【コラム】富樫鉄火のグル新 第348回 7年目の「イスラーム映画祭」

 今年で7回目になる「イスラーム映画祭」が、2月19~25日、東京・渋谷のユーロスペースで開催された。これは、その名のとおり、イスラム文化圏で製作された映画、あるいはイスラム文化を題材にした映画の特集上映だ。
 なにぶん、1週間で(アンコール上映も含めて)10数本の作品が上映されるので、とてもすべてを観ることはできない。それでも、わたしは、第1回からいままで、半分強の作品を観てきた。

 とにかく、どの映画も、抜群に「面白い」。恋愛、メロドラマ、不倫、コメディ、テロ、戦争、宗教対立、旅、家族、子ども、スポーツ、同性愛……あらゆる題材の映画が並ぶ。イスラム世界に、これほど豊かな映画文化があることに、驚かされる。マイ・カーでドライヴしながらえんえん話すとか、万引きで家族を養うとか、昨今の日本映画に慣れていると、脳天をぶち抜かれるだろう。

 しかもこれは、映画ファンの藤本高之さん個人が、「ひとり」で主宰しているイベントである(驚嘆すべきことなのだが、ここに触れると長くなるので割愛。ネット上にインタビューや紹介記事が山ほどある)。よくこれだけの作品を、個人で探し出し、交渉し、素材を輸入し、字幕を付けて上映するものだと、感動する。

 これからほかの都市での開催もあるし、来年以降のアンコール上映もあるかもしれないので、わたしがこの7年間で観てきたなかから、忘れられない作品をご紹介しておく。今後、機会があれば、万難を排して観ていただきたい、どれも素晴らしい映画である。

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