■ピーター・グレイアム(Peter Graham) /Professor of Composition at the University of Salford

◎インタビュー&文:多田宏江

2009年11月13日ソルフォード大学ピーター・グライアム研究室にてインタビュー

▲Peter Graham

 ピーター・グレイアム。バンドパワーでも何度もその名が登場するイギリスを代表する作曲家の1人。最近では、英国ブラスバンド通信第2号でお届けした、ブリティッシュオープンでワーシップフル・カンパニー・オブ・ミュージッシャンズ・アワードを受賞。第3号でお届けした、ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレートブリテンでは、課題曲として彼の新曲が演奏されました。そんな大活躍のピーター・グレイアム。今は、彼の新しい作品集CDが発売される準備中だそうです。

新しいCD情報から、ナショナルズ課題曲「ザ・トーチべアラー」に込められた思い、さらには、どのように作曲家としてキャリアを積んでいかれたのか。レポーターが在学中のソルフォード大学内、ピーター・グレイアムの研究室へお邪魔してインタビューしてきました。

■どのように作曲活動をスタートされましたか?

ピーター:初めはピアノ、次にコルネットを習い始めて、コルネットをスコットランドのサルベーションアーミーで吹いていました。その時から、兄弟や友達で四重奏を組み、そのために曲を編曲したりしていました。

そんな時に、友人の一人が作曲のコンテストに作品を出しているのを見て、「彼に出来るなら私にも出来るかも」、そんな風に思い始めたんです。16、17歳の頃、夏のサルベーションアーミーのミュージックキャンプに事前にマーチを作曲したものを持って参加し、
その曲を演奏してもらいました。その曲を、サルベーションアーミーの有名な作曲家、レイ・ステドマン・アラン(Ray Steadman Allen)、レズリー・コンドン(Leslie Condon)に送り、どのように直したらいいかコメントをもらってレッスンを受けていました。

その後、スコットランドのサルベーションアーミーバンドの100年記念行事に、マーチを作曲する依頼を受けたんです。そのマーチは「New Generation」という曲で、何度かスコットランドのバンドによって演奏されましたが、自分でも、そんなに良い曲じゃないのかな?なんて思っていた時、突然、知人から「明日君の曲をインターナショナルスタッフバンドがロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで演奏するそうだよ」と聴いたんです。当時私は19歳。スコットランドに住んでいましたから、残念ながらロンドンまでは聴きに行けませんでした。

その後、大学を卒業して作曲活動を続けているところに、ニューヨーク・スタッフバンドから作曲の依頼を受けました。「世界ツアーを行うから、私達のためにマーチを作曲をしてくれないか」と言われ、そのときに作曲した曲が「The Ambassadors」でした。この曲も準備中の新しいCDに収録予定ですよ。

私はニューヨーク・スタッフバンド編曲&作曲者として、またコルネット奏者として所属しました。その結果、ニューヨークには3年滞在しました。

※ピーター・グライアムの初めて出版された楽譜「New Generation」
その音源を↓のサイトから聴くことが出来ます。(協力:Ian Bartonさん)
http://www.regalzonophone.com/

■10月はオーストラリアの「オーストラジアン・オープン」で審査員を務められましたよね? オーストラリアの旅はいかがでしたか?

ピーター:4・5日間と、とても短い滞在期間でした。コンテスト参加団体数は7バンド。イギリスの大会に比べて団体数が少ない分、審査員には演奏の違いが比べやすいですが、そうは言っても、上位団体の演奏レベルの差は少ないですから優勝団体を決めるのは難しかったですね。どれを勝ちにするか・・・、ある団体は、音楽的に良くても技術的な失敗があったり、逆もあったり。

友人のデイビット・キング氏と一緒に仕事を出来たのもよかったですね。海のすぐ側の彼の家に泊めてもらってリラックスできました。コンテストの前日は、指揮者や演奏者を集めてデイビット・キング氏とセミナーも行いました。数日前にソルフォード大学でも行われた、審査員のセミナーと(実際に行われたコンテストの上位5団体の録音を聴きながら、受講者は審査員と同じように、スコアを見てコメントを書き順位を決める)や、オーストラジアン・オープン課題曲「ザ・トーチビアラー」の曲を解説するセミナーも行いました。

■10月のナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレートブリテンはどう思いましたか?

