■樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言 第162話 Shion Times(シオンタイムズ)の系譜

▲「Shion Times シオンタイムズ」第58号(2022年1月)

▲My Favorite Classic Vol.01(同、第50号、2020年7月)

▲My Favorite Classic Vol.02(同、第51号、2020年9月)

▲My Favorite Classic Vol.03(同、第52号、2020年12月)

いつも、Osaka Shion Wind Orchestraの演奏会に出かけるとき、筆者のささやかな愉しみのひとつに、プログラムなどと共に入場時に配られる楽団発の広報紙「Shion Times シオンタイムズ」がある。

同紙の創刊号は、2014年(平成26年)4月1日(火)の発行。つまり、大阪市直営から民営化された当日の発行だ。そして、当時の楽団名が市営時代から引き継がれた“大阪市音楽団”のままだったから、同紙も「市音タイムズ」という名称で船出した。

当初は月刊で、楽団名が“Osaka Shion Wind Orchestra”に変更された2015年(平成27年)4月1日(水)の第13号からは「Shionタイムズ」と名を改めた。

また、2016年(平成28年)2月1日(月)の第23号以降は、合併号や季刊号もあったが、基本的に隔月刊のペースで発行され、2021年(令和3年)4月発行の第50号を機に表題を英語・日本語併記の「Shion Times シオンタイムズ」に改めた。

内容は、近く行なわれる演奏会の告知はもとより、音楽監督の宮川彬良さん、芸術顧問の秋山和慶さん、楽団長の石井徹哉さんのファンに向けてのメッセージや楽団員のお気に入り曲、各種特典など、その時その時にShionが伝えたい情報が盛りだくさん!!

近年では、ホルン奏者で事務局長の長谷行康さんの「事務局長のお仕事」(第51号)、ステージマネージャーの西上育郎さんの「ステージマネージャーのお仕事」(第52号)、チーフライブラリアンの津村芳伯さんの「ライブラリアンのお仕事」(第53号)、コンサートマスターの古賀喜比古さんの「コンサートマスターのお仕事」(第54号)という活動を支える人達が“自らの役割”をアツく語った“お仕事”シリーズや打楽器奏者でインスペクターの高鍋 歩さんが縁りが深い作曲家や作品について自由に語った「今月の作曲家(Our Favorite Composers)」(第55号~)のような特色あるコラムがファンの関心を呼んでいる。

因みに、「今月の作曲家」では、第55号でフィリップ・スパーク(Philip Sparke)の、第56号でヤン・ヴァンデルロースト(Jan Van der Roost)の、第57号でヨハン・デメイ(Johan de Meij)の、第58号でジェームズ・バーンズ(James Barnes)の各5作品について、プレイヤー目線の紹介がなされている。

このように、ファンと楽団とを結ぶ貴重なツールとなっている「Shion Times シオンタイムズ」だが、実は同紙には前史があり、その始まりは市営時代の1977年(昭和52年)2月5日(土)に“大阪市音楽団友の会”が会報として発行したタブロイド紙「友の会だより」をルーツとする。

発行元の大阪市音楽団友の会は、市民の有志に楽団が協力するかたちで立ち上げられた民間組織で、1973年(昭和48年)7月6日(金)の“設立準備会”を含め4回の発起人会をへて、翌1974年4月21日(日)の“設立総会”をもって発足した。また、初代会長には、発起人総意で、1947年(昭和22年)から1972年(昭和47年)の定年まで市音団長をつとめた辻井市太郎(1910~1986)さんが推薦され、総会の了承をもって会長に就任した。《参照:第120話 交響吹奏楽団を夢みる

その活動ぶりについては、大阪圏外のファンには馴染みが薄いかも知れないが、あのアッという間に売り切れた“大阪市音楽団創立70周年 – 大阪市音楽団友の会20周年”記念の完全限定盤CD「大阪市音楽団 NHKライヴ 指輪物語 ─ 本邦初演 At the Symphpny Hall」(大阪市教育振興公社、OMSB-2801、1974年)をはじめ、筆者が携わった大阪市の予算が見込めない何枚かの市音自主制作CDで、資金提供や販売で力添えいただいた。正しく“縁の下の力持ち”的な存在で、いくら感謝してもしきれない人達だ。(参照:《第64話 デメイ「指輪物語」日本初CD制作秘話》)

さて、そんな友の会の会報だが、第1号の後しばらくは休刊状態がつづき、補完的に手書きコピー印刷の「大阪市音楽団友の会ニュース“おんがくだん”」が隔月刊で発行されていた。

一方、印刷による“会報第2号”が発行されたのは、第1号から2年後の1979年(昭和54年)2月5日(月)で、同時に表題も“友の会ニュース”でお馴染みとなっていた「おんがくだん」に改称された。

その後、会報「おんがくだん」は、しばらく不定期で発行されたが、1980年(昭和50年)11月1日(土)の第4号からは隔月刊の定期発行となり、友の会10周年の1983年(昭和53年)1月1日(土)の第18号から、表題を「市音タイムズ」と改称。友の会による発行は、民営化寸前の2014年(平成26年)3月1日(土)の第198号まで続いている。

というわけで、現在の「Shion Times シオンタイムズ」は、大阪の地に育まれた市音の豊かな吹奏楽文化の流れを途切れさすことなく民営化後のShionに引き継がれたものなのである。

確かに、つぎつぎアップテートできるネット上のホーム頁にも意味がある。しかし、紙の上に印刷された当時の空気を伝える情報のなんと生き生きとしていることか。

一方で、それは、Shionが確実にその一端を担ってきた日本の吹奏楽史の大きな一部分を成している。

それを簡単に朽ち果てさせてはいけない。

“Shion 100周年”に向け、同紙の再収集と整理にまい進する中、あらためて感じさせられた紙情報の重みの凄さだった!!

▲「友の会だより」 第1号(大阪市音楽団友の会、1977年5月2日)

▲「おんがくだん」第10号(大阪市音楽団友の会、1981年11月1日)

▲「市音タイムズ」創刊号(大阪市音楽団、2014年4月1日)

▲「Shion タイムズ」13号(Osaka Shion Wind Orchestra、2015年4月1日)

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