オットー・M・シュヴァルツ~アンネの日記…トーマス・ドスやシュヴァルツの魅力作品が色々入ってて、楽しめるぞ!

吹奏楽マガジン バンドパワー

 ドイツで最も充実した編成を有するミリタリー・バンド、ドイツ連邦軍コンサート・バンドが演奏するヨーロッパの香り漂うコンサート・アルバム!

 収録されているのは、トーマス・ドスやオットー・M・シュヴァルツなど、オーストリア、ドイツの作編曲家のオリジナルとクラシックのトランスクリプションを中心としたレパートリーで、ドイツのバンドらしい重心の低い安定感のあるアンサンブルは、アメリカン・サウンドに慣れきった我々の耳にはまったく別物の吹奏楽として新鮮に響く。

 とても華やかなドスの『ファイアワーク』で始まるこのアルバムで、いま最も注目しておきたい作品は、やはりシュヴァルツの『白バラの秘密』、『ムンドゥス・ノーヴス~新世界の発見』、『アンネの日記』の3作だろう!

 3作品中、最初に登場する『白バラの秘密』は、スイスのフリブール青少年音楽家協会の創立40周年記念委嘱作で、2013年1月6日、作曲者自身の指揮で初演された。

 第2次世界大戦中の1943年、非暴力による反ナチス抵抗運動“白バラ抵抗運動”を行なって兄のハンスらとともに逮捕され、国家反逆罪で処刑されたミュンヘン大学の女子学生ゾフィー・ショル(1921~1943)をテーマとして描いた作品だ。

 わずか21才でこの世を去ることになったショルの悲劇は、2005年のドイツ映画「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」などでおなじみだろう。

 シュヴァルツのこの作品も、たいへんドラマチックな内容を持ち、闘争を示す激しいテーマと哀愁を帯びたテーマのコントラストがその短い一生と悲劇を語っていく。

 対照的に、『ムンドゥス・ノーヴス~新世界の発見』は、とても活力に溢れた作品だ。

 フランス北部のサン=ディエ=デ=ヴォージュ吹奏楽団によって委嘱され、2012年10月11日、サン=ディエ=デ=ヴォージュ大聖堂で作曲者自身の指揮で初演された。

 曲名の“ムンドゥス・ノーヴス”は、新世界を目指した探検家アメリゴ・ヴェスプッチ(1454~1512)が、1502年にフローレンスの貴族ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・ディ・メディチに送った手紙形式の旅行記で、それ自体“新世界”という意味をもつ。

 アメリカ大陸に到達した西洋人はコロンブスが有名だが、この作品の主人公ヴェスプッチは、南アメリカ大陸を探検中、それが既知の大陸とは別の未知の“新大陸”であることを証明した。“アメリカ”という地名もアメリゴ・ヴェスプッチの名前がその由来。曲は、そんなヴェスプッチの航海と探検をエネルギッシュに描いている。

 アルバムをしめくくる『アンネの日記』は、オランダ、アーンヘムの音楽情報センターの委嘱で作曲され、2013年6月3日、オーストリアのヴィムパッシンクで、作曲者が指揮するヴィムパッシンク交響吹奏楽団の演奏で初演された。

 題材は、第2次世界大戦中、亡命先オランダのアムステルダムにあった隠れ家で暮らし、その後捉えられて強制収容所で亡くなったユダヤ系ドイツ人少女アンネ・フランク(1929~1945)。

 その隠遁生活中に書かれた日記は、戦後世界各国で翻訳されて出版され、人々に大きなショックを与えた。

 ジャケットに使われている写真が生前の本人で、サインも本人のもの。

 曲は、哀愁を帯びた導入に始まり、アンネの短い生涯やキャラクターを劇的に描く。そのままドラマや映画のバックに流してもいいような音楽づくりで、聴く者の胸にぐいぐいせまってくる。また、曲中、随所に印象的なヴァイオリン・ソロ(スコアには、フルートにオプションの音符が書かれている)が聴かれるが、このメロディーがとてもハートに沁みる。

 間違いなく、要注目の衝撃作だ!!!

 (作曲者が意図する以上3曲の場面展開について、ブックレットの詳細な英文説明を参照すれば、音楽的にさらに理解を深めることができる。)

 その他、シュヴァルツ以外の作品でとくに注目したいのは、テューバ独奏用に新しくトランスクライブされたジュゼッペ・アントニオ・カプッツィの有名な『コントラバス協奏曲』の“アンダンテ”と“ロンド”。有りそうでなかなか無かった編曲であり、テューバ奏者のための愉しいレパートリーが新しく1つ加わった印象だ!

【収録曲など、このCDの詳細をBPショップでチェックする】
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-3038/

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