これを超える「ケンブリッジ・ヴァリエーション」(スパーク)をいまだ聴いたことがない! CD「ヨーロピアン・ブラスバンド選手権1993」が再登場!

日本ではバンドパワーが火付け役になった「ヨーロピアン・ブラスバンド選手権」シリーズ!

 これは、その1993年大会のライヴ盤だ!!

 会場は、イングランド南西部デヴォン州の港湾都市プリマスのパビリオン・シアター。プリマスは、ポーツマス、チャタムと並ぶイギリス海軍の重要な軍港をもち、17世紀、ピューリタン(清教徒)を含むピルグリム・ファーザーズの一行を乗せ、新大陸へと向かったメイフラワー号が出帆した町としてもとても有名だ。

 “ひと昔”どころか、今から“ふた昔前”のヨーロピアンを収めたライヴ盤だが、アルバムからは、巨大な音楽イベントに発展した昨今のヨーロピアンとは相当違ったムードが感じられる。

 それもそのはず、出場全11バンド中、半数以上の6バンドがイングランド、ウェールズ、スコットランドからのエントリーで、残る5バンドがヨーロッパ諸国からのエントリー。演奏曲も1曲を除いて、すべてイギリス人作曲家の作品であるなど、選手権全体にイギリス色が色濃く残っていた。

 とはいえ、エントリー全バンドが必ず演奏しなければならない“セット・テストピース(指定課題)”とバンドが自由に選ぶことのできる“オウン・チョイス・テストピース(自由選択課題)”の合計点で優勝を競うルールは今と同じ!

 ただし、当時はこれを同じ日の内に行っていた!

 出場バンドは、くじ引きの結果に従い、まず“セット・テストピース”を演奏し、その後、再びくじ順に従って“オウン・チョイス”に挑むという展開だった!

1993年の“セット・テストピース”は、この前月の4月14日に亡くなったジョン・ゴーランドの『サウンズ』。ウィナーは、ジェームズ・ガーレイが指揮したスイスのブラスバンド・ベルナー・オーバーラント。ガーレイは、バーミンガム市交響楽団、BBC交響楽団、チューリッヒ歌劇場でテューバ奏者として活躍し、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのメンバーでもあった。得点は、なんと100ポイント中、98ポイントというハイ・スコア!!

 続いて行われた“オウン・チョイス”では、伝説のマエストロ、ピーター・パークスが指揮したイングランドのウィリアムズ・フェアリー・エンジニアリング・バンドが、フィリップ・スパークの『ケンブリッジ・ヴァリエーション』のアツい演奏で場内を大いに沸かせた! 得点は、この日最高点の99ポイント!!

 誰もがウィリアムズ・フェアリーの優勝を信じて疑わないすばらしいパフォーマンスだったが、1993年チャンピオンに輝いたのは、セット・テストピースで93ポイント、オウン・チョイスで98ポイントの合計191ポイントを挙げ、合計点がウィリアムズ・フェアリーと並んだフランス・ヴィオレット指揮、ベルギーのブラスバンド・ヴィレブルークだった。

 ヴィレブルークにとって、これは7度目の出場で果たした記念すべき初優勝!!

 《合計点が同点の場合、セット・テストピースの得点上位のバンドを上位とする》というルールが適応された結果だった。

 CDには、オウン・チョイスの演奏でウィリアムズ・フェアリーにわずかに1ポイント及ばなかったものの、98ポイントという、この日2番目に高いスコアを叩きだしたスパークの『エニグマ変奏曲』が収録された。

 これら3バンドの演奏は、いずれももの凄いスキルの高いパフォーマンス。しかし、その中でも特記しておきたいのは、正しく“鳥肌”ものとなったパークス指揮の『ケンブリッジ・ヴァリエーション』だ!!

 もの凄い興奮と疾走感が聴くもののハートを駆け抜けていく!

