■ホラー小組曲(作曲:トーマス・ドス)

 

 アメリカでジョン・ウィリアムズのアシスタントとなり、オーストリアに帰国後、作曲家として活躍し、指揮者としても評価の高いトーマス・ドスが、スクール・バンドから市民バンドまで、さまざまなレベルのバンドで演奏できるように書いた、理屈抜きに愉しいエンターテイメント作品です。

  曲は、5つの短い楽章で構成されます。

  第1楽章は、ホラーを題材にするこの曲にふさわしく、キリスト教社会では最も忌み嫌われる「13日の金曜日」をテーマとします。不気味なムードのイントロでいきなり聞こえる“悲鳴”など、小さな仕掛けが、恐怖の世界へと誘います。

  “草木も眠る丑三つ時”とは、日本の怪談の決まり文句ですが、ヨーロッパやアメリカでも“夜”はやはり物の怪たちの世界のようです。第2楽章「真夜中のシーン」では、真夜中に響く足音やキーキーという軋みや12時を告げる時計、妖精たちのダンスなどが描かれます。

  第3楽章のタイトルになっている「ウルダラク」は、美しい女性の姿で人を誘惑するという、スラヴ諸国で恐れられる邪悪な吸血種族、精霊です。テンポの速い細かな動きが、鼓動の高まりを示すように恐怖心を煽ります。

  第4楽章の「ブードゥー」は、ハイチや西アフリカで広く信じられ、西洋人からは魔術であるかのように恐れられる民間信仰です。ゆったりとしたテンポで聞こえてくる太鼓や笛の音が、動物の生贄(いけにえ)を供え、歌と踊りを伴って行なわれるブードゥーの儀式を表わします。

  最終の第5楽章「ハロウィン・パーティー・マーチ」は、とてもハッピーな楽章です。ここでは、万霊節の宵祭りで“おばけ”などに仮装した子供たちが知人の家などを訪ね歩き、菓子などをねだる、アメリカのハロウィン・パーティーの情景がマーチとして描かれています。

  それにしても、どの楽章も曲名と情景描写がピッタリきます。さすがは映画音楽の大家のアシスタントをつとめた人の音楽ですね!

  楽器編成も大きくなく、どのような編成のバンドでも愉しく演奏できる組曲。
全曲を取り上げるもよし、楽章をピックアップするのもよし。

  レパートリーにバラエティーをもたせる、とても愉しい音楽です。

【トーマス・ドス】
1966年6月6日、オーストリアのリンツに生まれる。リンツのブルックナー音楽院にトロンボーン、作曲、指揮、ピアノを学ぶ。その後、ウィーンの音楽学校、ザルツブルク、モーツァルテウム音楽院、マーストリヒト音楽院などで、さらに研鑽を積む。その後、アメリカ・ロサンゼルスのユニバーサル・スタジオで、ジョン・ウィリアムズのスタッフとして活動した。『アトランティス』、『アルピナ・サガ』、『セント・フローリアン・コラール』、『シダス』など、ウィンド・バンドのための多くの作品が人気を集めている。

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