ブラック・ダイク~マーティン・エレビー:エレクトラ…、セッションなのにライヴのようなすばらしい高揚感が味わえる傑作!

吹奏楽マガジン バンドパワー

 世界中のブラスバンド・ファンの憧れの的となっている、イングランドのブラスバンド、ブラック・ダイク・バンド!

 「エレクトラ」と題するこのアルバムは、そのブラック・ダイクが、最新オリジナルに真正面からとりくんだ聴きごたえ満点の超アグレッシブなコンサート・アルバムとなっている!

 レコーディングは、2013年2月、イングランドのウェストヨークシャー、リーズのモーリー・タウン・ホールで行われ、指揮は、音楽監督ニコラス(ニック)・チャイルズ、音楽助監督ロバート(ボブ)・チャイルズ。

 今さら言うまでもないが、2人は、かつてユーフォニアム兄弟デュオ“チャイルズ・ブラザーズ”として活躍。近年はともに指揮者として実績を積み重ねている。

 このアルバムでは、マーティン・エレビーの『エレクトラ』、ジェームズ・マクミランの『ラッパを吹き鳴らせ』、アレクサンデル・コミタスヴィタの『エテルナ・ヴァリエーション』の3曲を弟のニコラスが、フィリップ・ウィルビーの『ワン・スター – セイリング・ウエスト』、ピーター・グレイアムの『ラジオ・シティ』の2曲を兄のロバートが指揮をしている。

 オーピング・ピースのエレビーの『エレクトラ』は、2012年9月1日、バーミンガム・シンフォニー・ホールで行われた「第160回全英オープン・ブラスバンド選手権(British Open Brass Band Champioships)」のテストピースとして委嘱により作曲された。

 (選手権の優勝者は、アラン・ウィジントン指揮、フォーデンズ・バンド。)

 リヒャルト・シュトラウスの1903年の歌劇「エレクトラ(ドイツ語原題:Elektra)」のキャラクターと使われている和声に触発された作品であることから、英語のスペルでElectraとネーミングされた。しかし、歌劇に使われているメロディー等は一切使用されず、作品全体がエレビーのオリジナルだ。ジャズの要素も含む小刻みなリズムがフィーチャーされ、都会的なコンテンポラリー・タッチが感じられる“復讐への渇望”、美しいメロディーが織りなす“哀歌”、陰鬱としたムードと激情がほとばしる“死の踊り”の3つの楽章で構成されている。

 まるでライヴのような推進力!中間部の美しさとフィナーレに至る興奮が心地いい!

 ズ―・ハンコックのフリューゲルホーン・ソロがフィーチャーされているウィルビーの『ワン・スター – セイリング・ウエスト』は、ハンコックのために特に書かれた。作曲者の家族がコーニッシュ半島を巡って帆走航海をしたときの印象からインスパイアーされており、音の風景画といった面持ちをもっている。

 スコットランド生まれの作曲家ジェームズ・マクミランの『ラッパを吹き鳴らせ』は、2012年7月1日、バーミンガム・シンフォニー・ホールで催された「ブリティッシュ・バンズマン125周年コンサート」でブラック・ダイクが初演した作品。作曲者自身、ブラスバンドでコルネットを吹いていたことがあり、ウィンド・バンド(吹奏楽)のための作品もある。ややコンテンポラリーの立場にたった作品であり、タイトルどおり、さまざまなブラス・プレイの手法が生み出す立体的な音響効果が盛り込まれている。

 同じくスコットランド生まれのピーター・グレイアムの『ラジオ・シティ』は、アメリカン・ムード満開のラジオ・アナウンサーのナレーションとジャズ・フィーリングを盛り込んだコンサート・ピースで、“シティ・ノワール”、“カフェ・ルージュ”、“ツー・ミニーツ・マイル”の短い3つの楽章で構成される。ニューヨークに住んでいた頃に触れた本場のジャズにインスパイアーされた都会的タッチの作品だ。

 アルバムをしめくくるのは、2012年5月、オランダ、ロッテルダムのコンサート・ホール“デ・ドゥーレン”で行われた「ヨーロピアン・ブラスバンド選手権2012」のセット・テストピース(指定課題)として作曲され、はやくも“名曲”の呼び声も高いオランダのアレクサンデル・コミタスの『ヴィタ・エテルナ・ヴァリエーション』だ!

 ブラック・ダイクは、この指定課題の演奏で100点満点中、98ポイントというハイスコアをゲット、翌日の自由選択課題と合わせ、総合195ポイントで、7年ぶり12回目のチャンピオンに輝いた。

 (場内総立ちのスタンディング・オーベイションとなったその圧倒的なライヴは、CDとDVDに収録されているので、そちらも要チェック!)(CD-2643 / DVD-9517)

 曲は、オランダの医師ピム・ヴァンロンメルが臨死体験をテーマに著したベストセラー「コンシャスネス・ビヨンド・ライフ(意識、寿命を超えて)」からインスパイアーされた変奏曲で、導入につづき主題が提示され、6つの変奏、そしてフィナーレに至る。

 タイトルのラテン語“Vita Eterna”は“永遠の命”という意味。21世紀のコンテンポラリーを意識した作品ではなく、まるでロマン派のクラシック音楽を聴くような親しみやすく美しい主題から展開され、精神的な高揚が感じられる作品だ。

 そして、このアルバムでのブラック・ダイクの演奏! これが実にすばらしい!!!

 ヨーロピアン優勝後のライヴをへて、さらに細部が熟成されたイメージで、セッション・レコーディングなのにライヴのようなすばらしい高揚感が味わえ、何度聴いても感動がせまってくる!

 数あるブラック・ダイクのレコーディングの中でもトップ・ランクに挙げたい1枚だ!

【収録曲】
1. エレクトラ/マーティン・エレビー
2. ワン・スター – セイリング・ウエスト/フィリップ・ウィルビー
3. ラッパを吹き鳴らせ/ジェームズ・マクミラン
4. ラジオ・シティ/ピーター・グレイアム
5. ヴィタ・エテルナ・ヴァリエーション/アレクサンデル・コミタス

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