横浜栄区民吹奏楽団 第12回定期演奏会…また、新たな吹奏楽の歴史に残る交響曲(清水大輔)が誕生した!

 2015年1月25日。また吹奏楽の歴史にのこる交響曲が誕生した。

 この世界では知らないものはいない人気作曲家。清水大輔の交響曲第1番である。
構想は3年前に遡る。清水作品を良く知る一人の廣瀬康二氏率いる横浜栄区民吹奏楽団による委嘱作品として作曲者が構想として描いていたもの。これが交響曲第1番の構想であった。
実際この構想を伝えられた際、廣瀬氏は規模の大きさに躊躇したという。ただ、互いの気心しれた関係と、過去4作品を初演したという自信が委嘱として生まれるきっかけとなった。
当初、作品は20分程度の作品で第10回の定期で初演される予定であった。だが、あの3.11。そう、あの未曾有の大震災の影響で開催予定だったミューザ川崎が全面使用不可となり一度暗礁に乗り上げてしまった。

 一度暗礁に乗り上げてしまうとこの世界、立ち消えとなってうことが多いが、廣瀬氏がせっかくのこの機会を逸することは惜しまれる。期限を設けないから是非完成させて欲しい。と強い後押しもあり、予定より遅くなった2014年についに4楽章形式の交響曲第1番が完成された。

 演奏に先立って、今回の司会者である川勝亮太郎氏(この方もナレーターとして、清水作品の初演に立ち会っておられます)と共にプレトークが行われた。その中で作品の完成順が3楽章、2楽章、1楽章、そして4楽章と至ったことなど作品を聞く前に入り口となる部分を聞き、俄然聴衆の期待が高まった。

 今回は作成順に簡単な曲の印象を書かせて頂く。
まず最初に作曲された第3楽章adagio、今までの清水作品とは異なり、祈りが会場中を支配する。美しいコラールと、間(ま)が緊張と祈りが印象的。この楽章は2008年に早逝された富永啓之氏への、そして2011年のあの震災に対して作曲者の祈りなのである。富永氏は清水作品を早期から評価しており、BPからマネジメントをし、世に送りだした清水にとって最大の理解者である。このアダージョは清水が富永氏に送った感謝と追悼への曲となる。

 続いて2楽章Scherzo。交響曲のスタイルでの緩急の急にあたる部分にジャズのテイストを織り交ぜる。同じフレーズが幾度もなく違う楽器により演奏され、スピード感と危うさを感じさせる。そして、時折見せる3楽章のテーマが次なる楽章の入り口へと誘う素振りを見せる。

 第1楽章はIntroduction and Theme。序楽章の入り口は混沌から始まる。ピアノが長い木管とホルンの旋律を導き、それは金管の暖かいコラールへ変容する。それもつかの間、混沌の中に胎動するバスドラムの鼓動から最高潮の状態となり解放される。暖かいフレーズが奏でられるがすぐに打楽器の一撃により曲は締められる。

 第4楽章Finale。作曲者の今を伺い知れるエネルギーを持った楽章。トゥッティの豊かな響きがホール中を包み込んだあとは打楽器軍の軽快なリズムを先陣にガムラン風のメロディが流れ、そこから変容し歓喜の歌が聞こえる。それは祈りからの喜びの歌とも取れるのではないか。
一旦の静寂の後木管群の暖かい歌。人間の相貌愛歌。浮き上がっては消え、浮き上がっては消え。木管の響きはやがて金管に移り変り、再度祈りのハーモニーが鳴り曲を締める。

 この交響曲に対し、清水自身は副題やテーマを具体的に表記していない。これは奏者、指揮者、聴衆に対し先入観を持たせず、自由なイメージを持ってもらいたいのだろう。私が感じた印象は「生命」の交響曲である。ここは是非今後演奏されるであろう機会で感じ取ってもらいたい。

 筆者も多数清水作品を聴かせていただいたが、これほどまでにエネルギーを持った作品はこの曲が一番であろう。

 今後の清水大輔の更なる成功を期待しつつ、レポートを締めたい。そして、全身全霊を込めて演奏した演奏者と指揮者に大きな賛辞を送るばかりである。

■清水大輔の楽譜、CD
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/c/0000000416/

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