius
Aquarius
Leo

5. ヒム・トゥ・フリーダム/ジェリー・ドゥロウィエル【6:07】
Hymn to Freedom/Thierry Deleruyelle

6. キリル/オットー・M・シュヴァルツ【9:54】
Kyrill/Otto M. Schwarz

7. 古いスウェーデンの賛美歌/伝承曲【3:54】
An Old Swedish Hymn/Traditional (arr. Klaas van der Woude)

8. メモリアル組曲/ヤコブ・デハーン【10:24】
Memorial Suite in C Minor/Jacob de Hann
Chaconne
Scherzo
Song without Words
March

9. ダビデの栄光/広瀬勇人【7:21】
Glory of David/Hayato Hirose

10. バンダ・ベラ/ペーター・リーデマン【2:50】
Banda Bella/Peter Riedemann

11. クリフ・イン・コンサート/クリフ・リチャード【5:58】
Cliff in Concert/Cliff Richard (arr. Peter Kleine Schaars)
Congratulations
Power to All Our Friends
Living Doll
Lucky Lips
We Dont Talk Anymore

12. ベスト・オブ・ビリー・ジョエル【7:06】
The Best of Billy Joel/ Billy Joel (arr. Peter Kleine Schaars)
Just the Way You Are
She’s Always A woman
Honesty
My Life
Uptown Girl
Piano Man

CD2

1. クラシカル序曲「鱒」/ロベルト・ヴァンベリンゲン【3:55】
Classical Overture “Die Forelle” (The Trout) /Robert van Beringen

2. レヴェリー/シューマン【2:47】
Reverie/Robert Schumann (arr. Henk Hogestein)

3. バレット/ジョヴァンニ・ガストルディ【4:52】
Ballets from “Balletti a cinque voci”/Giovanni Giacomo Gastoldi(arr.Robert van Beringen)
Amor Vittorioso
La Sirena
L’lnnamorato
L’Ardito

4. シューマン組曲/シューマン【4:12】
Schumann Suite/Robert Schumann(arr. Stephen Bulla)
The Stranger
Nordic Song
Soldier’s March

5. ジュピター・ヒム/ホルスト【1:54】
Jupiter Hymn/Gustav Holst(arr.Robert van Beringen)

6. ビデルボ/ヤコブ・デハーン【3:34】
Viterbo/Jacob de Haan

7. マレ/クリスティアン・ブティエ【6:18】
Le Marais/Christian Bouthier
Rue des Francs-Bourgeois
Musee Carnavaiet
Place des Vosges

8. ジンガロ/ヨハン・ネイス【3:04】
Zingaro/Johan Nijs

9. バス・タイム/ヴィム・ラセロムス【4:37】
Bass Time/Wim Laseroms

10. ユーフォニアム・ラグタイム/アンドレ・ウィニアン【4:52】
Euphonium Ragtime/Andre Waignein

11. スウィング・イントゥ・スプリング(arr.ハンス・ロゴル)【3:49】
Swing into Spring(Hans Rogoll)

12. バイオン/ロランド・ケルネン【2:17】
Baion/Roland Kernen

13. USシティ・トリップ/アンドルー・ウォトキンス【7:18】
U.S. City Trip/Andrew Watkin
Broadway-New York
Rampart Street-New Orleans
The Las Vegas Strip-Las Vegas

14. サーカス・バンボーニ/ ジョン・ブランケン【4:50】
Circus Bamboni/John Blanken
The Circus Band
The Flying Trapeze
Elephant Samba
Cops and Clowns

15. ディス・イズ・イット/マイケル・ジャクソン&ポール・アンカ【3:29】
This is It/Michael Jackson & Paul Anka (arr. Peter Kleine Schaars)

16. プッチン・オン・ザ・リッツ(踊るリッツの夜)/アーヴィング・バーリン【2:03】
Puttin’ on the Ritz/Irving Berlin(arr.Lorenzo Bocci)

17. ホット・アンド・スパイシー/カジース・ダウグラ【2:47】
Hot and Spicy/Kazys Daugela

18. トリビュート・トゥ・ニーノ・ロータ/ニーノ・ロータ【6:28】
A Tribute to Nino Rota/Nino Rota (arr. Lorenzo Bocci)

【このCDをBPショップでチェックする】
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■アンラヴェリング(演奏:コーリー・バンド)

2016年、ウェールズのアべーダレ総合校にあるコーリー・バンドのバンドルームでレコーディングされたコーリー・バンドのコンサート・アルバムで、指揮はフィリップ・ハーバー、ディレクターはフィリップ・スパーク、エンジニアはリチャード・スコットが担っている。

