■ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレードブリテン

日時:2009年10月17日(土)17:00
会場:ロイヤル・アルバート・ホール
BPレポーター:多田宏江

写真協力:イアン・クルーズ(Ian Clowes)
http://www.pbase.com/troonly/09_london_finals

(トロフィーとロイヤルアルバートホール)
▲photo by Ian Clowes

 

 プロムスの会場としても有名な、ロイヤル・アルバート・ホール。ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレートブリテンの会場は、毎年、この歴史あるロイヤル・アルバート・ホールで行われます。イギリスのブラスバンドと、炭鉱閉鎖が題材になっている映画「ブラス!」(96年)でも、この会場と、このコンテストがクライマックスの場面で使われました。

 この大会は名前の通り、チャンピオンシップ・セクションの全国大会です。ブラスバンドはイギリス生まれのスポーツ、サッカー(フットボール)と同じようにポジションと人数が決まっているため、日本の吹奏楽コンクールのように、大編成、小編成というような分け方が出来ません。

そのため、サッカーと同じようにリーグ=セクションに分けてコンテストを行います。チャンピオンシップ・セクションは一番上のセクション。その下に、ファースト(1st)・セクション、セカンド(2nd)・セクション、サード(3rd)セクション、フォース(4th)セクションと全部で5つのセクションに分かれています。

▲(レポーターが2年間所属したミドルトンバンド(Middleton Band)。
3rdセクション全国優勝!ハロゲイツ2007年から)

 ファースト・セクションからフォース・セクションの全国大会はイングランド北部の街、ハロゲイトで毎年9月末に行われています。「イギリスのブラスバンド」というと、日本ではどうしても、チャンピオンシップ・セクションのバンドだけが取り上げられることが多いのですが、セクションを5つに分けて大会を行う必要がある時点で、それだけ多くのバンドがイギリスに存在しているか想像できると同時に、チャンピオンシップ・セクションがイギリスのブラスバンドにおける氷山の一角であることわかると思います。

地域のバンドやユースバンドが、新しいプレイヤーを育て、若いプレイヤー達に音楽経験の場を与え、ブラスバンドの裾野を広げていく。さらに、その上でチャンピオンシップ・セクションがイギリスのブラスバンドをリードしていく。この循環が結果として、ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップのような大きな大会でのレベルの高い、感動的な演奏につながるのだと思います。

 毎年各地で接戦が繰り広げれる、3月の地区大会を勝ち抜いて、全国から集まったバンド達。地区大会の話は、来年の3月にするとして、チャンピオンシップ・セクションの全国大会「ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・グレートブリテン」に話しを戻します。

(ロイヤルアルバートホール客席から、ステージを見る)
▲photo by Ian Clowes

 今年の課題曲、ピーター・グレイアム(Peter Graham)の「ザ・トーチビアラー」(The Torchbearer)。

作曲者の先生でもある、エリック・ボール(Eric Ball)の没後20年を記念し、エリック・ボールのサルベーションアーミー・マーチ「トーチビアラーズ」のトリオの最初のフレーズをベースに、変奏曲形式で構成されています。
ソプラノとリピアノパートのmpのオープニングに始まり、パンチの効いた速いセクション、ソロイストたちの活躍する美しいメロディー、マーチのようなアレグロ・ビバーチェから観客を魅了する雄大なエンディング。素人な発言で申し訳無いのですが、いくら師匠の曲をベースにしたからと言って、こんな素敵な曲に作曲できるピーター・グレイアム氏。あなたと同じ時代に生きていて良かった!と思ってしまうような名曲です。

 たっぷりと、20団体の演奏を聴き終わったところで、審査結果発表までの待ち時間です。前日のフォーデンスのように、なんとまたコンテストに出た人たちがコンサートをしてしまう。今年のコンサートはコーリー・バンドでした。

