オーウェン・ファー/コーリー・バンド~新しい夜明け…テナーホーンという楽器を知らなくても、たちまちこの楽器の魅力の虜になってしまいそうな、すばらしいアルバムだ!

世界最高峰のテナーホーン奏者としてワールドワイドな活躍がつづくオーウェン・ファーのほれぼれするようなパフォーマンスを満喫できるアルバム!

 2007年の「アントールド・ストーリーズ」(CD-1237)につづく待望の第2弾ソロCD。バックをつとめるのは、もちろん、ファーがソロ・テナーホーン奏者をつとめるウェールズの至宝、コーリー・バンド!

 収録レパートリーは、コンチェルトからポップまで、すべてがテナーホーンのために書かれ、これまでに録音されたことがない新作のオリジナルかアレンジという徹底したアルバム作り!

 ファーによると、このアルバム・コンセプトは、コーリーの音楽監督フィリップ・ハーパーの提案によるものだという。

 実は、ハーパーも、かつては有名なサン・ライフ・バンドでソロ・テナーホーン奏者として活躍した。テナーホーンという楽器を愛してやまないファーも敬意を抱く一人なのだ。

 そして、独奏者と指揮者がともにテナーホーンの名手という、そんなコンビでレコーディングされたこのアルバム。最も注目したいのは、やはりテナーホーンのために書かれた新しいオリジナル作品だろう!

 アルバムは、クリストファー・ボンドの『新しい夜明け』で幕開ける! ファーの委嘱で、2013年秋に初演されたオリジナルで、キラキラと分散和音が煌めく前奏からのスピード感あふれる展開は、まさしくテナーホーンの新しい時代の到来を強く感じさせる力感をもっている。

 この曲名をアルバム・タイトルとして提案したのは、ファーの奥さんのお母さんだったという。また、バック・インレイにはまるで人工衛星から見た地平線のような丸いラインが映っているが、実はコレ、ファーが使っているテナーホーンのベルなんだそうだ。こちらは、ハーパーのアイデア!

 入っている音楽ともども、なんとも愉しいアルバム作りだ!!

 2曲目に入っているウェールズの作曲家アンドルー・ベイカーの『ドラゴン・ダンス』もファーの委嘱作で、2010年の初演。タイトルの“ドラゴン”は、もちろんウェールズをさしてのもので、曲は、哀愁を帯びた“故郷への憧憬”と“熱狂的な喜びと情熱”という、ウェールズが抱く対照的な2つのコンセプトからなっている。

 つづく『ケルティック・プロミス』は、指揮者のハーパーがテナーホーン奏者リチャード・ナイトのために2002年に書いた作品で、今回が初録音。民謡のようなメロディーラインが印象的だが、これは作曲者の創作で、古いケルトの伝説の雰囲気を醸し出し、静かで陰気な丘に霧が上がっていくようなイメージが伝わってくる。

 ファーの心に沁み入るように響くソロは、とても味わい深い!

 ロドニー・ニュートンの『テナー・トッカータ』は、ファーのために書かれ、2002年にマンチェスターで初演された。オリジナルは、ピアノ伴奏のソロ曲で、ブラスバンド伴奏版は、このCDが初録音。ファンファーレのような主題が展開する前後部にゆったりと歌われる中間部をもつ構成の器楽曲で、ファーの安定したテクニックが光っている!

 『ディヴァージョンズ・オン・グワホーズィアド』の作曲者トム・デイヴォーレンは、現在イギリスで人気急上昇中の若手作曲家だ! 有名なウェールズの賛歌の旋律を主題として書かれたこの曲も、作曲者の多才ぶりを遺憾なく発揮したすばらしい作品となっている!

 とにかく理屈抜きに愉しいのがいい!

 つづくダン・プライスの『トリップ・ザ・ライト・ファンタスティック』も、愉しい作品だ! ファーの音楽性とテクニックを念頭において書かれた変化に富んだ作品で、一番の聴きどころは、間違いなく後半にある長めのカデンツァ!

 ここでは、ファーのすばらしいテクニックが堪能できる!

 ピーター・ミーチャンの『ヘンデルの主題によるトリプティック』とルーシー・パンクハーストの『テナーホーン協奏曲』は、3部構成のオーソドックスな構成をとる作品だ。

 この内、『テナーホーン協奏曲』は、とくに要注目作品!

 作曲者のパンクハーストは、2011年、イギリス作曲者賞に輝く注目の女流作曲家で、自身テナーホーンを演奏し、ロイヤル・ノーザン音楽カレッジ在学中はファーに師事した。

 曲は、中世の騎士の戦いをイメージさせる“武具を呼び覚ませ”、民謡調の旋律が聴かれる“忘れられし誓い”、激しさを取り戻し再現部をもつ“愚か者の踊り”の3楽章で構成されるが、さすがにテナーホーンを熟知する作曲家の手になる音楽で、心にせまる旋律線や情景の浮かんでくるドラマチックな展開が印象的。随所にこの楽器の魅力を前面に押し出す演奏テクニックが選択されている点が凄い!

 それを美しい歌心と澱みのないテクニックで、いとも簡単に聴かせるファー!!

 さすがに、テナーホーンの第一人者だ!

 バックをつとめるコーリーのパフォーマンスもファースト・クラス!

 たとえテナーホーンという楽器のことをよく知らなくても、たちまちの内にこの楽器の魅力の虜になってしまいそうな、そんな魅力あふれるすばらしいアルバムだ!

【収録曲など詳細をBPショップでチェックする】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3348/


◎オーウェン・ファーのソロCDをチェックする

■アントールド・ストーリーズ オーウェン・ファー
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1237/

吹奏楽マガジン バンドパワー

◎オーウェン・ファーが参加するブラス・カルテットのCDをチェックする

■エミネンス・ブラス~トリビュート
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3276/

吹奏楽マガジン バンドパワー

■エミネンス・ブラス~ジュエルズ
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3277/

吹奏楽マガジン バンドパワー

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