【コラム】富樫鉄火のグル新 第372回【新刊紹介】本名も住所も本籍も、まったく証明できない人間が、現代社会には、いる!

いろんな音楽解説を書いていると、作曲家の「没後」の哀れさに、胸を塞がれることがある。
モーツァルトがまともな葬儀もなく共同墓地に葬られたことは有名だ。結局、遺体がどこに埋葬されたのか、正確にはわかっていない。
ハイドンは、没後、頭蓋骨マニアに墓をあばかれ、頭部を切り取って盗まれた。もどされて全身が”合体”したのは、150年後のことだった。
パガニーニは、生前、あまりのヴァイオリン演奏の凄さに、「悪魔に魂を売った」といわれていた。そのため、没後は、教会が埋葬を拒否した。遺体は防腐処理され、36年間も棺のまま、各地をさ迷った。

人間には、没後も椿事がつきまとう。
しかし、いまの時代に、このような「没後」があろうとは。

2020年4月、兵庫県尼崎市内のアパートの一室で、75歳くらいの老女が遺体で発見された。死因はクモ膜下出血。

ところが、この老女、謎だらけだった。

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