■グレート・ノーザン・ブラス・アーツ・フェスティバル

日時:2009年9月5日
会場:ブリッジウォーターホール(マンチェスター)
BPレポーター:多田宏江

今回から始まった、英国ブラスバンド通信。レポーターの住むイングランドはマンチェスターから、英国ブラスバンドの最新の情報を発信していきたいと思います。第1号は「グレート・ノーザン・ブラス・アーツ・フェスティバル」のレポートからスタートです。

 こちらイギリスの学校は9月からが新年度。イギリスのブラスバンドも、夏休みを明けてシーズン開幕!!その開幕にふさわしく、内容盛りだくさんなイベントがこの「グレート・ノーザン・ブラス・アーツ・フェスティバル」です。

 場所は、ブリッジウォーターホール(マンチェスター)
※ブリッジウォーターホールはハレ・オーケストラが活動の拠点としているホールです。

▲ブリッジウォーターホールと、安田侃さんの作品タッチストーン

■フェスティバルの内容

10:30 <ホワイエコンサート>
ノース・セントラル・ディビジョン・サルヴェーション・アーミー・バンド
第2ロッセンディル・スコット・グループ・バンド
(North Central Divisional S.A. Band、 2nd Rossendale Scout Group Band)

11:30 <ホワイエコンサート>スケルツォ・ブラス(Scherzo Brass)

12:00 ハウスホールド・トゥループス・バンド(The Household Troops Band)

13:30 <ホワイエコンサート>スケルツォ・ブラス(Scherzo Brass)

14:15 ナショナル・チルドレン・ブラス・バンド・オブ・グレートブリテン
(National Children’s Brass Band of Great Britain)
ゲスト:ディビット・ソントン(David Thornton)/ユーフォニアム
(ブラック・ダイク、プリンシパル・ユーフォニアム奏者)

15:15 小学校合同バンド
(Wardle Junior Band, Healey, Littleborough and St. James junior School Bands)

16:15 レイランド・バンド(The Leyland Band)
ゲスト:ゾーイ・ハンコック(Zoe Hancock)-フリューゲル

18:30 <マーチング>ハウスホールド・トゥループス・バンド

19:15 ブリッグハウス&ラストリックバンド(Brighouse and Rastrick Band)
フォーデンス・バンド(Fodens Band)
ブラック・ダイク・バンド(Black Dyke Band)

ナショナル・チルドレン・ブラス・バンド・オブ・グレートブリテン 
ナショナル・チルドレン・ブラス・バンドはスコットランド、ウェールズ、イングランド、北アイルランド、マン島からオーディションによって選ばれた、8~13才までのメンバーで構成されています。(ナショナル・ユース・ブラス・バンドは12~18才)

この日はゲストに、ブラック・ダイクのプリンシパル・ユーフォニアム奏者、デイビット・ソントンをフューチャーして「Neath Dublin Skies」「Carnival of the Animals」等を演奏しました。特に「Carnival of the Animals」の白鳥では、チルドレン・バンド・プリンシパルコルネットのリィリアム(Llliam Quane)君が、デイビット・ソントンと堂々たるデュエットを披露し、大きな拍手を得ていました。若いうちから、トップ・バンドのトップ・プレイヤーと一緒に演奏し、頼もしいプレイヤーとして育っていく。そんな彼らの過程を見ているような、メンバーの今後の活躍が楽しみになる演奏会でした。

同時に、短期間のコースだけで、彼らがここまでの大舞台に立てるのも、チャンピオンシップ・セクションの活躍の影に、それ以上にたくさんのロウ・セクション・バンドがあるように、ローカルバンド、ユースバンド、学校等で彼らを支える指導者たちの努力がなければこのバンドは存在できません。このバンドを通して、若手プレイヤーたちを支えるたくさんの人たちの存在を感じました。

レイランド・バンド
レイランドの、この日の注目曲は、世界初演のフィリップ・スパークの新曲「スカラムッチャ」、ブリティッシュ・オープンのテストピース「タイタンズ・プログレス」です。
「スカラムッチャ」はバリトンのために作曲されたソロ曲で、レイランドのスター・バリトン・プレイヤー、カトリーナがこの大舞台を楽しむかのように演奏していました。

このフェスティバルから1週間後のブリティッシュ・オープンの課題曲「タイタンズ・プログレス」、ただでさえ、スタミナが必要なこの課題曲をコンサートの最後に持ってくる根性はと、ハイレベルな曲をオープンの1週間前に仕上げる実力。12日のオープンに向けての気合を感じるコンサートでした。

ゲスト・ソロイストは、ナショナル・ユース・ブラス・バンド・オブ・グレートブリテンで2008年ハリー・モーティマー・ソロ賞を受賞したフリューゲルホルン奏者ゾイ。響く安定感のある弱音で、繊細に、ロマンチックに、観客を魅了していました。

ブリッグハウス&ラストリックバンド
注目は、2006年にYBSを離れてから、久々の表舞台復帰となったデイビット・キングの指揮。未だにメンバーに女性を入れることを許していない、伝統的な男ブラスバンド!のブリッグハウスとデイビット・キングの相性はどうなのか? 観客の期待を表すかのように、元YBSプレイヤー達がちらほら客席にいるのが見えました。