アルバムはジョン・ウィリアムズがメジャーリーグ・ベースボールの名門、ボストン・レッドソックスの本拠があるフェンウェイ・パークの100周年を記念して作曲した『ファンファーレ・フォー・フェンウェイ』で華々しく幕開け、後半を“フォースの覚醒”などの『スター・ウォーズ』関連曲のアレンジでしめる構成。

中核となるフィリップ・スパークの『ラヴェリング・アンラヴェリング』は、フランスのリールで開催された“ヨーロピアン・ブラスバンド選手権2016”に出場することが決まったコーリー・バンドの音楽監督フィリップ・ハーパーのリクエストで、ウィンドオーケストラのために作曲した2014年の『知られざる旅』を下敷きにしてブラスバンドのためにさらに作品規模を拡大した曲だ。「“ラ・ヴァルス”を求めて」という副題のとおり、ハーパーの求めに応じ、よりラベル的な要素が書き加えられ、演奏時間も長くなった。

ヨーロピアンでは、オウン・チョイス・テストピース(自由選択課題)として演奏され、コーリーは100点満点で99ポイントという信じ難いパフォーマンスを叩き出し、前日のセット・テストピース(指定課題)のポイントとの合計によって、見事ヨーロッパ・チャンピオンに輝いた。

他の収録曲で新鮮な驚きをもって迎えられるのは、2曲目に入っているスパークの『サリュート・トゥー・ザ・ヴィクター』だろう。典型的なブリティッシュ・マーチのスタイルで書かれたこの曲は、作曲者が間違いなくイギリス人であることを示している。やはり、血は争えないものだ!

名手ヘレン・ウィリアムズのフリューゲルホーンをフィーチャーしたヤン・デハーンの『ヴェルヴェデーレ』も一服の清涼剤となっている。

■アンラヴェリング
演奏:コーリー・バンド
UnRAVELing
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【データ】

・演奏:コーリー・バンド(Cory Band)
・指揮:フィリップ・ハーパー(Philip Harper)
・発売元:デハスケ (de haske)
・発売年:2016年
・収録:2016年, Ysgol Gyfun Rhydywaun, Aberdare, Wales
・メーカー品番:

【収録曲】

1. ファンファーレ・フォー・フェンウェイ/ジョン・ウィリアムズ
(trans. スティーブン・ブラ)【3:12】
Fanfare for Fenway/John Williams(trans. Stephen Bulla)

2. サリュート・トゥー・ザ・ヴィクター/フィリップ・スパーク【3:51】
Salute to the Victor/Philip Sparke

3. ヴェルヴェデーレ/ヤン・デハーン【3:06】
Belvedere/Jan de Haan
フリューゲル・ホーン:ヘレン・ウィリアムズ(Helen Williams)

4. フレンドリー・テイクオーヴァー/オリヴァー・ヴェースピ【9:24】
Friendly Takeover/Oliver Waespi

5. フェスティヴァス・アメリカズ/スティーブン・ブラ【4:52】
Festivus Americas/Stephen Bulla

6. シンフォニエッタ第3番/エティエン・クラウザ【13:23】
Sinfonietta No.3/Etienne Crausaz

7. ラヴェリング・アンラヴェリング~“ラ・ヴァルス”を求めて
/フィリップ・スパーク【16:23】
Raveling, Unraveling – In Search of La Valse/Philip Sparke

8. ブラス・マシーン/マーク・テイラー(arr. フィリップ・スパーク)【4:39】
Brass Machine/Mark Taylor(arr. Philip Sparke)

9. 「スタートレック」のテーマ/アレクザンダー・カーレイジ
(arr. トーマス・ドス)【3:16】
Theme from Star Trek/Alexander Courage (arr. Thomas Doss)

10. 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」交響組曲/ジョン・ウィリアムズ
(arr. スティーブン・ブラ)【8:04】
Symphonic Suite from Star Wars: The Force Awakens/John Williams(arr. Stephan Bulla)

11. 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」から“X-ウイングのスケルツォ”
/ジョン・ウィリアムズ(trans. フィリップ・スパーク)【2:10】
Scherzo for X-Wings/John Williams(trans. Philip Sparke)

12. 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」から“レジスタンスのマーチ”
/ジョン・ウィリアムズ(trans. フィリップ・スパーク)【2:10】
March of the Resistance/John Williams(trans. Philip Sparke)

13. 「スター・ウォーズ」メイン・テーマ/ジョン・ウィリアムズ
(trans. フィリップ・ハーパー)【3:56】
Main Theme from Star Wars/John Williams(trans. Philip Harper)

【このCDをBPショップでチェックする】
http://www.bandpower.shop/shopdetail/000000000983/