(審査結果の待ち時間は、コーリーのコンサート)
▲photo by Ian Clowes

 コンテスト、コンサートを聴いてお腹いっぱい、となったところで閉会式。今年の審査員David Read(デイビット・リード), David King(デイビット・キング), Derek Broadbent(デリック・ブロードベント)や、来賓の方々、役員の方々が席についていよいよ審査結果発表。
審査結果の発表時には、ロイヤル・マリーンズ(Royal Marines)のラッパ隊まで登場し、遠く海外から来た人には喜ばしい、英国風な演出もあります。

※この大会の審査員をしたデイビット・キングが今月来日します(2009年11月19現在)。
詳しくは下の関連記事をご覧下さい
>>>>

 結果、優勝したのはブラック・ダイクでしたが、心に残る演奏をしてくれたのは、2位のフォーデンスでした。そう思ったのは私だけじゃないことを証明してくれるのは、フォーデンスの最後の音が終わりきっていないのに、我慢できずに拍手をした、大勢のお客さん達の拍手。演奏が終わった後の、鳴り止まない拍手と歓声は、ブラック・ダイクの演奏後の拍手よりも断然大きかったです。
フォーデンスの演奏がお客さんの心に届き、感動したお客さんがその感謝の気持を拍手と歓声で伝える。それは、ライブでしか味わえないコミュニケーションのひと時でした。

(2位のフォーデンス)
▲photo by Ian Clowes

 1位、2位、3位と、結果だけ見てしまえば凄い差があるように見えますが、もうこのレベルまで来てしまうと、はっきり言って好みの問題?!と思ってしまうぐらいハイレベルで、どこを差とするか分からなくなるような結果でした。日本のコンクールのように、金賞!金賞!金賞!でいいんじゃないですかね?と思うところですが、賞金がかかっていますから、そうはいかないのがイギリスのブラスバンドのコンテストですね。

(プレイヤー個人に与えられる、Best Instrumentalist賞を受賞したフォーデンスのグリン・ウィリアムス)
▲photo by Ian Clowes

上位バンド結果の記事はこちら
http://www.bandpower.net/news/2009/10/09_nbbc2009/01.htm

(優勝したブラックダイク。トロフィーと共に)
▲photo by Ian Clowes

■今ならまだ間に合う?!
BBCラジオ2ホームページにて、優勝したダイクのパフォーマンスが聞けます。
http://www.bbc.co.uk/programmes/b00ncddy#synopsis

■Listen to the Band 
http://www.bbc.co.uk/programmes/b006wrvg

(優勝したブラックダイク)
▲photo by Ian Clowes

<ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップス・オブ・
グレートブリテン演奏団体・演奏順>

1. Co-operative Funeralcare (Michael Fowles)
2. Northop (Thomas Wyss)
3. Reg Vardy (Stephen Roberts)
4. Redbridge Brass (Jeremy Wise)
5. Black Dyke (Dr. Nicholas Childs)
6. Cory (Dr. Robert Childs)
7. Desford Colliery, (James Gourlay)
8. Kirkintilloch (Selmer Simonsen)
9. Fodens (Garry Cutt)
10. Hepworth (Frank Renton)
11. Carlton Main Frickley Colliery (Russell Gray)
12. Camborne Town (Richard Evans)
13. Fairey (Philip Chalk)
14. Flowers (Paul Holland)
15. East Yorkshire Motor Services (Jason Katsikaris)
16. Pemberton Old Wigan DW (Mark Bentham)
17. Tredegar (Ian Porthouse)
18. Zone One (Richard Ward)
19. Rothwell Temperance (David Roberts)
20. Newstead Brass (Duncan Beckley)

■コンテストの写真はコチラのサイトからご覧いただけます。
http://www.pbase.com/troonly/09_london_finals

 文中に写真で紹介された、ミドルトン・バンドを含む5つのセクションの優勝団体の演奏が入ったCD。チャンピオンシップ・セクション以外のセクションにも興味のある方にオススメです!!
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1538/

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