ピーター:とても楽しめました。色んな人達と話をして興味深かったのは、「どんな曲を課題曲にすべきか」ということでした。 種類分けすれば、今回の曲はオールドスタイルな曲だったんです。コンテストの運営者、フィリップ・モリス(Philip Morris)さんによれば「近年で最も多い集客だった」とのことで、彼も喜んでくれました。エリック・ボール・スタイルのオールドファッションな曲がお客さんの集客につながったという話でした。

特にロンドンのアルバート・ホールで行われる、このコンテストのお客さんは、お年寄りの方が多くいらっしゃるので、課題曲が現代的な曲だと、どうしてもお客さんが集まりにくい。しかしながら、若い才能のある作曲者の活躍の場として活かすべきでもあり、そうなると、現代曲的な課題曲になり、集客が難しい。このコンテストは特にそういう傾向が強いですね。

■「ザ・トーチべアラー」について聞かせてください。もとになったエリックボールの「トーチべアラーズ」は複数形の題名で、「ザ・トーチべアラー」は単数形ですが、この題名の意図は?

ピーター:サルベーションアーミーの牧師になる人たちを「トーチべアラーズ」と呼びます。エリック・ボールはその人たちを指して、このマーチを作曲しました。

トーチべアラーはたいまつを持つ人、先導者という意味を持つとともに、新しいことをやる人という意味があります。そういう意味で、エリック・ボールが作曲家として活躍した当時、彼はとてもモダンな曲を作曲する作曲者として、ブラスバンドの新しい時代の作品スタイルを切り開いていきました。彼に敬意を表して、また彼を指して「ザ・トーチべアラー」としました。

■日本の読者の皆さんは、この曲の吹奏楽編曲が出ないか待っていると思いますが、その予定はありますか?

ピーター:今のところ予定はありませんが、日本の方でどなたか出して欲しいという方がいらっしゃいましたらご連絡ください(笑)

■新しいCDの情報を教えて下さい。

ピーター:今までの私の作品を、ブラック・ダイク・バンドとインターナショナル・スタッフ・バンドという世界でもトップレベルのプレイヤーたちによって演奏し録音しました。2枚組みの内容盛りだくさんのCDになる予定です。日本でも演奏される機会の多い「ハリソンの夢」から、先ほど話に出てきたニューヨーク・スタッフ・バンドのために作曲した初期の作品「The Ambassadors」、そしてナショナルズ課題曲となった最新作「ザ・トーチベアラー」も初めてCDになる予定です。

■最後に、日本の読者のみなさまへメッセージをお願いします。

ピーター:2回ほど日本を訪れましたが、とても楽しかったです。日本のみなさん、日本でも私の曲を演奏してくれてありがとう。皆さんのご活躍を願っています。


 

【ピーター・グレイアムのCD】

◎ゲールフォース~ピーター・グレイアム作品集
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0199/

◎ザ・レッド・マシーン~ピーター・グレイアム作品集
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0720/

◎クロスオーヴァーノルウェー王国海軍バンド
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0192/

◎ピーター・グレイアム ブラス・バンド作品集
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0252/

◎コサックの叫び~ピーター・グレイアム ブラス・バンド作品集Vol.2
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0265/

◎エピック・ブラスII~
ピーター・グレイアム50才記念ライヴ
ブラック・ダイク + インターナショナル・スタッフ・バンド
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9333/

◎グローリアス・ヴェンチャーズ/ピーター・グレイアム作品集
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1079/

【ピーター・グレイアムの楽譜】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/c/0000000352/

※本文中に登場したボールの「トーチべアラーズ」が収録されたDVD
◎エリック・ボール生誕100周年コンサート
~セレブレーション・イン・ブラス/
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/dvd-9014/

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