 これこそ正しくアーカイヴで、他のオブラッソ盤に収録されたフィリップ・ウィルビーの「パガニーニ・ヴァリエ―ション」(CD:レッツ・ゴー!/ CD-0612)やポリフォニック盤に収録された同じくウィルビーの「マスカレード」(CD:フェアリー・バンド~ダブル・チャンピオンズ / CD-3726)、ブルジョワの「ビトウィーン・ザ・デビル・アンド・ザ・ディープ・ブルー・シー」(同)などと並び、この当時、有名なブラック・ダイクを差し置き、実力、人気ともに世界一と謳われたパークス指揮ウィリアムズ・フェアリーの音楽性とスキルの高さを堪能できるベスト・パフォーマンスだ!

 後世に語り伝えるべき演奏とは、まさにこれ!!

 審査の合間に行われたガラ・コンサートでは、前年の1992年大会でスパークの「ドラゴンの年」(CD:ヨーロピアン・ブラスバンド選手権1992 / CD-1602)の超絶パフォーマンスで優勝を飾ったハワード・スネル指揮、ブリタニア・ビルディング・ソサエティ・バンドと地元の2バンドがステージに登場!

 今やブラック・ダイクの指揮者として活躍するニコラス・チャイルズが、重音奏法まで駆使して超絶テクニックでを聴かせるユーフォニアム独奏曲『春の日の花と輝く』や、イギリス人が“ウォーム・サウンド”と例えるサクソルン属金管ならではの美しいハーモニーが愉しめる『古きシャレ―』など、聴き逃せないパフォーマンスが満載だ!

 本当に長い間、マーケットから完全に姿を消していたが、ほんの少数だけ限定数復活となったこのCD! これ以上のプレスは見込めないということなので、ヨーロピアン・ファンはぜひとも押さえておきたいところ。

 ホールのナチュラルな響きをとらえた作り物でないサウンドも心地いい!!

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■1993年ヨーロピアン選手権の結果

【1】Brass Band Willebroek(ベルギー)/指揮:Frans Violet
自由選択課題:Variations on an Enigma (Philip Sparke)
得点:93 + 98 = 191 (指定課題 + 自由選択課題 = 総得点)

【2】Williams-Fairey Engineering Band(イングランド)/指揮:Major Peter Parkes
自由選択課題:Cambridge Variations (Philip Sparke)
得点:92 + 99 = 191

【3】Cory Band(ウェールズ)/指揮:Michael Antrobus
自由選択課題:Harmony Music (Philip Sparke)
得点:95 + 94 = 189

【4】Grimethorpe Colliery Band(イングランド)/指揮:Frank Renton
自由選択課題:Paganini Variations (Philip Wilby)
得点:94 + 95 = 189

【5】Brass Band Berneroberland(スイス)/指揮:James Gourlay
自由選択課題:Of Men and Mountains (Edward Gregson)
得点:98 + 87 = 185

【6】Britannia Building Society Band(イングランド)/指揮:Howard Snell
自由選択課題:Paganini Variations (Philip Wilby)
得点:97 + 86 = 183

【7】Desford Colliery Caterpillar Band(イングランド)/指揮:Stephen Roberts
自由選択課題:Diversions on a Bass Theme (George Lloyd)
得点:89 + 80 = 179

【8】Brass Band De Waldsang(オランダ)/指揮:Rieks van der Velde
自由選択課題:Paganini Variations (Philip Wilby)
得点:87 + 92 = 179

【9】Stavanger Brass(ノルウェー)/指揮:Richard Evans
自由選択課題:English Heritage (George Lloyd)
得点:90 + 88 = 178

【10】Murray International Whitburn Band(スコットランド)/指揮:Anthony Swainson
自由選択課題:Paganini Variations (Philip Wilby)
得点:84 + 91 = 175

【11】Gothenburg Brass Band(スウェーデン)/指揮:Bengt Eklund
自由選択課題:Trittico (James Curnow)
得点:82 + 85 = 167

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