【コラム】富樫鉄火のグル新 第327回 名著とは、これ――『証言・昭和の俳句』増補新装版

 2002年刊、『証言・昭和の俳句』上下(角川選書)は、長いことロングセラーとして親しまれてきた。
 これは月刊「俳句」の連載をまとめたもので、戦中派の俳人13名に、一世代下の俳人・黒田杏子がロングインタビューした、聞き書き集だった。各人ごと、年譜と自選五十句も収録されていた。戦中の暮らしぶりや、俳壇の内情が微に入り細に入り語られていた。
 「新興俳句弾圧事件」「京大俳句」「日野草城『ミヤコホテル』」「角川源義」「桑原武夫の俳句第二芸術論」「小堺昭三『密告』」といったキイワードに少しでも感度のあるひとにとっては、まさに垂涎の一冊であった。

 あれから20年、この上下2冊が合本となり、一部内容を刷新してよみがえった。『証言・昭和の俳句 増補新装版』(聞き手・編著=黒田杏子/コールサック社刊)である。
 わたしも40年余、編集の世界に生きているが、ひさびさに「名著とは、これだ」と断言できる本に出会えたような気がする。簡単にご紹介しておきたい。

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