1結果は個性と個性がぶつかり合ったような演奏。この演奏がコンテストの席ではどう評価されるのか、12日が楽しみなコンサートでした。

フォーデンス・バンド
昨年のブリティッシュ・オープン・チャンピオンであり、6月のオール・イングランド・マスターズで優勝したフォーデンス。そのサウンドの安定感は王者ぶりを堂々と示すものでした。ノリに乗っているフォーデンス、昨年に続いて2連覇なるか?!
演奏前には、フォーデンス、プリンシパルコルネット奏者、マーク・ウィルキンソン氏にインタビューを行いました。インタビューの内容もご覧下さい。(インタビュー記事 >>>)

ブラック・ダイク・バンド
この夏のオーストラリア公演を大成功させたブラック・ダイク。この日のコンサートでは、今までのダイクのキャラクターを打ち破るような、エンターテイメントぶりを発揮していました。
キング・オブ・クールと名づけた3曲「The Lady Is A Tramp」「 That’s Amore」「Luck Be A Lady」 の連続演奏は、スタンドプレーあり、コメディーありで、演奏とパフォーマンスの両面から観客を楽しませていました。

「The Lady Is A Tramp」はトロンボーン・ソロ&ソプラノ・アドリブ・ソロのあるジャズ。「 That’s Amore」はピストンを連打するベースのベルに、ベルを突っ込んでフリューゲルが演奏する、特殊効果を使った曲。「Luck Be A Lady」はコルネットのバックロウをフューチャーしての演奏。イギリス中のトッププレイヤーを集めたバンドだからできるコンサートでした。
ブラック・ダイクは13日のブラス・ガラコンサートでも演奏する予定です。

※フェスティバルの写真はコチラのサイトからご覧いただけます。
http://www.pbase.com/troonly/09_sep_bridgewater

次回の英国ブラスバンド通信は、9月12日にバーミンガムで行われる「ブリティッシュ・オープン」と翌日のガラコンサートの内容を中心にお伝えする予定です。次回もお楽しみに!

<記事に書かれた団体の演奏曲目>
※プログラムからの引用

◎ナショナル・チルドレンズ・ブラス・バンド・オブ・グレートブリテン
(National Children’s Brass Band of Great Britain)
指揮:ニコラス・チャイルズ(Nicholas Childs)
Thundercrest (Osterling)
First Suite in Eb (Holst)
Neath Dublin Skies (Lovatt-Cooper) Euphnium Soloist – David Thornton
Carnival of the Animals (Saint Saens arr Langford)
Gaelforce (Graham)

◎レイランド・バンド(The Leyland Band)
指揮:ジェイソン・カツィカリス(Jason Katsikaris)
The Dreaded Groove and Hook (Simon Dobson)
Scaramouche (Philip Sparke)  Baritone soloist: Katrina Marzella
Penlee (Simon Dobson)
Ballad (William Himes)  Flugel Soloist: Zoe Hancock
Congestion Charge (Nigel Hess)
Time Remembered (Philip Sparke)
Singing Stones (Andrew Baker)  Percussion soloist: Sarah Burn
Children of Sanchez (Chuck Mangione, arr. Reid Gilje)  Flugel Soloist: Zoe Hancock
Titan’s Progress (Hermann Pallhuber)

◎ブリッグハウス&ラストリックバンド(Brighouse and Rastrick Band)
指揮:デイビット・キング(David King)
Overture – Colas Breugnon (Kabalevsky arr Bennett)
Summer Isles Euphonium Soloist – Stephen Walsh (Sparke)
Silver Mountain (Goff Richards)
Molly on the Shore (Grainger arr Snell)
Hymn to Diana (Turrin)
Prelude to the Holberg Suite (Grieg arr Ashmore)

◎フォーデンス・バンド(Fodens Band)
指揮:ギャリー・コット (Garry Cutt)
Le Carnival Romain (Berlioz arr Wright)
All in Love is Fair (Wonder arr Scott) Trombone Soloist: John Barber
The Green Hornet – Solo Cornet Feature (May arr Smith)
The Waltonian (JJ Richards)
Reflections in Nature (Redhead)
Cappricio Espagnol (Rimsky-Korsakov arr Wilkinson)

◎ブラック・ダイク・バンド(Black Dyke Band)
指揮:ニコラス・チャイルズ(Nicholas Childs)
Horizons (Paul Lovatt-Cooper)
Marriage of Figaro (Mozart)
Theme and Variations (Rossini) Euphonium Soloist: David Thornton
King of Cool The Lady Is A Tramp (Rodgers/Hart)
That’s Amore (Warren) Flugel Horn soloist: Alex Kerwin
Luck Be A Lady (Loesser)
March (from Pines of Rome) (Respighi arr Snell)

◎番外編<注目のブラス・カルテット>

▲スケルツォ・ブラス(Scherzo Brass)

北王立音楽院出身のプレイヤーによる金管四重奏で、コルネット2本、テナーホーン1本、ユーフォニアム1本で編成されています。2007年ブリティッシュ・オープン・カルテット・チャンピオンシップ、2008年フィリップ・ジョン・ブラス・アンサンブル・チャンピオンシップでそれぞれで優勝しており、今月CDもリリースした、今、注目を集めているブラス・カルテットです。

http://www.scherzobrass.co.uk/main.html

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